『エイズ患者のための栄養療法』についての紹介資料再録

 
★阿修羅♪   

[ フォローアップ ] [ フォローアップを投稿 ] [ ★阿修羅♪ Ψ空耳の丘Ψ6 ] [ FAQ ]

 
投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 4 月 20 日 17:50:06:

『エイズ患者のための栄養療法』についての紹介資料再録

●以下に紹介するのは昨年(1999年)の国際エイズディ直前に出版された エイズの栄養療法についての専門的ガイドブックの報道用資料と、その資料に添付した同書内の「訳者あとがき」部分で言及されている米国の主に医学専門誌に掲載された最近10年間ほどの――つまりエイズ栄養療法が提唱され確立を見るまでの時期の――主要な論文 や記事などの一覧である。
●日本では医療界が巨大製薬企業群に“洗脳”されているので、エイズの病因論や治療戦略は、レトロウイルス研究の利権の温床と化し、患者を無視した診療が、あいかわらず大流行している。
●この報道資料も、製薬業界の広告媒体に甘んじている大マスコミから 完全に無視された。毎年恒例の国際エイズディ前後の報道を見れば一目瞭然であるが、「不純異性交遊で水面下ではHIV感染者が激増」といった類いの恐怖心アジりやロクでもない道徳説教を垂れているだけで、患者の利益にとって本当に有効な対策を語ろうとはしない。厚生省の 薬害エイズ犯罪の隠蔽キャンペーンに加担していた80年代のハレンチ報道を全然反省せぬまま、レトロウイルス叩きの金儲け商法を宣伝し続けるしか能力も意欲もないのが、報道機関の現状なのだろう。
●同書の訳者である私(佐藤)は今回版元の了解を得て、これらの資料を公開することにした。知り合いにエイズ患者(やHIV感染者)がいたりエイズの診療に関与している人は、これを参考にご自分でいろいろと調べてみることをお勧めする。
 
 
★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  

報道機関各位の皆様へ

 国際エイズディ(12月1日)にむけての報道資料
    (株)現代書館・担当:小林律子
電話 03-3221-1321、FAX 03-3262-5906
        電子メール g-shokan@netlaputa.ne.jp
       インターネット http://www.gendaishokan.co.jp/ )

 来る12月1日に、弊社から『エイズ患者のための栄養療法:実践的レシピ付き全ガイド』(C・W・キャラウェイ著、佐藤雅彦訳)が刊行されますので、その意義と概略をご案内申し上げます。

 エイズの原因ウイルスとされる HIVが発見されてから早や15年がたちますが、ウイルス学者たちによって当初宣伝されていたような HIVに対する効果的なワクチンはいまだ開発の目途がたったとは言えませんし、強力なレトロウイルス抑制剤を混合して用いる「カクテル療法」のような化学療法が登場したことで HIVの抑制技術はかなりの発展を見たとはいえ、決定的な治療法とはまだ呼べない段階にあります。
 エイズ(後天性免疫不全症候群)の本態疾患は免疫不全なので、 HIVへの攻撃もさることながら、免疫不全が招く(日和見感染症などの)二次的感染症を効果的に治療するとともに、残存している免疫機能を充分に発揮できるよう、栄養面でのサポートが必要になってきます。実際、エイズ医療の先進地である米国では今からちょうど10年前に「エイズ患者の最大の死因は栄養障害である」というショッキングな研究報告が出現し、以来、栄養条件の重大さの医学的な認識がすすみ、食事栄養面でのケアが急速に整備されてきました。その結果、現在では米国のエイズ患者支援体制は、投薬にばかり頼るのではなく、患者の精神面や経済面などの支援とともに――後者は米国障害者法(ADA)でエイズ患者の生活支援を定めている――食事と栄養に関しても専門家の援助が利用できるようになっています。
 ところが日本では、エイズ患者をあらゆる角度から支えるという全人的な医療支援がいまだに確立していると言えません。たとえば栄養学的な支援は患者の生存にとって決定的に重要なことは今や米国では“常識”なのに、厚生省保健医療局が出している『エイズ診療の手引』は栄養面でのケアについて言及していないし、日本エイズ学会総会の抄録に登場した栄養ケア分野の発表は、1昨年が1件、昨年が3件(うち2件は同一発表者の同一テーマ)で内容はまったくの予備的調査にとどまっており、 HIVのウイルス学研究成果の発表ばかりが目白押しの同学会の様子は「患者を見ずにウイルスに夢中」と呼ぶべきものになっています。(これらはインターネット検索で容易に見つけだせます。)

 このたび弊社が出版する『エイズ患者のための栄養療法』は、エイズ患者の余命延長のカギとなる栄養学的ケアについて、その重要性と具体的なノウハウ――食事や栄養補給の要領から簡単に調理でき栄養価の高い食事のメニューとレシピにいたるまで――を紹介した、日本で初めての単行本です。本書がきっかけとなってエイズ患者の栄養面での支援や、さらに全人格的な支援が重視されるようになり、現在の日本の“エイズ対策”が「患者を見ずにウイルスに夢中」な状況から、患者の利益を最優先にする方向へと転換するきっかけになることを願っています。

 なお、我々は「栄養療法」というと、すぐに(『あるある大事典』や『おもいっきりテレビ』みたいに)ビタミン剤の大量服用や何か特定の食材に関心が向かいがちですが、本書で著者キャラウェイ博士が強調しているのは、栄養障害のせいで“激やせ”が止まらずそのまま死んでしまう恐れのあるエイズ患者に、とにかく高カロリー低脂肪(脂肪が多いと下痢するから)の高栄養食品をおいしく食べてもらい、体重の維持・増加を図るという生存戦略です。しかも本書は、栄養療法の案内書にありがちな“現代医学を否定しオルタナティヴな食養生だけで行く”という方向ではなく、有効な化学療法などと一緒になった栄養療法の実践を主張しています。つまり薬物の副作用などに耐え、現代医学の長所をおおいに活用できるよう、栄養をつけておくことが最も重要だと主張しているわけです。

 以上の点をご理解いただき、エイズに対する全人的医療の発展にむけた画期的契機となる栄養療法について、今後、ご注目いただければ幸いです。

 なお、本書の内容をもっと詳しく知るための参考資料として、原著紹介文、訳者あとがき、著者および訳者の紹介文――いずれも本書からの抜粋――を以下に紹介しておきます。

★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
   原書の裏表紙に記された本書の紹介文
★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

 エイズの栄養療法が米国で注目されだした90年代初めの状況を反映した文章だが、現在かの国では栄養療法を含むトータルケアが常識となりエイズ医療は劇的に改善されている。詳しくは、あとがきを参照。

     エイズに負けるな! 栄養つけて生きのびろ!

