6月24日前夜フランク・エドワーズ暗殺(『UFOS & SPACE』No.83、1982年6月号)

 
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投稿者 SP' 日時 2000 年 4 月 14 日 18:00:41:

「UFOの対地球戦略・総合分析」15 日本の見えない大学情報部


 1962年8月20日、ブラジルの西南部で発生した“鉱夫行方不明事件”は、それまでに起きた“ブラックメン”事例に比べて、極めて特異であった。加えて、地球外の種族だと名乗る連中に「秘密を漏らせば消す」と威嚇されたというアルバート・ベンダーの“ブラックメン”体験の真相が公表された直後に発生したということもあり、無気味さにおいては、他に比類ない事件だったのだ。
 だが、5年後の1967年6月23日に、もっと直截で凄味のある事件が発生したのである。翌日、ニューヨークで開催された「第1回科学的UFO研究者会議」の開会直後に、その驚くべき報告はもたらされた。あのフランク・エドワーズが、前夜突如、心臓麻痺で急死したというのだ。
 周知のように、テレビ解説者として活躍をしていたエドワーズは、政府各局内部を含む全米のUFO関係者たちの間に、情報取材源の強力な個人的ネットワークを張りめぐらしており、それまで米国内外で発生した多くの重大なUFO事件について、正確で詳細な情報を敏速に全米の視聴者たちに流し、かつ適確で鋭い解説を行なってきた。この国で最も有能で信頼されたUFOジャーナリストであった。
 特にパイロットや、航空管制官など、否応なしに、UFOに接し、これと取組まざるを得ない立場にある、現場のプロたちの信任があつかった。たとえば、職業柄、日夜レーダー・スコープや肉眼視程の中に出没するUFOと、通常航空機の識別判断という困難な課題に直面し続けており、しかも軍や関係政府機関からUFO関係情報を遮断され、窮地に立たされていたFAA(連邦航空管理局)のレーダー・オペレーターや専門家たちは、自分たちの職務遂行上の必要を満すため、私費を支払ってエドワーズを講師として招き、UFO問題の研修会を開いていたほどであった。
 このエドワーズの急死によって一般のアメリカ国民は、UFO情報を得るために必要な両眼両耳のうち片眼を失ってしまったといっても決して過言ではない。
 ニューヨーク会議の全ての参加者は、この最も期待していた講演者の訃報を会場で告げられ、大いに驚き悲しんだ。同時にまた、UFO目撃の社会問題化の発端となったケネス・アーノルド事件記念日を期して開かれたアメリカでの最大の会議の前夜に、アメリカでのUFO報道の第一人者が急死するという、不思議な時間的暗号に極めて薄気味悪いものを感じ、不安の念を囁きあったと伝えられている。
 ところがなんと、このエドワーズの急死は、会議に先立ち、参加者の1人、グレイ・バーカーに対し、手紙と電話で再三にわたり“予告”されていたのである。
 大会の直前に彼は、差出人不明で無署名の手紙2通を受け取ったが、内容はいずれも、「フランク・エドワーズは、ニューヨーク大会の期間中に必ず死ぬだろう」と、はっきり“予言”したものであった。問題が問題なので、エドワーズに気軽に見せるわけにもゆかず、当惑したバーカーは念のため、有名なテレビ司会者でエドワーズとの共通の友人、ロング・ジョン・ネベルにこの手紙を見せておいた。
 だが無気味な予言者は、さらに入念に行動をした。このあと今度は、直接バーカーの家に電話をかけてきたのである。名もつげぬ怪電話の主は“ぞっとするような冷たい声で”「エドワーズはニューヨーク大会が終わるまで生きてはいないぞ」と告げるとすぐ、ガチャンと切ってしまったという。
 ネベルは事件後出版した著作『我々をとりまく怪奇の世界』の中で、問題の手紙を確かに見たことを証言している。
 バーカーは、前述のアルバート・ベンダー事件を始めとして、80号で述べた、1950年前後に発生した初期の“ブラック・メン”事例のいくつかについて詳しく調べて公表した人物である。これらの事例の大部分は、彼のUFO研究仲間の身辺で起こったものだった。したがって、エドワーズの急死を“予告”した連中が、ニューヨーク会議の大勢の参加者の中から、特にバーカーを選んで予告の手紙を繰り返し送りつけ、そのうえ予告電話を重ねてかけてきたのは、少なくとも、このことをはっきり念頭におき、予告の衝撃性と迫力を増す演出効果を狙うためであったことは明らかである。
 さらに、エドワーズの死が、決して偶然の暗合などではなく、彼ら自身が手を下した殺人の結果であることを、疑う余地のない形であからさまに誇示する意図に基づく、一種の“犯行宣言”であったと考えるべきであろう。
 ニューヨーク会議の参加者は勿論、世界各国でUFO情報に多少とも通じている全ての人々は、正体不明の男たちが、UFO研究家や目撃者たちを脅かして、屈服沈黙させてまわっているという事実を、最初に系統的に調査し公表したのは、このグレイ・バーカーだったことを知っている。
 しかも、彼が明らかにした、所謂“ブラック・メン”とほとんど同じ特徴をもち行動をとる奇怪な男たちが、2年前以来、再びアメリカ全土に出没しはじめ、目撃者たちや研究家たちに沈黙と活動中止を脅迫してまわっているという事実を知っていたからである。
 79号で述べた、1947年のモーリー島事件以来、この時点に至るまでの約20年間、陰に陽にUFO研究家や目撃者たちを脅迫し続けたのは何者なのか。そしてアメリカの生んだ最も敏腕で信頼できるUFOジャーナリスト、フランク・エドワーズを、ニューヨーク会議に集まった全米のUFO研究家たちに対する明らかに見せしめとして半ば公然と暗殺した犯人グループの正体は、何者だったのだろうか。

