MP3ファイルと音楽著作権をめぐる泥沼の争い

 
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投稿者 佐藤雅彦(CNETニュースからの引用記事構成) 日時 2000 年 4 月 28 日 00:51:14:

●米国では「MP3」式ファイルのダウンロードによるインターネット時代の音楽入手方法が普及するに伴って、音楽著作権の保護と楽曲公開をめぐって、一般ユーザー(リスナー)・新旧の音楽制作配給産業・ミュージシャンが複雑に入り組んだ争いを繰り広げている。
●最新の『CNET Japan Tech News』によれば、この争いでついに一般ユーザー(しかも最極貧の学生連中)が著作権侵害訴訟の標的になりそうな様相だという
●この問題については、先日、ヘヴィーメタル・ロックバンドの代表格であるメタリカが著作権侵害訴訟を起こしたので、気にはなっていたのだが、なにぶん小生の利害関心外の出来事だったので、無視していた。しかし「億万長者のミュージシャン」が貧乏リスナーを狙い打ちにし始めたとすれば、それは見当違いなんじゃないか、という印象を持ったので、とりあえず配信先『CNET Japan Tech News』から関連記事を辿り、最近の動向を見てみることにした。
●余談……。個人的な印象から言えば、小生はメタリカを、プロ意識の高いロック・アーティストとして一目置いてきた。ペルシャ湾岸戦争の時に、英国でも米国でも、対イラク軍事攻撃を批判したり冷笑する音楽は検閲を受けて次々と放送禁止になったものだった。85年前後には英米のロック業界とアーティストたちが「We Are The World」を頂点とするチャリティーイベント風“慈善ビジネス”を次々と実施して大いに盛り上がったものだったが、それからほんの数年後に“反戦的な歌声”を徹底弾圧するという試練が突然訪れ、歌声喫茶的運動――といっても米国の連中は知らんだろうが――が単なる“馴れ合い商法”だったのか“政治的表現行為”だったのか、その真価を示すべき局面に立たされたのである。このとき、米国の保守ポピュリズム志向のロックおよびポップミュージシャンや映画俳優たちは、米軍のイラク侵攻を讃える応援ソングを「We Are The World」ふうに合唱したものだった。若干のミュージシャンは反戦を歌ったが、たいていはかなり表面的なもので、放送禁止圧力に容易に屈してしまったものである。こうした情けない状況のなかで、もっともインパクトのある反戦メッセージを発信していたのはメタリカが歌う「ONE」という作品だった。これは厭戦映画の名作であり問題作でもあった「ジョニーは戦場へ行った」を題材に、意気揚々と戦場に赴く若者の馬鹿さ加減と、それを歓迎する銃後の“善良なる庶民”の犯罪性を告発した、文字通りヘヴィーなテーマを歌ったものである。(ちなみに角川文庫から出ている『ジョニーは戦場へ行った』の簡単なデータは次のとおり――ドルトン・トランボ作・信太英男訳、Dalton Trumbo (1905〜1976) 、戦場で砲弾にあたり、目、鼻、口、耳をそぎとられ、両脚、両腕まで切断されたジョニーが過去から現在、現在から未来へとめぐらす想念…。発禁にあいながら反戦の想いをこめて版を重ねた問題作。 )

●以下に『CNET Japan Tech News』から引用させていただいた、MP3と音楽著作権がらみの最近のニュースを、過去にさかのぼる形で紹介しておく。

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★2000/4/26★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
   
  『Napster』使用で学生が訴訟の標的に?
      By John Borland/日本語版 矢倉美登
          Wed 26 Apr 2000 13:20 PT

 MP3音楽ファイル交換ソフト『Napster』を巡る訴訟が増えており、それに伴って、このソフトを利用することにより法律に違反しているおそれのある大学生たちに注目が集まっている。

 自分の作品を盗まれたとして怒るアーティスト数人が、学生に対する訴訟を起こしている(英文記事)。学生の名前はまだ特定されていないが、訴訟を起こした初めてのアーティストであるドクター・ドレ(Dr. Dre)とメタリカ(Metallica)の弁護士によると、もっと情報を得られれば、訴状に名前を追加する可能性もあるという。
 著作権を侵害した者を特定するのが難しいため、今回の訴訟は実際的なものではなくなる可能性もある。だがこの展開に一部の学生は憤慨し、「億万長者のミュージシャン」が比較的貧乏なファンを標的にしたことを非難している。一方、今回の動きを「脅し戦略」と呼ぶ声も法曹界にはある。

 「麻薬組織ではなく麻薬使用者を捕まえようとするようなものだ。世界中の麻薬使用者を一人残らず捕まえることもできるが、そんなことをしても問題はなくならない」と、シカゴにあるジェンケンス&ギルクリスト法律事務所の著作権専門弁護士、ロン・クーリーは言う。

 だからといって、この戦略が失敗に終わるということではない。すでに最初の訴状のなかで名前を挙げられたいくつかの有名大学は、校内でのNapsterの使用を禁止もしくは制限し、訴えられる危険性を回避することを選んだ。他の大学も、自分たちがやり玉に挙げられる前に、急いでこの例に倣おうとしている。

 Napsterや、増え続ける競合ソフトウェア・プログラムは、オンライン音楽への対応を急ぐレコード業界を震撼させている。Napsterソフトウェアを利用すると、自分のコンピューターをネットで何千人ものコンピューターに直接接続し、楽曲などのファイルをすばやく交換できる。

 このアイデアが大学生のあいだで人気を呼んだ。学生は高速ネット接続を利用できる環境にあることが多く、音楽ライブラリーを作る暇もある。数十万人が常にオンラインでNapsterを利用し、数十万の楽曲を共有している。その中には、著作権があるものが多い。

 だがこれまでのところは、学生を含む個人利用者は、おおむね直接的な報復を受ける心配もなく、NapsterやNapsterのクローンソフトを利用してきた。このシステムは匿名性があるので、追跡は無理だと信じている人が多いのかもしれないし、自分の行為は訴えられるおそれがあるということに気付いていない人もいるかもしれない。

 特定のNapsterユーザーの追跡技術はまだほとんど試されていないが、システム管理者によると、個人を特定することは可能だという。
 「もし全米レコード工業会(RIAA)に、特定の時間に特定の(インターネット・プロトコル)アドレスを使っているユーザーは誰かと訊ねられれば、われわれがその人物を見つけるのはまったく可能だ」と、サンタバーバラにあるカリフォルニア大学のネットワーク管理者、ケビン・シュミットは言う。

問題の根源
 RIAAは率先してNapsterの利用を止めさせようとしているが、RIAA自身のイメージ低下を恐れていることもあって、表だって個人を標的にすることは控えている。代わりにRIAAは、大学で教育キャンペーンを行なっている。キャンペ ーンは、ウェブ上の海賊版MP3サイトの数を減らすのに役立っているという。

 複数の弁護士によると、自分のパソコンに数曲をダウンロードする何百万という人々を標的にしようとするのは、パンドラの箱を開けるようなものだという。特定のアーティストの著作権を侵害している個人を追跡するのは、金と時間がかかり、オンライン・ハッカーを追跡するのと同じような、コンピューターによる厖大な追跡作業が必要になるだろう。

 「レコード業界にとっては困難な仕事だ。著作権を侵害している個人を突き止めようとすれば膨大な量の作業が必要になる」と言うのは、サンフランシスコにあるフィリップス&アールワイン法律事務所の著作権専門弁護士、デビッド・ギブン。

