最近の『ネイチャー』で拾った興味深い話題

 
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投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 5 月 26 日 09:58:42:

●科学雑誌『NATURE』日本語版で見つけた 2〜5月の科学ニュース記事のなかから、面白そうなものをゲットしたので、ここに転載して紹介しておきます。
  それぞれの記事は比較的分量が多いので、あらかじめ見出しだけ列挙しておきますね。

   1.火モマタ涼シ ――火山噴火で温暖化を止める
   2.チョコレートはエッチな香り? ――薬理学的な効果はあるか
   3.ネアンデルタール人は私たちの祖先ではない ――
           2番目のDNA分析結果
   4.「止まれ」のつかない信号機 ――視力の衰えは脳の衰え
   5.いにしえの音が聞こえる ――ネアンデルタール人の音楽
   6.ちょこっと注目して下さい ――
          個々の遺伝子に特定の目的がある」という誤解
   7.評判倒れの禁煙法 ――禁煙への鍼の効果
   8.エルニーニョが下痢患者を増やす ――気温上昇が原因?
   9.はげは心臓病の黄信号 ――2万人の追跡調査で明らかに


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●環境 :

火モマタ涼シ
火山噴火で温暖化を止める
    http://www.naturejpn.com/newnature/bionews/bionews-j.html

  この10年間は過去150年の間でもっとも暖かだったが、気候予測モデルによれば今後はもっと暖かくなると予想されている。あと1度の何分の一かだけ気温が上昇すれば、平均気温は自然の限界を超える温度に近づく。そうなればおそらく、温室ガス(二酸化炭素)の排出削減に懐疑的な人々も、その必要を確信するようになるだろう。しかし、テキサスA &M大学の研究者達は、火山噴火がまた気温を低下させ、地球規模での温暖化傾向を乱すことが30%程度という高い確率で起こり得ると予測している。
  今年に続く数年は地球の温暖化について討議するのに重要な意味を持つ。二酸化炭素濃度の急上昇と気温の上昇にも関わらず、1997年の地球温暖化防止京都会議議定書を現在批准しているのは22 カ国に過ぎない。京都協定のねらいは、工業国からの温室ガスの放出を12年の間に5%カットすることであるが、55カ国が批准のサインをしないのでは全く実効性を欠くというものである。
  小さな島国や低地にある国は(明らかに最も損害を受ける国)、京都協定に完全に賛成、調印している。先進国の方が、低開発国が同じようにしない限り、割り当て分のガス放出の削減をやりたくないと渋っているのだ。低開発諸国は、現在大気中に含まれている温室ガスの大半は先進諸国に責任があるとして、批准を断っている。しかし、口論を続ける一方で、誰もが上昇を続ける気温から目を離すことができない。
  気温の上昇は自然に起こったものだと論じる人々もいないわけではないが、気候予測モデルによれば、地球の温暖化は人間の営みが原因であるとされる。また気温が上昇すれば、地球温暖化が人間によるものだということは殆ど確実になるだろう。米国テキサス州カレッジステーションにあるテキサスA &M大学のWilliam HydeとThomas Crowleyは、研究によれば現在の気候は自然に起こる変動の幅の殆ど限界にまで達していると述べている。彼らは、今後の10 年〜15年の間に0.1から0.3℃の上昇が新たに起こると予測しており、おそらくこれによって各国とも納得して京都議定書が最終的に批准されると考えている。
  ここで火山の出番である。噴火は数百万トンの二酸化硫黄ガスを高く成層圏にまで吹き上げ、成層圏でガスは硫酸の小滴に変わる。この硫酸の「エアロゾル」が太陽熱を反射し、地球を冷やすのだ。米国と欧州で異常な夏の霜を見た1816 年は、そのためにしばしば「夏のなかった年」として引き合いに出されるが、これは前年のインドネシアのタムボラ火山の噴火と関連がある。
  今後の10年間に、これと同じような火山の活動が起これば、温度計の水銀が自然にあり得る最高限度を超え、人的活動が作り出す危険領域に突入するのを止められるかも知れない。そうなると温度の変化傾向に関する論争は混乱し、気候変化に関するシグナルの観察は妨げられるだろう、とHyde とCrowleyは気候誌(Journal of Climate)の2000年5月号中で述べている。
  噴火の起こる可能性がどの位なのかを決めるために、著者らは火山活動の痕跡を6世紀に渉って留めている雪氷コアについて研究を行った。噴火の度毎に氷には硫酸塩の痕跡が残されており、Hyde とCrowleyは、気候を変化させるような将来の噴火がいつ起こりそうか、それに基づいて予測を行なった。
  彼らの結論は以下の通りである。つまり、今後10年以内に火山のてっぺんが吹っ飛ぶような噴火が1回起こる確率は37%という、まあ無理のない値であるが、2回噴火が起こる確率は15 %に低下する。また、彼らは、ぶっ飛びものの大噴火(熱を3倍程度余計に防ぐと思われる)の起こる確率も20%という高い数値であると主張している。
  火山の噴火予想は精密科学とは言えない、とHydeとCrowleyは言っており、彼らの予測はスタート点として有用であるが、予測を改良するのにはもっと別のデータが必要であることを認めている。そしてもし大きな噴火が本当に起こったとしても、それが冷却につながるかどうかは保証の限りではない。1982 年のメキシコのエルチチョンの噴火では、火山が赤道付近に位置していたためか、あるいはおそらくエルニーニョ現象のために、気温の変化は小さかったのである。
                                      David Adam
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●●●地球温暖化をくいとめるために、
      人工的に火山噴火を誘発する、なんてことも起きるかも……。


