米国ロックフェラー財団理事長・コードンコンウェー教授、遺伝子組み換え食品を巡る論争についての見解を表明


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投稿者 明星 日時 1999 年 8 月 12 日 07:50:36:

米国ロックフェラー財団理事長・コードンコンウェー教授、
遺伝子組み換え食品を巡る論争についての見解を表明

ロックフェラー財団は、植物のバイオテクノロジー開発の為、
多額の支援を行っている米国有数の財団です。 同財団理事
長のゴードン コンウェー教授は、ワシントンD.C.において
開催されたモンサント社の役員会において、最近の遺伝子組
み換え食品を巡る論争により、人類にとって有益な技術が脅
威にさらされているが、消費者の批判に対しては、これを受
け止めて誠実な対応が必要であると述べました。以下に、ス
ピーチの要旨を掲載します。 

ワシントン発、6月25日

ロックフェラー財団理事長、ゴードンコンウェー教授によれ
ば、開発途上国の貧困層に食糧供給を改善するのに役立つと
期待されている遺伝子組換え作物は、巻き起こる論争の中で、
脅威にさらされているという。

しかしながら、消費者と環境保護グループの懸念の多くは合
理的であり、適切に検討・監視が行われる必要がある。

更に、バイテク商業植物の最大手であるモンサント社は、ター
ミネーター種子の案を取り下げること、及び開発途上国にお
ける植物科学研究に多くの投資をすること等を含め、誠実な
公開討論を通して、方針を変更する必要がある。

コンウェー氏は、さらに、食品の表示問題に関し、遺伝子組
換え食品が本質的に危険であるからではなく、消費者は自身
が購入・消費するものについての「知る権利」があることよ
り、表示することに賛成の立場を表明した。

コンウェー氏は、ワシントンD.C.で行われたモンサント社の
役員会におけるスピーチの中で、遺伝子組換え技術の導入に
関し、従来よりも責任のある取り組みが必要であると述べた。

もしこれが行われなければ、増加する消費者の反感と行政の
逆戻りにより、技術の潜在的な恩恵が失われるという真の危
険が引き起こされることとなる。

コンウェー氏によれば、ロックフェラー財団は、植物バイテ
ク研究に、1億ドルを拠出し、アジア・アフリカ・南アメリ
カの400名以上の科学者を支援している。世界の貧困層、
その中でも特に、現在農業に不適な地域に住む人々にとって、
バイテク分野の支援は、重要であるとの確信のもとに、ロッ
クフェラー財団は、支援を強化している。

ヨーロッパにおける大規模な抗議行動が始まる前に、遺伝子
組換え技術による真の恩恵は、特に開発途上国における利用
分野において、ほぼ実現に近づいていた。これらの中には、
病害虫耐性のイネ、更にベータカロチン(ベータカロチンは
人間の体内で、ビタミンAに分解される)を含むイネがある。
開発途上国では、1億8千万人もの子供が、ビタミンA不足
に悩まされ、毎年2百万人が、ビタミンA不足で、死亡して
いる。イネに異なる遺伝子を挿入すると、鉄分の含量を3倍
に増やすことができる。世界中で、約20億人が、鉄分の不
足から起こる貧血症に悩んでいる。

ロックフェラー財団の支援しているメキシコの研究者は、熱
帯の広範囲にわたる立ち枯れの原因となる、土壌毒性成分で
あるアルミニウムに対する耐性を増加させるために、イネと
メイズに遺伝子を挿入した。インドの研究者は、アジアでは
一般的な問題である、長期間に渡る冠水時にも、生存するの
に役立つ2つの遺伝子をイネに挿入した。

コンウェー氏は次のように述べた。「我々は、このような成
果が、開発途上国の人々に大きな真の恩恵をもたらすことと
確信している。しかしながら、特に貧困層による、これらの
研究の使用に関しては、ヨーロッパで巻き起こる論争とアメ
リカでも論争がある程度拡大してきているため、脅威にさら
されている。研究が逆戻りすること、特に圃場実験が禁止さ
れることこそが、真の危険である。勿論、圃場実験を通して
のみ、我々は、恩恵と危険を正確に評価することができる。」

更に彼は、次のように付け加えた。「バイテク植物の使用に
関するヨーロッパと開発途上各国での論争は強まっているが、
科学的な論点がその中心ではない。研究が遅れ、圃場実験が
中止され、新技術で生産された食品の行政制限措置が講じら
れることこそが、今や真の危険である。」

「ヨーロッパで現在言われていることの多くは、感情的な事
柄である。いくつかは、単に反企業、反アメリカの感情に基
づいている。しかしながら、この論争の中では、バイテクの
倫理的な問題、環境に与える危険、人類の健康に与える影響
等に関する、純粋な懸念も含まれている。」