 エイズが極めて「致死的」な病気であり続けているのは──そしてエイズを抱えながら生きていくのが極めて難しいのは──多くの場合、エイズそのもののせいで はなく、エイズの結果おこる栄養障害のせいだ。実はエイズによる全死亡者のうちの80%までが、この病気による栄養障害の結果、命を落としている。この事実は、エイズ対策を考えるうえで決定的に重要なのだが、実際にはまだほとんど理解されていない。
 ここに紹介するのは、臨床栄養学の全米屈指の指導的権威C・W・キャラウェイ博士による、エイズに負けずに生きのびるための、臨床成果が実証された、初めての、栄養療法のプログラムである。このプログラムは、あくまでも現在医療機関で採用されている薬物療法などとの併用を前提とした“相補的”なものだが、低脂肪で高カロリーの栄養摂取を目標にすえた食養生を実践することによって、エイズを抱えて生きる人たちの典型的な苦しみである急激な体重減少にストップをかけ、感染症との効果的な戦いが可能になる。
 本書は、エイズを生きる人たちと、その医療や看護に当たる人たちのために書かれた、実用的ですぐに使える調理ガイドであり、日々の闘病生活に役立つ参考書でもある。まずエイズに負けずに栄養をつけ体力を増強させるための、特別メニューで構成した26日分の食事プランを79品目のレシピ付きで紹介してある。更に、エイズ関係の治療薬の、栄養障害にかかわる副作用の一覧表や、患者にも医者にも役立つ各種の資料や、難解な専門用語をわかりやすく解説した用語集もついている。
 本書で初めて紹介する画期的な栄養療法を使うことにより,HIV検査で「抗体陽性」と診断された全米 150万人の人々は、期待余命を改善しうるし(つまりエイズの発症やそれによる人生の終期を先延ばしにできる)、それと同じくらい重要な、闘病生活の改善も期待できるのである。

★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
   訳者あとがき
★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

 本書は、ウェイン・キャラウェイ(C.Wayne Callaway)とキャサリン・ホイットニー(Catherine Whitney)の共著により1991年に米国で出版された『Surviving With AIDS:A Comprehensive Program of Nutritional Co-Therapy』(エイズに耐えて生きのこる:相補的な栄養療法の総合的な献立および医療計画)の全訳である。ただし原書には付録として、全米科学アカデミーが作成し米国では一般的な栄養指導の拠り所となっている『The Recommended Dietary Allowances』(望ましい栄養摂取量)の一覧表が添えられていたが、これはアメリカ国民の平均的な体格を基準として作られたデータであり、日本人の体格とはかなり違うため、参考にはならないという判断で割愛した。また巻末には米国のエイズ患者支援団体と栄養療法に関する学術資料の一覧が添えられていたが、これも10年ちかく前の“最新資料”にすぎず、当時と比べてエイズの総合的・全人的医療(トータルケア)が格段なる進歩を遂げた現時点では、より有用な英文資料がインターネットなどを通じて容易に入手できるので、割愛することにした。

