No.392 NTT接続料引き下げ問題(ビル・トッテン)

 
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投稿者 全文 日時 2000 年 7 月 13 日 14:47:02:

回答先: Re: アメリカに言われるような用件か? 投稿者 匿名3 日時 2000 年 7 月 13 日 12:35:17:

題名:No.392 NTT接続料引き下げ問題

http://www.billtotten.com/japanese/ow1/00392.html

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From : ビル・トッテン
Subject : NTT接続料引き下げ問題
Number : OW392
Date : 2000年7月11日

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 日米両政府の間で交渉が難航しているNTT通信回線の接続料引き下げ問題について、九州・沖縄サミット前の決着を目指して、事務レベル協議が今週、開催される予定になっています。今回は、この問題に関する読者からのコメントを紹介するとともに、私の分析をお送りします。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

(ビル・トッテン)

NTT接続料引き下げ問題

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 私はかねてよりNTTの接続料引き下げ問題に関する米国からの要求は、日本に対する完全な内政干渉であると主張してきた。米国政府は日本ではなく米国を治めるために国民に選ばれたはずであり、日本国内のNTT接続料の問題に対し、米国政府が口出しするのはまったくの筋違いであると思う。この点について、このOur Worldシリーズの読者から次のような意見が送られてきたのでご紹介したい。

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読者: 費用というものは、どんな分野のものであっても、償却費、運転維持費、税金、直接・間接経費、利潤により構成されるものです。こういった内容はちょっと算術ができれば誰でも分かるものです。郵政大臣たるものが「研究会がこういっているから」ではいけません。この構成を一言で説明できなければいけません。このようなことを述べるから米国と比べて安い、高いなどというような根も葉もない論議が出てくるのです。もとより、とっくのとうに償却の終わっているような旧態依然たる米国の電話回線網と、常に設備更新を続け、したがって償却期間が短い(償却費用は当然非常に高くなる)日本の電話回線網と単純に比べること自体が馬鹿馬鹿しい。基本料というものの主体が償却費であることをまず知らなければなりません。もっとも消費者から見れば安ければいいのは当たり前ですが、それは議論とはいいません。

問題は郵政省が国としての基幹事業である通信に関して、他国である米国に納得してもらう必要性を感じていることです。これは外国人であるトッテンさんにいわれるまでもなく、毛頭必要ありません。またさらに事情を悪化させているのは上記のような基本的なことを簡単に説明できない(もちろん技術も分かるとは失礼ながら到底思えない)郵政大臣と、(失礼ながらさらに輪をかけて愚鈍な自称)通商代表バーシェフスキー氏とが「話し合って」いる。まとまる訳がない。こういう議論ともいえない議論は理屈も何もなく押し捲る方が勝つに決まっているというのは世間の常識です。

国としての基幹事業である郵政について、私は以前から小泉氏らの郵政事業民営化論に本当に憤りを感じているものです。こんなことは説明の必要は本来ないのですが、軍隊用語でC3Iというものがあります。コマンド、コントロール、コミュニケーション、およびインテリジェンスです。独立国家たるもの、これらの基本的機能はしっかりとしたものを持っていなければならないことは当然です。(米国だって郵便局を民営化していないでしょう。)その基幹たる郵政事業を民営化しようとは...。通信事業はもう手後れです。米国は国防上の通信網を独立に持っていることを知るべきでしょう。

米国から規制緩和という概念を輸入するに際してもかなり問題があります。そもそも米国は歴史的に連邦主義と地方自治主義の攻めぎ合いで成り立ってきた国であり、その根本的支えは端的にいえば連邦政府に強権を与えたら碌なことはないという性悪説で、憲法でさえその思想で成り立っています。その基幹が1935年に制定された州際業務を原則的に禁じているグラス・スティーガル法です。米国の規制緩和はこの法律を守りつつという条件の下に成り立っています。ちゃんと「良い」枠がはめられているのです。このような基本的なことを知らずに「全て自由」なのが規制緩和だというような議論をする人々が日本では「ほとんど全て」なのには本当に困惑します。
 
トッテン: 私はこの読者の意見に全面的に同意する。両国の間でいったい何が争点になってきたか知っていただくために、そもそも米国が日本の国内問題に口出しすること自体が言語道断であると断言した上で、日本側の対応について具体的に検討してみたいと思う。問題になっているNTT接続料とは、市内通信網を持たない通信会社がNTT地域会社に支払う加入者回線への接続料のことであり、日本政府側は4年かけて段階的に22.5%引き下げるという方針を示しているのに対し、米政府側は下げ幅を41.4%に拡大することを求めてきた。(7月3日付けの『読売新聞』によれば、日本政府は接続料金を2000年末からの2年間で28%前後引き下げ、3年目以降は今後のNTTの経営実態を踏まえて2年後に再協議するとの案で沖縄サミットまでに米政府と最終決着を図る方針を固めたという。)以下に日米の主要な論点を示す。