 こうしたコンピューター科学捜査は、米ナップスター内のネットワークログを調べることで一部可能になる。だがこれは、個々人のセッションにどれくらい情報が記録されているかに左右される。ナップスターによれば、ユーザー同士が同社のサーバーを通さずに直接接続すれば、ログにはこの種のデータは残らないという。

 だが、ナップスターとまったく関係なく調査を進めることもできる。Napsterソフトを使えば、2人の人間が互いのIPアドレス(ネット上で個々のコンピューターを識別する一連の数字)を知ることができるからだ。メタリカやドクター・ドレの弁護士、あるいは他の誰でも、Napsterソフトを使ってある種のおとり捜査を行ない、著作権のある曲をダウンロードもしくは配布しようとした者のアドレスを突き止めることができる。

 突き止めたアドレスについて大学に問い合わせ、大学の記録を通して特定の学生のマシンまで突き止めることもできそうだ。
 だがたとえ個人を特定できても、学生が損害賠償を払えるだけの金を持っているとは思えない。特定のミュージシャンの曲をわずか数曲盗んだ個人に対して損害賠償を求める判決を下すよう、裁判官を説得できたとしてもだ。

 メタリカとドクター・ドレの代理人であるロサンゼルスの弁護士、ハワード・キングによると、今のところこうした問題は後回しになっているが、あとで前面に出て来ないとは限らないという。

 「今は学生を追及することに力を注いでいるわけではない。だが技術的に可能であることが分かれば、大学の最終試験に備えて勉強する代わりに、何千という曲をダウンロードしている人間がいることが判明する。われわれが追及しているのは、こうした人間だ」

業界の警告
 こうした障害があるにもかかわらず、音楽業界には他の者への見せしめにしようと個人の違反者を追及してきた歴史がある。
 
ラジオ局などにライセンスを供与する米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)ならびに米放送音楽協会(BMI)は、パーティーや公演のためにライセンスもとらずにレコードなどの録音物を利用した複数の個人DJに対して、訴訟を起こしてきた。

 一部の弁護士によると、たとえ違反が比較的小規模なばあいでも、いったん訴えられれば個人が抗弁するのは難しいという。
 「商業目的でなければ、裁判官に違法行為だと納得させるのはさらに難しい。だが法律は法律だ。著作権保有者と出版者が、力のある立場から働きかけていることははっきりしている」とギブンは言う。

 だが学生はこうしたメッセージを受け取っているのか?
 まだだという声が多い。Napsterの利用を禁止する大学は増えてきているが、学生は抜け道を見つけるか、米スカウア・ネット(Scour.net)の『Exchange』や『Gnutella』といった、Napsterと競合するプログラムを利用している。

 「人々を止めても、それで音楽がダウンロードされるのを防げるとは思わない」と南カリフォルニア大学(USC)1年生のジョン・バースックは言う。「皆、もっと用心深くなって、自分のパソコンにドクター・ドレの曲があるのを見つからないようにするかもしれない。だが私は、学生が訴訟を気にしているのを聞いたことがない」


日本語版関連記事
・ナップスター、ミュージシャンの要求をものともせず
・ミュージシャンがナップスターと3大学を提訴
・『Napster』よりやっかいなオープンソースの『Gnutella』
・『Napster』使用禁止と闘う学生たち

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★2000/4/20★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

  ナップスター、ミュージシャンの要求をものともせず
      By John Borland/日本語版 中嶋瑞穂
         Thu 20 Apr 2000 13:20 PT

 大規模な著作権侵害を懸念するアーティストからの圧力が強まるなか、『MP3』音楽ファイル交換ソフトウェアメーカーの米ナップスターは全く動じていない。
 ラップアーティストのDr.Dreは今週、ナップスターに対し、同社のサービスから自分の作品を削除するよう要求し、それがなされない場合には法的措置をとるという最後通牒(英文記事)を出した。ナップスターの弁護士は20日(米国時間)、同社は要求を認めることはできず、ミュージシャンから、誰かが不法に楽曲をやり取りしていると言う申し立てが合った場合にそれをブロックすることしかできないと述べた。

 「ナップスターは今後、著作権の保有者が、自分の著作権を侵害していると認めた人のアクセスを閉鎖する」と、ナップスターの代理人、米フェンウィック&ウェストのローレンス・パルグラムは言う。「われわれはDr.Dreにそのように伝えた。今後、Dr.Dreがどうするかは、本人たちの自由だ」

 この対応はミュージシャンにはあまり喜ばれてはいない。Dr.Dreの代理人、ハワード・キングは、ナップスターの対応を「滑稽」だとしている。キングは、ハードロックバンドのメタリカ(Metallica)がナップスターを訴え、現在係争中の訴訟でも、メタリカの代理人を務めている。

 ナップスターの対応により、レコード業界はまたもや法的行動を取ることになりそうだ。レコード業界はすでに、法廷で命懸けの争い(英文記事)を繰り広げている。
 ナップスターの音楽ファイル交換サービスは、個々のユーザーがインターネット上で自分のMP3音楽コレクションを公開し、他のコミュニティー・メンバーのマシンから直接楽曲をダウンロードできるというもの。ここ数ヵ月でこのサービスは莫大な人気を得て、いつでも数千人のユーザーがオンライン接続し、数十万の楽曲が入手可能となっている。

 しかし、レコード業界や一部のミュージシャンはこれに対して激怒し、『Napster』はポイント&クリックで著作 権侵害を行うツールに過ぎないと述べている。全米レコード工業会(RIAA)は昨年末、Napsterの停止を求めて訴訟を起こした。この訴訟はまもなく、最初の判決が出る予定だ。

 ハードロックバンドのメタリカも先週末、ナップスターと3大学を提訴した。メタリカは、これらの大学が学生によるNapsterソフトの違法使用をけしかけたのだとしている。3大学の1つ、エール大学はそれ以来キャンパス内でのNapsterの使用を禁止し、メタリカは同大学に対する提訴を取り下げた。

 Dr.Dreとメタリカの代理人を務めるロサンゼルスの弁護士、ハワード・キングは、これらの訴訟により、音楽業界では人々の関心がかなり高まったと言う。Dr.Dre以外にも、自分で訴訟を起こしたり、メタリカの訴訟に加わったりするミュージシャンが現れることになりそうだと、キングは言う。

 「われわれは他のアーティストたちと何度も連絡をとっている」とキング。「今後数週間に訴訟を起こすアーティストが出てこないとすれば、そちらの方が驚きだ」

日本語版関連記事
・ミュージシャンがナップスターと3大学を提訴
・『Napster』よりやっかいなオープンソースの『Gnutella』
・『Napster』で音楽ソフトや映画を無料配信するハッカープログラム
・『Napster』使用禁止と闘う学生たち

★2000/4/13★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

   ミュージシャンがナップスターと3大学を提訴
     By John Borland/日本語版 寺下朋子
        Thu 13 Apr 2000 16:35 PT
 
ヘビーメタルバンドのメタリカ(Metallica)が13日(米国時間)、同バンドの著作権を著しく侵害したとして、『MP3』音楽ファイルの交換ソフトウェアを作った米ナップスターと、3つの大学を訴えた。

 人気の高い音楽交換ソフトウェアが違法に使用されているとして、新興企業のナップスターが訴えられるのは、これで2度目だ。だが、学生がナップスターのサービスを利用することに制限を加えようとしてきた大学が法廷での争いに巻き込まれるのは初めてのことだ。

