エシュロンの陰嚢(<藁)

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投稿者 asahi 日時 2001 年 9 月 06 日 09:05:20:

回答先: 通信傍受システム・エシュロンの自粛求め決議 欧州議会 投稿者 asahi 日時 2001 年 9 月 06 日 09:03:14:

「ウェブWatch」 May 22, 2001

エシュロンの陰嚢

植木不等式
ウエキ・フトウシキ
お笑いサイエンス・ライター。
著書に「悲しきネクタイ」「世紀末おとぎ話」
「トンデモ本の世界」(共著)など。
copyright ソルボンヌK子
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ウォーターゲート事件に迫った二人の記者を主人公にした映画「大統領の陰
謀」が封切られたころ、純真無垢な高校生だった私と、今や某国立大の先生を
している親友のO君は、社会正義よりも今そこにあるお笑いの方になすすべも
なく流れ、「大統領の陰嚢」だの「大統領の陰毛」だの、下卑た駄洒落を口走
っては友情を温め合っていたのも、今となっては懐かしい思い出である。

弁解させてもらえば、この世紀の特ダネ報道でネタ元になった匿名の人物に、
何を考えたんだか当時の超有名ポルノ映画のタイトル「ディープ・スロート」
という暗号名をつけたのは、当のワシントン・ポスト紙のデスク。
僕らが下品さゆえに糾弾される筋合いはないのである。えへん。

というわけで、今週はちと、陰謀モノでも。
最近、というかここ数年、旬な陰謀話としてとみに人気赤丸急上昇中だと思う
のが、「エシュロン」。
新聞・雑誌・テレビなどでも、たまーに取り上げられることがありますので、
気にとめておられる方も多いはず。

これまでメディアに流れた話を簡単にまとめると、「エシュロン」というの
は、米、英、加、豪、NZ、の英語圏5カ国の政府機関が形成しているという
情報傍受システムの名前。
無線・有線の通信を高速・大量かつ自動的に傍受するもので、その能力は一説
に、1日に30億通信を捕捉するという。
電話やファックスだけでなく、電子メールに含まれる特定の単語をピックアッ
プして、そうしたメールをチェックできるようになっているとか。

もともとは、冷戦下で東側の通信を傍受するのが目的だったとされるが、ソ連
東欧圏が消えた後、お役所的自己組織維持能力が働き、同盟国の産業情報の盗
聴までも任務にしているという疑惑を持たれている。

実際に、フランス系企業などの受注妨害に役立てられたのではないか、という
話もあり、本当だとしたら、まるでネタを仕入れては悪用する河内山宗春みた
いなシステムではある。

それで、これを問題視する欧州議会は昨夏、エシュロン問題を扱う臨時委員会
を設置して調査にあたっているのだが、胴元というか親玉といわれる米国家安
全保障局(NSA)をはじめとするアメリカの政府機関は、なかなか食えない
対応をしているみたい。

この5月、カルロス・コエリョ議員(ポルトガル)を委員長とする欧州議会の
この臨時委員会のメンバーが、ワシントンを訪れ、エシュロン問題についての
話し合いを持とうとしたのだが、アメリカ政府の対応は木で鼻をくくったよう
な、我が田中外務大臣が可愛く思えるようなものだったらしい。

5月10日、コエリョさんがワシントンを去るにあたって出した、捨てゼリフ
のようなステートメントには、大要こんなくだりがある。

「欧州連合、とくに欧州議会と、アメリカ合衆国との関係は、もちろん大変重
要である。産業スパイをしている、といったエシュロンに対する申し立ての性
質を鑑みるに、合衆国当局が返答する機会を持つのは、極めて重要なことであ
る」

「しかしながら、我々は落胆させられた。予定されていた国務省、商務省との
会合は、土壇場になって満足いく説明もなくキャンセルされた。また事前に準
備がなされていたにもかかわらず、CIAとNSAが我々の使節団と会うこと
を土壇場で渋ったことにも失望させられた。それゆえ、我々はワシントン訪問
を切り上げ、ただちにヨーロッパに帰ることにする」

以下は、大いなる余談だが、たぶんコエリョさんらが頭から湯気立てながらホ
テルかどっかで帰国便の手配を始めていたであろう8日、米オハイオ州の連邦
大陪審は、日本人研究者2人を経済スパイ法違反の罪で起訴した。

