組換え農作物早わかりQ&A(農林水産省提供)


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投稿者 明星 日時 1999 年 8 月 04 日 08:57:58:

(Q3)遺伝子組換え技術を用いて作られたものにはどのよ
うなものがありますか。
(A3)
1.遺伝子組換え技術が既に実用化している分野には,医薬
品,工業用酵素,試薬(実験や検査等に使う薬剤)がありま
す。具体的には,ヒトの医薬品としてインターフェロンやイ
ンスリン,衣料用洗剤の酵素などがあり,大きな市場となっ
ています。

2.農林水産・食品分野においては,組換え微生物を利用し
た動物用医薬品(ネコ用のインターフェロンなど)やチーズ
製造用の酵素(キモシン),飼料に添加するアミノ酸の生産
のほか,実験用マウスの生産などがあり,多くのものが既に
実用化されています。

3.また,農作物についても日持ちを良くしたトマトが19
94年に米国おいて世界で初めて遺伝子組換え農作物として
商品化されたのに引き続き,除草剤の影響を受けないナタネ
やダイズ,害虫に強いトウモロコシやワタが米国やカナダで
商品化されています。


(Q4)遺伝子組換え技術を使うと安全上予想もしないよう
な事態が発生しませんか。
(A4)
1.遺伝子組換えに当たっては特質の明らかな遺伝子のみ
を,これまでの育種等により知見が蓄積されている農作物に
組み込むもので,予想もしないような特性を持った個体が出
現する可能性はほとんどありません。万が一,予想をしない
ような特性をもった個体が作出された場合でも,現在の安全
性評価の基準において,食品としての安全性あるいは環境に
対する安全性の面で問題がある場合の,いずれにおいてもそ
の個体を排除できるように評価項目が設定されています。

2.なお,特定の目的をもった遺伝子の組換えは,1973
年に米国の研究者らが微生物を使って世界で初めて成功し,
その後,これまで20年以上にわたって世界中で数多くの実
験が行われてきましたが,この技術そのものが原因となって
安全上予想もしないような事態が生じた例は一件も報告され
ていません。

(Q5)遺伝子組換え技術を農林水産業や食品産業などで使
うとどんなメリットがあるのですか。
(A5)
1.農林水産業・食品産業等における遺伝子組換え技術の利
用については,画期的な新品種の作出,生産工程の効率化等
といった私達の身近な分野への貢献はもちろんのこと,21
世紀半ばの人口100億人時代の食料問題,地球環境問題等
を解決するためのキーテクノロジーとしても期待されていま
す。遺伝子組換え技術の利用により,従来できなかったある
生物から有用な遺伝子を取り出し,他の生物に導入すること
で,農作物の改良の範囲を大幅に拡大することができます。
農作物を利用して自然の状態で分解するプラスチック製品を
作ることやエネルギー資源として用いるなど,これまでと全
く異なった農作物の利用形態を生み出す上でも有効です。

2.具体的には,遺伝子組換え技術は,次のような課題への
対応を可能にする技術といえます。

@ 消費者ニーズに沿った農林水産物・食品の生産栄養
成分や機能性成分(抗ガン効果等)に富む農作物,日持ちの
良い農作物,アレルギー原因物質を除いた食品の生産

A 生産力の飛躍的向上による食料問題解決への貢献超
多収農作物,低温・乾燥・塩害などの不良環境や病虫害に強
い農作物の開発

B 環境・資源問題の解決への貢献生分解性プラスチッ
ク,環境浄化微生物,病虫害抵抗性を付与することによる農
薬使用量の減少,生物エネルギー等の開発


(Q7)人間が他の生物の遺伝子を組み換えるようなことは
自然の摂理に反しませんか。
(A7)
1.今から約1万年前,人類はそれまでの狩猟・採集生活か
ら,自らの手で食料を生産するという農耕生活を営み始めま
した。それ以来現在に至るまで,人類は自らの食料として効
率よく確保するために,自然界に存在する様々な植物,動物,
微生物を交配などによって改良してきました。つまり,交配
によって,遺伝子が組み換えられた結果,様々な性質を持っ
た個体が出現し,そのうちの有用な性質を持った個体のみを
選抜・改良してきました。今日私たちが日常の生活で食べて
いる米,野菜,肉などのほとんどは,このような様々な交配
によって遺伝子が組換わったことの成果です。

