種子島に使用済み核燃料中間貯蔵施設

 
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投稿者 I・種子島 日時 2000 年 3 月 18 日 14:48:57:

核廃棄物の中間貯蔵施設をつくらせない市町村議員・住民連絡会


プレス/ネットリリース #1 (2000年2月16日)
by《核廃棄物の中間貯蔵施設をつくらせない市町村議員・住民連絡会》屋久町事務局

 1999年末、隣接する種子島に使用済み核燃料中間貯蔵施設を誘致する動きがあるという情報が伝わって以来、屋久島の南北二つの町(上屋久町&屋久町)ではそれぞれ住民有志が集まり、対策を探ってきました。

 中間貯蔵施設とは、各原発のプールに保管している使用済み核燃料が満杯に近づいているにもかかわらず、受け入れ予定の青森県六ヶ所村・再処理工場の建設が滞り、再処理後のプルトニウムを使った高速増殖炉計画も「もんじゅ」事故でストップしているための苦肉の策で、1999年6月成立の「原子炉等規制法」改正により使用済み燃料を原発敷地外に持ち出して一時保管できると決めたもの。政府は2000年度中に全国2か所の立地点を確定し、2006年着工、2010年完成・使用開始をめざしています。

 そのうち種子島で誘致話が持ち上がったのはもっとも早く、1999年春に一部住民への働きかけがはじまって、夏以降、漁業関係者を中心に東京電力・福島第一原発へ「備蓄燃料見学会」と称した無料ツアーが波状的に行われ、1999年末までに合計約400人が参加したと言われます。東京観光などを含む招待旅行の費用4000万円あまりは、東京在住の種子島出身者が地域浮揚のために負担したことになっていますが、金の出所や裏で糸を引くと噂される某代議士などについて不明な点がたくさんあります。

 しかし、立地の鍵となる漁業者をターゲットにした招待ツアーといい、不況下に似つかわしくない多額の金の動きといい、本格的な立地工作の兆しと考えられます。また、電力業界紙『電力時事通信』11月1日付け記事も、「鹿児島県の離島(無人島)」と名指しして候補地の筆頭に挙げています。

 「無人島」は西之表市の沖合に浮かぶ馬毛島(まげしま)で、80年代はじめに住民が離島して現在はニホンジカの貴重な亜種マゲシカが繁殖しています。かつて石油備蓄基地や核燃料サイクル基地が誘致されようとした複雑な歴史をもつこの島は、近年、土地の98%を所有する立石建設(本社東京・住友系)が目論む採石事業と、西之表市と鹿児島県が誘致をめざす日本版スペースシャトルHOPEの着陸場計画とがバッティングしていましたが、そこへ降って湧いたように中間貯蔵施設の立地話が割り込んできた格好です。いまのところ、枕崎出身の立石社長は核燃施設に土地を売る気はないと明言しており、近々採石事業に対する鹿児島県の許可がおりる予定です。しかし、バックがJCOと同じ住友らしいこと、計画に採石場らしからぬ1000mの飛行場が含まれていることなどから、中間貯蔵へのダミー事業になりかねないと危惧する声もあります。

 もう一か所誘致が取り沙汰されるのは東海岸の増田(中種子町)で、候補地に挙がった共用林地権者の中には歓迎の声もあり、音頭を取る地元建設会社が馬毛島との誘致合戦をしかけている気配です。

 こうした状況のもと、計画を憂慮する種子・屋久両島の住民有志は、まず多くの人たちに中間貯蔵と日本の原子力事情について知ってもらおうと、2月2日(種子島)と3日(屋久島)の両日にわたり、慶応大学の藤田祐幸助教授を招いた講演会を企画・開催しました。このかん、西之表市では1月23日に元市長や新旧市議多数を含む「核施設をつくらせない市民の会」が発足しました。

 講演会は種子島で400人、屋久島で300人を集める大成功でした。二つの町の実行委員会が共催した屋久島では、両町役場の後援のほか、屋久町漁協、屋久島観光協会、屋久町商工会、屋久町青年団、屋久町職員組合という幅広い協賛を取りつけ、会場の安房総合センターへ二つの町の送迎バスが走るユニークなものになりました。漁師の大漁旗に囲まれた会場は熱心な島民で埋まり、藤田先生が「18年にわたり上関原発立地を阻止してきた山口県・祝島漁協の海の男たちの熱い想いがここに受け継がれたようだ!」と感激するほどでした。

 講演会の成功を受けて、両町では3月議会で中間貯蔵施設への反対決議をし、関係各方面へ建設反対の意見書を提出する取り組みに移りました。上屋久町では2月26日に「核施設はいらない島民の会・上屋久町」が発足する予定です。ここからは主に私たち屋久町の動きを報告します。

その前に、もう少し中間貯蔵施設について――

 使用済み核燃料といっても、燃えるウランの3分の1は残っていて、そのうえ核分裂反応で生成したプルトニウムなど20種類以上の高レベル放射性物質が含まれ、薪ならまだくすぶっている状態。放射能の強さは、遮蔽物なしに近づけば即死するほどです。弱い核反応が続くため冷やさなければならず、冷却に失敗したり燃料棒どうしを近づけすぎたりすると臨界事故が起こります。冷却方法としては、原発内の保管プールのように水で冷やす湿式と、ガスで冷やす乾式があり、種子島からの見学ツアーが福島第一原発に行ったのは、国内ではまだ珍しい乾式貯蔵の実験施設があるからです。乾式施設は、フランスやイギリスから高レベル放射性廃棄物を運んだ金属製キャスクに似た巨大な鋼鉄容器です。