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NTT接続料引き下げ問題を巡る
日米の主要な論点


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(『日本経済新聞』、2000年6月15日より)


  日本 米国
接続料引き下げ幅 2000年末から4年間かけて22.5%引き下げ 2000年末から2年以内に22.5%引き下げ、すみやかに41.1%の引き下げを図る
大幅引き下げ(41.1%)が与える経営への影響 NTT東西地域会社は、大規模な人員削減、設備投資の抑制など大幅なリストラに追い込まれる NTTグループは十分な利益を上げており 、対応余力が十分にある
利用者利益に与える影響 大幅引き下げの減収の一部は、利用者の基本料金に転嫁する必要がある。300円程度の引き上げになる。 NTTの経営努力で基本料金引き上げ分は吸収可能


沖縄サミット前にこのNTT接続料引き下げ交渉を決着させ、米国の機嫌をとることでサミット自体を成功に導きたいためか、日本側は6月のクリントン大統領の訪日以降、米国からの要求にすべて応じる形で、首相をはじめとする連立与党の代表、さらには公正取引委員会の報告書までが接続料引き下げの前倒しや、NTTドコモ株の売却益を利用した接続料引き下げ、さらにはNTTの完全民営化などを提唱している。以下、日付順にその発言を追ってみた。

<6月8日> 小渕前首相の葬儀に参列するため来日したクリントン米大統領は森首相と日米首脳会談を行い、懸案となっているNTT接続料金引き下げ問題を日米間に横たわる「解決すべき問題」と位置付けており、この問題に対する米政権の優先順位の高さを印象付けた。
<6月9日> 森首相は金沢市で開かれた自民党政談演説会で、情報技術(IT)革命への対応について、「NTTは完全民営化の方向でやらなければならない」と述べ、政府が保有するNTT株式を売却し、NTTの完全民営化を急ぐ考えを明らかにした。
<6月12日> 自民党の野中幹事長は、森首相がNTTの完全民営化を提唱したことについて、「NTT株式の三分の一を政府が保有していることが真に民営化の方針に合うのかどうか、私も疑問を持っていた。首相もそういうことを念頭に発言されたと思う」と理解を示した。日米間で懸案となっているNTTの接続料金引き下げ問題については、「NTTドコモの株式について、NTTの保有割合を現行の67%から51%程度にし、これ(ドコモ株売却益)を基礎にすることで、NTTの接続料金軽減の方向を見い出せるのではないか」と述べ、日本政府が4年を目途としている引き下げ時期を前倒しすべきだとの考えを明らかにした。
<6月12日> 公正取引委員会の「政府規制等と競争政策に関する研究会」は、電気通信事業に関する報告書を正式に発表した。NTTの持ち株会社体制は「期待された競争促進の効果が不十分」と明記し、NTTの体制を根本から再検討する必要があると指摘した。日米間の懸案となっているNTTの接続料金問題についても、適正水準まで引き下げることが望ましいと提言した。報告書は、NTTの体制について、国内の固定電話網を事実上独占しているNTT地域会社と、移動電話の54.3%(四月末現在)のシェアを持つNTTドコモがともに持ち株会社の支配の下にある点を懸念し、「NTTグループ全体の利益の最大化を図るため、競争の活性化に結び付かない」と明記した。このため、ドコモについては、「持ち株会社の支配からの解放が必要」とし、NTTの出資比率(現在67.1%)を引き下げて、ドコモの経営の独立性を高めるよう求めた。
<6月14日> NTTの宮津純一郎社長は定例記者会見で、米国が強く求めているNTTの接続料の大幅引き下げ問題について、「NTT法を改正し、NTT東西会社の経営を効率化できるなら下げる努力はする」と述べ、接続料引き下げの前にNTT法改正に着手すべきだとの考えを明らかにした。
<6月16日> 公明党の神崎代表は、NTTの経営について、「独占禁止法の精神である競争政策が導入されるべきだ。NTTドコモ株の売却も1つの考え方だ」などと述べ、森首相が先に打ち出したNTTの完全民営化と、自民党の野中幹事長が提唱したNTTドコモ株売却益を利用したNTT接続料金の引き下げを支持する考えを示した。
<6月23日> 米通商代表部(USTR)のリチャード・フィッシャー次席代表は、自民党の野中幹事長が日本案を1年前倒しして「3年で22.5%の引き下げ」という妥協案を表明したことについて、「我々は『2年以内に22.5%、その後41.4%まで引き下げ』という、これまでの主張から譲歩するつもりはない」と答えた。
<7月2日> 日本政府は接続料金を2000年末からの2年間で28%前後引き下げ、3年目以降は今後のNTTの経営実態を踏まえて2年後に再協議するとの案で沖縄サミットまでに米政府と最終決着を図る方針を固めた。
<7月4日> 郵政省は、日本電信電話(NTT)法や電気通信事業法など情報通信関連の法律を抜本的に見直すと発表した。法改正を通じて、(1)NTTグループの完全分離・分割、(2)NTT東西地域会社の業務範囲拡大、(3)NTT東西への公正競争ルール導入などの実現を検討する。郵政省は通信行政を根本的に改めることになる法改正の検討に慎重だったが、米国型の公正競争ルールを導入することで同時に接続料問題も解決できると判断した。


