ドゴンにおける「二二」


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投稿者 SP' 日時 1999 年 4 月 25 日 08:03:03:

回答先: The Great Architecture of the Universe 投稿者 SP' 日時 1999 年 4 月 22 日 19:13:26:


 以下『青い狐−ドゴンの宇宙哲学』より抜粋。


 <母−記号>とよばれるアンマの二六六の記号は幾つかのカテゴリーに分類される。その分類は、彼の思
惟の本質を要約している。その分配は次の通りに行われる。
 二つの<先導−記号>はその本質からしてアンマだけに<所属し>、従って別格とされる。
 続く二六四の記号は二二のカテゴリーに分類される。これは<主たる物の二二の家族>とよばれる。
(中略)これらのカテゴリーは各々一二の記号を含む。
 しかし抽象的な記号はこの最初のシリーズで終りではない。宇宙が広がっていくのと同様に、アンマの創
造した存在も数を増し、アンマによって創られた世界が数知れずあるのと同様に、記号も増加していくので
ある。原初にあった一つ一つの記号が、各々新しい二六六の記号を生み出していくように定められていると
考えられている。<二六六(の記号)が一つ一つの記号の内部(基礎)から出てくる>のである。記号はこ
うして増殖していき、宇宙を形成する事になる全ての物を、抽象の次元で実現したのであった。(p84-85)

 記号の総体は、かつてアル部族の長の家の玄関の扉に彫りこまれていた。その扉は鍛冶師の一族の中から
選ばれた鍛治師の長達の共同制作になるものだった。それは二枚の板を繋ぎ合わせたもので、その各々に一
二の記号からなる一一の列があり、合計二六四になる。板上の<水の主>のカテゴリーに属する、一一の組
に分かれた二二の記号を線で結んでいくと、丁度全部の記号を取り囲むというか、取り纏めるような網の目
ができあがる。これらの二二の記号は一定の順序に従って彫られていて、中央から発し、周囲を回って閉じ
るギクシャクした螺旋を描くようになっていた。(p95-96)

 アンマはフォニオの体内に世界を創る事になるので、フォニオはここでは種子の原理でありその予示であ
ると見なされている。この世で最も小さい物の象徴であるフォニオが、<最も偉大な穀物>であるといわれ
るのはその為である。これは二二のヤラからなる。
 フォニオの二二のヤラの螺旋は、中心部の六つのヤラから数え始める。それは記号の図表の勘定において
まず初めに六つのブンモンがあったというのと同じである。この六つのヤラは<フォニオの性器>である。
その数はフォニオが最初の男性である事を意味している。というのも、三という数は、後に二つの睾丸と一
つの陰茎として男を代表する事になるからである。三が二倍になっているのは、アンマの第二の創造のもう
一つの根本的な特徴である双児性をはっきりと示している。最初の生きた芽であるフォニオは本質的に双児
(3+3)になるのである。但し実際に実現された時には、男性の白いフォニオの種子は女性の種子を片割
れにもつ事になる。他方アンマは、白いフォニオに二重の役目を負わせる事にもなるだろう。それは男性と
しては宇宙に衝撃を与え、女性としては、この宇宙ができあがっていく途上のある的確な時点で、アンマ自
身の業にも比べられる程重大な役目を果たす事になるだろう。
 フォニオは双児となる。なぜならこの宇宙にある一切のものは、自ら増殖できるようになるべきだからで
ある。数を二度反復するという事自体の中には、世界を創造したアンマと、アンマが創造した世界の二重性
も示されている。なぜならアンマは、その創造することばを通して、この宇宙の中に留まるからである。そ
れについては<ことばはフォニオの最初のヤラから出た>といわれるのである。(中略)
 このヤラが螺旋状をなしているという事は、フォニオが運動している形で予示されている、という事であ
りそれが<生きている>事を強調している。この形は、<最も小さいもの>の象徴であるフォニオの種子の
形成と同時に、フォニオに内的運動即ち生命を刻印する事になる生命力の形成も意味しているのである。更
に、やがて実現される種子に割りあてられる二二というヤラの数(6+16)は、原初の記号の総体を分類
する基本的カテゴリーの数を思いおこさせるものでもある。要するに、フォニオはこの数によってアンマが
考えた宇宙の全体を内に納める事になるのである。(p106-108)

 宇宙の形成という次元では、ノンモは狐の行為によって影響された諸部分を生まれかわらせると同時に、
その他の部分の発展に力を貸した。二二の<節>は、ここではアンマの原初の卵の螺旋の中に置かれたフォ
ニオの体と性器の二二のヤラに対応している。アンマはノンモを供犠する事で仕事を再開し、最初の種子の
中にあった<生命>即ち<ことば>に割りあてられた数を、再生の過程でノンモに授けるのである。(p307)