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●栄養学 :

  チョコレートはエッチな香り?
    薬理学的な効果はあるか
      http://www.naturejpn.com/newnature/bionews/bionews-j.html

  アメリカ大陸生まれの香りのよい甘い飲み物、チョコラトルは、欲 情を呼び起こすと広く信じられ、悪魔の飲み物ともみなされていた。宗教指導者Johan Franciscus Rauchは1624年、修道士たちに飲まないように強く勧告した。しかし、聖職者たちが警鐘を鳴らしている間も、ヨーロッパの王族は互いに婚約の贈り物にチョコレートを贈りあった。
  かつてはチョコレートを手にできるのは社会の裕福な特権階級に限られていたが、今では安く、だれでも買うことができる。しかし、チョコレートは今でも、ぜい沢、道楽、退廃といったイメージを伴っている。実際、チョコレートは官能的な快楽を連想させるので、化粧品メーカーは、なんだか食べられるような匂いがするチョコレート入り入浴オイルやマッサージ用固形オイルを売り出し、私たちを誘う。そして、チョコレートと性的な快楽との関連は、今でも議論の焦点なのだ。
  この悪名高く、しかも優雅な食品は、「神様の食べ物」を意味する学名を持つ熱帯の常緑樹、カカオ(Theobroma cacao)の豆から作られる。カカオの木は、中南米の森が起源で、2500年近く前にマヤ族などの古代文明によって栽培されるようになった。その後の多くの文明がマヤ族をまねて、輝くように色づくカカオの豆を収穫した。
  豆は炒られ、ひかれ、水、穀物、チリトウガラシなどの香辛料と混ぜられて、エリート階級のための飲み物になった。16世紀にアステカ文明を滅ぼしたスペイン人の征服者Hernando Cortezは、「チョコラトルは、病気に対する抵抗力とスタミナを増す」と報告している。アステカ帝国の皇帝、Montezuma(現在、彼の名前は高級チョコレートと同義語になっている)は、ハーレムを訪れる前に50杯以上のチョコラトルを飲んだと伝えられている。
  もちろん、チョコレートに夢中になったのはMontezumaだけではない。今では、おなじみのおいしい甘い固形のお菓子として食べられているし、中南米では今も伝統的な苦くて香辛料を入れた飲み物として飲まれている。エコノミスト誌(The Economist)はこのほど、英国では昨年、一人あたりなんと平均9.5キログラムのチョコレート(復活祭の卵形チョコレートの38個分に相当)を食べたと報じている。
  なぜ、こんなに私たちはチョコレートが好きなのか? 一つの興味をそそる手がかりが、シカゴの味覚・嗅覚研究財団の理事であるAlan Hirschが行った研究だ。彼は、チョコレートの香りが、ペニスの血流をわずかに増加させることを示した。もっとも、それがなぜ、どうやって起こるのかは、はっきりしていない。
  チョコレートは昔から、ロマンスを連想させるものだった。これは、その成分の一つ、フェネチルアミンのせいかもしれない。フェネチルアミンは、「恋愛化学物質」とも呼ばれ、議論を呼んできた化学物質だ。人が性的に刺激されたとき、脳はフェネチルアミンを放出する。そして、フェネチルアミンは、心拍数と血圧を上昇させる。では、チョコレートは、媚薬(びやく)なのだろうか?
  ワシントン大学栄養科学計画の責任者であるAdam Drewnowskiは、「チョコレートに薬理学的な効果はない。『恋愛化学物質』は菓子業界の作り話にすぎない」と話す。チョコレートのフェネチルアミンは、消化器系で分解される。だから、フェネチルアミンが脳に作用することはない、と彼は主張する。
  Drewnowskiは、「チョコレートはその代わりに、すばやく食欲を満足させる高カロリーの成分を含んでいる」と説明する。チョコレートはまた、脳を刺激して、中枢神経系に作用するエンドルフィンを放出させる。エンドルフィンは、自然の鎮痛剤で、行動にも影響するらしい。エンドルフィン濃度の上昇は、私たちに幸福感をもたらす。これが、「チョコレートハイ」だ。
しかし、チョコレートを食べた後、心地よい感じがするからといって、チョコレートは私たちの体にいいものだといえるのだろうか? ブエノスアイレス大学のCesar Fragaらは、今年初めにワシントンで開かれた米国科学振興協会(AAAS)の年会で、チョコレートは私たちの体にもいいと報告した。Fragaらの研究チームは、チョコレートを食べた大人は、血液中の抗酸化剤の濃度が高くなることを発見した。彼らは、チョコレートをよく食べる人たちの細胞は、フリーラジカル(遊離基)によって傷つけられにくいと主張している。これは、カカオを含む、たくさんの植物が作る抗酸化剤、フラボノイドのせいのようだ。
  フリーラジカルは、電子が一つ不足している不安定な原子や分子である。フリーラジカルは、近くから電子を盗み、周囲の生化学化合物の損傷につながる連鎖反応を引き起こす。心臓と血管系は、こうした反応が引き起こすダメージをもっとも受けやすい。フリーラジカルのために、血液中に凝固物や脂肪質の沈着物ができ、動脈と静脈の細胞でできた内壁が固くなる。この結果、心臓病や脳卒中を起こす恐れがある。
  とはいえ、明らかに、チョコレートは「健康食品」ではない。ブドウとカカオに含まれるフラボノイドを研究している、カリフォルニア大学デービス校の心臓学者Tissa Kappagodaは、チョコレートを食べることのメリットを立証するように見える研究結果について、慎重な姿勢を示している。彼は、フラボノイドを「潜在的には有益」としているが、それがチョコレートの宣伝になってしまうことを懸念している。というのも、100グラムの棒チョコは、約50グラムの砂糖(茶さじ12杯分)と37グラムもの飽和脂肪を含むからだ。
  残念ながら、Alan Hirschが指摘するように、「女性の40%と男性の15%は、チョコレートが健康に有害な効果があることを知っていながらチョコレートをほしがる」。多くの人々が、自分のことをうれしそうに「チョコレート中毒」と呼ぶ。これは、チョコレートが、コカインやアルコールやタバコと同じように中毒性であることを意味しているのだろうか?
  チョコレートの薬理学について詳しい研究を行った、カリフォルニア大学のDaniele Piomelliは、「私は、こうした薬物と比較しうる効果がチョコレートにあるとは考えていない。しかし、場合によっては、チョコレートが欲しくてたまらなくなることはあるかもしれない」と話す。彼が考えるには、チョコレートが欲しくなる背景には感覚的なものがあるようだ。彼は、「ものを食べるときの状況によってその食べ物が好きになるのと同じように、匂いや味のためにそれが欲しくなるということはありうる」と指摘する。
  というわけで、Adam Drewnowskiは、「チョコレートが、あなたの精神の健康に良い効果を及ぼすことはありうる。しかし、高カロリーでもあり、もし食べ過ぎたら、注意が必要だ」と話している。
                            Sara Cross
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●●●「 夜のお菓子・うなぎチョコパイ」なんてのが、出てきそう……。