 訳者は HIV感染者ではない(と思う)が、80年代前半に手術の際に受けた輸血が理由で万一のウイルス感染――HIVだけでなくC型肝炎ウイルスなども含め――の潜在的な容疑が持たれ「献血をご遠慮ねがいたい人々」のカテゴリーに含まれている境遇であるし、 HIV感染者が20年ちかく受け続けてきた、非科学的で政治的で致命的な差別を考えると、 HIV感染者やAIDS患者の境遇を他人ごととは到底思えない。そうした個人的な動機で、急かされるような危機感を抱きながら本書を邦訳したわけだが、このあたりの事情は記しておくべきだろう。
 80年代が明けた当時、私は筑波研究学園都市で地方新聞の記者をしていた。当時、科学技術庁所轄の理化学研究所が住宅地のなかに、危険微生物に対する最厳重の物理的封じ込めレベル(P4)を備えた遺伝子組み換え施設を建てる計画を進めていた。(生物兵器用に開発された遺伝子組み換えエボラウイルスの都市伝染パニックを描いた映画『ホットスポット』で、宇宙服のような完全密閉スーツを着用する方式の米国疾病管理センターのP4ラボが登場したが、日本は地震国なのでこの方式を採用せずに、密閉実験室のなかにさらに完全密閉の「グローブボックス」と呼ばれるゴム手袋つきのステンレス製実験箱を据え、その実験箱に危険微生物を封じ込めて実験を行なうことになっている。) 当時の――そして今でも――私の関心は遺伝子組み換えウイルスの漏出事故や軍事政治的な意図的放出の問題に向かっていたので、「同性愛者のあいだで流行りだした謎の伝染病」という言い方をされながら新聞の小さなベタ記事扱いで、エイズが日本で最初に報道された時も、そうしたバイオハザード(生物学的災害)の一例という認識でとらえていた。「同性愛者だけがかかる謎の致死的伝染病」というのは――ほどなくこれはウソだと判明したが――いかにも不自然で非合理的な現象だったからだ。しかしこの頃はまだ、「アッシにはカカワリのないこと」と考えていた。
 その後、1984年の4月に米国厚生省(DHHS)が、傘下の研究所(NIH)でロバート・ギャロらが発見した「ヒトT細胞白血病ウイルス3型」(HTLV-3)を、「エイズの単一病原体」であると発表した。“エイズの病原ウイルス”についての議論は、ギャロたちよりも先に発見したパスツール研究所(フランス)の「LAV」や、同時期にカリフォルニア大学で発見された「ARV」との、ウイルスの生物学的同一性や発見先取権の帰属を問うかたちで、どろどろした金儲けの問題とも複雑に絡み合いながら国際的な政治対決に発展し、結局「HIV」という名称に落ち着きウイルス発見にともなう経済的利益の分配についても一定の政治的決着をみた。しかし――だからこそであったが――「エイズが単一のウイルス(HIV)で起きる」という教条[ドグマ]はその後ますます強まった。当然このドグマはエイズの病因論だけでなく治療戦略を規定してしまう。「 HIVさえ叩けばエイズは完治できる」という信仰が広まり、これを信じて治療努力が繰り広げられてきたわけだが、ウイルス発見から15年たった現在でも、この治療戦略は決定的な成果を生み出せていない。
 エイズが“特殊な病気”と認識されてきたのは、主に二つの理由による。第一は低俗マスコミが宣伝し、世間的通念としても定着してしまったが、エイズが「性交渉で伝染する死病」という(完全に間違った)イメージで伝えられ、80年代の西側世界で“熱病のごとき”勢いを得た政治的保守勢力に「神罰的な業病」というレトリックで広く政治利用されたからであり、第二はそうした「死病」を起こすヒトのレトロウイルスとして、ほとんど最初のウイルスだという(これも誤った)認識が世間に広まり、製薬会社や医学界など産官医学利権複合体が“エイズウイルスの研究”に莫大な投資をした結果、学者にとって“オイシイ研究分野”になり、この分野の(往々にして株価操作を意図した)リーク的な“ 研究成果”報道がマスコミに氾濫してきたせいである。私も80年代の末ごろまでは、この宣伝を真にうけて「AIDS=HIV単一病因」説に沿った見方で、エイズの病因論やこの新奇なウイルスの起源を――遺伝子操作で生じた人為的突発出現ウイルスではないかと疑いを持ちながら――ジャーナリストの観点から調べていた。だから治療論についても、抗ウイルス剤で治療を成し遂げられると単純に考えていた。
 そんな私の惚けた思い込みは『ワシントンポスト』紙のある記事と出会って根底から揺すぶられることとなる。89年の初冬に同紙のバックナンバーをなにげなく読んでいて、9月26日付け同紙の別刷り『HEALTH』特集に載った「Nutrition Key in AIDS Care(栄養がエイズ医療のカギ)」と題する記事を見つけて仰天したからだ。この記事の大意は「エイズによる死亡例の80%までが、エイズそのものやこの病気の免疫障害が呼び込んだ感染症のせいではなく栄養障害が直接的原因となって起きていることが、2人の専門家の研究で判明した」というもので、本書でもたびたび言及しているダニエル・コトラーの研究結果を報じたものだった。これが事実なら「エイズ=死の伝染病」という図式はすっかり覆ってしまう。なぜなら「エイズ死」を招いているのは“悪玉ウイルス”HIVよりも、むしろ“ HIV退治”にばかりカマけて栄養障害を見落としてきた現行医療の欠陥だということになるからである。
 コトラーの“発見”はその重大性にもかかわらず米国の一般社会ではしばらく黙殺されていたようだ。だがマスコミの動向をあらためて調べ直してみると、一部の科学者や医療者たちはこの知見の意義を正確に理解し、エイズ医療のパラダイム転換にむけた努力に、当時から着実に取り組んでいたことが判る。たとえばアメリカンセンターなどで利用できる米国の主要雑誌記事検索システム「プロクエスト」を使い「 HIV&nutrition」というキーワードで“ HIVの栄養療法”を扱った記事や論文を探すと、86年から99年8月現在までで80件ちかい記事が見つかるが、その最初の記事は89年1月に登場している。ちなみに検索で引っ掛かった記事のうち書評などを省いて実質的な記事や論文だけを探すと53件に絞りこまれたが、その経年分布は89年2件、90年1件、91年1件、92年なし、93年10件、94年12件、95年9件、96年4件、97年8件、98年4件、99年(8月まで)2件となっており、93年に爆発的に増えていることが判る。(訳者が収集した、AIDSと HIV感染症への栄養療法を掲載した主な米国の雑誌記事のデータは、10ページを越えるものなのでここには掲載できなかった。現代書館にデータを寄託したので、興味のある方は同社に連絡すれば入手できる。)[後記;米国の雑誌記事のデータは、この資料の後半に掲載しておいた。]
 事実、コトラーの論文発表からほどなく、米国厚生省の食品医薬品局(FDA)が全米実験生物学会連合(FASEB)ライフサイエンス研究局(LSRO)に発注した『栄養と HIV感染症:栄養と HIV感染症の関わりについての、これまでに解明された知見の総括と評価』という報告書が90年11月に提出され、科学的に正当なエイズ栄養療法の重要性への認識と治療戦略の基盤が用意されることになった。この FASEBへの委託研究は、同省が包括的なエイズ政策を構築するための基礎データを得る目的で各方面に発注したものの一つであったが、 HIV感染症における栄養障害の致命的な脅威と――この報告書ものっけから「実際多くのエイズ患者が (HIV)ウイルスの感染そのものよりも、むしろ進行性の消耗のせいで死んでいるようなのだ」と言い切っている――栄養療法によるエイズ患者の“生活の質”の維持向上と余命延長への有効性について、広範多様な実際の研究成果を具体的に概観したうえで、明快かつ建設的な展望を示しており、他に全く類例のない画期的なレポートであった。そして実は本書も、コトラー論文(付録D)に導かれるかたちで91年に世に出たものの、表や箇条書きの形式で随所に盛られている知識の多くは、この FASEBレポートを土台にしている。
 こうして90年代の初めに、エイズをめぐる病因論――すくなくとも「死因」についての根本的な認識――と治療戦略の基本的な方向性は、重大なパラダイム転換を迫られることになった。さきほど述べたように、 HIVは“ヒトのレトロウイルスの代表選手”として学界の異常なほどの脚光を浴びるようになった。そうした事情でこの分野には潤沢な研究資金が流れ込むようになったわけだが、カネの魅力に誘われて「エイズ研究」に関わりだした学者たちが集う世界最大の“祭典”が、ほかならぬ国際エイズ会議である。92年から94年ごろの国際エイズ会議は、 HIV退治一辺倒の学界主流の対エイズ認識を批判し、オルタナティヴな病因論や治療論をも視野に入れた包括的なエイズ医療の構築を求める患者側勢力の“現地闘争の場”とさえ化した。
 90年代の前半に「エイズ化学療法の切り札」とされてきた AZTは、単独で使い続けると致命的な副作用や薬剤耐性 HIVの出現を招くので、限界が見え始めていたが、90年代の半ばに抗ウイルス剤の多剤混合投与――いわゆる「カクテル療法」――が提唱されるに至り、化学療法はますます強力な抗ウイルス毒性を発揮するようになり、それはたしかに画期的な薬効を実現しえたので、90年代後半の数年間はこちらの化学療法戦略ばかりがマスコミ宣伝されてきた。「カクテル療法」の流行に隠されるかたちで、栄養療法を組み入れた全人的・総合的なエイズ医療(エイズのトータルケア)は脚光こそ浴びてはいないが、最近では「カクテル療法」による新型 HIV発生の危険性がウイルス学者たちから警告され始めるようになり、この強力化学療法さえも限界が見えだしてきたし、また、こうした強力な抗ウイルス剤に耐えて“ウイルスよりも先にクスリで殺されない”ようにするために、基礎体力の充実がエイズ医療においてますます重要視されるに至っている。そうした事情から「栄養をつけてエイズに打ち勝つ」治療戦略と実践の重要性は、これまでにもまして大きくなっている。