 箱舟は鎖の先にぶらさがってゆらゆらしながら、一方向に回ってはまた戻るというように回転していた。
こうやって箱舟は降下しながら二重の螺旋を描き、原初の種子を生気づかせた生命の運動、渦巻きの運動を
具体化したのである。この運動は、ちょうど管から吹き出すような具合の、祖先たちの息吹きで維持されて
いた。その管は、渦巻状の息吹きそのものの形をしていた。<巻く風>というこの息吹が、<降下の螺旋>
を勢いづかせていたのである。(中略)
 ぐるぐる回転する運動は、箱舟が全体として表現していた空間の将来の方位を含意していた。
 この観点からすると、箱舟の降下の螺旋は牛飼いのもつ槍の柄を飾る、真鍮と銅の交互に並んだ二二の輪
で表される。これらの輪は、大地において、牛の群が歩いていく<方向>に相当する。
 四対の樹木は、東の方からくる太陽の二二の光線で照らされるように、各々に割りあてられた側で、東を
向いて並行に並んだ。(p419-420)

 箱舟の降下中のノンモの役目については、彼が箱舟に置かれた幾つかの<首長の盃>を用いて空間と時間
を同時に正確に決定したのだと説明される。銅でできた一つ一つの<盃>には二二の小石が入っていて、こ
れは後に畑のソゴ祭壇を作るのに用いられる事になる。(中略)
 ノンモは時間と空間を設定すると同時に、アンマが原初に白いフォニオに入れておいた<ことば>を叫ん
だ。<ことば>は再生の後に移し入れられて、彼の内臓の中に位置を占めていた。ノンモはこの<ことば>
を、音を伴うものにしたのである。彼は<空に声を回転させながら>箱舟に乗って降りてきた。<ノンモは
下に降りながら上の方で回転し、空間の四つの方位に声を投げかけた。こうしてひとは(声を)聞いた>と
いわれる。というのは、<ことば>を受け取り、叫んだ後に、彼は大地において人間達にそれを伝えたから
である。(p421-422)

 箱舟から降りる時、ノンモはまず左足を地面に着けた。この身振りは土地の所有権の獲得を印すものだっ
た。彼は狐 の<畑>に足跡を印して踏み潰した。こうやって彼は、狐の作った大地全体を、後々支配する事
になるのを示した。(中略)
 踏みつけた跡は、銅製の<サンダル>の足跡になぞらえられ、トーテムの祭屋の正面壁に<ノンモの足の
サンダルのトング>で表される。サンダルは三つの部分に分けられ、各々は段々長くなってまた段々短くな
る七本の線を三列含んでいる。その合計は七×三で二一、それに足の絵を加えて二二になる。<ノンモの足
のサンダルの絵は三つの部分に分かれる>という。この図は、足を支えている骨を図式化したものなのであ
る。中央は<足の力>、上は<足指の関節の力>、下は<踝の関節の力>である。別の形の図では、三つの
部分は二本の水平な線で区切られ、それに一一本の縦の線がよぎっていて、合計二二になる。
 どちらの図においても、線は記号、つまりアンマによって思念され描かれた<諸カテゴリー>の象徴であ
るブンモン、再生したノンモの体の二二の関節に反復され実現されたあのブンモンである。上述のように、
そのノンモの関節も祭屋の正面壁に描かれる。またこれと同時に、二二の線は白いフォニオがアンマの胎の
中で形成された時の、フォニオの体の二二のヤラにも相当する。その場合これらの線は、狐の土地を浄める
事になる将来の種子播きを予示している事になる。というのは、種子を置いた穴の上には、左足で土を被せ
るからである。それ故に、この図は<二二の穀物をもつノンモの足の図>ともいわれる。(p425-427)

 二回目の創造によって創られた世界全体の生命は、<アンマの卵>の中に現存する。その保証は、閉じた
鎖骨の中に書きこまれている二二の記号の中に存在し、その鎖骨はアンマの胎の中に留まっている。それ故
にアンマの閉じた卵は<世界を守るアンマの卵>といわれる。(中略)
 アンマが第二の世界の生命の保証である<記号>を完全に所有しているという事は、更にいえば、アンマ
は望むままに自分の創ったものを破壊する力をもつという事でもある。アンマはこの世界を消滅させようと
思った時には、記号を消滅させるだろう。その時、閉じたアンマの胎は<世界の生命を破壊するアンマの空
虚な卵>になるだろう。アンマは、宇宙を焼き滅ぼすだろうともいわれる。それは、アンマ自身が<火のよ
う>だからである。しかし、アンマは実現された第二の世界の生命を半分とっておいて、また第三の世界を
創り直すだろうといわれる。(p485-486)



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