 「ナップスターは大規模な海賊行為を基盤に事業をおこした」とメタリカの訴状は述べている。「それを助長したのが、進行中の狡猾なこの窃盗行為を簡単に阻止することができたはずの偽善的な大学だ」

 13日の訴訟は、『Napster』や類似のソフトウェアにまつわる問題をさらに拡大するものだ。こういったソフトウェアによって、ほんの数ヵ月で海賊版音楽のオンラインチャンネルがいくつも生まれた。

 ドイツでは12日、米アメリカ・オンライン(AOL)その他のインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)はドイツ国内で海賊版音楽を横行させたことに対する責を負うべきだという判決が下った。だが、今のところ米国のISPこのような責任を問われてはいない。

 Napsterのソフトウェアを使う音楽ファンは、自分のハードディスクの一部をNapster利用者に公開し、ダウンロードして保存してあったMP3ファイルを共有できる。常に何十万人もの人がオンラインでさまざまな音楽を共有していることになるが、こういった音楽の多くは、著作権所有者の許可を得ずに違法にダウンロードされたものだ。

 すでに全米レコード工業会(RIAA)が、音楽ファイルの交換を容易にすることで大規模な著作権侵害を招いているとして、ナップスターを訴えている。
 この訴訟は今週判決が出る予定だったが、担当の連邦判事は判決を延期した。


 ナップスターは、いかなる音楽もホストしていないと主張し、ISPはそのサービスを通じて違法なデータが送られた場合でもその責を問われないとする連邦法の著作権規定により保護されているはずだと語っている。ナップスターの弁護士によれば、同社は、一部の個人がNapsterを使って著作権のある音楽を大量に交換するのを阻止してきたという。

 ナップスターの弁護士は13日の訴えに対し、メタリカ側は和解の努力をせずに訴えを起こしたと語ったが、それ以外のコメントは出さなかった。
 「プレスリリースや提訴の前に、話し合いの打診はなかった」と、ナップスターの弁護士である米フェンウィック&ウェストのローレンス・パルグラムは語った。
 メタリカの訴訟は、海賊行為の共犯としてエール大学、南カリフォルニア大学(USC)、インディアナ大学をも訴えたことで、法律上の論争に新たな展開を与えた。
 「各大学は、帯域幅が不足する可能性があることだけが問題だとして、Napsterへのアクセスを禁止しないことを選んだ」と訴状には記されている。「帯域幅が足りなくなるとすれば、それは、現在広く行なわれているミュージシャンの知的所有権の侵害によるものだとはっきりしていたにもかかわらず」

 USCはインタビューに対し、まだ訴状を見ていないのではっきりしたコメントはできないと答えた。だが弁護士によれば、大学はISPのような働きをしているため、学生のインターネット利用を検閲したりはしないという。

 Napsterのユーザーの中には、自分たちの行為に対する訴訟に次第にわずらわしさを感じている人もいる。ユーザーは、自分たちがこのサービスを利用することによって、ミュージシャンは新しいリスナーを獲得できるのだと弁解している。

 「ミュージシャンには、純粋に音楽という芸術のためにやっている人たちと、金のためにやっている人たちがいる。メタリカは、自分たちがそのどちらなのかを示してしまった」と、Napsterのオンラインコミュニティーの掲示板を運営しているマサチューセッツ州ヘーバビルの学生、ウェイン・チャンは言う。

 メタリカの弁護士は、賠償金は違法コピー1曲につき10万ドルの計算で、総額1000万ドルを超える可能性があると言う。訴状はカリフォルニア州連邦地裁に提出された。


日本語版関連記事
・『Napster』よりやっかいなオープンソースの『Gnutella』
・『Napster』使用禁止と闘う学生たち

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★2000/4/10★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

   『Napster』よりやっかいなオープンソースの『Gnutella』
         By John Borland/日本語版 中嶋瑞穂
             Mon 10 Apr 2000 12:40 PT

 10日朝(米国時間)、『G nutella』(グヌーテラ)に取り組むオープンソース・コミュニティーを結集するための新ポータルが開設された。Gnutellaは、誰でも自分のコンピューターで海賊版音楽が作れる、人気のファイル交換ソフトウェアだ。

 Gnutellaはオンライン音楽共有プログラム『Napster』(ナップスター)に似ているが、違法コピーされたMP3音楽ファイルからおばあちゃんのパイの秘伝レシピまで、デジタルフォーマットならどんなものでも交換できるのが特徴だ。

 Gnutellaプロジェクトは、米アメリカ・オンライン(AOL)が所有する米ナルソフトのプログラマーたちが始めた(英文記事)ものだが、「無許可の」開発計画を発見したAOLはこれを中止させた。しかし、AOLが行動を起こす前にこのソフトウェアはインターネットに逃げ込み、インターネット中のオープンソース・プログラマーが、オリジナルのGnutellaと同じように動く独自の「クローン」を開発し出したのだ。

 「現在、この動きは進行中だ」と、新興コミュニティーサイトであるウィゴー・コム(WeGo.com)のプログラマーで、GnutellaのUNIX版を開発しているジーン・カンは言う。「しかし、われわれは、皆が確実に同じルールでゲームに参加するようにしておきたい。そうしないと、確実なものが得られない」

 Gnutellaの成長は、レコード業界にとっては新たな問題となっている。レコード業界はすでに、オンライン音楽の違法コピーの拡大を助長したとしていくつかの技術を訴えている。オンラインでは、何百万もの楽曲の違法コピーが人気のMP3デジタル音楽フォーマットで入手でき、たまにしかインターネット・サーフィンしない人々の間ですら、毎日取引されている。

 ごく最近まで、この論争の中心になっていたのはNapsterだった。Napsterは音楽ファンが自分のコンピューターを中央サーバー経由で接続して、互いのハードドライブにある曲を検索し、数分でその曲をダウンロードできるようにするソフトウェア。Napsterでは簡単に100万曲近くが検索でき、それらの多くは明らかに違法に配給されている。

 全米レコード工業会(RIAA)は、違法コピーの拡大を助長しているとして、米ナップスターをすでに提訴している。RIAAは訴状の中で「ナップスターは……空前の規模で海賊版音楽を交換する場を作り、運営している」と記し、損害は1億ドル以上に及ぶと見積もっている。

 この裁判は、10日に最初の判決が出る予定になっていたが、判決はすでに無期延期となった。
 ナップスター訴訟の結果がどうであれ、オープンソースのGnutella運動は、最近のファイル交換技術のなかでもおそらくかなり危険なものであることは明らかだ。

 Napsterはわずか数台の中央サーバーを経由して実行されるため、サービスを停止させたり、Napsterソフトでファイル交換しているユーザーを探すことが簡単だ。

 Gnutellaには中央となる存在がない。Gnutellaは、インターネットの接続そのものをモデルに作られている。つまり、ある人がソフトを立ち上げ、サービスを提供している別の人に直接接続し、その人がまた別の人に接続するといった具合に、ソフトを実行している人の数だけ、人がつながっていく。

 これは、サービスの停止や、サービスの利用者の追跡がはるかに困難だということを意味する。
 さらに、Gnutellaはオープンソース活動であるため、インターネットにいる全く無関係の人々が、リーダー的な人もグループもなしで、好きな時にこのソフトウェアの開発にに取り組むことができる。