 本書の製作の裏話を記しておけば、この本の内容や発行趣旨をより深く理解していただけるかと思う。
 訳者はこの本の訳文や提案してあった表題――最初に提案した表題が『エイズに負けるな! 栄養つけて生き延びろ!』というものだった――について、編集部からいくつか重要な指摘をうけた。
 まず表題だが、私としては日本の HIV感染やAIDSを抱えた日本の患者のかたがたに「エイズは(広くで宣伝されてきたような)悲惨な死病ではなく、栄養障害を克服できれば延命の可能性がある」という事実を知ってもらい、なによりも生きる希望を持ってほしいと思っている。そういう思いから『エイズに負けるな! 栄養つけて生き延びろ!』を提案したわけだが、これでは田舎の母親が上京した息子に「サダヨシ、野菜をた〜んと食べにゃアカんで」と呼び掛ける往年のCMみたいだ、という 指摘や、エイズの栄養療法だという本書の特徴がわかりにくいという指摘をうけた。そこでやむなくオーソドックスな書名にきめた経緯がある。
 エイズの栄養療法と聞けば、健康食品やビタミン剤などの商品アイテム指向の日本の人々は――私もそうだけど――特定の栄養素や食品を食べればエイズが治る、という間違った連想をする恐れがある。しかし本書が主張しているのは――これも“激やせ”を是とする不健康な日本社会の通念とはまったく逆なのだが――高カロリー高タンパクの健全な食品をおいしく食べて、カラダを作って基礎体力を充実させるという戦略である。だからこそ「栄養つけて生き延びろ!」なのである。
 それから本書の冒頭にかかげた“原著のウラ表紙の紹介文”や本文の各所に、「エイズは死病である」という表現がたくさん出てくるが、原書が出版された90年代初頭には、栄養療法戦略がまだ提唱されだしたばかりでトータルケアが未整備であり、エイズ治療はかなり乱暴な化学療法が主流であった。だから HIV感染者の大部分は化学療法や栄養不足の生活を続けていたずらに体力を消耗し、死期を早めていたと言っても過言ではない。しかしコトラーの“発見”を端緒とした栄養療法の重視やトータルケアの整備が進むにつれて、いまや HIV感染症とエイズは「だましだまし飼いならし続けることの可能な」慢性疾患へと近付きつつある。消毒を知らなかった19世紀後半の西洋近代医療の現場では、不潔な医師の手で赤ん坊を取り上げられた妊婦たちは次々と産褥熱にかかり、当たり前のように死んでいた。栄養や衛生状態が行き届いていなかった数十年前までは、日本でも結核は「死病」だった。(結核は最近リバイバルし始めたが、現代日本社会の栄養状態や労働衛生や医療体制が結核流行を阻止しえないほど破綻してきていることを反映していると見ることができる。)  HIV感染症なりエイズも、医療史の長い目でとらえた場合、こうした経緯を辿っていくのだと思う。

 最後に、本書の重要性を正確に見抜き、出版に向けてあらゆる努力を続けてくれた現代書館の菊地泰博氏と、調理レシピから科学論文まで広範な内容を含んだ本書を、精力的な編集活動で最も効果的な形態にまとめ上げ素晴らしい書物に作り上げてくれただけでなく、 HIV/AIDSを抱えて生きる人々のことを常に念頭に置き、編集上のさまざまな配慮で訳者の目を見開かせてくれた同社編集部の小林律子氏に、心からの感謝を捧げたい。本書が多くの人々の希望の光となることを願って……
                   1999年11月6日     佐藤雅彦

●執筆者紹介
 C・ウェイン」・キャラウェイ(C.Wayne Callaway)医学博士。
  メイヨ−クリニック栄養診療部門部長、ジョージワシントン大学医学センター臨床栄養センター長を歴任。現在、エイズ治療センターのホイットマン・ウォーカークリニックのコンサルタント。著書は『ザ・キャラウェイ・ダイエット』など。
●訳者紹介
 佐藤雅彦(さとう まさひこ)
   1957年札幌生まれ。心理学、教育学、「心身障害学」その他の人間諸科学を学んだのち、地方新聞の記者や雑誌編集者を経て現在は翻訳やジャーナリズムに携わる.関心分野は、科学社会学、生命工学、政治学、政治史、情報論など。主な訳書は『メディア仕掛けの選挙』(技術と人間、1989)、『代理母:ベビーM事件の教訓』(平凡社、1993)、『メデイア仕掛けの政治』(現代書館、1996)、『比較「優生学」史』(現代書館、1998)、『突発出現ウイルス』(海鳴社、1999)、『米国の「経営者」がしでかしたとんでもないヘマ101連発』(毎日新聞社、1999)、著書は『現代医学の大逆説』(工学社)など。
 いわゆるエイズ問題に関しては、科学技術と政治の境界に生じた社会病理現象と見て、80年代初めから観察を続けている。この分野の分析と論評は「エイズ立法化をめぐる動き」(『技術と人間』87年5月号)、「エイズ立法と厚生行政」(同、87年10月号)、「米国のエイズ行政パニック」(同88年3月号)、「謀略の“エイズウイルス”」(『サピオ』92年11月26日号)、「陰湿なワクチン開発競争は新たな怪物ウイルスを生み出す」(同92年12月19日号)、「『エイズ・ウイルス説』の大ウソ」(同93年7月22日号)など。


