テロ事件で抑圧されるウェブ上の言論の自由(Wired News)

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投稿者 韋駄天木村 日時 2001 年 10 月 30 日 22:33:49:

http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20011026206.html

テロ事件で抑圧されるウェブ上の言論の自由(上)
Julia Scheeres

2001年10月25日 2:00am PDT  9月11日(米国時間)の同時多発テロ事件以来、米国には熱狂的な愛国主義的感情が巻き起こっており、多数の政府機関や民間のウェブサイトが、「非国民的」あるいは「国家安全保障に危険をもたらす恐れがある」と思われるコンテンツを取り下げている。

 ウェブサイトから情報を削除した人々は、この行為は米国の利益を考えたものだと述べている。しかし言論の自由を支持する人々は、こうした傾向は反民主主義的であり、恐しいものだと述べている。

 コンテンツを自主的にオフラインにしたサイトもある。国旗を燃やす行為は憲法で保障された権利だという意見を擁護するサイト『フラッグ・バーニング・ページ』のウェブマスターであるウォレン・S・アーペル氏は同サイト上で、同時多発テロ事件発生後、「敬意を表するために」このサイトをいったん閉鎖することに決めたと書いている。だがその後に続けて、「多数派と異なる意見を持つ人々が沈黙を強いられている。このようなことが起きてはならない」とも訴えている。

 インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)によって閉鎖に追い込まれたサイトもある。

 『コズミック・ラジオ』サイトを運営する米コズミック・エンターテインメント社のトラビス・トール最高経営責任者(CEO)は、『IRAラジオ』、『アル・ルイス・ライブ』、『アワー・アメリカズ』(Our Americas)など、同社が制作するいくつかの急進的なインターネットラジオ番組が、9月にインディアナ州のISPによって閉鎖させられたと述べた。これらの番組では、テロ容疑者たちへのインタビューと、活動家アル・ルイス氏によるコメントなどを放送していた。アル・ルイス氏は、60年代のテレビ番組『マンスターズ』で『グランパ』を演じていたことでも知られている人物。

 トールCEOによれば、ISPの米ハイパーバイン・ネット社は、米連邦捜査局(FBI)から連絡を受け、テロ行為を助長した容疑で同社の資産を差し押さえる可能性があるという警告を受けたために、この番組の放送を拒否したという。ワイアード・ニュースは地元のFBI事務所およびハイパーバイン社に連絡をとったが、返事は得られなかった。

 「(ハイパーバイン社は)ようやく番組の放送許可をくれたが、今度はわが社の役員会が怯えてしまった。新規株式公開(IPO)前でもあり、われわれは、状況が静まるまで番組を再開しないことに決めた」

 『ウォールストリート・ジャーナル』紙が報じたところによると、インターネット・ポータルの米ヤフー社は同時テロ事件後、『ジハード・ウェブリング』にある多数のサイトを閉鎖させたという。ヤフー社に連絡をとったが、やはり返事は得られなかった。

 電子フロンティア財団(EFF)では、9月11日以降に閉鎖に追い込まれた、あるいは制限されることになったサイトを記録しつづけている。

 多くの政府機関が、ウェブサイト上から慎重な扱いを必要とする情報を急いで取り下げている。米グーグル社も、閉鎖されたウェブサイトについてのキャッシュを検索エンジン『グーグル』から消すことでこれに協力していると述べた。

 政府の行動を監視している複数の団体によれば、ウェブの検閲はランダムに行なわれているようだという。

 主に安全保障政策に関して批判的検討を行なっているサイト『グローバルセキュリティー』のジョン・パイク氏は、「政府は基本的に、機密扱いの情報と非機密扱いの情報の他に、『テロリストに役立つ可能性がある情報』という第3番目のカテゴリーを作りだそうとしている」と述べた。

 パイク氏は、「階級の低い」軍当局者から、『グローバルセキュリティー』サイトに掲載されていた、カンザス州にある現在使用されていない陸軍の兵器工場に関するデータを除去するよう求められたが、拒否したという。

(10/29に続く)

[日本語版:森さやか/合原弘子]

http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20011029207.html

テロ事件で抑圧されるウェブ上の言論の自由(下)
Julia Scheeres

2001年10月25日 2:00am PDT  (10/26から続く)

 一方、ワシントンDCを拠点に政府の行動を批判的に検討している団体『OMBウォッチ』は、同時多発テロ事件発生後にウェブサイトから要注意情報を取り下げた政府機関のリストを作成している。

 ロスアラモス国立研究所、国際原子力安全センター(INSC)など、ここに挙げられた政府機関が削除したりアクセス制限をかけたりしている情報は、危険な化学物質に関するものか、政府の施設に関するものがほとんどだ。

 たとえば、放射性物質の輸送を監督している、エネルギー省の全米輸送プログラム(National Transportation Program)のサイトは現在、「ご質問がありましたら、電話番号(505)845-5541のボビー・サンチェスまでお問い合わせください」と注記があるだけの空白のページとなっている。

 24日に連絡をとってみたところ、サンチェス氏は、全米輸送プログラムは「いくつかの改変を行なっている。安全保障上の問題がいくつかあり、われわれはそれを再検討するよう依頼されている」と述べた。改訂されたサイトは数週間後以内にアップされる予定だという。

 OMBウォッチによれば、この団体自身に対しても、データベースを閉鎖するよう圧力がかかっているという。米国企業による化学物質の使用を詳細に地図上にまとめた、環境汚染に関するデータベースが問題になっているのだ。

 このデータベースには、企業に大規模な事故が発生した場合に近隣が受ける被害に関する最悪の場合のシナリオも含まれている。OMBウォッチによれば、政府機関は1999年に、同様の情報をオンラインから取り下げている。また最近、このようなデータの公開を停止するよう求めてくる個人や企業があるという。

 「われわれが生きている民主主義社会は、開放性と透明性、そして説明責任をベースにしている。その主軸になるものは自由な情報の流れだ」と、OMBウォッチの広報は語った。「9月11日の事件の影響を受けて、そうしたことがらの意義が見すごされる傾向にあるのかもしれない」

 そう言いながらもOMBウォッチ自身、方針の変更を検討しており、許可を受けたビジターのみが要注意情報にアクセスできるようにすることを考えているという。

 ほかにも、同時テロ事件以後、自発的に、政府施設の位置と配置に関する詳細な情報を削除したサイトがある。

 米国科学者連盟の一部門であり、政府活動の公衆による監視を唱道している『政府機密に関するプロジェクト』は、サイトから200ページにおよぶ情報を取り下げた。

 プロジェクト責任者であるスティーブン・アフターグッド氏は、「基本方針に反するこのような決定を行なうのは、釈然としないものがあった」と言う。「だが、他の人々と同様に、われわれも(テロ攻撃に)衝撃を受けたのだ」

 アフターグッド氏は、「9月11日以前の世の中に戻るという希望をけっして捨てていない」と、いずれ大半の、あるいはすべての情報を再び掲載できるようになることを願っていると述べたが、「なお予断を許さない状況だ」と付け加えた。

[日本語版:森さやか/岩坂 彰]


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