 アメリカ政府が第一の容疑者なのか?

 ある人物が急死し、事前にこれについて期日を明示した“予告”が死者の知人に対して、手紙や電話で再三にわたって繰り返し行なわれていたという証言があった場合、一応殺人の疑いがあると見なして当然であろう。いわんやさらに次のような多くの情況証拠が存在していたとすれば、その疑いは一層濃厚となることは明らかだ。
(1) 死者は敏腕なジャーナリストであり、死の直前まで、ある極めて重大な一連の事件の真相の究明と報道に決定的な役割を演じ続けていた。
(2) 彼以外に問題の事件について調査をしたり、情報や証拠を握っていたりしていた他の多数の人々が、特異な男たちから脅迫され、沈黙を強要されていたという証言がある。
(3) 予告がもたらされたのは、問題のこと一般についてばかりでなく、この脅迫者たちの活動そのものを系統的に調査し、その結果を書物にして公表していた有名な著作家のところであった。
(4) 問題の人物が急死した時点は、二重の意味で、問題の事件と密接な関連をもっていた。すなわち1つには、この事件が社会問題化した日の20周年“記念”日の前夜であった。今1つはこの問題に強い関心をもち調査研究を行なっている国内外の多数の人々が、問題の事件の真相の科学的解明を目的として集まった第1回研究集会開会日の前夜であった。
 死者はこの会議における主要な講演者の1人として予定されており、悲報は開会後まもなく、議長の口から参会者たちに伝 えられ、全員に対し劇的な衝撃を与えた。つまり問題の事件の調査を続けようとする人々に対する無言の警告としての、見せしめ殺人を計画し実行した集団があったとすればこれこそ、およそ選択可能な範囲の中で最高の威嚇効果を期待しうる極めて精妙な犯行時点の設定であったことは疑う余地はないのだ。
 かくて、1967年6月23日夜発生した、当時のアメリカにおけるUFO問題報道と研究の第1人者であったフランク・エドワーズの急死、という事件は、少なくともUFO問題に関して冷静で真剣な関心をもつ全ての人々が、鋭い注意を集中し、全力をあげて真相の解明に自主的に努めるべき最重要課題の1つであることは疑いない。
 通常の殺人事件とは異なり、この事件の究明に、アメリカ司法当局が何らかの本質的役割を果たすことを期待すべきではない。なぜならば、この事件にはある種の権力犯罪である疑いが充分にあり、まっさきに“取調べ”る必要のある有力容疑者は、アメリカ政府そのものであるからだ。また仮に、この事件に関する限りアメリカ政府当局に直接間接所属しその指揮を受けている全ての秘密工作機関が完全に潔白だったとしても事情が本質的に変わるわけではない。というのは、ことUFO情報に関しては米国政府は一連の合法的手段のみならず非合法的手段にすらも訴えるという異常なまでに厳重な秘匿政策を一貫してとり続けてきており、エドワーズ急死事件の真相が明るみに出た場合、この政策が決定的な破綻をきたす結果となる可能性が皆無ではないからである。したがってこのような事件に関して司法機関が、最後まで真相を追求し結果を公表することは期待すべきではない。
 いずれにせよ、この異常なまでに厳重なUFO情報秘匿政策を長期にわたってとり続けてきたという事実こそが、米政府がフランク・エドワーズ殺害の第1容疑者と見なすべき主要な理由となるのだ。