これは1996年に施行された同法の、「外国政府を利する」行為について定め
た条項の初めての適用例であるという。
要するに、国レベルの産業スパイ容疑、ということである。

私はトンデモ物件を愛好する「と学会」会員として、お笑い系陰謀論もさんざ
ん楽しんできたので、すぐに何でも陰謀史観で見る誘惑に対しては免役がある
つもりだが……。
この両事件をからめて誰かが何かを言っているのを見たことはないけれど、何
か、非常にグッドタイミングであることだなあ、と思ったのは、私一人ではあ
るまい。
エシュロンについて米政府が欧州議会を門前払いしたニュースは、少なくとも
日本の新聞を見る限り、さほど大きい扱いではなかった。

で、エシュロンについて一応わきまえておきたい、という時のサイトのご紹
介。
実は、日本語で大変よくまとまったところもあったのですが、先ごろ閉鎖にな
っちゃっておられます。
というわけで英語サイトばかりなのですが、まず全米市民自由連合(ACL
U)がこさえている、その名も「エシュロン・ウォッチ」
ACLUは、1920年創立の歴史を誇り、市民の権利擁護などの活動をしてき
たNGOです。
大戦中は、米政府による日系アメリカ人の強制収容所への送り込みに対して異
を唱える、という気骨のあるところも見せた団体だとか。

そこが開く「エシュロン・ウォッチ」は、エシュロンをめぐるQ&Aや、リン
ク集、ニュースなどをまとめており、この問題について落合信彦ばりの文章を
書いてみたい、という向きには欠くべからざるサイトでしょう。

とかく、政府機関の陰謀的行為をめぐる情報には、アヤシゲなものもサイトも
多いわけですが、今回の欧州議会調査団もこのACLUと会合をもったりして
ますので、要するに「信頼度」という点では高得点つくんじゃないでしょう
か。

もうひとつ、米科学者連盟(FAS)のサイトのエシュロン情報のページも、
おすすめ。

FASは1945年、マンハッタン計画に携わった研究者たちが、その恐ろしい
結果を前に、科学者も社会的責任を果たさなくてはならないと、さまざまな問
題についての調査・発言をしている団体です。
ノーベル賞受賞者が名を連ねている、だからエラいと短絡するのは正しくない
かもしれませんが、しかしそれが51人という大量になってくると、「忍法、
質より量!」(いしいひさいち氏のまんがより)で、説得力、というか影響力
がすごくありそうに見えるわけでして。

ここは、主としてエシュロンについての記事のリンクからできています。
ドイツ語で書かれた、エシュロン・システムの世界配置図、なんてのが張られ
ていて、そこには基地のひとつに米軍三沢基地も入っています。

ううむ、陰謀恢々疎にして漏らさず。
いや、実はフランスなども能力的にはずっと劣るものの、エシュロン的なシス
テムを作り上げているという話もあるそうですね。
日本でも、軍事情報収集用途にも使える多目的衛星の打ち上げが計画されまし
たが、やはりここは本腰を入れて、事態に取り組まねばなりますまい。

システムづくりが大変だったら、マンパワーで何とかしましょう。
例えば、外交業界(?)の風雲児、我らが田中外相に、あの押し出しで直接ブ
ッシュ家のヒミツを何か握ってもらって、それをネタに河内山宗春をやって重
要情報をわけてもらうわけです。
要するに「エシュロンおばさん」なわけだ、これが。

……ああ、私は苛烈な国際情報戦争で、国益に利する人材ではないですなあ、
すまんこつ。

ちなみに、実は最も恐るべきなのは、エシュロン・システムが白日のもとに姿
を現し、その実現している技術が民生用にスピンアウトしてきた時だったりし
て。

「お探しの情報バッチリ検索、エシュロン・サーチ!」
「欧州連合を震撼させた驚異のテクノロジーが、あなたのケータイライフをば
っちりサポート」
「ワタシモ、ツカテマース(CIAのジョン・ドウさんもお気に入り!)」

なんて超強力ポータルが出来たら、市井の検索エンジン、木っ端みじんかもし
れんのう。

そうだ、余談ですが、先週水曜日ころから「GOOGLE」の日本語サーチ、調子
悪かありませんか? もう直ってるかな?


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