森下香枝は『手記』でいかなる事実の偽造を施したか? 神戸事件第8集より


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投稿者 一刀斎 日時 1999 年 5 月 04 日 14:44:36:

神戸小学生惨殺事件の真相 第8集
『冤罪の証明』より

〃森下香枝は『手記』でいかなる事実の偽造を施したか?〃

「父と母悔恨の手記」などと銘うっているにもかかわらず、この本には、「構成」
者・森下香枝(文藝春秋杜記者)が施したきわめて恣意的な脚色と、意図的な事実の
歪曲、ねつ造がちりばめられています。これまではそれをひとまず横においてきまし
たが、ここでそれをつきだしておきましょう。
1)六月二十八日、家宅捜索の時に、父親は警察から「猫の舌の瓶詰め」を見せられ
た。「『お父さん、お母さん、これ』と示されたモノを見たら、蓋もない日本酒のワ
ンカップの空瓶の中に、干からびた何かがたくさん入っていました。『何やろ?これ
は』『猫の舌です』」(五六頁)
──だがこれは、森下のまったくのでっちあげです。父親は七月十四日付警察調書と
七月二十四日付警察調書で、母親は七月三日付警察調書と七月十四日付警察調書でそ
れぞれ、六月二十八日の家宅捜索の時に押収されたものについて語っています。そこ
で両親が挙げているのは、出刃包丁、くり小刀、サバイバルナイフ、大学ノート一
冊、ビニールテープ、切手、封筒、ドライヤーのようなもの、エアガン、本、等々で
あって、「猫の舌の瓶詰め」についてはまったく言われてはいないのです。また私た
ちが一九九七年十二月十一日に両親に確かめた時にも、両親はマスコミが流している
ように「猫の舌の瓶詰め」が押収されたなどという事実はないことを明言しているの
です。
2)家宅捜索の時、警察は「犯行ノート」を「Aの机から引っ張り出し」て父親に見
せた。(五六頁)
──だが父親は私たちに、「どこにあったかは分からない」と明言しています。そし
て、両親の調書をみても、それがどこにあったかについては、一言もふれられていな
いのです。
3)母親は「犯行ノート」の字が小さく内容は読めなかったが、「三月十六日」とい
う日付は記憶にある。(五七貫)
──これは全くでたらめです。母親は七月三日付調書で押収物のことを述べています
が、「憶えているのは、出刃包丁、小刀、切手、封筒」で、ノートのことは全くふれ
ていません。そして、七月十四日付警察調書では、警察に言われてもう一度いろいろ
思い出すのですが、ノートについては「記憶に残っておりません」とこたえているの
です。
4)警察にいったん押収され、七月十七日に返却された「赤ビニールテープ」につい
て、森下はわざわざ「Aが犯行声明文を神戸新聞社へ郵送したとき封書をとめたテー
プ」などと編注している。(七九頁)
──だが犯人の使ったテープとは異なるからこそ、警察もテープを家族に返却したの
です。これについては、すでに一〇頁で述べたとおりです。
5)「兵庫県警捜査員がA少年を連行したとき、犯行声明文の筆跡とA少年の筆跡の
鑑定結果がまだ出ていなかった」(一〇六頁)
──だが、「出ていなかった」のではありません。「同一人と判断するのは困難」と
いう科学捜査研究所の鑑定結果は出ていたのです。ちなみに「A少年は観念して自
共」(一〇六頁)などというのは、「筆跡鑑定が一致した」などという偽計を用いて
A少年に自白を迫った警察・検察を免罪するための解釈でしかないのです。
6)Aは五月一三日、同級生の友達を公園に呼び出し……歯を折るなどひどい怪我を
させた(一〇九〜一一〇頁)
──だが、歯が折れたなどというのは、事実ではありません。このことは友人の母親
も明言しており、神戸新聞社の調べではっきりしているのです。〔第四集29頁参
照〕
7)五月二十五日、父親がA少年と「自転車を交換」したのは「十一時半頃」。(一
一五貫)
──「自転車を交換」した時間は十二時半頃です〔父親の七月十四日付警察調書〕。
森下が時刻を一時問も繰り上げたのは、警察犬をも投入しての大捜索のまっただ中
で、A少年が遺体を基地内で切断したなどというストーリーの非現実性を取り繕うた