★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★ 

  AIDSと HIV感染症への栄養療法を掲載した
    主な米国の雑誌記事(1980年代〜99年夏)

★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
     [米国の主要雑誌を HIV&nutrition で検索。
        記事の表題は邦訳し執筆者名は省略した]


●1. 「米国食事療法学会の立場: HIV感染症に対する栄養面の治療的介入」
  (American Dietetic Association,Journal,Jan.1989,vol.89:6,p.839-841)
  [米国食事療法学会は栄養面での治療的介入と栄養指導が HIV感染症患者に施されるべきトータルケアの重要な一環であると宣言した。栄養療法は HIV感染症の全段階で必要である。]

●2.「 HIV感染症における栄養」
  (American Journal of Nursing,NOv.1989,vol.89:11,p.1146-1451)
  [栄養障害は免疫系を弱体化させるので HIV感染症における栄養療法は薬物療法と同じくらい決定的に重要だ。 HIV感染症患者は特有の栄養問題を抱えているので医療看護には食事療法がきわめて有効だ。]

●3.「 HIV感染症患者の疾患初期段階における栄養状態」
  (American Dietetic Association,Journal,Sep.1990,vol.90:9,p.1236-1241)
  [AIDS患者を2群に分け、それそれの栄養状態を16か月観察した結果、体重・体脂肪率・BMIの悪化が HIV感染者の栄養状態悪化を知る最も初期の指標になることが判明した。]

●4.「 HIV感染者における特定のビタミンおよびミネラル補給剤の使用の実態」
  (American Dietetic Association,Journal,Apr.1991,vol.91:4,p.476-478)
  [標本調査で HIV感染者の栄養剤摂取状況を調べたところ、AIDS発症患者・ HIV検査陽性者はビタミンCおよびEを大量摂取し、亜鉛や鉄分を大量摂取している者も多いことが判明した。]

●5.「編集者コラム:栄養と HIV」
  (Lancet,Jul.13,1991,vol.338:8759,86-87)
  [ HIVと栄養との関係を論じた編集者の論評。 HIV感染症 は患者の栄養摂取状態に悪影響を及ぼし、逆に栄養療法は HIV感染症の治療改善を助けることを指摘。]

●6.「南フロリダ在住の HIV感染者たちの栄養摂取への態度と実践」
  (American Dietetic Association,Journal,Jan.1993,vol.93:1,p.70-72)
  [ HIV陽性者はさまざまな事情で栄養摂取が困難になっていることが多いので、その援助に携わる医療看護者たちにとって栄養療法の実施は容易ではない。南フロリダの HIV感染者が栄養療法や各種の非通常療法をどう考えているかを考察した。]

●7.「ベータカロチンには強力な抗癌作用がある」
  (Better Nutrition for Today's Living,Mar.1993,Vol.55:3,p.10-12)
  [ HIV感染者の食事にベータカロチンを添加したところ免疫反応に改善が見られた。ベータカロチンの抗癌作用と抗 HIV効果について検討。]

●8.「 HIV感染症における栄養状態と体重減少の役割」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndrome,Jun.1993,vol.6:6,p.611-616)
  [ルワンダの首都キガリにおいて性生活の活発な女性たちを対象に、栄養状態と異性間 HIV感染の関係をケース・コントロール調査によって観察した結果、 HIV血清検査で陽性反応が出る前に統計上有意に体重減少が起きることが判明した。]

●9.「AIDSにおける栄養障害の好転に栄養補助とメゲストロール投与療法が果たす役割」
  (AIDS Patient Care,Jun.1993,vol.7:3,p.132-133)
  [ HIVに感染し、特に疾病が進んだ段階では、患者は栄養不良・体重減少・栄養障害に苦しむことになるが、栄養療法を施すことによって栄養不良状態が逆転し、生活の質が改善したAIDS患者の事例を報告した論文。]

●10.「飢餓、ホームレス、そして HIV:PWA(エイズ患者)対象の食事供給センターを訪れたホームレスたちの実態調査」
  (Journal of Nutrition Education,Jul.1993,vol.25:4,p.205-207)
  [家を失った人々は HIV感染やAIDSと薬物依存の両方の犠牲になることが多いし、栄養障害をこうむる事例も指数級数的に増えている。 PWA対象の食事供給センターを訪れたホームレスたちに実態調査を行ない、こうした境遇の人々の栄養状態を調べた。]

●11.「AIDSと栄養」
  (Prevention,Oct.1993,vol.45:10,p.28-29)
  [AIDS患者を延命させるには健全な食事が不可欠である。多くのAIDS患者は、AIDSそのものよりも、むしろ栄養障害のせいで死んでいる。AIDSケア栄養主導計画のための医師協会(The Physicians Association for AIDS Care Nutrition Initiative)は HIV感染者やAIDS患者が栄養障害の予防や克服ができるような栄養問題についての情報を提供している。]

●12.「 HIV感染者における栄養状態・病態進行・生存の相関関係」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes,Oct.1993,vol.6:10,1130-1138)
  [最新医療を受けている HIV血清検査陽性の外来患者の栄養状態と生存の相関を調べた。]

●13. 「AIDSファイル:食事でAIDSを食い止めることができるか?」
  (American Journal of Nursing,Oct.1993,vol.93:10,p.12)
  [ HIV感染者は栄養学的に健全な食習慣によってAIDSの発症を遅延させることが可能であることを調べた疫学調査。この研究者はビタミン大量投与は勧めていない。]

●14. 「基本にかえれ: HIVとAIDSと栄養」
  (Let's Live,Nov.1993,vol.61:11,p.73-74)
  [ HIV感染者のうちどれだけの患者が最終的にAIDSまで発症することになるかは予想できないけれども、 HIV検査陽性者なのにもう何年もAIDSの兆候がまったく現れていない人達は確かに存在している。栄養状態は患者の免疫系の機能に大きな影響を及ぼしており、栄養療法は HIV治療プログラムに重要だ。]

