「突破者の自己否定〜宮崎学の変節を嗤う」(閑日閑話7.8)

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投稿者 第3・1者 日時 2001 年 7 月 11 日 01:23:24:

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突破者の自己否定〜宮崎学の変節を嗤う(1)     投稿者:神津 陽  投稿
日: 7月 8日(日)23時17分15秒

1)ここで扱うのは96年に「突破者」と言う本を出した宮崎学が、今回の参院選出馬
へ到る軌跡の検証である。宮崎は京都のヤクザの出で、早大時代は日共のゲバ隊長
を務め、週刊現代フリー記者のあと家業に転じ、80年に実家の解体屋が負債25
億円を抱えて倒産後に上京し、バブル景気に乗って地上げ屋で鳴らす。ごく少数の
早大同窓生の他は素性も知らぬこの男の5年間の活躍とその帰結は、各々の道を歩
いてきた全共闘世代にとっても他山の石となろう。
 宮崎は暴対法に示される警察官僚のヤクザ排除に反発し、その延長で盗聴法や個
人情報保護法案などの管理統制強化に反対してきた。インターネットを駆使した先
駆的情宣ながら、その抵抗基盤は古色蒼然たる義理人情世界にあった。宮崎はその
観点から、卑しい職業のトップに政治家を掲げ、2位以下に官僚>法律家>大学教
師の序列を示した。ではなぜいまさら参院選に出るのか?
 「キツネ目男」で世に出たトリックスターであることを宮崎は熟知している。彼
は自らが総裁の独裁政党の電脳突破党総会で「突破者よ、もはや死のうと思ってい
たが(「突破者」が)思わぬ反響を得て、こんな者でも政治的発言が許されるのでは
ないか。今まで生き延びてこられて、世間にお返しをしようと思ってきた」と参院
選出馬の弁を述べる。世間にお返しをするなら、まず身近な借金を返すのが筋だろ
う。世間への道徳的恩返しは突破者には似合わない。

2)立候補者の取りやめが出たから支援の積もりで白川勝彦新党から出るとの経緯
や、歴史を動かす水滴にならんとの精神論はどうでもよい。だが議員になる可能性
は殆どないとの分析と、それでも勝ちたい・今までの人生の総括として戦う・2年
間の時限政党の電脳突破党は最大で最後の戦いを経て解散するとの決意とは温度差
がある。なぜ支援でなく自分が出るのかも判然としない。
 宮崎が選挙に出る理由は奇麗事ではなく「私は歩けばほこりの出る人間だ。そん
な人間でも政治的発言が許される」筈だとの執念の側にあるのではないか。そう考
えると<自分は清く正しく美しく生きてきていない><若い衆を守るために公安と
裏取引をした>とのスパイ疑惑への釈明と筋がつながる。
 宮崎は<部落出身者と在日の同志の自殺を機に日共を離れたが、彼ら二人の問題
意識を今も引き継いでいる>旨を述べ、立候補声明の場で号泣したそうだ。別の場
で宮崎は<新左翼はアマチャンで、革命の本隊の日共に入ったのは正しかった>と
も述べる。ヤクザ・右翼・オウム・日共との交友を誇る宮崎の派手なパフォーマン
スを「新左翼」はどう評価するのか。公安との接点が明確化しても「ほこりの出る人
間」として許容し支援するのか、これは思想的な問題だ。

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突破者の自己否定〜宮崎学の変節を嗤う(2) 投稿者:神津 陽  投稿日: 7月
8日(日)23時14分56秒


 
3)宝島社の「公安アンダーワールド」所収のスパイ疑惑は、6月26日のネットでの原
文部分公表で全面化した。汚れ役をM弁護士に押し付けてきた宮崎は27日に、確か
に公安と会って裏取引きしたが<日時・渡した書類・過激派に貸した金額>が違う
と一部否認した。だが電脳突破党が<内部ではとっくに終わったハナシ>と言おう
と、三上治が<小さなイジワル運動は笑い飛ばせ>と言おうと、http://
www.bekkoame.ne.jp/ha/ii26650/kcdialy_index.html での名刺や公安宛て封筒を
付しての宮崎スパイ疑惑は晴れず、マックロと推測できる。
 宮崎学の出処進退の基盤がヤクザだと考えると裏取引も過激派情報提供も不思議
はないし、新左翼へのカンパも会津子鉄とよど号支援者の引き合わせも参院選出馬
もオウムの身元保証と同じくシノギの勘定の問題だ。元日共の宮崎に取って新左翼
は利用対象であっても、今回の公安スパイ問題は70年前後の「新左翼」関係者に
とっては放置出来ない思想的総括問題の筈である。
 全共闘は大昔の出来事だが、青春期の記憶は誰もが鮮明に覚えているものだ。
全共闘活動家の多くは三派世代の影響を受けているが、三派都学連・全学連形成の
各派責任者クラスで公安調査庁の協力者が判明したのだ。全共闘世代の巷の中年男
女はその後の新左翼運動に接点がなくとも、自己の青春期の軌跡には自負を持って
いる。誰もが知っている元中核派や解放派の最高指導部のスパイ疑惑は、実害を遥
かに越える精神的打撃を全共闘・三派世代に与えている。

4)学費闘争勝利時の中大全中闘役員のX君が、病床で意識が明確な時の最後に「オ
レたちは間違っていなかったよな」と見舞客に同意を求めたそうだ。彼の思いは特
殊なものではなく、学館闘争時に日共方針に反してバリケードに入った民青4連会
メンバーにも聞いた事がある。三上治が言う機関決定なきボス交の噂は活動家に混
乱を招き、ブント系メンバーに不要な心労を強いた。
 日共時代に自殺した部落と在日青年の問題意識を受け継ぐと述べる宮崎は、同世
代の活動家の心情は充分承知の筈だ。宮崎の取り柄は現場活動家上がりの
反権力・反権威・反管理心情であり、140万冊の販売実績を背景に「議員になると
収入が減る」と嘯く参院選出馬は突破者の原点への否定である。     「公安
アンダーワールド」の影響はかつての転向論争の新左翼版として徐々に拡大する筈
だ。その際に吉本隆明の「わが転向」を誤読して、思想的立場の無意味さや一貫性
への疑問の形で転向終焉論が登場するだろう。だが党規や党議目的忠誠が無意味化
しても、抱え込んだ相互関係や当事者間の信義は残る。
他から追求されずともどんな集団でもスパイやチクリは恥ずべき愚行である。
 ヤクザや宮顕の影響か冗談半分でか独裁政党電脳突破党を作った宮崎学には、対
等関係での信義や相互扶助の意義が分からない。他方で三派形成時の近接者のスパ
イ問題を、自分の痛みとして受け止める姿勢のない三上治はサヨク興業屋で終わる
しかない。三上は宮崎と三嶋の3Mで「1998年の吉本隆明」なんて座談会をやる暇
があったら、60歳過ぎを自覚し独り立ちし てはどうかね。なお
手持名簿を勝手に宮崎選挙へ流用すれば、更に悪評が広まる事を警告しておく。
  <了>





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