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回答先: Re: 科学・理性・感情（３） 投稿者 Ｖａｎ 日時 2000 年 6 月 11 日 12:37:59:
法華三部経体系（総論）』 五井野正著 1981.10.12 より抜粋
漫画の影響は大人たちが考える以上に社会に深く根をおろしている。
そして、より感覚的に刺激を与える劇画は暴力教室とか少年少女の性の
暴走とかいった社会事件にまで引き起こしている。
もし暴力的な劇画とソフトポルノとどちらが青少年に悪影響を及ぼし
猥褻的かと問えば暴力的な劇画の方だと答える。
ソフトポルノのほうがより現実的で人間的だと思うのだが、
かつての過去の時代に生きてきた人々にとっては漫画はあくまで漫画で
あって非現実的で人間的な描写のリアルさがないから青少年には
それほど影響がないと考え、ポルノの場合は飾らない人間そのものの
陽影なのに現実的で人間味臭く、それゆえ猥褻であると過去の思想
そのものを洗脳された通りに押し出す。
ここでは理性は全く無く、知性によってコントロールされた感情の剥き出し
そのままである。
このことがかえって青少年を反動的に劇画時代へと進ませる。
青少年は知性よりも感性のほうが強い。
その感性を動物や自然にありのままに触れさせれば感情や理性となって
梵我一如の如く自然にアートマン（自然的人間、あるいは理性的人間）を
求めずともなるものである。
そして、そのうえで人間対人間の関係、性の体験を通して、より人間的に
目覚めていくという修練というものが生まれるのである。
ところが劇画の中の知性（知識とは違う。知識はまだ識別する判断ができるが
知性はもうそれさえも不可能で感性の中に組み込まれてしまっている）で
人間、さらには友人を考え、視覚的、暴力的に性の処理を行おうとする世代が
続出する今日では真理という光によってつくられる物質の背面である影が
物質の中のみならず人間の精神面の中にまで影響を及ぼすという様を
演出しているかのようである。
しかし、真理的にはありえない。
では何なのか？
それは真理という光によってつくられた影ではなく邪知という思考によって
作られた虚像だからである。
これは何も漫画だけに限ったことではなく、テレビも映画でも同じである。
暴力ドラマ、殺人ドラマはたとえそこに正義のモラルが主役だといっても
それは建前であり視覚的にドラマを流れているのはやはりそれらの映像である。
そして繰り返し繰り返しの暴力映像の押し付けは潜在的な知性を創り出し、
やがて社会全体を侵蝕し始める。
そこでこのような知性が創り出すものが世間法で、現状の世間法は影の中に
影を作っているという認識の仕方をすることができる。
整理してみれば理性はもともと感情面の理で動物にも理性があるのに
そう思うことが驚きにも似た反応を示すのは理性を感情から引き離し、
感情を低級なものと差別して知性（理性ではない）の下にコントロール化させる
考え方が根底にあるからであり、その思想を植え付けたのが近代西洋史、
もしくは科学史に大きな影響を与えた十七世紀の人物、デカルトである。
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