 謀略殺人の犠牲者に共通する特徴とは

 政治的な目的で行なわれる殺人には、戦争行為と政治殺人の2種類がある。前者は、通常国家開戦ないし国内戦に伴う戦闘の際に行なわれるもので、原理的には、殺戮の対象となるのは戦闘員であるが、現代戦では非戦闘員も意識的に殺害の対象となる。
 すなわち、陸上戦闘部隊の兵士や指揮者、艦隊の乗組員、航空機搭乗員、そしてこれらを直接的に支援する軍事組識の要員等を能う限り大量に殺害することは、兵器体系の破壊とともに戦争行為の論理的に最も本質的な目的となるが、第2次大戦ではスペインのゲルニカ、ドイツのハンブルクに対して行なわれた無差別爆撃や、日本の広島、長崎に対して行なわれた都市に対する核攻撃のように、武器をもたず、また武器の生産や輸送に直接携わってもいない、一般の婦人や子供、老人などの非戦闘員を可能な限り大量に虐殺することが戦争行動の重要な目的の1つと考える思想が支配的となってきている。これによって一般市民を政治的基盤とする敵側の戦略指導層の戦争続行の意志を挫くことができると見なされているのだ。いずれにせよ戦闘行動における殺人は、特定の個人に対象を絞らず、不特定多数の人々を、できるだけ大量に殺害するのが基本的特徴である。
 これに対して政治的殺人においては、対象を特定の個人、もしくは少数の特殊な政治的人物群に絞り、これらの確実な抹殺のみを具体的な目的とすることが基本的特徴となる。
 特定の個人を対象とする政治殺人には、狙いとする具体的効果の違いによって区別される暗殺とテロおよび謀略殺人の3種類がある。暗殺は、対象となる本人そのものが政治的に邪魔である場合、これを抹殺することによって得られる直接的な政治的利益を目的として行なわれる殺人である。テロは、殺害の対象となるのが、政治的に邪魔な特定の個人である点では暗殺と同じだが、主要な狙いとするところが、本人以外の生き残った多数の人々に対する威嚇効果や示威効果などの間接的な政治的影響にある点が暗殺とは異なっている。したがってテロにおいては、誰が殺人者であったか、そしていかなる政治的理由によって問題の殺人が行なわれたかを、関係者、ないし一般大衆にできるだけ明確かつ敏速に伝わる方法が選ばれる。本人の死亡が、事故や自然死によるものだ、と関係者や大衆に誤解されたのではテロの主要な目的は果たされないし、また殺人者が他にいる、と考えられたのでは効果がないからだ。これに対して、暗殺の場合は、本人さえ抹殺されてしまえばよいのであり、誰が、何のためにこの殺人を行なったかを、関係者や大衆に知らせる必要はない。むしろこれらの点はできるだけ隠した方が得策である。したがって事故や自然死に見せかける方法がとられる場合もある。だがあくまでも本人を確実に抹殺することが問題である以上、これらの点を隠すためにあまりに策をろうしすぎて、失敗する公算を大きくすることは合目的ではないので、単刀直入にあからさまな殺人方法か、これに近い方法がとられることもある。しかしこのような場合も、問題の殺人を引き起こした真の責任者が誰であるかは、できるだけ隠すか、少なくとも曖昧にする工作が伴うのが普通である。あたかも他の第3者が殺人の責任者であるように見せかけるのは、この種の政治殺人を行なう者の常套手段である。しかしこれはあくまで、自己が殺人者であることを隠すための便宜的手段であり、主要な目的は、政治的に邪魔で有害な人物の抹殺におかれているのだ。したがって第3者に殺人の責任をなすりつけるのに誰が最適か、というような工作上の技術的理由から犠牲者を選ぶ、というような本末を転倒したやり方はとられないことはいうまでもない。暗殺の犠牲者は、常に政治的に最も邪魔な人物である。
 暗殺ではなくて謀略殺人の場合すなわち殺人の責任を自分以外のある特定の個人や政治的集団にあるように見せかけることが主目的である場合は、犠牲者は、自己にとって政治的に有害かどうかにはかかわりなく選ばれる。むしろ真の殺害者の味方だと自他ともに認められている人物が犠牲者に選ばれる場合すらある。ぬれぎぬをきせるべき自己の敵である第3者にとって政治的有害か、あるいはテロの対象に選ばれるのが極めて自然に見えるような最も適当な犠牲者は、自己の味方の中にいる場合が多いからだ。殺人がひき起こす道義的批判や反発感情を利用して敵対者を政治的に孤立させることや、味方内部の政治的結束を固め敵対者に対する憎悪を煽る目的の謀略殺人の犠牲者としては、このように殺人者の味方と見なされている人物が選ばれることとなる。
 だが謀略の具体的目的が、政治的敵対陣営の内部に分裂をひき起こすことにある場合は、敵対者内の対立関係にある一方のグループの中から犠牲者を選び、殺人者がもう一方のグループに見えるような工作が行なわれる。

