地球のゆくえ  広瀬隆

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投稿者 付箋 日時 2001 年 8 月 22 日 21:08:33:

回答先: 日米安全保障体制の歴史的検証 浅井基文 投稿者 付箋 日時 2001 年 8 月 22 日 20:29:12:

『地球のゆくえ』 文庫の発刊に寄せて

 本書を完成してから三年も過ぎ去らぬうちに、貴重な時が失われ、わが国の経済状態は目をおおうばかりの借金地獄へ突入した。
 この幾日幾夜が飛び去ったばかりか、不断に実行される悪事の数々に、今度という今度は一部の進歩でもあるかと期待すれぱ、それは、はかない夢ばかり。
オルゴールが同じ旋律をかなでるのと違って、政策が失敗に失敗を重ねるぱかりでは、国民に救いがない。
 本書は、世界情勢と日本情勢を重ね合わせてみるために、何が起こり、誰が動き、誰が利益を得て、誰が損失したかを、事実にもとづいて解析したものである。
主な役者は、国際金融マフィアと呼ぱれる集団だが、彼らには名前があり、ひとりずつの出自がある。それを知った上で、政治家と官僚が政策を立案し、よき方向に進まなけれぱならない。ところが彼らは、地球のゆくえどころか、日本のゆくえさえも手探りでつかみかね、已のまわりに群がる小さな集団の動きだけに目を奪われて、知性というものの一片さえも感じさせてくれない。
 やはり、驚くべきことである。
 三年前を現在に置き換えてみれば、本書の内容がいささかも変化していない事実に目を丸くするのは、筆者だけではないだろう。石の上にも三年と言うが、われわれの坐っている石の居心地は、すこぶる痛い。
 日本の国民の側にも、無数の欠点があるが、良識の片鱗をすっかり失ったわけではない。ここで、頽廃的な気分に走って、したり顔で「日本は終りだ」という輩が多くみられるが、それは知性を喪失した人間の言葉である。
 最悪の事態で、最大の力を発揮しなけれぼ、ことは一層の悪化をもたらす。昔から言い古され、聞き馴らされてきた通り、人問は考える葦でありたい。
 ロダソの彫刻”考える人”は、何年の星霜を経ても、古びて見えたい。あの人物には、考えるという意志の力が感じられるからである。それは、時代の環境によってつくられる人形ではなく、時代の環境をつくり出す人間の姿である。
 われわれの目の前に広がる景色は、深い観察力を求めている。本書の一章ずつは、それぞれの景色が誕生した由来を、筆者なりの調査によって、できるだけの注意力をもって再構築した事実である。
 この骨組みがつくられた経過は、かなり興味深く、筆者自身にとって、何度読み返してみても、今日動いている歴史を分析するのに貴重な資料となっている。願うことなら、これだけの事実を、一層多くの読者と共有するところから、明日に向かう議論をはじめたい。
 わが国は、もう一度考え直す余地のないほど救いがないのではなく、ため息をつかずに作業する人間を求めているだけである。

  一九九七年七月十日 広瀬隆



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