情報統制の「プロバイダー法」

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投稿者 付箋 日時 2001 年 11 月 24 日 00:58:06:


 情報統制の「プロバイダー法」

 これまでは電気通信事業法第四条の秘密の保護の制約があったため、Webサイト(HP)や掲示板に個人情報などを書かれたことに対し、その書かれた者からプロバイダーの管理者や掲示板の管理人に書き込んだ者のIPの開示を請求されても安易に開示請求に応じたら刑事罰が問われるようになっていた。また、書かれた者から削除要請に安易に応じれば、「表現の自由」などの問題が生じた。
 今度のこのISP法は、その両方ともを法で乗り越えさせる「矛盾」したものとなった。
 そして非常に危険なものである。

 [1] プロバイダーやサーバー業者が、”他人の権利が侵害されたとき(第三条一項)”、Webサイトやその掲示板を削除しても、プロバイダーやサーバー業者は以下のような場合以外は、”賠償の責めに任じない(第三条一項)”。

 ”情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき(第三条一項一 )”。

 ”他人の権利が侵害されたとき情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき(第三条一項二)”。
 また、プロバイダーやサーバー業者が、”他人の権利が侵害されたとき(第三条一項)”、Webサイトやその掲示板を削除して、その情報の発信者に損害が生じても、プロバイダーやサーバー業者は以下の場合は、”賠償の責めに任じない(第三条二項)”。

 ”情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき(第三条二項一)”。

 ”同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき(第三条二項二)”。
 [2] Webサイトやその掲示板において”自己の権利を侵害されたとする者(第四条一項)”は、以下のいずれもが該当する場合、Webサイトやその掲示板の情報発信者の”氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるもの”の開示請求をプロバイダーやサーバー業者に対し行うことができる。

 ”侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき(第四条一項一)”。

 ”当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき(第四条一項二)”。
 これらが該当しない場合、プロバイダーやサーバー業者が開示請求に応じないことで生じた開示請求者の損害に対しては、プロバイダーやサーバー業者に”故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない(第四条四項)”。

 また、プロバイダーやサーバー業者から情報発信者の個人情報の開示を受けた者は、”情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない(第四条三項)”。

 さて、どのように思われるだろうか。
 まず[1]については、「権利の侵害」とか「認めるに足りる相当の理由」とか、それ自体はとても曖昧なものなのに、それらに対する定義のようなものが何もなく、匙加減一つで恣意的に運用できるものになっているということが一つと、7日以内に同意しない旨の申出を行わなければ、Webサイトや掲示板を削除されてしまう(”当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合(第三条二項)”と条文には書いてあるが、それがWebサイトごと削除するか該当する部分のみ削除するかはサーバー業者が決めることで、サーバー業者の自主判断のみで削除が可能)というのが問題である。
 特定電気通信役務提供者(プロバイダーやサーバー業者)への通告は下の方から順に行わないと(たとえば掲示板の場合、掲示板運営者━掲示板レンタル業者━サーバー業者、といったふう)、大手や中堅の場合、Webサイトや掲示板の運営者(管理人)に通告が届くまでに7日が過ぎてしまい、運営者が知らないうちに削除されてしまう危険性がある。また、サーバー業者が「正義感」をたてにして運営者に対する警告なしで削除を行うことも可能のようだ。
 いずれにしても、大手や中堅の数十社に圧力をかけるだけで、議論もすることなく情報の削除が可能となるようなシステムが作れる。

 [2]については、氏名などが開示されても、後で裁判で争うのだから、結局これまでと同じだとする人もいるようだが、その相手が大企業や有力者であった場合、名誉毀損や損害賠償などの裁判における判定とは関係なく、相手は氏名だけでも当人を社会的に抹殺できる可能性がある。
 一般的な「嫌がらせ」などの行為のほかに、そのような危険もあるので”情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない(第四条三項)”という条文もあるのだが、こちらの裁判を起こしても、裁判期間や訴訟費用などで実際に裁判に勝てるかもおぼつかなく、また抹殺行為自体そのようななかで現実に状況が改善されるとも思われない。

 このような法案がすでに11月20日に国会を通過した。
 ほとんどの人はこんな法案があったのかどうかも知らないはずだ。
 『個人情報保護法案』の場合も、大手メディアは審議が近づくと、法案自体の問題点をさぐるどころか「出会いサイト犯罪急増」とかの番組をやり、国会通過の手助けをするようなことをしているようだ。唯一毎日新聞の一記者がそれに抗しているようだが。・・・

 ISP法案 今国会で成立へ 表現の自由への影響を検証 [毎日新聞]

 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律案


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 ISP法案 今国会で成立へ 表現の自由への影響を検証 [毎日新聞11月19日]

 名誉を棄損するインターネット上の書き込みなどをめぐるトラブルについて、接続プロバイダー(ISP)の責任などを定めた「プロバイダー責任法案」(ISP法案)が今国会で成立の見通しとなった。一定の条件を満たせば、プロバイダーが書き込みを削除しても損害賠償を免れる仕組みだが、紛争に巻き込まれることを嫌がって安易に書き込みを削除する傾向が強まるのではないか、との懸念も強い。ネット上の表現の自由はどう影響するのか、法案を検証した。 【臺宏士】

