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インターネットが普及するにつれて、ポルノや暴力など子供に見せたくない「有害情報」が問題になっている。アイキュエス（IQS、東京都中央区）は、こうした情報を表示させない「フィルタリング」技術の開発に力を入れている。特にサーバー側で有害情報を遮断する「親子ネット」のシステムは業界で注目され、今年度、新事業創出促進法の認定を受けた。饗場金蔵社長（56）に狙いを聞いた。（藤枝 克治）
■■オンライン型のフィルタリング
――「親子ネット」とは、どのようなサービスですか。
饗場社長 有害情報を遮断する場合、これまで一般的だったのはフィルタリング・ソフトと呼ばれる専用のソフトを、手持ちのパソコンにインストールする方法です。しかし、この方式では設定が複雑だったり、フィルタリング・データの更新をしなければ機能が充分に発揮できませんでした。
「親子ネット」は当社が開発したオンライン型のフィルタリング技術で、フィルタリング作業を家庭のパソコン上ではなく、当社の専用サーバーで処理します。家庭での複雑な設定や管理が不要なのが大きな特徴です。
――具体的にはどのように遮断するのですか。
社長 まず有害情報を載せているサイトのURLをチェックして、アクセスできないようにします。もう一つの大きな特徴は、有害サイトでよく使われる言葉をデータベースに蓄積して、言葉の組み合わせでそのホームページを表示させるかどうか判断していることです。
例えば、アダルトサイトには独特の言葉の使い方があります。単に「エッチ」といわず、「超エッチ」「どエッチ」と表現したり。こうした言葉の使われ方を調べて、約17万通りの組み合わせから、不適切な語句を使っているサイトを独自の基準に基づいて遮断します。
■■低い日本の家庭での利用率
――サーバー上でフィルタリングすると、ホームページを表示する速度が遅くなりませんか。
社長 大丈夫です。技術的には大変でしたが、アクセスが集中しても処理速度が落ちないように分散型サーバーを導入して克服しました。むしろ、家庭のパソコンのハードディスクやメモリに負担をかけず、基本ソフトやブラウザーの違いにも柔軟に対応できるので、従来のフィルタリングソフトより快適に利用できます。
――フィルタリングの利用状況は。
社長 ソフトの利用割合でみると、米国では家庭が40％、学校30％、企業30％なのに対し、日本は学校60％、企業40％弱で、家庭はわずか1％です。ですから、当社もこれまでは学校市場を中心にビジネスを展開してきました。日本の学校でネット接続しているパソコンが124万台あり、うち30％がフィルタリングを利用していると推計されています。そのうち、当社のシェアは約3割です。
日本の家庭でも、多くの母親が子供への影響を心配しているのですが、具体的にどうすればよいのか分からないのが現状です。ソフトを自分で買ってきてインストールするのは大変なので、母親がネットで申し込むシステムにしてはと思い、「親子ネット」を立ち上げました。
■■新市場にプロバイダーも参入
――フィルタリングは社会にとって必要なのでしょうか。
社長 表現や言論の自由に反するという考え方もありますが、少なくとも子供にとっては必要だと思います。米国の学校では、フィルタリングを使用しない代わりに、有害サイトは見ないという誓約書にサインし、それを破った場合にフィルタリングを導入するなどルール化が進んでいます。日本でも、これからは学校や親子でルールを作る必要があるかも知れませんね。
――プロバイダーのドリームネットと提携しましたね。
社長 プロバイダー各社は、これからフィルタリングに力を入れ始めると思います。家庭で子供たちがネットを使うようになると、有害情報はますます深刻な問題になります。ネット先進国の米国では、子供を守るためのフィルタリングはもはや常識です。他のプロバイダーとも提携の話し合いを進めており、日本でも市場は拡大すると思います。
[アイキュエス]
http://www.iqs-j.com/
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。