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●進化 :

ネアンデルタール人は私たちの祖先ではない
  2番目のDNA分析結果
      http://www.naturejpn.com/newnature/bionews/bionews-j.html
 
  英国・グラスゴー大学のWilliam Goodwinらは、ロシア南部にあるカフカス(コーカサス)山脈北部の洞窟で見つかったネアンデルタール人の幼児の骨からDNAを取り出し、その分析結果について報告した。
  これは、ネアンデルタール人のDNAに関する2番目の報告だ。最初の論文は、ミュンヘンを中心に活躍している化石DNA分析の先駆者、Svante Paaboらのものだ。彼らは、最初に見つかった有名なネアンデルタール人、すなわち、1856年にドイツのフェルトホーフェル洞窟で発見されたネアンデルタール人の骨から抽出されたDNAについて報告した。この画期的な研究は、1997年に学術誌「セル」(Cell )に掲載された。今回、新しい分析結果が、ネイチャー2000年3月30日号に発表された。これは、間違いなく次の2つの理由により、前回の論文よりもさらに重要でさえある。
  まず、今回の新たな研究は、セルに掲載された論文が正しかったことを立証した。研究者たちは、最初の報告が、第一級の研究である点では一致していた。しかし、化石のDNAの分析は、不純物混入の不安がどうしてもつきまとう。人間に近い生物のDNAを扱うときは特にそうだ。また、今回の分析結果は、現代人がネアンデルタール人とほとんど、あるいはまったく遺伝的な連続性がないという、広く受け入れられているものの、いまだに議論もある見方を支持するものだった。
  人類の起源に関する「多地域連続モデル」によれば、現代人(現生人類)は、世界のいくつかの地域で同時に進化したとされている。このため、各地域の人々は、それぞれの祖先を持つ。ネアンデルタール人は、約23万年前から3万年足らず前まで、ヨーロッパと西アジアに住んでいた(カフカス山脈の化石は、最後期のネアンデルタール人の化石の一つである)。
現代人は、解剖学的にはネアンデルタール人とは異なり、約4万年前にヨーロッパに現れた。多地域連続説によれば、現代のヨーロッパ人は、ヨーロッパにいたネアンデルタール人の子孫であるか、少なくとも、相当の遺伝的な連続性を持っているはずだ。一方、アフリカや東アジアなど、世界のほかの場所で進化した現代人は、ネアンデルタール人との連続性はないはずである。
  一方、これに対抗するアフリカ起源説によれば、現代人は、アフリカから世界のほかの場所へ、約10万年前に移動し、その土地固有の種に取って代わった。このシナリオによれば、ネアンデルタール人は絶滅してしまい、ヨーロッパを含めた世界のどこにも子孫を残さなかったはずだ。
  もし、多地域連続説が正しいとすれば、ネアンデルタール人のDNAは、現代のアジア人やアフリカ人のDNAよりも、現代のヨーロッパ人のDNAに似ていなければならない。しかし、フェルトホーフェルのネアンデルタール人のDNAは、人種や地理的な起源に関係なく、どの現代人のDNAとも異なっているようである。カフカス山脈のネアンデルタール人のDNAは今回、これを裏づけた。カフカス山脈のDNAは、ほかのどんな現代人よりも、フェルトホーフェルのDNAに近かった。この事実は、多地域連続説が誤っていることを証明するわけではないが、支持もしない。
  しかし、カフカス山脈のDNAと、フェルトホーフェルのDNAは、かなり異なっていて、塩基配列のうち3.48%が違っていた。これは、人種的あるいは地理的起源が異なる現代人どうしの違いに匹敵する。しかし、フェルトホーフェルとカフカス山脈で見つかったネアンデルタール人は2500キロ離れており、数万年異なる時代に生きていたとすれば、驚くことではない(フェルトホーフェルのネアンデルタール人の地質学的年代は、はっきりと分かっていない)。
今回の結果は、私たちにもっとも近い絶滅した人類の研究が、今後さらに進むことを予感させる。カフカス山脈の化石も、フェルトホーフェルの化石も、いずれも数万年前の壊れやすいDNAを取り出すには、理想的な状態で保存されていたとは言えない。シベリアのマンモスや、チロル地方の「アイスマン」とは違い、氷河の永久凍土層の中に凍っていたわけではなかった。今回の成果は、将来、ネアンデルタール人のもっとも古い化石からでさえ、DNAが取り出され、彼らの進化の始まりから終わりまでの完全な描像を得られるかもしれないことを意味している。
                        Henry Gee
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●●●日本の国作り神話では、
      海の滴から日本列島が出来たことになっている。
     細長いウンコみたいになったのが、ちょっと恥ずかしい……なんてね。