 警察庁のまとめによると、ネットの悪用による相談件数は昨年1884件にも及んだ。「ネットオークションで落札したのに商品が届かない」といった詐欺まがいの被害や「出会い系サイトで知り合った男から脅迫メールが送られた」などの相談のほか、「インターネット掲示板に自分の住所、名前と中傷文を載せられ、多数の迷惑電話を受けている」など深刻なケースもある。このうち事件として扱われるのは、ほんの一部に過ぎないが、それでも名誉棄損・著作権法違反事件として扱われたのは99年は33件、2000年は54件と増加し、今年上半期だけで28件を数えている。

 こうしたトラブルを抱えたプロバイダーは、紛争解決のためとは言え、不用意に問題を起こした会員の情報を開示すれば電気通信事業法で課されている守秘義務違反となりかねないし、書き込みを削除すれば「表現の自由を侵害された」として会員から損害賠償を求められる恐れもある。また、放置すれば、被害者側から訴えられる可能性もあるなど“板挟み”の状態になっていた。

 こうした事態を受け、総務省(旧郵政省)の研究会が昨年12月、迅速な対応を図るための法整備を求める報告書を提出し、同法案が今通常国会に提出された。

 法案の正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律案」。

 法案が示す「特定電気通信役務提供者」は、プロバイダーなどの電気通信事業者に限定せず、同じようなサービスを提供している大学や企業、個人も含まれている。対象となるのは、プロバイダーが会員に提供する電子掲示板サービスやウェブサイト開設サービスで、他人を誹謗(ひぼう)・中傷したりする書き込みや、音楽データ・ビジネスソフトなどの著作物を無許可で配布するといった権利侵害。プロバイダーは、「他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき」や被害者からの書き込みの削除要請を受けて発信元の会員に照会し、7日たっても申し出がなかった場合は損害賠償を求められても免責される。

 また、被害者が損害賠償を求めて訴訟を起こす際、被告を特定するために必要な発信者情報の開示を求める権利を創設した。ただし、プロバイダーは仮に発信者情報を不開示にする場合でも「故意又は重大な過失」がない限り免責されることにしている。

 しかし、法案に対してはネット上の表現の自由を制約する恐れがあるとして懸念する声も小さくない。

 例えば、99年に注目を集めた東芝のサポートサービスの対応を批判したウェブサイト。市民が大企業などを相手に告発する手段としてインターネットの影響力の大きさが初めて一般的に認識された。また、ウェブサイトで内部告発するサイトも現れているが、こうしたケースは「他人の権利を侵害」することになるのだろうか。また、国政選挙を前に公開されるようになった「落選運動」サイトや汚職の疑いのある議員に辞職を求めるサイトはどうなのか。

 正当な批判と、中傷は紙一重の関係に近い。このため、果たして大小あるプロバイダーが、そこまで判断しうるのかどうか疑問の声も大きい。

 実際、大手プロバイダーのある法務担当者は「面倒な訴訟に巻き込まれたくないプロバイダーにすれば削除する方向に走りやすくなるだろう」と予測する。また、別の大手プロバイダーのケースでは、現在もトラブルが発生して発信元の会員に通知すればほとんどが削除に応じているといい、当事者同士が了解すれば双方を直接合わせて話し合いをさせるといった“仲裁”まで行うこともあるという。

 研究会委員の一人、牧野二郎弁護士は「現状でも発信者情報の開示請求訴訟は起こせるので、この法案を緊急に成立さなければ行けない理由はない。しかも法案は表現の自由を制約することにもなり得る。必要なのは削除の判断をプロバイダーに任せるのではなく、研究会報告でも求めたように第三者による準司法的な救済制度の整備だ」と指摘する。

 インターネットの名誉棄損事件に詳しい関西大の園田寿教授(刑法)も「法案に『他人の権利が不当に侵害されている』とあるが、基準は非常にあいまいで専門家でも判断に迷う。“問題のある情報”はこの法律が成立すればなくなるかも知れないが、同時に適法な情報もつみ取ってしまう。非常に効果の大きい抗生物質のような法案だ」と懸念を隠さない。

 * * *

 法案は今月9日に参院を通過し、20日の衆院総務委員会で質疑の後、採決の見通し。参院総務委員会では、表現の自由や通信の秘密を守るため「(プロバイダーによる)削除や発信者情報が濫用(らんよう)されることのないよう配慮」することを求める付帯決議をした。
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 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律案
 (趣旨)

第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。

 二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)をいう。

 三 特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。

 四 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。

 (損害賠償責任の制限)

第三条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この条において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。

 一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。

 二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。

2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。

 一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。

 二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

(発信者情報の開示請求等)

第四条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。

 一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

 二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

2 開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。

3 第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。

4 開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。

 附則

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 理由

最近のインターネットその他の高度情報通信ネットワークによる情報の流通の拡大にかんがみ、特定電気通信による情報の適正な流通に資するため、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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