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新温暖化対策案はブッシュ大統領の命取りになるか?(WIRED NEWS) 投稿者 えーてる 日時 2002 年 2 月 18 日 20:29:38:

(回答先: <地球温暖化>米大統領が防止案発表 温室効果ガスを18%削減(毎日新聞) 投稿者 えーてる 日時 2002 年 2 月 15 日 10:43:18)

Steve Kettmann
2002年2月15日 2:00am PST
 ベルリン発――ホワイトハウス関係者は、ブッシュ米大統領が日本、韓国、中国歴訪の旅に出発するわずか2日前に発表した待望の新地球温暖化対策案は、国内外からの激しい批判を落ち着かせるための配慮が十分になされた内容だった、と語った。

 しかし、欧米の環境問題専門家に言わせれば、ブッシュ政権は、昨年3月に明確な代替案を何も用意しないまま温室効果ガスの排出量削減を求める『京都議定書』からの離脱を決定したことで自ら政治的ダメージを受けたにもかかわらず、きちんとその穴埋めをするには至っていない。

 首脳陣が米国の離脱を激しく非難し、米国抜きでも京都議定書の批准作業を進めようとしているヨーロッパ各国では、とくにその印象が強いようだ。世界最大の温室効果ガス排出国である米国が問題解決に向けてリーダーシップを発揮し、決して立ち止まらないことを望んでいるのに、ブッシュ政権はその期待を裏切っていると感じている人が多い。

 新提案はどれも自主的な取り組みでしかなく、米国の温室効果ガスの排出量増加率をどうにか押さえる程度の効果が期待できるだけだ。ブッシュ大統領は、より厳しい政策が必要かどうか再検討する時期として2012年を定めている。

 ブッシュ大統領の提案について「絶対に不十分だ」と語るのは、ベルリンを拠点とする環境団体『ハインリッヒ・ベル財団』の責任者であるイェルク・ハース氏だ。「ここに述べられていることの本質は、米国がこれからも地球の大気にかける負担を増やしつづけるだろうということだ。米国が本当にしなければならないのは、その負担を大幅に減らすことなのに」

 「米国政府にはもっと大胆になって欲しい。人類を初めて月に送ったあの『アポロ計画』のようなプランが必要だ。米国には世界をリードする技術がある。問題は米国がその気になるかどうかだが、そうしようという政治的意志は感じられない。『2012年になったら改めて考えましょう』という逃げ腰のアプローチしか見えて来ない。これは実際の行動を先送りしているだけだ」

 ブッシュ政権は、海外からの手厳しい批判を受けて、何らかの新提案を用意すると昨年来繰り返し約束してきたが、その発表はずっと延期になっていた。

 その間、ヨーロッパを中心とする世界各国は、最初はドイツのボンで、次に11月にモロッコのマラケシュで地球温暖化防止会議を開き、京都議定書の運用に向けてのプロセスを米国不参加のまま着々と進めてきた。

 この問題での国際社会からの孤立状態を解消するために、ブッシュ政権は14日(米国時間)、発電施設からの温室効果ガス排出量削減と気候変動の防止に役立つという新政策案を提示した。

 ワシントンにある『米国環境トラスト』で地球温暖化対策の計画責任者を務めるケイリー・クレイダー氏は、「ここにあるのは、削減の名を借りて汚染を悪化させる計画で、京都議定書で温室効果ガス排出削減を進めようとしている各国政府を侮辱するようなものだ」

 ブッシュ政権は、米国経済に悪影響を及ぼすという理由から京都議定書を拒否し、代わりに、今後5年間に46億ドルの税制上の優遇措置を設けることで企業に排出削減を求めるとしている。

 しかし、今回の温暖化対策案のポイントは、国民総生産(GNP)の伸び率と対比させて温室効果ガスの排出量を計算するという修辞的な手法にある。いわゆる「温室効果ガスの排出密度」を問題にするというもので、環境保護論者たちは、単なる数字の操作だとしてこれを激しく非難している。

 ワシントンの『天然資源保護評議会』(Natural Resources Defense Council)気候センターの広報担当者は次のように語った。「これは計算上のトリックだ。ホワイトハウスは複雑な計算方法を使って、彼らが設定した自主目標が――たとえそれを達成した場合でも――従来の姿勢から一歩も踏み出すものでないという事実を隠そうとしている」

 「臆面もなくこんな計算方法を使うとは驚きだ。これでは、昨年の政策をちょっと体裁だけ整え直して出したようなもので、結局何もせずただ問題解決を遅らせるだけだろう。この案が今出された理由の1つは、ブッシュ大統領がこれから10日間のアジア歴訪に出かける、ということだ」

 日本は、1997年に京都議定書が採択された国際会議の議長国だが、難しい経済状況を乗り切る上で米国との良好な関係をどうしても必要としている。だが、日本政府は、温室効果ガスの排出レベルを1990年の水準以下にまで強制的に削減することを求める京都議定書を批准する構えだ。ブッシュ大統領は、今回のアジア歴訪で地球温暖化問題を公式な政治会談の話題として取り上げそうにはないものの、個人的な話し合いの中でいくつかの質問を受ける可能性はある。

 「日本国民はこんな代替案にだまされないと思う」と語るのは、アムステルダムに本拠を置く『グリーンピース・インターナショナル』の気候政策アナリスト、スティーブ・ソーヤー氏だ。「日本人の95%は京都議定書を支持しており、国会では衆・参両院とも議定書の発効を求める決議を全会一致で採択している」

 「当然のことながら、ヨーロッパの人々も日本の人々も、米国が京都議定書に再び加わることを望んでいるし、京都議定書が目指すのと同じ方向を向いた計画ならどんなものでも歓迎したいと思っている。しかし、ブッシュ大統領が出した計画は、他の国々が目指す方向とは180度違っている。9月11日の出来事以来、ヨーロッパや日本の人々にとって、米国人に強く反対することは容易ではないが、マラケシュ会議では彼らは遠慮せず米国を非難した」

 テロ事件発生以後数ヵ月間の大統領の高い支持率を考えれば、ブッシュ政権は、地球温暖化対策に関する批判の声を抑えるために、これ以上何もする必要はないかもしれない。だが、ここで気になるのが、11月に行なわれる中間選挙でこの問題が共和党候補者にとって番狂わせの種になるのではないか、ということだ。

 「11月の中間選挙では、環境政策が、大統領派や共和党保守派の候補と共和党穏健派や民主党候補の違いを明確に示す問題点の1つになりそうだ」と米国環境トラストのクレイダー氏は述べる。

 国際社会では、主要締約国の多くが具体的行動に出て、京都議定書について話し合いを重ねる段階から批准に向けた準備へと移行する中で、ブッシュ政権に何か現実的な圧力をかけてくるかもしれない。

 「京都議定書で重要な枠組みはできあがった。これは、気候変動を起こさない技術の開発などに間違いなく刺激を与えるものだ」とハース氏は語る。

 「気候変動の影響で、すでに人々が命を奪われはじめている。われわれが今話し合っているのは、地球のためにいいとか悪いとかいう問題ではなく、人間の生命や生活に関わる問題だ。2050年になって過去を振り返ったとき、地球やそこに生きる人間にとってこれほど重大な問題について、今の米国のリーダーがとった行動を歴史がどう判断するかを真剣に考えてほしい」


[日本語版:藤原聡美/福岡洋一]

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