●15. 「 HIV疾患における栄養の欠乏」
  (AIDS Patient Care,Dec.1993,vol.7:6,312-313)
  [ HIV感染症における栄養欠乏の問題を検討。栄養の改善によって、 HIVによって引き起こされた細胞免疫の損傷を好転させることは観察できなかったが、患者の生活の質を改善できることが確認できた。]

●16.「AIDSの発症を遅らせる」
  (Prevention,Jan.1994,vol.46:1,p.28)
  [基礎栄養の充実によってAIDSの発症を遅らせることが出来る可能性が、研究で判明した。栄養状態を追跡した HIV陽性者 296人のうち、日常のビタミン摂取量が少ない31%がAIDSを発症した。]

●17.「主流医療の外側で:AIDSに対する“オルタナティヴな栄養療法”」
  (Nutrition Forum,Jan.1994,vol.11:1,p.1-7)
  [93年11月4日にニューヨーク市で開催された「HIV/AIDSのためのオルタナティヴな栄養戦略会議」の注目事項を紹介。会議参加者たちは、HIV/AIDSの治療における栄養剤を使った治療法や、ビタミンC大量投与の安全性、抗酸化剤の無効性、薬草療法の有効性などを論じた。直接的AIDSオルタナティヴ情報ソース(Direct AIDS Alternative Information Sources) についても簡単に紹介している。]

●18.「AIDS患者のための免疫増強剤としてのベータカロチン」
  (Environmental Nutrition,Jan.1994,vol.17:1,p.8)
  [最新の研究でベータカロチンがAIDS治療に有効であることが示唆された。 HIV患者にベータカロチンを投与したところ免疫細胞が増強されることが判明した。]

●19.「アロエヴェラを用いた治療」
  (Better Nutrition for Today's Living,Mar.1994,vol.56:3,p.52-55)
  [薬草アロエヴェラの薬効を論じた記事。アロエの抽出液は火傷・凍傷・創傷の治療に有効だが、 HIVの細胞間拡散を阻止する AZTの働きを増強させる作用も期待できる。]

●20.「 HIVによる激やせ:消耗の悪循環をどうやって断つか」
  (American Journal of Nursing,Jun.1994,vol.94:6,p.18-25)
  [激やせと消耗の悪循環に落ち込んだAIDS患者を救うために医療関係者ができる治療措置を論じた。栄養障害と消耗は、明らかに HIV感染の初期から始まっている。TPA(完全非経口栄養法)は安易に導入すべきではなく、腸が基本的な栄養剤すら吸収できなくなってから初めて使うべきだ。]

●21.「ビタミンは真性AIDSの発症を抑制できる可能性がある」
  (Better Nutrition for Today's Living,Jul.1994,vol.56:7,p.24)
  [最近の研究によれば各種ビタミンを栄養剤で補給している HIV感染者はAIDSを発症しにくい傾向があることが判明した。ただしこの研究ではビタミンが HIV感染で減ってしまったCD4細胞を増強できる可能性は確認できなかった。]

●22.「米国食事療法学会とカナダ食事療法学会の立場: HIV感染症に対する栄養面の治療的介入」
  (American Dietetic Association,Journal,Sep.1994,vol.94:10,p.1042-1045)
  [米国食事療法学会とカナダ食事療法学会は栄養面での治療的介入と栄養指導が HIV感染症患者に施されるべきトータルケアの重要な一環であると宣言した。栄養療法は HIV感染症の全段階で必要である。]

●23.「栄養: HIV感染症の帰趨を左右する共働因子」
  (American Dietetic Association,Journal,Sep.1994,vol.94:10,p.1018-1022)
  [栄養状態が HIV感染症の帰趨を左右する( HIVに匹敵する)共働因子かどうかを確認するために、栄養状態・感染症の進行のしかた・免疫系の機能不全の3つの相互作用を調べた。その結果、栄養状態が HIV感染症の進行に決定的な役割を担っている証拠が得られた。]

●24.「成人の HIV検査陽性の外来患者に栄養療法を施した結果、体重の状況に改善が認められた」
  (American Dietetic Association,Journal,Sep.1994,vol.94:10,p.1014-1017)
  [栄養障害は、 HIV感染症がもたらす重大な結果であり、AIDSを診断するうえでの確固たる指標となる。 HIV検査陽性の成人外来患者の体重に栄養療法がおよぼす効果を測定するために行なった研究の報告。]

●25.「深刻な体重減少はAIDSに必然の症状ではない」
  (USA TODAY:The Magazine of the American Scene,Oct.1994,vol.123:2593,p.9-10)
  [ HIV感染者の急性および慢性の病的体重減少を阻止しうる適切な栄養管理について論じた。いくつかの研究により、各種のビタミン剤と組み合わせた健全な食事を摂取すればAIDSの発症を遅らせることができるとと判明した。]

●26.「 HIV感染症が休止エネルギー消費量におよぼす影響」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes,Oct.1994,vol.7:10,1025-1027)
  [休止エネルギー消費量に影響を及ぼすようになるのは HIV感染症のどの段階かを突き止めるために行なった研究の報告。 HIV感染症の中期において休止エネルギー消費量に一大変化が起きるが、これに着目すれば効果的な早期栄養療法が可能になる。]

●27.「ブロワード郡における HIV感染者たちの栄養知識」
  (AIDS Patient Care,Oct.1994,vol.8:5,279-281)
  [ HIV感染者にとって有益な基本的栄養知識を感染者たち自身がどれだけ知っているかを見定め、栄養カウンセラーが業務上必要となる情報をつかみ、栄養指導教室の教育効果を確認するために、フロリダ州ブロワード郡の HIV感染者に実施した調査の結果報告。]

●28.「経腸的な栄養供給と、生活習慣の治療的矯正: HIV患者における“激やせ症候群”治療の重要性」
  (AIDS Patient Care,Feb.1995,vol.9:1,p.18-19)
  [肉体の実質部分、特に“赤身の身体組織”の消耗は、 HIV感染症の進行具合を示す主要な症状である、適切な栄養と運動で“赤身の身体組織”を増強することによって、 HIV感染者は栄養障害や“激やせ”を回避しうる可能性がある。]