 オープンソース・ソフトウェアでは、誰もがオリジナルのプログラミング設計、すなわち「ソースコード」を見て、修正を加えることができる。そのため、数千人のプログラマーが1つのプログラムの改良と拡大を推進することが可能だ。人気のLinuxオペレーティング・システム(OS)も、このようにして開発された。

 「このため、全体を見極めるのがはるかに困難になっている」と米フォレスターリサーチの業界アナリスト、ジェレミー・シュワルツは言う。「中央サーバーがなく、どこにでも突然現れるのだとすれば、どうやって監視できるだろうか?」

 Gnutellaプログラムを開発したナルソフトのプログラマーたちは、その後のバージョンには関与していないと言う。しかしオープンソース・コミュニティーは、オリジナルのGnutellaソフトを取り上げ、その仕組みを調べ、仕様のセットを策定した。以来、いくつかの新バージョンが登場し、毎週、Windowsや他のOS向けのソフトが次々と開発されている。

 レコード会社は、ナップスター阻止に向けて全力を尽くしているものの、裁判では救われそうもないことを認め始めている。
 「業界は、法律ではこの問題を止められないことに気づいた」と、最近RIAAのオンライン音楽ライセンス部門を引き継いだRIAA弁護士のジョン・シムソンは言う。「必要なのは技術だ」

 レコード業界は『安全なデジタル音楽計画』(SDMI)の後押しで開発されたコピー防止技術によって、NapsterやGnutellaなどのシステムを使った違法音楽コピーの広がりを防げるだろうと見込んでいる。

 10日に開設されたポータルは第1バージョンであり、最終的にここで提供されるGnutellaソフトウェア開発者およびユーザーへのサービスはさらに増える予定だ。このポータルでは、Gnutellaのバージョン10数種類と、新バージョンを書くために必要な技術情報が提供されている。

 Gnutellaサイトを運営しているのは、ゆるやかにつながり合うプログラマーたちのグループだ。このグループは、レコード業界やその他の著作権を持つ人々からは、ある段階で連絡を受けるだろうと予想している。しかし、たとえ連絡してきても、何もいいことはないだろうと言う。

 「誰かがわれわれのサイトを停止しようとしても、別の問題が出てくるだけだ」とカン。

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CNET Japan Tech News:

   ビデオ圧縮のハッキング技術がMP3並に普及する?
      By John Borland/日本語版 小山敦史
        Mon 27 Mar 2000 13:35 PT

 新しいビデオ技術がコンピューター世界の裏側から浮上しつつある。これを使えば、音楽でいうMP3のように映画を取り扱うことができるという。
 『DivX』と呼ばれるこの技術を使うと、ビデオの高画質を保ちながら大幅に圧縮することができる。ハリウッドで制作された長編映画も広帯域接続を通して数時 間でダウンロードし、1枚のCDに保存することができる。DivXは消え去ったDVD再生装置の一方式とは何の関係もない。

 映画産業にとって、この技術は歓迎されないものだろう。映画産業は、映画が長くてオンラインでは簡単にやりとりできないという事情のおかげで、インターネットでの海賊版の流布をこれまでのところ免れているからだ。DivXがこうした条件を完全に突き崩すことはないだろう。しかし、技術革新によって、音楽産業を苦しめているデジタル配信をめぐる争いの中に、映画産業も予想されていたより速いペースで巻き込まれる可能性がある。

 高速オンライン接続を利用している学生やネットを使い慣れた消費者はすでに、DVDから直接複製した高画質の映画予告編や、場合によっては映画全編をやりとりするために、この新たなビデオフォーマットを使い始めている。こういった技術について解説したり、ネットに登場した最新作を紹介したりするサイトが次々に登場している。オンラインのデジタル音楽が登場し始めた頃のMP3のサイトと同じ構図が展開されている。

 たとえばCNETニュース・コムでは、高速なT1回線(1.5Mpbs)を通じて、ビデオデッキ並みの画質で『マーズ・アタック!』全編を約4時間でダウンロードすることができた。同じ667MBをダウンロードした場合に、ダイヤルアップ接続だとおそらく1日がかりになるだろう。

 ナップスター・オンライン音楽交換コミュニティーの掲示板を運営しているマサチューセッツ州ヘーバリル在住の学生ウェイン・チャンは「DivXは音楽産業に対するMP3と同じ意味を持っている。必ず問題を引き起こすだろう」と話している。チャンは、このフォーマットが普及し始めているという。

 音楽やビデオ、ソフトウェアが簡単にダウンロードできるようになればオンラインの海賊版がはびこる、と娯楽産業は懸念している。
 音楽をダウンロードしたり、聞くために世界中のネットサーファーに利用されている音楽技術MP3は、レコード業界の従来の小売りによる事業手法をすでに侵食し始めている。全米レコード工業会(RIAA)は、米MP3・コムと音楽交換コミュニティーのナップスターが音楽家が作った保護された著作物に対する海賊行為を促進している、として両者を提訴した。

 DivXはMP3が持っているような主勢力としての配信規模には遠く及ばないし、そもそもハッカーが作ったものだから非公式の世界から抜け出すことはまずできないだろう。しかしこれは、映画が簡単に短時間でダウンロードできる可能性を一足早く提示していることになる。

 DivXの作者は『マックスモリス』(MaxMorice)と『ゲジ』(Gej)と名乗っている。同ソフトウェアの情報ファイルによると、DivXは米マイクロソフトの『MPEG4』ビデオ技術をベースとし、これにMP3のオーディオ・ストリームを付け足している。DivXビデオの再生用ソフトの存在は知られていないが、DivXファイルは、マイクロソフトの『Windows
Media Player』にアドオンとして機能を追加することによって利用できる。
 マイクロソフトからのコメントは得られなかった。
 オンラインでみつかるファイルは、もう一つの問題の技術(英文記事)を使ってDVDからコピーされたものが多い。この技術は『DeCSS』というプログラムだ。DeCSSを使うと、オープンソースのLinuxオペレーティング・システム(OS)を使用したコンピューターでDVDを再生できる。映画産業はDeCSSが流布するのを防ごうとして、いくつかの訴訟を起こしている。その主張は、映画の海賊版を防ぐために設定されているDVDのコピー対策機能をDeCSSが違法に骨抜きにしている、というものだ。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)メディア研究室の博士過程に通う大学院生でMPEG4標準の編集を担当したエリック・シェイラーは「原理的にはそのように使える」と述べている。しかしこの標準は最近完成したばかりで、まだ商業的に普及させる方法は見つかっていないという。

 偽名を使っているDivXの作者はライセンスや特許使用料といった世界で事業を展開しているわけではない。この作者はマイクロソフトのソフトウェアを違法に使っていることを認めている。

 しかしこの技術が表の世界で日の目を見ることになれば、または元になっているマイクロソフトの技術が広く消費者に受け入れられれば、ビデオの世界はビデオ版のMP3を持ったも同然、ということになる。

DivXのあらまし
 DivXと先行の諸ファイル形式を比べてみると、このソフトウェアの明確な優秀性が判明する。
 最近のSFヒット作『マトリックス』の予告編はこの映画の公式サイトで配信されているが、半分のサイズでややぼやけた画面になっている。同じ予告編をDivXファイル形式にすると、バイト数では40%小さく、フル画面サイズで、ほぼ同様のやや粒子がかった画質だった。また小型サイズの場合、DivXファイル形式は非常にはっきりとした画像を再生することができた。