上記の日本政府の反応を見て、米国の狙いが私の予測通りになりつつあると感じる。すなわち、米国はNTTに接続料金を引き下げさせることにより、NTTにNTTドコモの持ち株を手放させ両社の絆を弱めようと考えている。その結果、NTTが完全に民営化されればどうなるのか。NTTは自社の利益を優先させるようになり、最も利益の高い事業に集中し、利益の出ないサービスは切り捨てて行くだろう。もしそうなれば、大都市と同じ料金では赤字となるような過疎地に誰が電話サービスを提供するのか。全国民に最低限の社会基盤を提供するという公共サービスの必要性を森首相はどのように考えているのだろうか。公共性というものは、民間企業の目標とは相容れないということが理解できないのだろうか。また公正取引委員会は、競争を促進することは社会の目標達成の1つの手段に過ぎないにもかかわらず、あたかも社会の目標そのものであるかのように捉えている。通信サービスの目標は、社会に最低限のコストですべての国民に等しく優れたサービスを提供することにあると私は考える。以下に、私のこの考え方を支持する読者からのコメントを紹介する。

読者: つい先日のことですが、私の住む町のNTTの窓口でこんな光景を目にしました。電話料金を窓口に支払いに来た高齢の女性に「今月限りでこの営業所は閉鎖しますので…」と係員が応対しておりました。「来月からどこで支払えばいいんですか」とたずねる女性に「お近くのコンビニエンスストアでお支払いいただけます。もしご面倒でしたら銀行引き落としにしていただければ…」。その女性はそういわれて少し戸惑いながら「ああ、そうですか」とだけいい残して出て行かれました。ただそれだけのことですが最近地方でよく見られる寂しい光景です。競争によって料金が下がりサービスが向上することに利用者が賛成しないはずはありません。しかしそれは大都市などの一定のマーケットが存在する地域のことであり、現実にマーケットが小さい地域では効率の名のもとに競争はおろか事業所の撤退もすさまじい勢いで進められています。国内の有力企業がリストラと称する生産ラインの閉鎖により、工場がある地方の経済に特に深刻な影響を与えていることはご承知の通りです。もちろんその現象は 今に始まったことではなく、かつて炭坑や製鉄で栄えた地方都市が同じように経験したことではありますが、地場産業の低迷が拍車をかけ、今では一部の町だけでなく全国規模で地域コミュニティーの崩壊をも招いています。
 
トッテン: 私もこの読者のいう通りだと考える。NTTが完全に民営化された場合、NTTが運営するすべての領域で同社と競合しようとする企業は1社もないはずである。おそらく競合相手は最も利益率の高い分野、大都市の大企業相手の通信サービス事業だけに集中し、その分野をNTTから奪い取ろうとするに違いない。そして、NTTを競争で打ち負かし、地方の家庭や中小企業相手といった、利益の少ない儲からない事業だけをNTTに押し付けようとするのではないか。当初、政府がNTTに独占させたのは大都市の消費者から得た高収益で、儲けの少ない地方の利用者をカバーすれば、全国一律の料金で全国共通に電話サービスを提供できると考えたからである。だからこそ政府はNTTにその使命を必ず果たさせるために厳しい規制を敷いたのである。今になって政府がNTTの最も利益率の高い分野へ他社の参入を許し、NTTを競合他社との価格削減競争に晒せば、弱小企業や地方の利用者に対するNTTのサービス余力を著しく低下させ、基本料金の引き上げを余儀なくさせるであろう。現に自由競争の本場である米国でも、イギリスでも、完全な民営化はうまく機能していないし、日本でそれがうまくいく保証はまったくない。

