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近年、バイオテクノロジー技術を応用したもののうち、組換えDNA技術
食品衛生法では、食品の安全性の確保は、第一義的には、製造者または輸
入者の責任において行うものであるとしています。したがって、遺伝子組換
え食品の安全性についても、厚生省が作成した「組換えDNA技術応用食品・
食品添加物の安全性評価指針」(以下、安全性評価指針という)に基づいて、
開発企業が自らの責任で、安全性の評価を実施することになっているので
す。 しかし、遺伝子組換え技術は、高度な先端技術であり、食品分野への
応用経験が少ないことから、厚生省では安全性の確保を図るために、安全性
評価指針に適合しているかどうか、個別の品目ごとに確認しています。 具
体的には、開発企業から提出された資料に基づき、既存の食品と比較して、
実質的に同等と見なし得るか否かの判断をします。 このようにして、食品
としての安全性が確認された遺伝子組換え農作物が、日本国内において販売
できるようになるのです。 「実質的同等性」という概念が、1993年に出
された、OECD(経済協力開発機構)の報告書の中で、安全性評価の原理とし
て確立しました。 この概念は、「導入された遺伝子の起源や特性がよく知
られており、既存の食品と同程度に無害であるとの科学的根拠がある場合に
は、その遺伝子組換え食品の安全性は、既存の食品と同等と考えられる」と
いうものです。具体的には、既存の食品と比較して、品質特性、栄養素の種
類と量、植物が持っているアルカロイドなどの自然毒の種類と量、使用方法
などに変化がなく、新たなタンパク質にアレルギーなどの有害性がない場合
に、実質的同等性が認められます。 人間は、長い歴史の中で、たとえ天然
の有害成分や栄養阻害成分が含まれている食品であっても、経験的に安全に
利用してきました。例えば、ダイズには、生で食べると消化不良を起こすト
リブシンインヒビターが含まれ、ジャガイモの芽には有害なソラニンが含ま
れています。しかし私たちは、ダイズは加熱し、ジャガイモは芽を取り除く
など、経験を通して安全に食べるすべを会得してきたのです。このように、
食品は、原則として、防ぐことのできない有害性が確認されない限り安全と
みなされてきました。遺伝子組換え食品に含まれている有害成分の種類や量
についても、既存の食品と比較して変化がなければ、安全とみなすという認
識が、実質的同等性の概念のベースとなっています。 新しい技術を応用し
て作られた食品の安全性評価については、既存の食品と「実質的に同等」か
どうかを考察し、同等とみなされた食品は、既存の食品と同様の方法で安全
性を評価するというのが、実質的同等性の原理です。これに基づき、各国と
も安全性評価指針を策定して、安全性の評価を行っています。 アレルギー
を引き起こすかどうかについては、厚生省が安全性評価指針に基づいて、開
発企業に、「アレルギー誘発性に関する安全性評価に必要な資料」の提出を
求めています。一般に、食品アレルゲンとなるのは、タンパク質が多いの
で、遺伝子組換えで導入した、タンパク質についても、十分に安全性を評価
する必要があるからです。 そこで、提出された資料により、遺伝子産物
が、すでにアレルゲンとして知られているものか、既に知られているアレル
ゲンと構造的な類似性があるかどうかについて、データベース検索により確
認しています。また、胃液や腸液などによる消化試験でタンパク質が分解す
るかどうか、加熱によってタンパク質が変性し、アレルゲン性を失うかなど
についても、十分に検討します。 現在、安全性が確認されている20品目
の農産物については、いずれも適切であると判断されています。
【東京都の対応】
組換えDNA技術応用食品の安全性については、国が「製造指針及び安全
性評価指針」を示し、これに合致したものは問題ないとしています。 しか
し、組換えDNA技術応用食品は、新たな技術導入により作られた食品であ
ることから、都としては今後とも国内外の動向を注意深く見まもっていきま
す。 なお、表示については、平成9年3月26日、都知事から農林水産大
臣あてに「遺伝子組換え食品に関する表示等について(要望)」を提出して
います。また、平成8年12月18日、都議会において、東京都議会議員提
出議案により、「遺伝子組換え食品に関する意見書」を内閣総理大臣並びに
厚生省あてに提出しています。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。