 しかしDivXはMP3のような、マウスの指示とクリックという簡単に操作が行える段階にはほど遠い。長尺の映画全編は、後で組み立て直せるような部分に細かく分割され、ダウンロードもネット接続中の不具合によってしばしば妨害されることがある。

 さらに、画質もオリジナルのレベルが常に維持されるわけではない。CNETが試してみた『マーズ・アタック!』の場合、サウンドトラックの同期タイミングが時々ずれてしまった。DivX形式に詳しい筋によると、これはエンコード作業が不正確なために起きるという。しかしパソコンのモニター画面に映った画質はテレビから録画したビデオテープとの比較にじゅうぶん耐えられるものだった。

 DVDのコピー技術を提供している個人を相手どって訴訟を起こしているアメリカ映画協会(MPAA)は、ビデオ技術がMP3のレベルまで簡単になる日がいずれは来るだろう、と予想している。しかし同協会は、映画制作会社がもし作品を保護することができれば、彼らにとっても望ましいことだと述べている。

 同協会の広報担当者、リッチ・テイラーは「技術は進むだろう。そんなことは自覚している。しかし技術があるからといって、人々が違法にそれを操る権利はない」と話している。

 圧縮技術が進んでも、映画が音楽と同じ水準にすぐに達することはなさそうだ、とアナリストの多くはみている。DVDの画質より落ちるものを何時間もかけてダウンロードするよりは、ビデオを買ったりレンタルしたりする方がまし、というわけだ。

 米ジュピター・コミュニケーションズのアナリスト、シーマス・マッカティアーは「音楽のようにはならないだろう。音楽をコピーしたり、ダウンロードするのはずっと簡単。予測可能な将来において、ビデオが音楽なみになることはない」と 話している。


日本語版関連記事
・一般ユーザーの獲得を狙うマイクロソフト『Media Player』
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・MP3・コム株が公開初日から急上昇
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★2000/3/22★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

   『Napster』で音楽ソフトや映画を無料配信するハッカープログラム
      By John Borland/日本語版 酒井成美
         Wed 22 Mar 2000 16:15 PT

 人気のある音楽交換ネットワークを、ビデオやソフトウェアを交換できる完全なオンライン交換会場に変える新しいプログラムがインターネット上に公開されている。
 このプログラムは『Wrapster』(ラップスター)と呼ばれ、21日(米国時間)からダウンロードできるようになった。Wrapsterの開発者によると、このプログラムを使うと、『MP3』音楽ファイルだけを認識するように設計された『Napster』(ナップスター)ネットワークを通じて、あらゆる種類のファイルを掲示し、交換することができるようになるという。

 CNETニュース・コムでは、このWrapsterプログラムを試してみた。この結果、Napsterを通じて異なった種類のファイルをいくつか探し出し、ダウンロードすることができた。米ナップスターの情報筋によると、同社経営陣はWrapsterの存在を知ってはいるが、その使用を防止する手段を何も講じていないという。

 違法にコピーされたファイルをすばやく、無料で広範囲に配信できるプログラムがますます増えつつあるが、Wrapsterはこういったプログラムに新しく付け加えられることになる。こうした傾向は、自社製品がオンラインを通じた海賊行為にさらされるのを防止するために、激しく戦ってきたレコード会社や映画会社およびソフトウェア会社にとって悪いしらせとなっている。

 Wrapsterや米ナルソフトの『Gnutella』といったプログラムは、Napsterを真似て拡張させたものだが、オンライン著作権保護機能を素早く浸食し、著作権保有者は対応に追われている。

 「(著作権保有者は)法廷でこの問題を精力的に追求している。彼らは著作権を侵害する技術に追いつきたいと考えているが、戦いは軍拡競争のような進展をみせている」とパーキンズ・コワの弁護士、ピーター・シャルストックは述べた。

 インターネット・ユーザーが音楽ファイルを互いに交換できるように設計されたプログラム、Napsterはたちまち海賊版音楽やオンライン著作権をめぐる論争の中心になってしまった。このソフトウェアを使うと、MP3音楽ファイルのライブラリーをNapsterシステムを使っている誰とでも共有でき、他の人のコンピューターから直接、音楽を自由にダウンロードすることができる。

 Napsterは使いやすく、そのシステムを通じて膨大な数の音楽ファイルを入手できるため、高速インターネット接続が利用可能な大学生その他のコミュニティーで人気を博している。夕方になると何千という利用者たちがこのネットワーク上にひんぱんに現れ、100万曲近くのファイルを仲間と共有していることもある。

 これは、Napsterを海賊版製造ツールだと見なしているレコード業界を激怒させている。全米レコード工業会(RIAA)は、ナップスターのソフトウェアが保護された著作物の違法な配給を容易にしているとしてナップスターを提訴した(英文記事)。同業界団体は裁判所に対し、不法に配信された歌曲1件につき推定総額10万ドルの巨額な賠償金の支払いを求めている。

 「Napsterで提供されているMP3ファイルの圧倒的大多数は著作権を侵害している。私たちは、ナップスターがこのことを知っており、奨励すらしていると確信している」とRIAAは、同団体のウェブページで自らの立場を説明している。

 これまでのところ、騒ぎは単に音楽ファイルの配信に関するものだった。しかし、そこにWrapsterが登場して問題を拡大することになった。
 WrapsterプログラムはNapsterソフトを「だまして」、ソフトウェアやビデオ、ゲームその他を含むあらゆる単独のファイルまたは複数のファイルを、MP3ファイルだと思い込ませてしまう。

 「オクタビアン」(Octavian)と名乗っているこのプログラムの作成者は、プログラムの概要を説明するファイルの中で、これを『Windows
2000』のようなプログラムを交換する手段として使うよう示唆している。オクタビアンからのコメントは得られなかった。
 ナップスターの経営陣はWrapsterの存在を知っているが、まだこれを問題だとは考えていない。
 「経営陣は実際、Wrapsterを今のところは当たりさわりのないものだと考えている。Wrapsterに関して何らかの問題が持ちあがるまでは現状維持を続けるだけだろう」とナップスターの広報担当者、ダン・ウールは述べた。

 Napsterの擁護者は、Wrapsterの検索能力がオンラインで唯一のものではないと述べた。あまり知られていないが、『iMesh』と呼ばれるプログラムを使えば、音楽やビデオ、その他のマルチメディア・ファイルを交換できる。MP3ファイルのみをサポートしているNapster自体よりも、iMeshのほうがより幅広いオプションを提供しているが、同ソフトウェアも新しいWrapster技術の能力にはおよばない。

 Wrapsterは拡張された機能を提供するクローンを生みだしてもいる。最近、米アメリカ・オンライン(AOL)が買収したデジタル音楽プレーヤーのメーカー、米ナルソフトのプログラマーは、Wrapsterのようにあらゆるファイルを共有できるオープンソースによる開発の成果(英文記事)を発表した。AOLはすぐにこのプロジェクトを同社のサイトから削除したが、コードは別の場所で入手可能で、このプロジェクトは独自に進行していくかもしれない。

 「他のプログラムがすでにNapsterのシステムを真似しようと試みており、Napster
よりも1歩先を行くものすらある」とNapsterのオンライン・コミュニティー掲示板を運営しているマサチューセッツ州ヘーバリル在住の学生、ウェイン・チャンは述べた。「Wrapsterも、同じようなアイディアを盗んでプログラム化しただけだ。Wrapsterのユニークな特色は、ファイルをNapsterが現在認識できる唯一の記録形式MP3として、Napsterに誤って認 識させてしまう点だ」