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●脳 :

「止まれ」のつかない信号機
  視力の衰えは脳の衰え
         http://www.naturejpn.com/newnature/bionews/bionews-j.html

  年を取ると、視力も衰えるものだ。しかし、ユタ大学のAudie Leventhalらの研究によると、これは必ずしも目の機能が衰えるからではない。原因は脳にあり、脳の映像分析ソフトウエアが、うまく働かなくなるためらしい。
  大脳皮質の第一次視覚野と呼ばれる領域は、視覚神経のインパルスをつなぎ合わせて、世界の基礎的な映像を作り上げる。この映像は、脳の別の部分に伝えられ、この部分で「私たちが見ているのは何か」という意味が映像に与えられる。
  第一次視覚野では、基礎的な映像を構成する作業を行うため、神経細胞がそれぞれの仕事に特化している。たとえば、いくつかの神経細胞は、垂直な線に特に敏感だ。一方、別の神経細胞は水平な線に反応する。神経細胞のこうした性質のために、脳は物体の形状を把握できる。研究者たちは、こうした性質を「定位バイアス」と呼んでいる。別の神経細胞は、動きの検出装置であり、たとえば左や右に動く物体に反応して発火する。この性質は、「方向バイア ス」と呼ばれている。
  Leventhalらは、アカゲザル(Macaca mulatta)を使い、こうした特定のものだけに反応する神経細胞に、加齢がどのような変化をもたらすかを調べ、Nature Neuroscience(ネイチャー神経科学)2000年4月号に発表した。アカゲザルは人間に似た目と第一次視覚野を持っている。Leventhalらは、7歳から9歳の若いサルと、28歳から30歳の比較的年配のサルを比べた。
  研究者たちは、さまざまな方向のパターンや、いろんな方向に動くパターンをサルに見せ、第一次視覚野の個々の神経細胞が、定位バイアスや方向バイアスを示すかどうかを計測した。
  若いサルでは、計測された細胞の90%がはっきりと定位バイアスを示し、70%が明らかに方向バイアスを示した。年配のサルでは、その割合が、それぞれ42%と25%に落ちた。
年を取ったサルの目は、若いサルの目と同様に鋭かった。大脳皮質にある、パターンを選択する神経細胞の密度や大きさも、年齢とともに変化してはいなかった。しかし、神経細胞は、仕事が下手になっていたのだ。
  実は、年を取ったサルの神経細胞は、若いサルの神経細胞よりも活性化していた。かつて興奮したものに対して反応が鈍くなるのではなく、すべての定位と運動方向に対して発火してしまうようになっていた。これは、神経細胞が以前ほど選択的でなくなったことを意味している。また、外からの入力がないのに、ひとりでに発火しやすくなっていた。
  第一次視覚野の細胞は、外界から刺激を受けるだけでなく、発火しないようにおさえてくれる他の神経細胞にも接続している。しかし、カリフォルニア工科大学のJohn Allmanは、「抑制性ニューロンは、特に加齢の影響を受けやすく、死ぬか、機能を失っている可能性がある」と話す。
  Leventhalは、年を取った体は、「発火するな」信号を送る化学物質を十分に作るのをやめてしまうからかもしれないと考えている。彼は、「これは、『止まれ』の交通信号のある道路網に似ている。普段は、すべてがうまくいっている。しかし、もし停電すると、物事はうまくいかなくなり始める」と説明する。
  というわけで、年を取った神経細胞の作る視覚は信頼性が低くなっている。これが生活にどんな影響をおよぼすか、想像するのは難しくない。たいていの人は、10代か20代に運転免許試験にパスする。多くの国が、お年寄りに、視力がまだ十分にあるか確かめる試験を受けるように義務づけている。しかし、Leventhalは、「80歳の人に、形を見分けたり、動きを感じたりできるかを調べるような試験は行われていない」と指摘している。
                                    John Whitfield
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●●●子供は妖精を見やすいというが、
      老人が死に神や先祖霊を見やすいのは
        視覚中枢がユルんだせいなのか?