2.人類が利用する生物の改良は,私達が生命を維持してい
く上で最も基本となる食料を将来にわたって安定的に確保し
ていくため,また,将来予想される地球規模の環境問題を克
服していくためにも不可欠な取組です。このような生物の改
良を進めるに当たっては,広い範囲から有用な遺伝子を探し
て,それらを品種改良の素材として利用することが有効であ
ることがわかってきました。

3.初期の品種改良では自然交配が可能な範囲にある同種あ
るいはごく近縁の生物同士の交雑によって遺伝子の導入が行
われていましたが。さらに,自然状態では交雑が困難であっ
た生物からの有用な遺伝子の利用を促進するために胚培養や
細胞融合などのバイオテクノロジー技術を開発してきました。
つまり,品種改良技術は,利用可能な遺伝子の数を人為的な
技術によって増加させる方向で発展してきたといえます。

4.組換え農作物についても,農業生産上有用な形質を発現
するように遺伝子が組み換わったものであり,科学的にみれ
ば通常の品種改良で生じる現象と同一の次元の現象が生じて
いるものであるという点,及び将来にわたって食料の生産性
や品質を向上させ,私達の生活をより豊かにしていくという
点において,これまでに行ってきた品種改良と同じものであ
り,手法は異なりますが従来の改良技術の考え方の延長線上
にあるものです。

(用語解説)@胚培養:種子の形成されない遠縁の植物同士
の交配によって受精した未熟な胚を取り出して人工的に培養
すること。A細胞融合:植物細胞を囲む細胞壁を取り除いた
裸の細胞(プロトプラスト)を電気刺激などにより融合させ
雑種細胞を作ること。

(Q9)遺伝子組換え技術によって作られた農作物の安全性
評価の考え方とシステムとはどのようなものですか。
(A9)
 1.遺伝子組換え技術が開発されてまもなく,一部の科学者か
ら組換え実験に伴う未知のリスクが指摘されたこともあり,
組換え体の産業利用においては,経済協力開発機構(OEC< br>D)で合意された共通の概念に基づき各国で遺伝子組換え実
験・利用に関する指針が作られました。

2.組換え体の産業利用を進めるに当たっては,安全性解析
の充分な知識と経験を持っていることが必須ですが,OEC
Dで合意されている安全性評価のための最も基本的な考え方
は「実質的同等性」というものです。すなわち,導入する遺
伝子が産生するタンパク質の安全性を確認し,また組換え農
作物とその元の農作物とを比較して成分,形態,生態的特質
において変化がなければ,安全性については元の農作物と同
等であると判断するというものです。この考え方は,世界保
健機構(WHO),国連食糧農業機関(FAO)の報告書に
おいても用いられているものであり,先進国を中心に広く採
用されています。

3.このような考え方に基づき,我が国では,遺伝子組換え
技術の利用に関する安全性評価指針が各分野において定めら
れ,開発者がこれに基づき自ら安全性評価を行い,遺伝子組
換えの実験,実用化を進めています。もちろん遺伝子組換え
農作物についてもこうした指針に基づいて安全性が確かめら
れています。まず,実験段階では,「組換えDNA実験指針」
等に基づいて,実験室,温室で組換え農作物が開発されます。
次に,実用化段階では,農林水産省の「農林水産分野等にお
ける組換え体の利用のための指針」に基づき,隔離ほ場で環
境に対する安全性が評価されます。さらに厚生省の「組換え
DNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」に基づ
き,食品としての安全性が評価されます。このほか飼料につ
いては,農林水産省の「組換え体利用飼料の安全性評価指針」
に基づき,その安全性が評価されます。

4.このようにして,利用目的に応じ,環境に対する安全
性,食品や飼料としての安全性が確認された農作物が商品化
され,私達の手元に届くことになるのです。


* 組換え農作物の安全性評価項目の例共通事項

(1)使用された農作物の情報自然界での分布,栽培・食
品としての歴史,形態・生育特性,雑草性,有毒物質
の産生性の有無
(2) 導入遺伝子等の情報構成遺伝子の由来・機能・塩
基配列,発現タンパク質の有毒性の有無
(3) 組換え体に関する情報@ 遺伝子の情報農作物へ
の導入方法,組換え農作物の育成過程,導入遺伝子の
遺伝的安定性と発現の安定性


