核兵器の機密漏洩防止に うそ発見器

 
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投稿者 gaattc 日時 1999 年 11 月 12 日 01:37:02:

核兵器の秘密保持
機密漏洩防止に うそ発見器の検査(日経サイエンス 1999-12)(抜粋)

米国の3つの核兵器研究所で全職員対象、効果に異論も

米ロスアラモス国立研究所から核機密が中国に漏洩した疑惑に絡み、米国の核兵器研究所で、スパイ摘発に向けてうそ発見器による職員の検査が進んでいる。対象の研究所は、エネルギー省傘下のロスアラモス、サンディア、ローレンス・リバモアの3国立研究所で、検査を受ける職員は5400人とみられている。政府や各研究所の委託運営先の企業職員の検査が夏に始まり、重要な情報へアクセスできる企業職員の定期検査は、10月以降になる予定だ。
うそ発見器に使われるポリグラフは、昔から、特殊な計画に従事する研究所職員を検査するのに使われてきた。しかし、今回の検査は、研究員が機密情報へアクセスするのにうそ発見器の検査を条件付けた始めてのケースとなる。
法律では、うそ発見器の検査での合格を雇用条件としていないので、繰り返し不合格となっても解雇されないが、機密に関わらない職種へ配置転換され、米連邦捜査局(FBI)にも情報が回される。
この検査は、研究所職員にも反発がある。ほとんどのうそ発見器検査の科学的根拠が疑わしいというのがその理由だ。ミネソタ大学の心理学教授のライケン(David T. Lykken)によると、うそ発見器の検査でスパイを見つけられることを示した研究はこれまでに1つもないという。
彼はプロのスパイはうそ発見器の検査を欺く術を身につけているという。スパイとして摘発された中央情報局(CIA)の職員のエイムズ(Aldrich Ames)の場合は、定期的なうそ発見器の検査に合格していたし、元CIA職員で有罪判決を受けたスパイ、ニコルソン(Harold J. Nicholson)も同様だった。

まじめだと不合格に

ライケンによれば、忠実な「真面目人間」タイプは、検査で不合格になりやすい。そして、うそ発見器検査は犯罪行為を思いとどまらせて自白を引き出すのにしか役立たないという。それは、一部の無実の人々の経歴に誤って傷を付けるという代償を伴うとしている。
うそ発見器は、うそをつくことで生じるストレスに応じて変わる呼吸や心拍の数、皮膚の伝導性を測定する。最新鋭のうそ発見器は、データを直接コンピューターに送り込み、反応をデータベースと比較して、虚偽、不確定、真実いずれかの判定を下す。エネルギー省傘下の研究所の検査では、「虚言指示」テストを採用しており、被験者が特定の質問にうその答を求められる。質問の例としては、「あなたはこれまでに何かを盗みましたか」といった質問などがある。
被験者の生理学的反応は、核心をつく質問、例えば外国人に情報を無断で提供したことがあるかといった質問にうそを答えたときに調べられるとされている。核心を突いた質問での反応が虚言指示質問への反応より大きいと判定されれば、うそをついているとみなされる。

実験では80%の判定率

ボランティアを用いた模擬犯罪の実験例では、80%を有罪または無罪として正しく分類した。しかし、ライケンは模擬犯罪実験の統計を経歴を左右しかねない現実にそのまま適用しうるとは思えないと指摘している。
しかも、ボランティア実験では、うそ発見器を欺くよう求められていなかった。同教授は舌をかむとか、肛門括約筋を収縮させるなどの自己刺激によって虚言指示質問への自己の反応を故意に大きくさせ、核心を突いた質問への反応をごまかすことができるという。
エネルギー省の検査計画に対する論議の大半は、「偽陽性」の確率、つまりうそをついていると誤って分類される確率に集中している。

(中略)

ロスアラモス研究所のブラウン(Johon C. Browne)所長によると、対諜報活動検査で偽陽性と判定される割合は1%に満たないとみている。ライケンは、実際の数字は、テスト結果の判定者がうその判断基準をどれだけ厳格にするかを示しているに過ぎないという。
自白に基づく研究結果では、被疑者を特定の犯罪への関与で調べるのにうそ発見器を使う場合、後に潔白とわかる被疑者の40%以上をうそつきと判定してしまう。

(中略)

遠隔地の係官が判定

エネルギー省の新たな対諜報活動責任者で元FBI対情報活動官のカラン(Edward Curran)は、「屈指のうそ発見器専門家」を採用すればこの検査計画が失敗しないと主張している。
彼によれば、検査で尋ねるのは、スパイ活動や破壊活動に関係した4つの現実的質問だけであり、ライフスタイル(暗に不法薬物使用と性的嗜好を指す)の質問はしないという。最終的な判断は、結果の受け止め方にバイアスがかかるおそれのあるうそ発見器専門家でなく、遠隔地にいる係官が下す。
カランは、スパイが自己刺激によって検査を欺く可能性について「それがうまくいった試しはない」と述べている。国防総省は、赤外線画像や音声ストレスの分析、瞳孔拡張といった生理学的検査によるうそ発見の研究を支援しているが、カランは今回の検査でこうした新種のうそ発見方式を使用する予定はないとしている。
FBIやCIAなどの機関はすでに、求職者の検査にうそ発見器を使っているが、検査で不合格になった一部の人々は、不当な検査と声高に抗議している。一部科学者が彼らの支持に回る公算は大きい。



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