 日本においても戦後数々の具体例がある

 1949年、日本の国有鉄道総裁の謎の死は、アメリカ政府秘密工作機関の行なったこの種の殺人の典型的事例である。アメリカ占領軍当局と下山国鉄総裁は、大量人員整理の実施をめぐって真正面から対立していた。日本国有鉄道固有の企業体質である労使なれあいの家族主義は今に始まった“腐敗現象”ではない。占領軍の資本 主義的合理主義的視点からすれば、当時やはり財政的破綻に瀕していた日本の国鉄再建策は、大量人員整理以外にはありえなかった。下山以下日本国鉄首脳は勇敢にもこれに抵抗した。
 ときあたかも朝鮮半島では、南北武力衝突の危機が成熟しつつあった。38度線は米軍の介入によってのみ防衛可能でありそのためには兵站基地日本の産業や鉄道がスムーズに運行されることが不可欠の条件であった。当時日本の左翼勢力の政治的力量には侮りがたいものがあり、各産業や鉄道関係労働組合内部にもかなりの影響力をもっていた。国鉄労働者を始めとする基幹産業部内でのレッド・パージは、来るべき朝鮮半島における武力衝突に米軍が安んじて介入するために、どうしても強行しなければならない軍事的後方安定策だった。そのために米秘密工作機関は日本国民を政治的に分裂させる戦略的心理作戦を強行し、一連の謀略殺人を実行したのである。「松川列車転覆事件」「三鷹駅国電暴走事件」そして「下山国鉄総裁謀殺事件」がそれである。“精神年齢12歳”とマッカーサーに嘲笑された通り、政治的感覚の鈍い日本人の大多数は見事にこの謀略に引っかかり、左翼勢力と一般国民の間に深刻な分裂と対立が形成され、国鉄の人員整理と各基幹産業におけるレッド・パージは重大な抵抗に遭遇することなく計画通り実行できたのだった。
 アメリカ政府秘密工作機関の実行したテロ殺人の典型的事例は、1960年、日本社会党書記長、浅沼稲次郎の殺害事件である。この年日米安全保障条約改定を前にして、中国を訪問した浅沼はアメリカ政府に痛打あびせる決定的発言をした。すなわち「アメリカ帝国主義は日中両国人民の共同の敵である」その直後反安保集会の演壇上で“右翼少年”に刺されて倒れた浅沼の死因を病気や事故と誤解する者は誰もいないし、殺人の理由が、右の発言ではなかったと信ずる人はいない。また当時日本の各右翼団体は、CIAその他のアメリカ政府工作機関と密接な関係にあったことを疑う理由は見あたらない。
 次にアメリカ政府秘密工作機関員に暗殺された日本人の実例をあげておこう。戦後の日本で、社会的激動が続いたにもかかわらず、親米的保守党政権が長期にわたって維持されえた秘密の理由の1つは、極めて豊富な政治資金源をもっていたことによる。これは敗戦時天皇制政府が保有していた巨額の流動資産−−ダイヤなどの宝石、貴金属、スイス銀行預金など総額推定数兆円−−をいったん接収したアメリカ占領軍がこれを日本の親米保守政党の政治資産として運用させる秘密のルートをつくった。この機密を探りあてた経済企画庁の米派遣調査官は、渡米中、毒を盛られた。この経緯は、松本清張が『深層海流』で暴露するまではごく限られた人々しか知らなかった。誰が、どのような理由で殺害したかわからぬ形をとること、また死因がはっきりしない手段を用い、殺人が行なわれたという事実そのものも曖昧にすること、などが暗殺の特徴である。

