H5.CIA研修報告(続き)

 
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投稿者 野田敬生 日時 2000 年 5 月 31 日 07:20:35:

            情報分析研修受講の感想及び所見
                                     調査第二部第一課
                                     坂井 隆
1  当庁資料の改善について
   CIA側の今次研修における最大の眼目は、情報とりまとめの方法論、より具体的にはその資料化のための標準的方法の伝授にあったと思われる。おりしも、当庁資料の書き方について「分かりにくい」との指摘がなされ、その改善の必要性が指示されているところである。しかしながら、個人レベル、課レベルでの改善努力には、自ずと限界があろう。
   そこで、この際、同研修において示されたCIAの流儀も参考としつつ、当庁資料のあり方について、全庁的な立場で再検討することが望ましいと考える。
   その場合に肝要なことは、今次研修において強調されたところでもあるが、情報を作る側の都合ではなく、「情報の消費者」(読者=政策決定者)の必要性に応えることを最優先する観点に立つことであろう。そのためには、まず、「水曜会資料」「週報」などの既存の枠にとらわれることなく、どのような目的で、どのような読者を対象とし、どのような間隔で、どのような資料を発行すべきかについて、十分な検討を行い、その上で、それぞれの資料について、その目的等にふさわしい体裁、構成、表現方法などを標準化していくことが必要であると考えられる。
2  CIAとの連絡要員の派米について
   今次研修は、当庁とCIAとの協力関係強化を促す一つの契機になり得るものと考えられるが、そのような関係を当庁にとってさらに意義あるものとするためには、現在の東京だけを接点とする連絡方法を一歩進めて、当庁職員をCIAとの連絡のため米国(ワシントン)に駐在させることが必要であると思料される。
   連絡要員をワシントンに派遣する必要性は、単に支部(東京)よりも本部(ワシントン)のほうが持っている情報量が多いということだけを理由にするものではない。すなわち、CIAの機構上、東京で当庁との連絡を担当するのは基本的にDO(作戦部門)の系統であるが、ワシントンには、DOからの非公然情報のほか、衛星写真、通信情報及び公然情報などを総合的に分析し、それを政策担当者に伝達する部門(DI)が存在する。したがって、当庁職員がワシントンに常駐し、DIの分析官との信頼関係に基づく恒常的な意見交換の機会を持てるようになってこそ、CIAの情報のエッセンスを吸収し、さらに米国政策当局の関心事項などについても一定の示唆を得ることが可能になると考えられるのである。
   なお、本職の今次訪問の経験に限っていえば、DI側は、当庁との意見交換に必ずしも消極的ではなく、むしろ、DO側に当庁との関係を独占しようとする傾向があるような印象を受けた。
   また、要員の派遣経費については、現在の為替水準の下であれば、それほどの補助はなくても滞在が可能であるように思われる。現に、日本の私立大学の教員が、大学から通常の給料だけ支給され、米国の大学の客員研究員(無給)として滞在している事例もある。
   もとより、ワシントンに要員を派遣する場合、その活動はCIAとの連絡に限定される必要はなく、同地の国際政治における位置を勘案すれば、そこで収集可能な情報量は公然情報だけでもぼう大であり、国内において一人の調査官を割愛したとしても、そのマイナスを補って余りある効果があるものと考えられる。
3  分析担当者向け研修実施の必要性
   今次研修を通じ、CIAにおいては、分析担当者を対象として、新任、中級者などの各レベルごとに様々な研修を実施していることがうかがわれた。我々に対する講義も、そのような内部向け研修プログラムを基礎としたものであった。
   翻って、当庁における研修状況を鑑みると、一部研修、二部研修はもとより、実務担当者研修などにおいても、本庁分析業務に直接資するような研修はまったく行われていない。しかも、従前は、本庁各課において、いわば徒弟制度的に継承されていた技能も、最近では、頻繁な人事異動などの影響もあって、十分に継承されておらず、その結果、新たに分析を担当することとなった者は、分析業務遂行に当たって、それぞれ施行錯誤を繰り返している実情にあるといわざるを得ない。
   そこで、当庁においても、CIAの研修内容などを参考としつつ、当面、資料の書き方などを中心とした新任分析担当者向けの研修コースを設けることが望ましいと考える。
以  上



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