●29.「奇跡を呼ぶマイタケ」
  (Better Nutrition for Today's Living,Mar.1995,vol.57:3,p.50)
  [キノコの一種であるマイタケは、動物に食べさせる実験で強力な抗癌作用を有していることが判明した。また、高血圧・便秘症・糖尿病・ HIV感染症にも効果があることが判明した。マイタケの薬効についても紹介。]

●30.「 HIV患者は栄養方程式に騙されている恐れがある」
  (American Journal of Nursing,Mar.1995,vol.95:3,p.12)
  [ HIV感染者に必要なカロリー摂取量は、標準的な計算式で求めた場合には、不適切な数値が出てくる恐れがある。ハリス・ベネディクト方程式は、 HIV観戦者の必要なカロリー量を計算した場合に、一貫して必要量よりも少ない数値を出すことが判明した。]

●31.「 HIV感染症やAIDSのせいで外出できない患者のための“食事配達計画”」
  (American Dietetic Association,Journal,Apr.1995,vol.95:4,p.476-481)
  [ HIV感染症やAIDSのせいで外出できなくなった患者に、こうした患者むけに必要な栄養を揃えた特製の食事を配達する地域事業が17地域ですでに実施されている。多くのAIDS患者は生涯にわたってこうした食事サービスが必要となるだろうから、臨床栄養士や栄養指導士はこうした地域事業をよく理解して、必要に応じて患者に紹介する必要がある。]

●32.「 HIV感染者とAIDS患者に食事と医学的栄養療法と教育を提供することを目的に、栄養士が主導し、地域を拠点として役所の垣根をこえて行なわれている事業計画」
  (American Dietetic Association,Journal,Jun.1995,vol.95:6,p.683-686)
  [4つの地域の役所が一致協力して「 HIV患者のための食事宅配・訪問看護サービス事業」(Visiting Nurse Service HI V/Home Delivered Meals Program)を立ち上げた。この事業では50人の HIV感染者およびAIDS患者に6か月にわたってサービスが提供されることになっている。]

●33.「複数のリスク要因を抱えた、スラム街に住む HIV感染者の、栄養状態・臨床的疾患状態・免疫状態の測定評価」
  (American Dietetic Association,Journal,Jun.1995,vol.95:6,p.655-660)
  [複数のリスク要因を抱えた、スラム街に住む HIV感染者の、栄養状態・臨床的疾患状態・免疫状態の測定評価を行なうために、 HIV感染者を対象に予見的・横断的な栄養評価を実施した。]

●34.「男性同性愛者のコホート集団における栄養摂取状況の分析」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes & Human Retrovirology,Jun.1,1995,vol.9:2,p.162-167)
  [ HIV血清検査で陽性および陰性の結果が出たが、まだAIDSが発症していない男性同性愛者たちを対象に、栄養摂取状況の調査を実施した。陽性者の集団では、CD4細胞の血清内含有量が 200個以上の者と 200個未満の者で、カロリー摂取量に統計上の有意差がなかった。]

●35.「 HIVに感染した患児のための胃瘻造設による経管栄養供給法」
  (Pediatrics,Oct.1995,vol.96:4,696-702)
  [経口的な栄養摂取がもはや不可能になった HIV感染症の患児に、胃瘻造設による経管栄養供給法を行なうと、体重と体脂肪の状態を改善することができる。カロリー摂取量の増加と、体重の増加には符合が認められた。]

●36.「栄養教育が HIV感染者の栄養知識・食生活観・食事行動におよぼす衝撃的な影響」
  (AIDS Patient Care,Oct.1995,vol.9:5,p.249-251)
  [栄養教育が HIV感染者の栄養知識・食生活観・食事行動におよぼす衝撃的な影響を見極めるために実施した調査の結果報告。教育を行なった実験群のほうが、行なわなかった対照基準群よりも、獲得した知識と食生活態度の改善が統計上有意に向上していた。]

●37.「 HIV感染症患者に対する高カロリー高タンパク液剤による経口栄養補給:2次感染症の発症と体重の状況との関係」
  (American Dietetic Association,Journal,Apr.1996,vol.96:4,p.337-341)
  [ HIV感染症患者に対する高カロリー高タンパク液剤による経口栄養補給と栄養カウンセリングが、2次感染症の発症の有無や体重の状況とどれほど関係しているかを調べた研究の結果報告。]

●38.「 HIV感染症における栄養障害と闘う」
  (AIDS Patient Care & STDs,Apr.1996,vol.10:2,p.94-100)
  [ HIV感染症患者にとって栄養補給は致命的に重要である。栄養障害は HIV感染症につきものの普遍的な問題になっている。今のところ HIV感染者の激やせを阻止するためにステロイド剤やホルモン剤の投与が行なわれている。]

●39.「 HIVに感染した成人異性愛者たちの微量栄養素の摂取状況」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndrome & Human Retrovirology,May 1,1996,vol.12:1,p.75-83)
  [各種の微量栄養素が免疫機能に路決定的な関与をしていることは、これまでの実証的研究から否定しようがない。 HIV-1の異性間伝播を調べるための研究に参加していた、血清検査で陽性結果がでた HIV-1感染者の男女64人と、陰性結果がでた比較対照用の33人について、ビタミン補充剤の服用状況と循環血中の22種類の微量栄養素およびグルタチオンの濃度を測定した。]

●40.「症候性の HIV感染症にかかった患者が強化栄養を摂取したのちに観察できた体重増加と、腫瘍壊死因子(TNF) レセプター蛋白の濃度上昇」
  (American Dietetic Association,Journal,Jun.1996,vol.96:6,p.565-569)
  [ある種の栄養素や食餌成分が免疫系の調節物質として働いているかどうかを見極め、免疫系に障害をこうむった患者たちの栄養状態を改善するために行なった研究の結果報告。強化栄養を与えることによって患者たちの体重を増加させ、赤血球の細胞膜へのエイコサン酸の取り込みや血漿中のアルギニン濃度の上昇を成し遂げることができた。]

●41.「 HIV検査陽性者のための栄養面でのケア」
  (American Journal of Health Studies,1997,vol.13:3,p.128-132)
  [体重と“赤身の身体組織”の喪失は HIV検査陽性者の特徴的な症状である。この深刻な“激やせ”を予防できれば、死亡の危険性を低減させて生活の質を増進することができる。 HIV検査陽性者のための栄養面でのケアを改善するための指針を提示している。]