さて、これまで私と同じ主張の読者からの意見を紹介してきたが、最後は私の主張とは反対の、残念ながら日本国民の代表的意見と思われる読者からのコメントを紹介し、それに対する反論を試みたいと思う。 

読者: NTT接続料は、米国からの外圧、という問題はあるが、基本的には国内問題だ。米国内の電話料を、日本国(民)が、高すぎる、と抗議するのは的外れだろう。しかし、私は、もっと圧力をかけてくれといいたい。日本は、トッテン氏もいっている通り米国の植民地なのだから、常識などを持ち出してもしょうがない。
 
トッテン: 日本国民と政府が勇気を出して「大きなお世話だ」と米国に言い返さない限り、米国への従属を終わらせることはできず、日本は米国の植民地であり続ける。米国からの外圧を喜ぶのは、日本国民が自分の手で自国を統治できないことを認めるのと同じである。民主主義社会では「人民の人民による人民のための政治」が基本であり、外圧を歓迎すること自体が民主主義をないがしろにすることである。

読者: 問題は、電話料金が高すぎる、ということにつきる。だいたい、インターネットというのはタウン内(市内)の電話料金は 無料(基本料金で使い放題)という前提で成立している。日本の市内料金はインターネットユーザー(私のようなsoho組)にとっては禁止的に高額である。
 
トッテン: まず何を基準に「日本の電話料金が高すぎる」というのか。米国政府は日本の通信料金が米国の8倍だと主張しているが、米国政府が比較している通信料金の通信速度が、米国は300bpsであるのに対し、日本は64,000bpsであるという。300bpsということは1秒間に19文字であり、対する日本の回線速度は毎秒4,000文字である。この差は約213倍であり、それが新幹線と徒歩の速度差(50倍)の4倍以上であることを考えれば、どれだけ馬鹿げた比較であるかが理解できるはずである。ましてや今日、300bpsの回線でインターネットを使用している人などいない。米国政府は、この読者のように日本の電話料金が高すぎると日本人に思い込ませるために不当な比較データを流しているのである。

さらに日本は接続料が高いから電話やインターネットの通信料が高くなると米国は主張しているようだが、相互接続料自体で比較すれば、米国は州によって接続料が異なることもあり、日本よりも接続料が高い電話会社も多い。


主要国の相互接続料金比較
(1分間料金)

(単位:ドル)

主要国 着信 発信
ナイネックス・ニューヨーク(米国) 1.34 4.61
テルメックス(メキシコ) 4.40 4.40
ナイネックス・マサチューセッツ(米国) 1.34 4.37
ベルアトランティック(米国) 1.24 3.25
テレフォニカ(ペルー) 3.20 3.20
ネバダベル(米国) 1.21 2.90
シンシナティベル(米国) 0.96 2.75
CTC(チリ) 2.34 2.34
NTT(日本) 2.31 2.31
ベルガコム(ベルギー) 2.10 2.20
テレコムイタリア(イタリア) 2.19 2.19
アメリテック(米国) 0.83 2.18
PTA(オーストラリア) 1.87 2.11
フランステレコム(テレコム) 2.07 2.01
テレデンマーク(デンマーク) 1.86 1.86
ソネラ(フィンランド) 1.88 1.82
KPN(オランダ) 1.58 1.75
スイスコム(スイス) 1.63 1.66
テレフォニカ(スペイン) 1.53 1.53
テレノール(ノルウェー) 1.51 1.51
ベルカナダ(カナダ) 1.35 1.35
ドイツテレコム(ドイツ) 1.31 1.31
テレコム・アイリーン(アイルランド) 1.30 1.30
テリア(スウェーデン) 1.17 1.17
BT(英国) 0.85 0.9
ホンコンテレコム(香港) 0.46 0.46

出典: Ovum Interconnect, Quarterly Update July 1999

読者: これで情報戦争に勝てるわけはない。自宅で株式投資をやろうと思えば24時間に近い接続を行って最新の情報を得ることが必須であろう。
 
トッテン: 株式投資のために最新データを求めるような人々は、社会への貢献よりも、私利私欲を優先させる貪欲な寄生虫である。即時データは、発行済み株式の取引には有益かもしれないが、そうした取引は投機家の儲けや損失にはつながっても、企業の資金繰りには役立たない。事実、こうした投機家の存在こそが、企業に、顧客や社員のために長期的に仕えることよりも短期的な収益増を求めさせることになるのであり、結果として有害な影響をもたらすのである。企業が株で資金を得られるのは新規に株を発行する時だけであり、発行済み株式の取引からは企業に資金はもたらされない。したがって、こうした博打を行う投機家を助けるために、残りの国民がNTT接続料引き下げのための基本料引き上げを受入れる必要はないと思う。