 映画業界やソフトウェア業界は、結局同じ圧力を受けることになるという予想に基づいて、今回のRIAAの提訴を熱心に見守っている。両業界は現在、高速インターネット接続がまだ一般的ではなく、膨大な数の製品をダウンロードする行為が現実的にはなっていないため、広範な著作権侵害というレコード業界が直面しているのと同じリスクには直面していない。

 オーディオMP3ファイルは通常、ダイヤルアップ接続ではダウンロードに最高で30分かかり、ケーブルまたはDSLモデムではわずか数秒程度しかかからない。しかし、Windows
2000やハリウッド映画のようなファイルは普通のモデムだとまる1日かかり、高速接続でも数時間かかる可能性がある。
 これにもかかわらず、映画会社やソフトウェアメーカーは製品を違法コピーから守り、著作権侵害の可能性がある事例を大掛かりな裁判によって威嚇しようと最善を尽くしている。

 「これは、(著作権保護の)裏をかこうとする者がいる限り軍拡競争のようなものだ」とアメリカ映画協会(MPAA)の渉外担当副会長、リッチ・テイラーは述べている。「ビデオ・エンターテインメントの海賊版がネット上でいくらでも見られるようになるのを防いでいるのは、ただ高速接続ができていないことと、そのデジタル製品を守る必要性があるからにすぎない」

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★2000/3/2★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

   『Napster』使用禁止と闘う学生たち
      By Patricia Jacobus/日本語版 喜多智栄子
       Thu 2 Mar 2000 10:40 PT

 キャンパスのネットワークで『Napster』(ナップスター)という人気の高い音楽ソフトを利用し続けたがっている大学生たちが、システム管理者に利用禁止の解除を要求する請願書をオンラインで掲示している。

 新たに作られた『セーブナップスター・コム』というウェブサイトに掲示された請願書には、すでに約7000名の学生が署名している。

 インディアナ大学の自称『大学の検閲に反対する学生たち』(SAUC)という学生グループがこのウェブサイトを開設したのは、システム管理者が、帯域幅を使い過ぎるという理由で、キャンパスネットワーク上でNapsterを利用することを禁止した後のことだった。

 Napsterを使えば、学生をはじめとするユーザーは『MP3』と呼ばれるデジタル音楽ファイルをインターネット上で簡単に交換できる。
 最も活発なデジタル音楽コレクターは大学生だと言われている。Napsterが昨年夏に発表されると、若者の間ですぐに人気が出た。
 ところがこのソフトの人気は、アメリカ中のシステム管理者にとって頭痛の種になっている。
 オレゴン州立大学のシステム管理者によれば、Napsterは同大学の帯域幅の5%を占拠していたため、同大学のネットワーク経由でネットに接続している3500名以上の学生は、Napsterを永久に使用できなくされたという。

 「Napster解放」を求める学生の動きは、ここ数ヵ月間で勢いを増してきた。ニューヨーク州立大学が禁止を撤回し、5Mbpsを上限としてNapster利用を許可したことを受け、SAUCは早くも勝利宣言を出している。

 このソフトは最近、デジタル音楽の違法なコピーの闇市場を育てる一助を担っているとして全米レコード工業会(RIAA)が米ナップスターを訴えた際にも注目を集めた。


日本語版関連記事
・Napsterの音楽ソフトにセキュリティー問題

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★2000/1/26★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

   ナップスターの音楽ソフトにセキュリティー問題
      By Paul Festa/日本語版 三橋直樹
        Wed 26 Jan 2000 15:30 PT

 米ナップスターが提供している人気のデジタル音楽ファイル交換用ソフトウェアを使っている人は、自分たちが思っているほど匿名性が守られていない恐れがある。
 インターネット・セキュリティー・コンサルタントのリチャード・スミスによると、ナップスターのプログラムは、他のユーザーが所有しているデジタル音楽ファイルを見ることを可能にするが、同時に自分のインターネット・プロトコル(IP)アドレスもさらけだしているという。IPアドレスというのは、インターネット上でユーザーのコンピューターを特定する1つしかない数字の並びだ。

 このIPアドレスがあるおかげで著作権所有者は、ナップスターのユーザーの中で、違法に音楽ファイルを交換した可能性のある人を特定し、訴えることができる。
 「ナップスターには問題がある」とスミスは言う。「ユーザーを法的なリスクにさらしてきたという意味で深刻な問題だ」
 ナップスターはこの問題を認めたが、経験豊富なネットワークの専門家やハッカーでない限りIPアドレスを入手するのは難しく、個々のIPアドレスはたいていの場合、企業やインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)のファイアーウォールやプロキシ・サーバーの向こうにあって分からないようになっているとして、この問題を重要視しなかった。

 「当社の製品を使用して、あるポイントからあるポイントに音楽ファイルを転送する際に、IPアドレスを入手することは可能だ」と、ナップスターのエンジニアリング担当副社長、エディー・ケスラーは言う。「ハッカーが入手できる可能性はある。ほとんどの場合、特定のユーザーを追跡することは難しいが、できないことはない」

 スミスは、ファイルを転送している時間の1/3ほどでIPアドレスを使って個人を見つけることができると指摘した。
 ナップスターは、ユーザーのIPアドレスを隠すことに取り組んでいると述べた。
 「われわれは、さらに高いレベルのセキュリティーをユーザーに提供するため、さまざまな技術を評価しているところだ」とケスラー。「これらの技術は特に、自分がコンテンツを転送している相手からIPアドレスを隠すものだ」

 ケスラーは、改善を行なう時期については明らかにしなかった。
 これまで、法的にデジタル音楽の著作権を保護する動きは、個人ではなく、大学などの大きな組織を対象にしてきた。ナップスター自身も、オンラインユーザーが無許可の音楽ファイルをパソコンから直接交換するフォーラムを開いて「海賊行為を助長」しているとして、全米レコード工業 会(RIAA)に訴えられて(英文記事)いる。

 RIAAは、音楽ウェブサイトの米MP3・コムも訴えている(英文記事)。
 スミスは、スタンフォード大学の学生であるデビッド・ウィークリーが今週ウェブサイトに投稿した文書を読み、ナップスターのセキュリティーの欠陥を発見したと述べた。ナップスターはウィークリーの投書に困惑し、このページを削除するよう求めた(英文記事)。ウィークリーは要請を拒否し、このページの流布に努めた。

 ケスラーは26日(米国時間)、ウィークリーとの問題はそのままだと語った。
 ケスラーは、DVDの著作権保護を回避できる『DeCSS』ソフトウェアをめぐる最近の論争を引き合いに出し、「DVD
DeCSS論争をするつもりはなく、論争を終わらせようとしている」と述べた。アメリカ映画協会は、このツールのコピーを取り除かせるため、サイトを回っている。

日本語版関連記事
・DVDコピー・プログラム排除を試みる映画業界

★1999/11/18★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

   DVDコピー・プログラム排除を試みる映画業界
      By Courtney Macavinta/日本語版 寺下朋子
           Thu 18 Nov 1999 12:50 PT

 アメリカ映画協会(MPAA)は、DVDのセキュリティーを突破するプログラムを探し出してネットから排除しようとしている。この動きは新しい著作権法の効力を試すものになりそうだ。