●42.「マイタケの抽出物は重要な抗癌剤である」
  (Better Nutrition,Mar.1997,vol.59:3,p.38)
  [マイタケの抽出物が発揮しうる健康増進効果のいくつかを論じた。マイタケは HIV感染症やAIDS、癌などの猛攻撃から身体をしっかりと守り、免疫系に力を与え、体重喪失から身体を救うことが期待できる。]

●43.「 HIV感染症やAIDSの患児のための栄養面での支援」
  (American Dietetic Association,Journal,May.1997,vol.97:5,p.473-474)
  [ HIV感染症やAIDSの患児のための栄養面での必要な支援内容を論じたもの。一般にこうした患児は高カロリー高タンパクの栄養分が濃縮された食物を必要としている。

●44.「 HIV患者の高い死亡率はセレンの欠乏と関係している」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndrome & Human Retrovirology,Aug 15,1997,vol.15:5,p.370-374)
  [ HIV-1感染者の生存に単独で寄与している具体的な免疫学的・栄養学的要因を見極めた。セレンの欠乏状況を見るだけでも HIV感染者の生存の可否を予測することが可能である。]

●45.「 HIV感染者のための栄養看護」
  (American Journal of Nursing,Oct.1997,vol.97:10,p.62 -65)
  [最近の研究によって、栄養不足と HIV感染症の進行とのつながりが確認された。 HIV感染者を助けるための重要な手がかりが栄養面での援助にあることを解説している。]

●46.「 HIV感染症と医学的栄養療法」
  (American Dietetic Association,Journal:Best of the DPG Newsletters Supplement, Oct.1997,vol.97:10,p.S161-S166)
  [ HIV感染者の栄養障害は、拒食症・体内の異化作用・慢性的な感染症・発熱・栄養摂取障害・吐き気・おう吐・それに薬物の副作用など、さまざまな原因で起こる。]

●47.「 HIV感染患児の栄養状態を知る目安となる血清および血漿中の指標物質」
  (American Dietetic Association,Journal,Dec.1997,vol.97:12,p.1377-1381)
  [血清および血漿中の蛋白質および各種微量栄養素の濃度低下は、 HIV感染患児に共通して認められる現象か? 発達遅滞を起こしている患児は、それらの血中成分の濃度は通常の発達をしている患児と違うか? こうした疑問に答えるために調査を行なった結果、 HIV感染患児の血清や血漿中の蛋白質や各種微量栄養素が異常値を示すことは、たとえ発達遅滞の子供であっても滅多にないことが判明した。]

●48.「女性における HIV-1の感染は、深刻な栄養欠乏状態と関係している」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndrome & Human Retrovirology,Dec 1,1997,vol.16:4,p.272-278)
  [栄養不足は免疫系の調節不全をもたらす恐れがあり、現に栄養失調の状態が HIV-1感染症の病態進行を正確に反映する指標になっていることがすでに実証されている。ただし、 HIV-1検査陽性の薬物乱用者については、まだ判断の根拠にできる情報がきわめて限られている。]

●49.「中鎖トリグリセリドと酵素によって加水分解した蛋白質を含んだ基礎栄養食は HIV感染者の胃腸の耐性を改善する」
  (American Dietetic Association,Journal,Apr.1998,vol.98:4,p.460-462)
  [ HIV感染者が、栄養素を最大限に摂取できるよう工夫された完全栄養の基礎栄養食品を経口摂取した場合の、胃腸の耐性と脂肪の吸収を定量的に測定した研究の結果報告。]

●50.「栄養障害を起こした HIV感染者に、栄養カウンセリングを実施して経口的栄養補給を行なった場合と、栄養補給を行なわなかった場合を比較した、無作為設定による条件統制実験」
  (American Dietetic Association,Journal,Apr.1998,vol.98:4,p.434-438)
  [栄養障害を起こした HIV感染者に、栄養カウンセリングを実施して経口的栄養補給を行なった場合と、栄養補給を行なわなかった場合を比較して、栄養カウンセリングの効果を評価したところ、いずれの場合も患者のカロリー摂取量をおよそ50%も増加させることができた。]

●51.「 HIV感染症における特定のビタミンの効用」
  (AIDS Patient Care & STDs,Apr.1998,vol.12:4,p.263-273)
  [患者の血清中の微量栄養素の濃度が HIV感染症の自然経過にはたす役割を、既発表文献を再検討することで見極めた。特に注目したのはビタミンB12・E・Aおよびベータカロチンで、これらのビタミンのうちの一種類以上が欠乏すると HIVの病態進行が加速され真性AIDSの発症が促されることが判明した。これまでたいていの研究者は血清中の各種微量栄養素の濃度をビタミンの栄養充足状態を知る目安に用いてきたが、血清中の物質濃度はビタミンの充足状態を知るには検査感度も検査特異性もつねに満足がいく指標とはいえない。]

●52.「微量栄養素と HIV感染症」
  (AIDS Patient Care & STDs,Apr.1998,vol.12:4,p.249-250)
  [ HIV検査陽性者は栄養障害に陥りかねない特殊事情を抱えている。 HIV感染症の闘病に役立つ微量栄養素の効用を解説した記事。]

●53.「セレンの欠乏に陥った HIV検査陽性患児の死亡リスク」
  (Journal of Acquired Immune Deficiency Syndrome & Human Retrovirology,Apr 15,1999,vol.20:5,p.508-513)
  [小児の HIV感染の場合、血漿中のセレン濃度が欠乏をきたしていると、それだけで死亡を予測しうる先行指標になる。セレン欠乏は病態の進行加速と関係があるようだ。]

●54.「 HIV感染症やAIDSの患者の生活の質と、プロテアーゼ阻害剤による化学療法実施中の栄養状態の総合的維持を、重視すべきである」
  (AIDS Patient Care & STDs,Jul.1999,vol.13:7,p.427-433)
  [この調査ではプロテアーゼ阻害剤の投薬治療の開始前と開始後の、 HIV感染症およびAIDSの個々の患者の“生活の質”・各種の生化学的指標・栄養状態の各種指標を比較検討した。 HIV感染症やAIDSと診断された45人の男女に電話面接で生活の質をたずねた。]





フォローアップ:



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。