読者: 電話交換は交換手が行っているのではない。市内電話の接続/解除に要するコストはゼロなのである。
 
トッテン: 電話交換手の存在と接続料引き下げ問題とは直接関 係がない。電話会社は徴収した電話料金や通信料金をすべて、研究開発費、設備投資、減価償却費、人件費、その他の直接/間接経費に充てている。したがって、交換手を使っているかいないかをもとに接続料や電話料を議論することは、コンピュータの値段が高いか安いかを判断するのに、キーボードやスクリーン、バッテリーなど各部品の値段を云々することと同じである。それを議論する前に、先の投機家がハイテク株の株式投資であげる法外な株価収益を考慮した場合、企業株価が企業の実態に見合っているかを検討すべきである。


読者: 「値下げしたら基本料金の値上げをNTTが行うであろう」といっている郵政省はどこを見てものをいっているのか? まったくあきれてものがいえない。こんな省庁と独占企業を持っている日本国民は不幸としかいいようがない(この省だけに限らないことはご承知の通り)。
 
トッテン: 米国の要求通りに41.4%も接続料を引き下げれば、NTTの東西地域会社は98年度比で年間7,000億円もの減収になると試算されている。基本料金を引き上げずに、NTTはどうやって現在行っている研究開発やサービスの質を維持できるのか。


読者: iモードは、アイデアとしてはどうということのないサービス。これこそタダにすべきであろう。技術的にも簡単なサービスでトラブっているけれど、まだ、設計が、チャチなのである。しかし、ユーザーも遊びに使用しているのだからトラブルが起きても混乱はない。心配無用。
 
トッテン: 日本でインターネットの商用サービスが開始されたのは1993年であるが、現在の利用者数は約3,000万人である。そしてその3分の1が、サービス開始後1年足らずのiモードでの利用者である。iモードによってインターネットの利用者が急増している理由は単純である。ウインドウズやマッキントッシュ、Unixなどの西洋の技術や英語を基本としたパソコンに比べて、日本語や日本の技術をもとに、日本人向けに作られたiモードの方が断然使いやすいからである。日本人に使いやすいiモードが登場したことで日本のインターネットの利用者数が激増したのである。

NTTとNTTドコモはコンピュータと電話を融合し、それまで企業で働く一部の人しか使えなかった、高価で複雑なPC機能を、誰にでも手頃で使いやすいものに作り替えた。結果として、NTTグループは、それまで米国の一部大手コンピュータ関連会社や通信会社が享受してきた独占体制と、その独占が可能にした高収益を打ち破ろうとしている。だからこそ、こうした米国の大企業に買収されている米国政府が、NTTとNTTドコモを不利な立場に追い込むために、内政干渉をしてまで接続料引き下げやNTTドコモ株の売却といった理不尽な要求を突き付けてくるのである。それが日本国民の利益にならないのは明白である。

日本はアメリカンスタンダードをグローバルスタンダードと履き違え、米国からの要求をいわれるがままに受入れるのではなく、他の世界にも目を向けるべきである。欧州市場ではインターネットの利用が増えているものの、一部の米国の通信会社がインターネットの接続事業を独占しているため、欧州内で発信されるインターネット上の情報の実に50〜80%が依然として米国を経由しているという。そして欧州のインターネット・サービス・プロバイダーは米国の通信会社にネットワーク接続料を支払わされている。そこで欧州では6月28日、欧州連合の行政執行機関である欧州委員会が、米国の大手通信会社ワールドコムによる同じく米企業であるスプリントの買収を認めないと発表した。欧州企業を含まない買収計画ではあったが、両社が合併すれば欧州市場における競争政策上問題があると判断したためである。

今回のワールドコムによるスプリントの買収計画、さらにはタイムワーナーとアメリカンオンラインの合併計画などに見られるように、米国の大企業は情報通信分野における独占体制をさらに拡大しようと必死である。その狙いは、今や軍事力に匹敵するプロパガンダやマインドコントロールの能力を高めるために、情報の中味とその流れを支配することにある。一部の米国企業にこの分野の覇権を許せば、世界中の人々の考え方や心を米国に支配させることになる。

日本は金融分野の規制緩和により、外資の日本参入および日本の資金の海外流出を加速化させることになった。今度は通信分野でも同じ間違いを繰り返そうというのであろうか。NTT接続料引き下げ問題には電話料金の削減以前に、通信サービスという全国民のための社会基盤の確保や国家の安全保障がかかっている。日本も欧州諸国を見習い、この分野における自国の主権を守る努力をすべきであると私は考える。


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