 エドワーズを殺した犯人の目的は何か

 以上の考察に照らして見るならば、フランク・エドワーズ殺害は、明らかに暗殺ではなく、むしろテロ、もしくは、謀略殺人の本質的特徴を示している。少なくとも、彼の死が事故死や自然死、あるいは自殺などではなく殺人であること、さらにこの殺人の理由が、彼がUFO報道研究の第1人者であった点にあることを故意にはっきりと示すための工作のあとが歴然としているからである。
 もしこれが暗殺だったのであれば、手紙や電話でしつこく予告を繰り返したり、アーノルドUFO目撃記念日で、しかもUFO研究家たちの集会の前夜という特別の時間を選ぶなどの面倒でややこしい作為は不必要であるばかりでなく、むしろ政治的に有害である。なんら予告なしに、しかもUFOと無関係のある日の夜、エドワーズが、“急逝”したのであるならば、伝え聞いた大部分の人々は驚くかもしれないが、ある種の政治的殺人が行なわれたのではなかろうかなどと深く疑ってみたりしないだろう。
 59歳の年齢は少し若すぎるが、エドワーズのように肥満体でしかも激務に携わっている過労気味の男性が心臓麻痺で倒れるという現象は、アメリカではそれほど不自然なことではないからだ。
 エドワーズのUFOの報道研究活動が、政府にひどく睨まれていたことを知っており、また他のUFO研究家たちが、正体不明の男たちにしばしば脅迫されている事実をよく知っていたグレイ・バーカーなどのような事情通は、多少ともこの点を疑って見もするだろうが、はっきりした根拠もないことでもあり、このような疑念を公表するようなことはしないはずである。このようにエドワーズが“自然”な死に方をすることで、アメリカ政府としては、UFO秘密政策の存立を危うくしつつあった危険人物をとりのぞくという本来の重要な目的を充分に達成できるのだ。
 UFOの情報を国民の眼から隠し続けようとするアメリカ政府の立場からすれば、UFOに対する国民の関心を少しでも静め、その好奇心をそらせることが何よりも重要なことである。所謂「ロバートソン・パネル」の“勧告”に基づきUFO報告者や研究者を笑い者にし、社会的に孤立化させる工作を系統的に行なったり、何でもない普通の目標の誤認だった事例だけを故意に仰々しい演出のもとに宣伝する“正体暴露”と呼ばれる心理操作を懸命に繰り返しているのは、まさにこのためである。
「UFO報道をやりすぎたため、エドワーズは政府に殺されたのだ」などという不穏な噂が流布することは、このような一連の打撃の効果を台無しにし「寝た子を起す」結果になるのだ。すなわち、国民の注意をUFO問題にひきつけ、その神経をとがらせる結果をもたらしてしまうことは明らかである。
 さらにアメリカ政府が、殺人という非常手段に訴えてまでUFO情報の漏洩源を断つ必要があったのだとしたら、エドワーズだけを消せば万事OKというわけにはゆかない。
 たとえば、エドワーズが電波に乗せたUFO情報の最も重要な情報源は、NICAP(全米空中現象調査委員会)のドナルド・キーホーであった。キーホーをそのままにしておいたのでは、エドワーズを抹殺した効果は少なくとも半減してしまう。キーホーはエドワーズがいなくなれば、他のテレビ・キャスターか新聞記者に入手した貴重なUFO情報を流し続けるか、自分で書物に書いてそれらを暴露してしまうからである。
 事実彼はそうした。キーホーは海兵隊パイロット出身の古くからのUFOジャーナリストであり、当時から空軍のみならず海軍や陸軍、ペンタゴン連邦航空局CIAその他の政府情報機関関係者の中に有力で信頼できる情報源を多数もっていた。そして軍や政府関係者の目撃した重要なUFO事件やそれをめぐる政府当局の動きなどについての詳細で確かな情報の多くを逐一つかみエドワーズら報道関係者たちに流してきていたばかりでなく、雑誌記事や書物に書いて公表してきていた。したがって、キーホーも消してしまうのが論理的に自然なやり方であることは明らかである。
 だがそのためには、予告の手紙や電話、劇的効果を狙った犯行日時の設定など、鳴り物入りの“犯行声明”を行なうこと は全く百害である。なるべく目立たぬ形で、かなりの間をおいて、両人が“病死”もしくは“事故死”することが望ましいのだ。エドワーズを実際に殺害したような派手なやり方で消してしまえば、キーホー抹殺が極めてやりにくくなってしまうのだ。
 実際キーホーは、85歳になる今日までカクシャクとして健在であり、現在新著を執筆中と伝えられる。これらの諸点から見て、エドワーズを殺害した犯人の目的は、アメリカ政府のUFO情報漏洩の源を断ったり、一般人のUFO目撃事例が広く一般アメリカ国民に報道されるのを阻止することを狙ったUFO情報遮断のための暗殺ではなかったことは疑いない。