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●進化 :

  いにしえの音が聞こえる
    ネアンデルタール人の音楽

  科学会議で音楽が聴けるなんて、そうめったにあることではない。ところが今週開催された米国科学振興協会(AAAS)の年次総会では、ボストン大学の生物学者でフルート奏者のJelle Atemaが不気味なメロディーを演奏した。Atemaが演奏した楽器は、50,000年以上前の半化石化した熊の大腿骨をベースに作ったもので、完成してからまだ2日しか経っていなかった。
  この一風変わったリコーダーのような物体は、1995年にスロベニアのDivje Bave洞穴で発見された今から45,000年前の穴のあいた熊の大腿骨の複製としては最新のもので、最も本物に近いと評する人もいる。この骨の形状、穴や薄く切り取られた端部から、かつてネアンデルタール人がこの楽器で音を出し、動物や仲間を呼び寄せたかもしれないとする研究者もいる。
  Atemaによる複製には、子供向けのおもちゃの笛のように、表側に4つの指穴、裏側には2つの穴、そして上端部には息を吹き込むための切り込みが斜めに入っている。もしこの骨が本当に音を出すために使われたのだとすれば、音域は1オクターブしかなかったようだ。彼は、この楽器を「大変な技術の進歩」と評し、「この種の楽器を作り出し、演奏するためには知識と手先の器用さが必要となる。私たちは、ネアンデルタール人の功績について過小評価していたのかもしれない」と言う。
  それではこの楽器らしき物体の目的とは何だったのだろうか?「鳥のさえずりを装うための狩猟用具であった可能性があるが、その目的ならば、もっと簡単な方法がいくつもある。私の個人的な見解を言わせてもらえば、ネアンデルタール人に音楽があったのだと思う」とAtemaは言う。それがどのような音楽であったかという謎については、考古学において解明される可能性は低いであろう。
  この楽器は、複製としては最も新しいものだが、そのルーツは最も古い。Atemaは、この楽器を世界中の洞穴やコンサートホールで演奏してきた。また彼は、例えばフランスの洞穴で発見された2種類の「楽器」の複製によってもの悲しい旋律を奏でてAAAS年次総会の出席者を魅了した。この2種類の楽器とは、30,000年前のシカの骨でできた「フルート」と4,000年前のハゲワシの骨でできた「リコーダー」であり、いずれも約2オクターブの音域を持っている。
  このような楽器の諸特性のうち、複製だけが持ちうる特性がどれかという点については解明されていない。ところで、今でも演奏可能な1本の古いフルートがある。この9,000年前の鳥の骨でできたパイプ状の物体は、中国河南省にある賈湖遺跡で発見された。この発見は昨年9月のネイチャーでニューヨークにあるブルックヘブン国立研究所のGarman Harbottleらが報告している。これが現在のところ世界で最も古い演奏可能な楽器である。
  「バイオミュージック」と名づけられた講演においてAtemaらは、鳥のさえずりや鯨の鳴き声が驚くほど複雑なことについても触れた。Atemaは「これらの楽器は、手元にほとんど記録の残っていない時代に対する覗き窓のような役割を果たしている」と結論づけている。
                                 Sara Abdulla
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●●● ネアンデルタール人がフルートを嗜んでいた?!
       実はネアンデルタール人の祖先はパンの笛を吹く牧神だった……。
         しかしネアンデルタール人の末裔は
             ホラを吹く方向にだけ、この能力を“進化”させた……なんてね。


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●進化 :