環境への安全性


A 環境に対する安全性に関する情報使用した元の農作
物と組換え農作物の同等性を花粉の飛散性などの生殖特性,
種子の発芽率,近縁種との交雑性,雑草性,他の生物の成育
に及ぼす影響等で調査


食品としての安全性


B 食品の安全性に関する情報ア 遺伝子産生物のアレ
ルギー誘発性(人工胃液や人工腸液による処理に対する感受
性,既知アレルゲンとの相同性等)イ 遺伝子産物の毒性影
響ウ 使用した元の農作物と組換え農作物との差異を栄養素
(炭水化物,タンパク質,油分,繊維質,アミノ酸組成,脂
肪酸組成等)・有害物質等で評価

(Q11)遺伝子組換え技術によって作られた農作物の食品と
しての安全性は,どのように確かめられているのですか。
(A11)
 1. 食品については,厚生省の「組換えDNA技術応用食品
・食品添加物の安全性評価指針」に基づき安全性が確認され
ます。開発者は,まず,農作物に導入された遺伝子(遺伝子
そのものは核酸であり,摂取による人体への影響はあり得ま
せん。)が作り出すタンパク質について,その安全性を評価
します。

 2.具体的には,人工胃液・腸液による消化の有無,加熱処
理に対する感受性,予想される摂取量などのデータに基づく
アレルギー誘発性,毒性影響,代謝経路への影響等を調べま
す。さらに,これまで我々が食べてきたその農作物の栄養素
・有害物質等の量的変化が起きていないか等について分析し
ます。その結果が厚生省に提出され,食品衛生調査会バイオ
テクノロジー特別部会で慎重に審査され,必要に応じて追加
資料の提出が求められます。このようにして,開発者が行っ
た安全性評価が適切でありこれまでの食品と同じように加工
利用し,または摂食しても安全であると確認された農作物が,
国内において販売されることになります。

 3.なお,食品としての安全性が確認された組換え農作物つ
いては,導入された遺伝子が作り出すタンパク質が人工胃液
等で短時間に分解されることを食品衛生調査会で確認してお
り,従来の農作物と同様に摂取しても安全です。


(Q20)遺伝子組換え技術によって作られた農作物はその
旨表示されるのですか。
(A20)
 1.遺伝子組換え農作物の実用化が進んでいる欧米を含めた
先進諸国の間では,組換え農作物が元の農作物と比べ導入し
た性質以外変わらない場合は,元の農作物と同程度に安全で
あるとの考え方が一般的となっています。また,それぞれの
組換え農作物については,A9,10,11で説明したよう
に,環境に対する影響や食品としての安全性を確認した上で
販売されています。このことから,単に遺伝子組換え技術を
利用したという理由だけで組換え農作物である旨の表示を義
務づけることは,安全性の観点からは科学的根拠に乏しいと
考えています。

 2.一方,遺伝子組換え農作物と一般作物とを区別して購入
したいという消費者等からの要望が高まっているため,遺伝
子組換え食品の表示のあり方を検討する場として,食品表示
問題懇談会(農林水産省食品流通局長の私的諮問機関)の中
に遺伝子組換え表示部会が設置されています(平成9年5月
30日)。この中では遺伝子組換え食品の表示のあり方につ
いて,広く有識者・関係者からヒアリングを行い,消費者の
要望や生産・流通の実態,諸外国の取組事例等を踏まえた論
議を行っているところです。

 3.現在,コーデックス委員会(国連の機関であるFAOと
WHOが共同で設置している食品規格委員会)の食品表示部
会で遺伝子組換え食品の表示についてのガイドラインの検討
が開始されており,日本としても関係方面の意見も踏まえ,
適切な対応を図っていくことが必要と考えています。

 4.今後,これらの検討により,消費者の要望や生産・流通
の実態等を踏まえ,遺伝子組換え農作物の表示についてコン
センサスが形成されていくものと考えられ ます。




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