めにちがいないのです。
8)五月二十六日、母親が帰宅したのは午後二時半頃。(一一六頁)
──帰宅は午後二時です〔母親の七月三日付警察調書〕。森下が時刻を三十分も繰り
下げたのは、少年が入角ノ池へ首をとりに行き自宅に持ち帰り、風呂場で洗って天井
裏に隠すというこの全てのことを、たったの一時間で行うのは無理であることを、私
たちが実証的に暴露したからなのです。
9)五月二十七日、いつも午前十時頃に起きてくるAが珍しく早起きし、台所に下り
て来ていた。(一一七頁)
──だが、児童相談所に連れていくため母親が少年を起こしたのです(七月三日付警
察調書)。A少年が自分で起きてきたなどというのは、「〔深夜に学校正門に首を置
いたあと〕眠たくなかったので、朝まで起きていました」という「供述」に沿って話
を作りかえたものなのです。
10)五月二十七日、淳君の頭部発見のニュースを児童相談所のテレビで知って「『早
よ帰ろ。怖いから』と妻はAに言い、Aは特に驚いた様子もなく、変わった様子も見
せず、『ウン』と一緒に帰った」。(一一八頁、二二二貫)
──だが「怖わいなあ、早よ帰えろ帰えろ」といったのはA少年であり、このことは
母親の七月三日付警察調書にもはっきり出ています。ところが森下はこの発言を、
「当たり前のことなので、別に何とも思わず聞き流していた」などというA少年の供
述調書に従って、母親の発言へとすり替えたのです。
11)「いつも2か3しか並んだことのない通知表の中に、4が二つ混じっていたのを
覚えています。それは技術家庭と国語だったかと思います。」(一六二夏)
──だが母親の証言は「Aは勉強はまったくダメ。通知表も2ばかりでした」(八三
夏)というものです。「国語は4」などというのは、国語だけは良かった、だから挑
戦状も書けたというための、森下の勝手な創作なのです。
12)「今考えると、Aでなければ、簡単には淳君をタンク山に連れだせなかったで
しょう。」(一七〇頁)
──これは露骨な森下の挿入です。淳君がA少年についていくかどうか、誰もが疑っ
ていることは、『神戸小学生惨殺事件の真相・第三集』〔13頁〕で明らかにしたと
おりです。
13)「もしかするとAが、〔家庭用斧を〕猫を殺すのに使っていたのかもしれませ
ん。」(一九四夏)
──これも、森下のみえすいた挿入です。母親が猫の死について知っているのは、台
所の床下から出てきた猫の死体のことだけで、この猫の死骸には、傷は何もなかった
のです。14)「懲役13年」について、「本を立ち読みし、それらの本を 見て『頭に
すーと入ったページを覚えていた』と〔精神鑑定医に〕話していました」という母親
の言葉の後に、森下はわざわざ「A少年が作文に孫引きをした文章が載っていた本」
として『FBI心理分析官』『診断名サイコパス』、および映画「プレデター」を編
注として入れている。そして続けて母の言葉として、「Aには、『直観像素質』の力
があったことも、事件後初めて知りました」と。(二五五〜六頁)
──これらは明らかに、「懲役13年」はA少年がパッチワークで作ったもの、とお
しだすためにほかなりません。ちなみに映画「プレデター2」のセリフが「懲役13
年」に引用されていることは、当会だけが指摘していることです。もっとも森下は
「プレデター2」を「プレデター」と誤記しているのですが……。

「あの忌まわしい事件」などなどと平然と記述するおそろしく無神経な森下香枝が、
事実の偽造に腐心するその意図は、もはや明らかです。当会の真相究明活動を意識し
つつ、破綻した「A少年犯人説」を弥縫するために、「両親さえ騙し通した酒鬼薔
薇」という新たな物語を捏造することこれが、森下および文藝春秋社の意図なので
す。地獄の苦しみのうちにある両親にむかって、「十七人もの人を殺した米国の殺人
鬼の親にならい、手記を出版してその印税を被害者に支払い、謝罪とせよ」などと平
然と桐喝し、利用する彼らのこの所業を、私たちは怒りをこめて弾劾するものです。




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