  ちょこっと注目して下さい
    個々の遺伝子に特定の目的がある」という誤解

「遺伝子には目的がある」−これはマスコミが好んで用いる考え方である。すなわち同性愛、良い母親、乳癌などをコードした遺伝子があるというのである。しかしこれは誤解である。Matt Ridleyは、その著書「ゲノム(Genome)」の中で、病気を引き起こす遺伝子なんてものが存在しないことを繰返し強調している。また特定の遺伝子と単一の有益な機能との関連性を判定することも難しい。
  それがなぜかと言えば、遺伝子というものは単独では作用しないからである。遺伝子が作用するのは、協調的あるいは時には対立的な大規模ネットワークの中においてであり、その作用の結果をいずれか1つの遺伝子と単純に結びつけることはできない。ここで別の例を使って考えてみよう。点火プラグはガソリンエンジンにとって不可欠な部品と言える。点火プラグなしにガソリンエンジンは作動しないからである。それではこのことによって点火プラグの目的が確定するのだろうか? 答えはノーである。点火プラグ以外にも同じくガソリンエンジンにとって不可欠な部品があり、点火プラグだけでエンジンが作動するわけではないからである。
私たちは、近因(点火プラグによって電気的スパークを発生させる)と遠因(点火プラグによって自動車は道路に沿って走る)を原理的に区別して考えなければならない。同様に私たちは、たとえ特定の目的を推定できたとしても自然界についての一般論を超えて私たちについての具体的な結論を導き出したことにはならないことに注意しなければならない。Richard Dawkinsは、その説得力にあふれた著書「利己的遺伝子(The Selfish Gene)」の中で、遺伝子は自己目的を達成するために作用すると記している。しかし遺伝子という実体には意識がない。すると遺伝子が利己的なのは先天的に何らかの動機付けがなされているからなのか、それとも単にDawkinsがそう言っているだけに過ぎないのだろうか?
  機械部品の場合と同様に、個々の遺伝子が果たす機能と最終結果との間には、せいぜい希薄な関係しかない。よって遺伝子の目的を解明できるという仮説は否定され、具体的な特性を生み出す遺伝子が発見されたといった新聞等の見出しは極めて疑わしいものと言わざるを得ない。
  一例として「 Pitx2」という遺伝子を考えてみよう。この遺伝子に突然変異をきたすと、リーガー症候群という遺伝病になる。その主たる症状は目の虹彩の奇形である。それでは Pitx2は虹彩の「ための」遺伝子なのだろうか? 残念ながらPitx2は虹彩のためだけに存在するわけではない。Pitx2についての初めての研究は、米国カリフォルニア州ラホーヤにあるソーク研究所のJuan Carlos Izpisua Belmonteらによって行われている(ネイチャー第394巻、545〜551頁、1998年参照)が、この研究ではPitx2が内臓、特に心臓の非対称的配置を定めることに関与していることが発見された。この遺伝子は、特定の非対称的配置決定に関与する数多くの遺伝子の1つであり、これらの遺伝子に突然変異があると、いわゆる左右差の異常が発生する。リーガー症候群の患者には、このような異常は見られない。それでは Pitx2は非対称性のための遺伝子であり、虹彩のための遺伝子ではないということになるのだろうか?
  Pitx2は非対称性のための遺伝子でもあり、虹彩のための遺伝子でもある一方で、いずれのための遺伝子でもないというのが答えである。Pitx2 には、DNAと相互作用し、他の遺伝子のスイッチを入れたり切ったりするタンパク質に対する指令が詰まっているのである。そしてPitx2のタンパク質産物であるPitx2は「転写因子」すなわち遺伝子スイッチ因子なのである。ただ、このことがわかっても、遠因(そして近因)はほとんど解明されたことにはならない。その理由はこうである。正確に言うと、 Pitx2の役割は、状況によって異なっているのである。そしてこの状況は、Pitx2が作用する遺伝子によって異なり、Pitx2を作動させたり、止めたりする数多くの遺伝子に依存しているのである。他の遺伝子スイッチ因子全体の顔ぶれによって、 Pitx2は目、顔や頭の形成に関与したり、体内器官の左右差の決定に関与したりするのである。
  この話はここで終わりではない。この先に複雑な話が待っているのである。米国ソルトレークシティーにあるユタ大学のH. Joseph Yostらは、発生学(Development )の2000年2月8日号において、遺伝子解読の結果、Pitx2には少なくとも2種類のものがあり、それぞれが少しずつ異なる機能を果たすことを発見した。Yostらは、ゼブラフィッシュ( Danio rerio)の胚発生を研究し、頭部や心臓の形成期にPitx2の複数の「イソ型タンパク質」が異なった調節を受けることを実証した。これらの遺伝子の機能は時には対立的関係にもあった。 Pitx2cはcyclopsという遺伝子を活性化させるが、Pitx2aは同遺伝子の機能を止める。そしてこれらのイソ型タンパク質をカエル胚に注射した実験では、それぞれのイソ型タンパク質が左右差に与える影響は常に異なっていた。すなわち心臓の形成に対する影響力の点では、 Pitx2aの方がPitx2cよりも大きかった。
  ヒトの場合にもPitx2に2種類以上の「イソ型タンパク質」がある可能性が強い。したがってPitx2の「機能」を論じることは無意味である。それぞれのイソ型タンパク質の機能は、所在する組織や発達段階によって異なり、またどの遺伝子が活性化しているかによっても異なるのである。それではイソ型タンパク質のうちの1つが左右差と関係し、別の1つが目と関係しているといったことがあり得るだろうか? 答えはノーである。ゼブラフィッシュの場合、2種類のイソ型タンパク質は頭部と心臓のいずれにも関与しており、ただ関与の仕方が異なっていたのである。
  遺伝子が病気を引き起こすことを目的としていないことは確かである。さらに一歩進めて、遺伝子の目的は何かを引き起こすことではないとも言うことができる。これ以外の仮説を立てれば、近因と遠因という原理的論争に巻き込まれてしまう。遺伝子は、意思を持たないスイッチである。これ 以上の崇高な目的があるとは、私たちが勝手に考えているに過ぎない。
                                   Henry Gee
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●●●遺伝子に何らかの「意思」を探し当てようとするのは、
      “遺伝子万能主義”時代ともいうべき現代の
        精霊崇拝(アニミズム)にすぎない………これはマジな話。