コンウェー氏は、商業的に、早急に製品を市場に出したため、
誤解を招き、技術に対する反動を招くような失敗を犯したと
述べた。

発展途上国の貧困な農民や種子業者と、巨大企業との間で、
不平等な交渉関係があるとの危惧が指摘されていた。

コンウェー氏は、新作物に挿入された遺伝子が、近隣の雑草
またはその他の植物に拡散する危険については、ウイルス性
遺伝子の使用による新規のウイルスが生まれる可能性がある
のと同様であり、真剣に検討されるべきであると述べた。技
術は、緊密な監視の基に、注意深く進められる必要がある。

しかしながら、遺伝子組換え作物が、抗生物質耐性を増加さ
せるとの危惧に対しては、抗生物質耐性マーカーは、作物の
成長には必要ないので、これを作物からはずすことにより、
容易に解決できる。

ガン誘発の危険を含む、人類の健康に悪影響を与えるとの広
い大衆の危惧について、コンウェー氏は、単に証拠がないと
の理由だけでは、このような危惧は、なくならないであろう
と警告した。「危険の証拠がないからといって、これらの危
惧に対抗することはできない。これは、丁度イギリス政府が
BSE感染牛からの肉を食べることについての説明と同様であ
り、またつい数週間前まで、ベルギー政府が、石油化学品を
含む飼料で飼育した家畜についての説明とも同様である。」

コンウェー氏は、技術の健康に与える影響に関して、監視・
公開・討論といった新しい取り組みが必要であると述べた。

「適切なシステムと継続的な支援により、注意深い監視、公
開された報告及び透明性を確保するとともに、植物バイテク
の人類の健康に与える影響に関する公開の討論会を提供する
ような、新しい取り組みがなされなければならない。危惧・
興味とともに、偏見のない立場を保持していると認められれ
ば、大多数の人々から、健康問題を引き起こすことなく、人
類の食糧確保のための新しい方法を確立するための信頼でき< br>るパートナーとして納得させることができる。

「危険と恩恵の折り合いは、開発途上国では、その尺度が異
なるかもしれない。栄養失調や餓死に直面している人々は、
アメリカやヨーロッパの圧力団体によって言われている、不
完全に定義された、健康に与える危険について、あまり心配
しないかもしれない。」

「しかし、貧困層は、自身の事を決定する権利があり、それ
を実施するための情報と道具が必要である。彼らの決定は、
自身の必要性と優先順位を勘案し、自身の分析に基づかなけ
ればならない。賄賂等により、買収されてはならない。」

コンウェー氏は、遺伝子組換え技術を使用した新規植物の特
許は、制限されるべきであると述べた。発明ではなく、知識
について、知的所有権を確保しようとすることは危険である。
さらに、発展途上国でこのような技術を評価する場合、科学
的な視点に加えて、経済的な視点からも、その影響を研究す
る必要がある。

コンウェー氏は、遺伝子組換え食品を食べるかどうかといっ
た消費者の選択のために、表示すること、およびターミネー
ター技術の研究の中止を求めた。「農業種子産業は、種子の
不稔性を招くターミネーター技術の使用は、否定しなければ
ならない。」

農業関連企業は、ステートメントを発表することだけで、批
判に答えるべきではない。「貧困層に対して、食糧供給と環
境保護に関して、責任を持ち、安心させることが必要である。」

モンサント社の役員会でのスピーチの中で、次のように付け
足した。「貧困層の人々を、誠実な対話の対等な相手として、
取り扱う方が良い。モンサント社として、投資に対する見返
り、市場開拓、継続的な成長、その他の経済的な点について、
心配していることを了解する。全ての点について回答がない
かもしれないが、回答できるものからはじめ、迅速に対応し、
保持しているデータを誠実に公開することが求められる。」

「今は、新規の経営計画や、広報による宣伝活動の時期では
ない。公正さと公開性に基づいた、新たな関係を築く時である。」

コンウェー氏は、次のように締めくくった。「ロックフェラー
財団の顧客は、国際化の恩恵を受けていない貧困層である。
モンサント社の保持する技術は、これらの我々の顧客に重要
なものとなりうるものである。遺伝子組換え技術が、最も不
利な立場、または弱い立場にある貧困層の直面する問題を、
解決するのに役立つのであれば、モンサント社は、従来とは
異なった説明をし、行動を取る必要がある。」

ゴードンコンウェー教授は、「The Doubly Green
Revolution」、「Food for All in the 21st Century」、
また最近出版された「global food security」の著者である。
同氏は、スセックス大学の前副学長であり、開発途上国の農
業分野で、著名な権威者である。

ロックフェラー財団は、世界中の貧困層の生活を豊かに、維
持することを使命として設立された国際的な団体である。

出典: ロックフェラー財団




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