宇宙開発の目的論議を

 
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投稿者 6/19 四国新聞 日時 2000 年 6 月 19 日 16:49:54:

宇宙開発の目的論議を

 日本の宇宙開発は、平和利用が大前提のはずだ。「宇宙の開発、利用は平和目的に限る」とした国会決議に加え、宇宙開発事業団設
置法でも「平和目的」を明記している。政府は、一九六九年五月の国会で「平和目的とは非軍事」と答弁している。
 だが、「非軍事」という垣根は、日本の宇宙開発技術の進展とともに、低くなってきているのが実態だ。
 政府が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル実験を機に、情報収集衛星の開発を決めたのは記憶に新しい。今度は、次世
代の宇宙ロケット用エンジンを、日米の民間企業が共同で研究開発する計画が浮上した。
 政府は「研究開発なら国会決議には抵触しない」と静観の構えだが、平和利用に風穴をあけ、その穴を徐々に広げて行く従来手法は
もはや限界。国会の場で堂々と論議を尽くすべきだ。
 宇宙開発事業団の宇宙開発は、当初はロケット、衛星とも米国からの技術導入に大幅に依存したため、米国から軍事利用禁止、日米
両国以外の国の衛星打ち上げ禁止などの規制を受けていた。
 国産衛星の打ち上げが可能になった八三年、防衛庁から通信衛星「さくら2号」を硫黄島との連絡に使いたい、との要望が出され
た。政府は、公衆電気通信法の「あまねく公平に役務を提供」の規定を根拠にこれを認め、自衛隊の衛星利用に突破口を開いた。
 これを機に、海上自衛隊の米海軍通信衛星フリートサット利用、防衛庁による米高解像度商業衛星画像の直接受信、そして情報収集
衛星の導入へと拡大していく。
 ロケット技術では、宇宙開発事業団が上段用に自主開発した液体酸素・液体水素(液酸・液水)エンジン「LE5」が米国から狙わ
れた。
 九五年四月、マクドネル・ダグラス(MD)社がデルタ3ロケットの二段目用に提供してほしいと、正式に要請してきたのだ。
 しかし、米側が軍事利用禁止の約束に難色を示したため、エンジン本体の提供は見送られた。この政府判断は、適切で評価できる。
 米国が、日本のLE5に着目したのは、エンジンの優れた再着火機能にある。再着火は、宇宙空間でロケットエンジンを一度止めて
慣性飛行した後、再びエンジンに点火する。燃料を節約できる高等技術で、打ち上げコストが安くなる。
 MD社は九七年八月に、世界最大手の航空機メーカー、ボーイング社に吸収合併された。そのボーイング社がこのほど、LE5の主
製造会社である三菱重工と手を組んで、LE5をベースに、次世代の上段用大型液酸・液水エンジン「MBーXX」の共同研究開発に
乗り出した。
 この共同研究開発には大きな問題点が二つある。
 一つは、米側から将来、軍事目的に使わないとの約束が得られていない点だ。政府は「国会決議に触れるかどうかの最終判断は、完
成したエンジンを載せたロケットの積み荷や打ち上げ目的を見て決める」と、今回はなぜか腰が重い。
 米国が軍事目的の打ち上げを事前に公表することはまずなかろう。軍事利用に歯止めをかけるための交渉を急ぐべきではないか。
 もう一つは、国家プロジェクトにより生み出された技術成果の取り扱いだ。三菱重工は「MBーXXには宇宙開発事業団の成果は使
わず、当社固有の技術で対応する」と説明する。
 だが、LE5が米国の同種エンジン「RL10」を上回る高性能を達成できたのは、宇宙開発事業団が約二百億円もの国家資金を投
入してきた成果にほかならない。技術の使い分けは本当に可能なのだろうか。
 国家プロジェクトの技術成果がたとえ一部分とはいえ、外国で軍事利用に供される恐れがあり、しかも特定企業だけを利するような
ことがあるとすれば問題だろう。政府には、国民の納得がいく説明をする義務がある。





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