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●医学 :

  評判倒れの禁煙法
    禁煙への鍼の効果

  禁煙をしようとがんばっている人に鍼を勧めるという話は随分よく耳にする。 し過ぎるくらいだ、というのが喫煙管理(Tobacco Control)という雑誌の1999ー2000冬号に掲載されている記事の主張である。禁煙に鍼が効果があるかどうかを、対象者をランダムに選んで、対照となる標準処置と比較してその影響を調べたテストで英語、フランス語、ドイツ語で公表されているもの全てについて分析をした結果、現在までのところ、禁煙を促進するのに、鍼が対照処置に比べて効果があったという説得力ある証拠は全くないことが明らかになったのだ。
  西欧では現在、鍼は吐き気や痛みの緩和に効果的な治療法として医学界一般に広く受け入れられている。末期癌の治療などで広く用いられているのが、その一例である。しかし、ニコチン中毒に対して言うなら、この最新の報告が明らかにしているように、効果のほどについては全く確証が得られていないのにもかかわらず、人気だけが先走りしているといえる。
  喫煙者の場合、鍼を耳や顔面にうつことが普通である。鍼を刺して10〜20分くらいおいてから抜くか、あるいは耳ならば、タバコが猛烈に吸いたくなったら鍼をいじることができるように2週間くらいそのままにしておく。鍼の効果を調べるテストでは、実際に鍼をうつことの対照標準となる処置として「疑似鍼」が最もよいと見なされている。これは全く同じ針を使うのだが、刺す位置を変えたり、あるいはもっと浅く刺す処理法である。
  このメタ分析(多数の試験結果を比較する手法)を行なった、英国のエクセター大学のAdrian Whiteらは、テスト全体の質についてがっかりさせられた、と述べている。彼らはテスト方法に厳密さが全く欠けていることに気づいてショックを受けている。
  著者らは、鍼と喫煙の関係に関するこれまでの研究では、重要な科学的調査に必要な基本事項をきちんと踏まえたものが滅多にないことを見出した。例えば、被験者の数が少なすぎる、鍼治療を受けるグループと対照となる処置を受けるグループへの被験者の振り分けが正確にランダムだとはいえない、生化学テストの結果よりも喫煙者の禁煙したという宣言(あてにならないことで悪評紛々なのはご存じの通り)を信用している、などということが多くの研究で見られるのである。
  Whiteらのチームは、長期にわたる追跡調査も滅多に行われておらず、セラピストを訪問しただけで効果があったような気になる、被験者のプラシーボ効果(偽薬の投与で実際に症状がよくなる)としてよく知られているものを最小にしようとする試みも実際的には殆ど行われていないことを見出した。最も意味があると思えたのは、科学的な意味で最も質が高いグループと、鍼の効果を最も低く見積もっているグループとが一致したことである。
  もっと悪いことは、喫煙者の6分の1が鍼を試してみたいと言っているにもかかわらず、鍼がどのようにして禁煙を楽にできるようにするのか、その機構についての研究がまだ全くなされていない点である。鍼によって、体内にアヘンのようなものが作られるのだろうか(このことについてはいくつかの証拠がある)。また、鍼は欲求、動機づけ、気分といったものに影響を及ぼすのだろうか。これらのことは、まだ誰にもわかっていないのだが、エクセター大学のグループは、それは今までに行われた研究が「鍼の影響を及ぼす仕組みとか、行動学のレベルでの影響についてのはっきりとした仮説をたてずに」行われているからだ、と言っている。
  ここで得られたような否定的な判定結果は、科学の領域では滅多に発表されない。しかし、いくつかの治療法を比較検討する際には、気軽に行えるものが多く、効果とか安全性について何の確証もないのに広く使われているものもあるから、その評価にあたってこのような否定的な結果をも知ることは不可欠といえよう。
                            Sara Abdulla
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●●●だがガキは、タバコを吸っていたことがばれると
      きつ〜いお灸がすえられる。
        といっても、今どき本物のお灸をすえるなんて、
          「お宝鑑定団」ものの“文化財”になってしまったが……。
    いやいや、お灸もすえないか、キョウビの家庭では。

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●医学 :

 エルニーニョが下痢患者を増やす
   気温上昇が原因?