 種子島に中間貯蔵施設ができたとすると、西日本の各原発から年間500トン、合計5000トンの使用済み核燃料が専用船で運び込まれます。5000トンの使用済み燃料の中には、広島の原爆から放出された量の15万倍以上の放射性物質(死の灰)が含まれます。これを、計画では数十年保管することになっていますが、もし日本の原子力利用がうまくいけば、2095年すぎまで、出入りはあってもつねに5000トンが保管されるため、実質的な貯蔵期間は100年近くになります。かたや、内外の多くの専門家が認めるとおり日本の原子力計画が予定どおり進まない場合は、そのまま高レベル核廃棄物の最終処分地になる可能性も否定できません。

 危険性としては、予想外の事故や故障で放射能が漏れ出さないか、核ジャックに狙われたり、天災や戦争で施設が壊れたりしないか、核燃料の輸送中に船の事故が起こらないかなど、施設周辺と輸送ルートでの環境汚染や住民の被曝が心配です。また、この施設の運営は国や電力会社ではなく、倉庫業者のような民間にもまかせられることになったため、長期間の責任や管理能力が、JCO事故で明るみに出たとおり採算や効率の犠牲になりやすい危険性も考えられます。万一、なし崩しで最終処分地になってしまったら、プルトニウムの半減期2万4000年(放射能が無害といえるレベルになるにはその10倍)という人類史的な長い時間にわたって正しく管理できるかどうか――自信をもってYESと答えられる人はいないでしょう。

 こんな核施設ができたら、種子島現地はもとより、一衣帯水の屋久島でも住民生活と産業(漁業・農業・観光 etc.)はあらゆる面で重大な影響を受けます。使用済み核燃料の取り扱いはきわめて難しい問題ですが、原則的になるべく動かさず、回収できない地下などに埋めず、衆人環視のもとに置いておくべ きだと言われます。何が起こっても人目につかないうえ、台風や津波などの被害を受けやすい離島(とくに無人島)は、本来最悪の選択なのです。それなのに、全国に先がけて種子島に誘致の動きが起こったのはなぜでしょうか。ここで海に流れ出した汚染は、黒潮本流に乗って日本列島の沿岸に広がります。

 私たちは、一つの生態系に根ざして生きる人間としてごく自然な気持ちから(これを「地域エゴ」などと呼ぶのは不都合なものを押しつける側の理屈でしょう)、種子・屋久地域に暮らしや生命と両立しない核施設をつくらせたくないと思います。しかし同時に、ほかのどこにもつくらせてはならないと思いま
す。末期症状を呈したプルトニウム利用計画という国策のツケを、原発の電気を使ったこともない僻地の住民に押しつけることなど、もう許される時代ではありません。お金や非民主的な上意に屈して中間貯蔵施設を引き受ける市町村がなければ、原発の増設や延命は不可能になります。核廃棄物が手に負えないとしたら、まず日夜それを生産する原子力発電を縮小・廃止しなければなりません。そのうえで、すでに抱え込んでしまった放射性廃棄物という膨大な負の遺産をどうしたらいいか、衆智を尽くして考えるべきなのです。

《核廃棄物の中間貯蔵施設をつくらせない市町村議員・住民連絡会》屋久町事務局は、こうした想いを込めて2000年2月14日に発足しました。藤田祐幸講演会の企画・開催を通じて私たちが見聞きしてきたかぎり、圧倒的大多数の屋久島民は中間貯蔵施設を絶対につくらせたくないと願っており、この願い
は自治体を構成する住民・議会・行政を通じて共有されています。ですから会の名称に、議員と住民が手をたずさえてこの問題に取り組む決意を表明し、同時に今後誘致問題が起こってくるであろうすべての市町村の心ある議員や住民とも連携・協力していく意思を示しました。

 当面の課題として、2月28日を第一次集約日に、「種子島の核施設誘致に反対する屋久町民署名」をはじめました。とくに、共通の海を仕事の場とする漁師たちが危機感をつのらせています。2月29日には署名や講演会でのアンケート結果を添えて、前述のとおり3月町議会に反対決議と関係各方面への反対意見書送付を求める陳情を提出します。またそれと並行して、種子・屋久両島1市4町の議員・住民との情報交換や連帯を図る努力をしていくつもりです。観光客へのアンケート調査、ポスター、小冊子、ホームページ、ネット上の反対投票、国際キャンペーンなど、種子島での情勢をにらみながら内外にこの問題を知らせる創意工夫も凝らしていきたいと思います。

 会の名称からもわかるとおり、従来型の硬い運動体ではなく、参加者一人ひとりの本音と自由意志を尊重する柔軟なネットワーク組織です。島外からの応援やアイデアも大歓迎です。また、自分の地域や周辺自治体で中間貯蔵施設誘致の動きがあったら、ぜひ知らせてください。私たちが手探りで集めた情報や資料があります。

このプレス/ネットリリースは引用・転載自由です。
事務局連絡先:Tel/Fax: 09974-8-2861(羽生)
Tel/Fax: 09974-7-2898(星川)
Email: stariver@ruby.ocn.ne.jp

  

    






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