 今月、著作権のある数百ものDVD作品からコピー防止機能を取り除く方法をプログラマーたちが発見、映画業界は激しく揺れた。
 だが、米国の大手映画会社の政治的、財政的利益のためにロビー活動を行なっているアメリカ映画協会(MPAA)は、ウェブサイトからそのユーティリティーを取り除かせることに成功しつつあるようだ。『DeCSS』と呼ばれるこのプログラムは、『DVDコンテンツ・スクランブリング・システム』の暗号コードを突破するもので、デジタル映画を違法コピーしてコンピューターやテレビで再生することを可能にする。

 MPAAは多くのウェブサイトに対し、昨年10月に通過したデジタルミレニアム著作権法を引き合いに出してプログラムの排除を求める手紙を送った。デジタルミレニアム著作権法では、著作権保護デバイスを破壊する可能性のある技術の作成、販売、配布を犯罪と定めている。

 「MPAAは、暗号化技術を違法に傷つける全ての行為を真剣に受けとめている」と、協会の広報担当リッチ・テイラーは語り、この件についてこれ以上のコメントを避けた。

 MPAAは今のところ、実際にDeCSSを使ってDVDの違法コピーを行なった人々を追求するつもりはない。目下のところ、この法律が自分たちにとって有利ではないためだ。

 確かにデジタルミレニアム著作権法は、著作権保護デバイスの破壊を犯罪と定め、これを犯した者には1回につき2500ドルまでの罰金を課している。だが、法のこの部分はまだ実際に施行されてはいない。この法律は、研究、開発、教育部門を対象から免除しており、これらの分野に対する規制のあり方については、幅広い政府部門からなるグループによって検討されることになっている。

 「規制を作る作業はじきに始まるだろう。罰金が発生するのはそれ以降になる」と、デジタル・フューチャー連合(Degital Future Coalition)の広報担当スキップ・ロックウッドは言う。同連合は、新法によって、「公正な使用のために」著作権のある素材を利用する教育者の権利が侵害されないよう強く望んでいる。

 一方、MPAAが接触したウェブサイトの運営者の多く――DVDユーティリティー・ネットワークや同様の法律があるノルウェーのDVD情報サイトなども含まれる――は、要請に応じてDeCSSを取り除いたと、それぞれのサイトで報告している。

 CNETのダウンロード・コムもこのプログラムを公開した。MPAAの要請に応じて17日(米国時間)にDeCSSを削除したが、それ以前にすでに5000コピーがダウンロードされているとダウンロード・コムでは述べている(CNETはニュース・コムを発行している)。

 DeCSSを公開したサイトの一部からは、自分たちは海賊行為を奨励しているわけではなく、MPAAは、DVDや「リッパー」の市場を作っている人々を攻撃するべきではないという声も出ている。消費者は「リッパー」を使ってディスクの合法的なコピーを作る場合もある。

 「こういったリッパーを入手できるサイトはネット内に300もあることは誰もが知っている」と、DVDユーティリティー・ネットワークはサイトの中で述べている。「MPAAは、トレンドの作り手やウェブマスターを攻撃するならもっと慎重にするべきだ」

 映画ファンも同じ意見だ。自分が所有するDVD映画『マトリックス』のセキュリティー機能を突破したアンドリュー・マーカムは、自分のディスクなのだから、自分で使うためにコピーを作ってもいいはずだと言う。

 「MPAAには、われわれがしてきたことに対して脅しをかける権利はないと思う」とマーカム。「そう、確かにぼくは『マトリックス』のリバース・エンジニアリングをした。でもこのDVDはぼくのものだ。19.95ドル、プラス税金を払ってる。車の中で聞くためにCDをテープにコピーしたからって、誰か文句を言ってくるかい?」


日本語版関連記事
・ネットに広がるDVD海賊版作成プログラム

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★1999/11/4★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Japan Tech News:

   ネットに広がるDVD海賊版作成プログラム
       By Stephanie Miles and Michael Kanellos/日本語版 喜多智栄子
          Thu 4 Nov 1999 13:25 PT

 DVDの海賊版に関するハリウッドの懸念は、現実になろうとしているのだろうか?
 この懸念は当たっているかもしれない。インターネット上に出回っている新しいユーティリティ・ソフトウェアを使うと、理論的には、DVDドライブのついたパソコンをもっている人なら誰でも、DVDの映画をコピーしてハードディスクに保存したり、書き換え可能なCD-ROMディスクに書き込んだりできるようになったためだ。

 このユーティリティ・ソフトウェアは、Linuxベースのコンピューター向けにソフトウェアによるDVD再生装置を作ろうとした際に生まれた副産物だと言われ ている。米リアルネットワークスの『Xing』(ジング)DVDプレーヤーには、大半のソフトウェアDVDプレーヤーを保護している従来の暗号化が欠落していて、開発者たちがDVD映画の暗号を解読し、そのファイルを扱いやすいサイズに圧縮するソフトウェア・プログラムを開発することを許してしまった。

 「この問題を真剣に調査している」。リアルネットワークスの広報担当者はこう語ったが、それ以上のコメントを避けた。
 このプログラムはニュースグループやインターネット上に出回っており、広く海賊版が作られる可能性が出て来たとはいえ、デジタル化された映画をコピーし、流通させるのは複雑で非常に面倒なので、あるオブザーバーは、「そうするに値する以上にトラブルの方が大きいだろう」という。

 今回の問題は、かなり痛いところを突いているとはいえ、DVDが違法コピーされる恐れが出てきたのは、決して今回が初めてではないと業界オブザーバーたちは言う。東欧やアジアなどの地域では、しばらく前からDVD映画の海賊版市場が確立されている。しかし今回の新たな暗号解読技術は、大がかりな海賊版業者を引きつけるとしても、米国内のデジタル映画市場に大きな衝撃を与える可能性は低い、とアナリストたちは述べている。

 違法コピーのやり方は次の通りだ。DVD映画を誰かのハードディスクにコピーした後、書換可能なCDドライブを使ってCDに「焼き付ける」のだと、米インフォテック・リサーチのアナリスト、テッド・パインは説明した。このマスターコピーから、無数のコピーを作ることができる。

 しかしパインによると、DVD映画を容量のずっと小さいCDに保存するには、かなりの圧縮が必要なため、画質は一般的なVHSテープに比べてさほどよくなるわけではないという。

 実際、このユーティリティーを使ってコピーした映画は、合法的なDVD-ROMがもっている「人目を引く機能」が全て欠落している。このユーティリティーは本質的に、デジタルビデオの映像のみをコピーするもので、映画の背景知識を学んだり特定部分の検索を行うなどの高度なDVD機能は、1つも盗むことができない。

 「だからといって、この問題の重大性が軽減されるということではない。考慮すべき点は、自分のDVDをこのような「リップ」プログラムでコピーして、実際に何が得られるのかということだ。一次的な映像は手に入っても、サラウンド-サウンドや双方向機能は得られない」とパインは言う。「リップ」はインターネットでよく使われる言葉で、楽曲などを誰もが再生できるようなフォーマットに変換してコピーすることを言う。『MP3』音楽ソフトウェアに関して使われることが多い。

 「手間がかかり過ぎて、わざわざやる価値もないようだ」と、DVDを製造する米12Cmマルチメディアの社長、エリック・コリガンは語った。数メガバイト(MB)に圧縮でき、保存や配布が簡単なMP3音楽とは異なり、DVD映画は約5ギガバイト(GB)のデータを処理しなければならないと、コリガンは言う。