  北米のカリフォルニアから南アフリカのケープタウンまでの広大な地域に、2年から7年ごとに異常な気象をもたらすエルニーニョ現象は、マラリア、デング熱、コレラを含む感染症の発生にも影響していると考えられている。
  「ランセット」(The Lancet)2000年2月5日号に掲載された報告によると、1997年から1998年にかけての、もっとも最近のエルニーニョの期間に、南米ペルーのリマでは、ひとつの病院だけで通常の3倍の子供たちが、コレラに関係ない下痢のために入院した。このため、この病院では27万7000ドル(約3000万円)の費用がかかった。
これは、主にエルニーニョがリマにもたらした気温の上昇のせいだとみられる。冬期に、一日の平均気温が平年より4度C以上高くなったときなどには、さらに多くの子供たちが下痢の治療を受けた。
  この研究を行った、ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学部のRobert Gilmanらの調査の結果、エルニーニョ現象に向かう数カ月間、下痢による入院は直線的に増え、気温が1%上がるごとに入院患者が8%増えたことも分かっ た。これは、通常の年には起こらない現象だ。
研究チームは、「われわれの発見が普遍的な現象ならば、気温が通常より1度高くなるごとに、世界中で下痢患者が何百万人も増えるかもしれない」と警告する。
毎年300万人の5歳未満の子供が下痢で死んでいる。高温は、大腸菌などの細菌にとって好都合で、蚊も増える。低温はウイルス性の下痢の伝染を増やす。だから、エルニーニョ時のペルーの冬のように、18度Cから23度Cといった中間的な気温では、子供たちは、細菌、ウイルス、寄生虫のいずれにも脅かされている。
  エルニーニョによる高い気温のために、人々がいつもと違う行動をしたことも考えられる。人々は、いつもより頻繁に体を洗い、飲み物を飲んだだろう。そのいずれも、下痢の伝染を増やす効果がある。また、いつもと違う食べ物を食べたのかもしれない。
  エルニーニョは、「エルニーニョ/南方振動」(ENSO)とよばれる大規模な現象の一部で、東太平洋の海面水温の上昇・下降のうち、高温期を指す。エルニーニョは風の変化によって起こり、太平洋の大量の暖かい水が移動する。そして、ペルーの気温を上げると同時に、カリフォルニア沿岸には嵐を、オーストラリアには干ばつをもたらし、南アフリカには激しい降雨と干ばつの両方をもたらす。
  エルニーニョが気象をどう変えるかは、国ごとに、また地域ごとにさえ違うのだから、住民の健康や病気への影響も地域ごとに違うことは間違いない。そうだとしても、このような気象現象のもたらす作用を理解しておくことは、公衆衛生計画の策定において大切なことだ。そして、地球温暖化が、予測されているとおりに起きるとすれば、さらに重要となるだろう。
                                    Sara Abdulla
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●●●数年後の日本列島を、
        同様のパニックが襲う可能性が高い!!

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●医学 :

  はげは心臓病の黄信号
     2万人の追跡調査で明らかに

  45歳で頭のてっぺんに髪の毛がない男性は、同年齢で髪が豊かな男性よりも、後に冠動脈性心疾患(CHD)になりやすい。正確には、CHDになる確率が36%高い。
  これは、中流階級の中年の白人男性を調べた新しい研究結果で、「内科学記録」(Archives of Internal Medicine)2000年2月号に掲載された。はげとCHD の関連については、すでに長い研究の歴史がある。今回の研究は、2万2071人の米国の男性医師を11年後に追跡調査したデータをもとにしたもので、「内科医保健研究」という心臓疾患研究計画の一環をなすものだ。
  CHDになる危険性は、はげのパターンと程度によって変わるようだ。特に高血圧やコレステロール値が高い男性の場合はそうだ。今回の研究を行った、マサチューセッツ州ボストンにあるハーバード大学公衆衛生学部のJoAnn Mansonらが調べたところでは、頭の前の方が薄くなっただけの男性は、CHDになる危険性は9%高いだけだ。
  しかし、頭頂部が少しはげた人は、心臓発作を起こしたり、狭心症になったり、心臓手術が必要になったりする確率が、同年齢で髪が豊かな人にくらべて23%高い。また、頭頂部が、完全にではないが、いくらかはげている人は、その危険性が32 %高い。
  この奇妙な関係の理由は、まだ分かっていない。一つの説明は、はげはテストステロンなどの男性ホルモン(アンドロゲン)が増えたことの現れだから、というものだ。男性ホルモンが増加すると、動脈の壁が厚くなって心臓を出入りする血液を流れにくくしたり、さえぎってしまう「アテローム動脈硬化症」につながるという証拠がいくつかある。
また、テストステロンが過剰にあると、血液の血小板を粘着性にしてしまい、血小板が集まって固まりやすくなることが知られている。さらに、テストステロンは血圧を上げる作用があり、しかも、心臓を守る作用のある「高密度リポたんぱく質」(HDL 、いわゆる「よいコレステロール」)を減らすという研究結果もある。
  もう一つの説明は、はげに関連する遺伝子と、CHDになりやすいことに関連する遺伝子が、なんらかの理由で次世代に一緒に引き継がれやすいのではないか、というものだ。Manson らは、「ただし、残念ながら、はげの遺伝については、まだほとんど分かっていない」という。
  Mansonたちは、今回の研究結果には限界があることを認めている。たとえば、11年後の追跡調査時よりも前に死んだ患者に関してはデータが得られていない。その約3 分の1は、心血管疾患で死んでいるのに。また、はげ方やその程度の分類は、アンケートによる自己評価なので、不正確な面は残る。
  しかし、Mansonたちは、彼らの研究や、これまでの研究をもとに、「はげが、CHDの危険性が高い男性を見つける目安として使えるかもしれない」と結論した。つまり、はげている人は、CHD の危険性を事前に知り、きちんと予防措置を受けられる可能性を持っているのだ。
                       Sara Abdulla
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●●●ヤベえ!!
      そのうち保険屋は、客の足もとでなく頭頂を見て、
         ふるいわけしてくるかも……。






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