 異星人の謀略にハメられたアメリカ政府

 それではエドワーズ殺害犯人の狙いはテロだったのだろうか。確かに1967年6月24日ニューヨーク市コモドア・ホテルの「第1回科学的ユーフォロジスト会議」の会場に集まっていた約2000人のUFO研究家たちは一様に冷水を浴びたような恐怖ないし不安を感じたと伝えられている。またこの報を伝え聞いたアメリカ内外のユーフォロジストたちの中にも同様の感じを受けた人々も少なくなかったようだ。
 そのうち何人かは、所謂“ブラックメン”の脅迫を直接受けたこともあって、UFO研究から手を引いたという事実も伝えられている。しかし大多数のユーフォロジストたちは、UFO研究をやめなかったばかりでなく、その後新しい人々がUFO研究に加わり続けており、少なくとも現在までにアメリカ内外でUFO研究人口が目立って減少したという事実は全く伝えられていない。それはむしろ当然のことだと考えられる。
 なぜならもしテロによって各国のユーフォロジストたちに研究を中止させることが可能だと考えそれを実行に移している何らかの集団があったとしたならば、少なくともその目的を達するためには、もっと多くの犠牲者を次々に血祭りにあげることが必要である。多数のユーフォロジストたちはこれによって初めて、脅威を身近に感じとり実際にUFO研究の放棄を行なうことになりうるのだ。にもかかわらず、そのような大規模かつ系統的な公然たる殺戮がユーフォロジストを襲い続けてきたという事実は全く伝えられていない。しかも、もしそのような大規模なテロが実際に行なわれ、個々のユーフォロジストたちが退却をしたとしても、そのショックにより一般大衆のUFO問題についての関心は逆に高まってゆくと見るべきであろう。
 アメリカ上空を飛びまわる多数のUFOの姿がある限り、ユーフォロジストに対する公然たる大規模なテロは、大衆の関心をひきつけるという逆効果を生まざるを得ないことは明らかである。こうして鋭い関心をもった大衆の中からは次々と新しいユーフォロジストが大量に出現してくることにならざるをえないであろう。
 すなわちUFO問題についての調査研究を、単なるテロによって押さえこむことは、問題自身の特質から全く不可能なのである。
 アメリカ政府の秘密工作機関がこのことを理解していなかったとは考えられない。
 暗殺でもテロでもなかったとすればエドワーズの殺害は、謀略的殺人ということになる。だがそうだとするとアメリカ政府の犯行説は成立が困難となってしまう。エドワーズを自らの手で殺害しておいて、第3者の犯行のように見せかけるというような手の込んだ謀略はこの場合なんとしても成り立たないからである。特にUFO問題に深い関係の日を選んで犯行に及ぶなどということは、いかなる理由があろうと、UFOに対する大衆の関心をそらせることを第1義的課題としているアメリカ政府としては、絶対にやるべきことではない。
 いずれにせよ、実際に発生したエドワーズ殺害事件の具体的経過と前後の事情の直接的印象から誰もがまず考える犯人は、アメリカ政府の秘密工作機関員であることは争えない事実である。とするならば、エドワーズ謀殺事件でハメられた第3者は、むしろアメリカ政府であったのではないかという疑いが濃くなる。
 誰が、何のためにアメリカ政府をハメたのだろうか。



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