 「それなのに誰がこんなことをするだろうか?
あなたもしないし私もしない。気まぐれなMP3ユーザーでさえしないだろう」とパイン。「ビデオCDを無数にコピーしたいと思うのは、唯一、海賊版業者だけだ」
 コリガンによると、ネット上で出回っている今回のユーティリティー・ソフトウェアは、決して映像を違法にコピーできる初めての技術ではない。大半の海賊版制作では、無料のユーティリティー・ソフトウェアをダウンロードしたりせず、機材に何千万ドルも投じるものだ。

時間の問題
 暗号技術にひび割れは付き物だと言うのは、米ディスクトレンドのアナリスト、ジム・ポーターだ。
 「何を期待していたんだ?
(コンテンツを)保護するどんなコードを書いたとしても、突破されるものだ」とポーター。「どんな暗号化プログラムでも、最終的には解読できる」
 DVDはある意味で、映画とテレビ業界にとって両刃の剣だ。一方で、DVDはビデオテープよりも鮮明な画像を提供し、需要を生みだす可能性がある。家庭へのレンタルと販売から生まれる売上は、当然のことだが、大半のスタジオにとって大きな割合を占めるようになった。

 その一方で、DVDディスクの基礎となる技術は、暗号というハードルを一度越えてしまえば、高品質の海賊版の生産を許してしまう。複製も簡単だ。全体的に見れば、DVDによって、消費者が違法コピーに興味を持ちはじめる可能性がある。

 「郊外の住宅地で何が起こるかを心配しているのではない。(海賊版の製造と海賊版市場がさらに足場を固めている)中国、アジア、南米、その他の市場で起こることを懸念しているのだ」とポーターは述べた。


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★1999/3/25★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★
CNET Briefs Tech News:

  音楽業界が売上低迷の元凶としてMP3を指弾
     By Beth Lipton/日本語版 三橋直樹
       Thu 25 Mar 1999 12:00 PT

[Update] 全米レコード産業協会(RIAA)は15歳から24歳の年齢層の間でCD売上が落ち込んでいることに「首をかしげ」ており、その原因としてMP3を名指ししている。だが、レコード会社がオンライン上でのダウンロード受け入れを渋っているのは、最終的には音楽産業に打撃を与えることになる、とする意見もある。

 米国のレコード会社を代表するRIAAは今週、「1998 Sound Recording Consumer Profile」と題する年次報告書を発表した。年齢別カテゴリーのなかでRIAAは次の事実を発見した。「購買年齢の高齢化傾向が続いている。事実、年齢分布別にみると昨年度に拡大したのは唯一30歳以上の消費者となっている」

 さらに、「かつてはこの市場の圧倒的支持者であった15歳から24歳の年齢層が占める購買比率の続落傾向は頭の痛い問題(96年の32.2%に対して、1998年は28%)。無料娯楽センターとしてインターネットが勃興し、それとともに無料で入手できるMP3ファイルの存在が要因と考えられる」としている。

 MP3(MPEG1、Audio Layer 3)は音楽の圧縮フォーマットで、ユーザーは楽曲をダウンロードしてパソコンのハードディスクや携帯用MP3プレーヤーに保存できる。
 RIAAは、このフォーマット自体には反対しないものの、音楽の著作権侵害につながりやすいことに対しては懸念しているとの態度を明らかにしている。だがRIAAは、携帯MP3プレーヤーのRioをめぐってダイアモンド・マルチメディアを提訴しても いる。そして24日(米国時間)、MP3を提供しているライコスを提訴することについても検討中だと発表した。

 しかし、フォレスターリサーチのマーク・ハーディー上級アナリストはCNETのNews.comに宛てた電子メールのなかで、MP3にCD販売低下の原因があるという考えは「短絡的で裏付けに欠ける」と書いている。「10代の若者の日々のコンピュータ利用が高まっている事実は娯楽消費のあらゆる形式に影響を与えている」

 ハーディーはこう付け加える。「MP3だけを売上落ち込みの犯人として名指しするのはスタンドプレー的だ。MP3が業界の音楽販売に与えている影響は無視できる程度。パソコンは消費者の娯楽全体に影響を与えつつある。音楽業界はMP3を嘆くのをやめ、デジタル娯楽配信のビジネスモデル構築に向けて立ちあがるべきだ」

 それを実践している企業もすでに何社かあるが、MP3が将来勝ち残るかどうかは分からないが。たとえば、オンラインのレコード会社であるグッドノイズは24日、3100万ドルの出資を受けたと発表した。1月にMP3.comがセコイアキャピタル(Sequoia Capital)とアイディアラボ(idealab)から受けた1100万ドルを上回る金額だ。
 
グッドノイズのジーン・ホフマン社長兼最高経営責任者(CEO)は25日、正規のダウンロード手段のないことが海賊版MP3ファイル蔓延の原因だと語っている。同社は正式な音楽ダウンロードファイルを販売している。

 「顧客が望むものを顧客が希望する形で提供できなければ海賊行為が行なわれることになる」と語るホフマン社長はこう付け加えた。正式なダウンロードが求められる需要の大きい音楽を提供しないことは「顧客を満足させない最大の要因」だと。

 音楽業界は楽曲のダウンロードを始めているが、より安全性の高いa2bミュージックやリキッドオーディオなどの技術を使用することが多い。これらのダウンロードはいままでのところ販促用が大半で、たとえば1998年4月にアトランティック・レコーズはa2bと共同で、トリ・アモス(Tori Amos)の新作CDを予約したファンにシングルをダウンロードで提供した。
 グッドノイズは今後2、3ヵ月にわたって、「eMusic.com」名のブランドを広め、構築していく。同社では、反体制的ロック音楽を販売しているオンライン・レコード・レーベルのサポートを続けるが、ヒップホップや電子音楽、ラテンなどのジャンル向けの新しいレーベルで事業を拡大する計画だ。また、Rykodisc等の独立系レーベルとの提携関係も継続する。これら全ジャンルの音楽はeMusic.comで購入できるようになるとホフマン社長は述べた。

 いまのところグッドノイズはMP3を支持している。「広く普及している」ためだと、ホフマン社長は語るが、この先同社は「フォーマットにはこだわらない」と言う。

 「MP3コミュニティを我々は支持しているが、技術的に見た場合、コーディングがひどく劣る。MP3は広く普及していると今は考えている――デジタルダウンロード技術のWindows OSだ」とホフマン社長は語るが、別の技術が広まれば同社はそちらに切り替えるだろうと話す。
 ジュピュター・コミュニケーションズのアナリスト、マーク・ムーラディアンは最新の研究分析書のなかで、MP3を打倒するのは優れた圧縮フォーマットになると書いている。

 「今日の圧縮技術はCD並みの音質をかなりのところまで実現している。問題なのは……ダイアルアップ接続でインターネットにアクセスする多くの消費者にとって、ダウンロードが重たいのが現実だ。電話回線が1つしかない家庭にとって、これは全く非現実的だ」とムーラディアンは書いている。

 「サウンド忠実度を維持しつつ、圧縮率を2、3倍にしてダウンロード時間を大幅に削る新しいフォーマットがMP3に対する需要を消滅させるだろう。その理由は簡単で、ずっと実用にかなうからだ」と言う。

 さらにムーラディアンは、「より優れた圧縮でCD並みの品質のサウンドを達成するというアイディアは魅力的で、とりわけマーケティングの観点からは究極の目標だ。業界が(レコード的音質から)CD的音質に移行させることができてはじめて、消費者はより良いサウンド忠実度という約束に心が動かされる」と述べている。





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