ウイルスの扮装をした神


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投稿者 比ヤング 日時 1999 年 6 月 01 日 05:52:51:

回答先: Re: 狂牛病について(届いたメールより) 投稿者 比ヤング 日時 1999 年 5 月 22 日 04:06:23:

4. Deadly Feasts (死への饗宴)
Richard Rhodes (Simon & Schuster) 1997
著者のリチャード・ローヅはThe making of the atomic bomb (原爆の製造) でピューリッツア賞を受賞しています。

本の内容はクールーから牛海綿状脳症にいたるプリオン病の歴史と問題点を書いたものと言いたいところですが、不気味さが大きな流れになっていて、どのように表現したら良いか迷います。

第1部は「食人の中で」というタイトルで、最初は「私はお前を食べる」(クールーのこと)で始まります。そしてクロイツフェルト・ヤコブ病が見いだされた経緯、チンパンジーへの接種実験へと進みます。最初に接種されたチンパンジーの名前はジョージでしたが、途中で雌ということが分かったためにジョーゲットに変えられたといったエピソードも出てきます。

第2部は「生物学の中での奇妙なこと」というタイトルのもと、プリオン説の登場の背景、さらに「ハイテクによる新しい食人」として、角膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病感染に始まる医原病が取り上げられています。

第3部は「ウイルスの扮装をした神」というタイトルで牛海綿状脳症(狂牛病)が取り上げられています。「肉がかみつき返した」という話に始まり、新型クロイツフェルト・ヤコブ病について、「クールーだ、クールー以外のなにものでもない」というガイジュセックの言葉で終えています。

ガイジュセックや彼の共同研究者ジョー・ギブスなどからの取材にもとづいていて、事実関係はかなり正確とみなせます。しかし、プルシナーからの取材はできていないと推測されます。プルシナーに対する批判の感じが受け取れます。

本の最後で、ガイジュセックが著者に尋ねた言葉が紹介されています。「あなたは庭のバラに骨粉の肥料を与えていますか。」与えているという返事に、彼は「自分ならば与えない」と。

骨粉はdownerの牛から作られているのが、その理由です。 downerは米国の牛での海綿状脳症ではないかと世間一般で取りざたされている病気の牛です。これは、或るミンク農場で伝達性ミンク脳症が発生した際に、餌として羊がまったく与えられておらず、病気の牛が餌になっていたことから、牛からの感染、すなわち米国の牛に、もともと海綿状脳症が存在するのではないかという推測につながったものです。しかし、これまでの調査結果で、その可能性はまったく証明されていません。

この本について、ホットゾーンの著者リチャード・プレストンはエマージングプリオンとして、絶賛しています。しかし、私にとっては、本書に書かれている出来事がかなり正確で、興味ある事実が紹介はされていますが、解釈には大いに異論があります。そして、プリオン病の不気味さが強調されすぎているため、あまり良い読後感を得られませんでした。




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