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「インフレターゲット論」のトンデモ 投稿者 あっしら 日時 2002 年 2 月 22 日 21:45:54:

まず、「インフレターゲット論」は、現在の不況の原因はデフレにあるのだから、日銀はインフレ率目標を設定し、それを実現するために、通貨供給量を拡大したり、円安に誘導しろというものだと理解しています。そして、日銀は、通貨供給量を拡大しつつ円安に誘導するために、外債や外貨を直接購入すべきであると主張しているものだと考えています。


確かに、外債を買うために日銀から証券会社に「日銀券」が支払われたり、外貨を買うために銀行や短資会社(為替ディーラー)に「日銀券」が支払われますから、通貨供給量は増大します。そして、外債や外貨が特別に購入されるのですから、それがないときよりは円安に動く可能性が高いでしょう。

通貨供給量の増大は、現在既に15兆円近くの余剰状況が実現されているのですから、それでどうなるわけでもありません。外債や外貨の購入で流出した「日銀券」も、銀行が国債などの購入にまわすだけで、実体経済領域には出てこないでしょう。
(『「不良債権問題」と金融政策』を参照)

問題は、「インフレターゲット論」が主張する円安に、果たして「デフレ対策」機能があるのかないのかというになります。

まず、デフレは過去からの物価の推移を言い表したもので、現在の物価が国際的基準で高いのか安いのかは関係ないことです。

95年に物価が国際的に見て割高だった場合、物価がそこから10%下がったといって、国際的に見て安くなったと言えない場合があります。
同じ品質の製品が「日本価格」=「中国(代表例)価格+運賃+関税」(以下これを中国価格とする)がほぼ同じであれば、円安に動くと輸入価格が上昇するため、日本価格は上昇すると想定できます。
しかし、日本価格>中国価格であれば、円安に動いたとしても、不況の日本では価格がそのまま据え置かれる可能性が高いでしょう。独占であれば価格を上げることもできますが、競争があれば、どこもが価格を上げることに躊躇するでしょう。

これは、企業の利益を減少させ、日本全体の需要を減少させることになります。
すなわち、デフレの原因である需要<供給をさらに悪化させます。

(日本は、総体的に言えば物価高の国です。このままでは、「国際価格」に収斂するまでデフレが進む可能性が高いと考えています。そのあいだはますます不況が強まるということでもあります)


原材料輸入価格が上昇するから製品コストも上昇し、販売価格にそれが反映されるという見方もできます。
しかし、それが日本だけで製造されているものであればそれが通用するでしょうが、同じ品質のものを中国が製造していたらどうでしょう。
ただでさえ幅広い工業製品で価格競争力を失いつつある日本は、製造コストが上昇したら、ますます中国に対する価格競争力を失います。
そして、それは、日本企業に中国への製造拠点移動を促すことになります。
(これまで説明してきた内容も、中国製と言っても日本企業の中国工場で製造されているものをイメージしています)

これは、確かに日本国内の供給力の削減(デフレ解消要素)にはなりますが、それに相当する失業者が生まれます。さらに、もともと日本向けを当て込んでいたものであれば、移転した中国の工場から日本に輸出され、供給力の削減も実現されません。

こうなると、結局、失業者が増えた分需要が減少しただけで供給は変わらないため、デフレの原因である「需要<供給」をさらに悪化させることになります。


残るメリットは、円安による輸出の拡大です。

これは、商品が国外に出ていくので、国内物価には直接関わってきません。
関わってくるのは、輸出拡大による雇用者の増大=失業者の減少を通じての需要拡大(デフレ解消要素)があるのかないのかという問題です。

輸出を拡大した企業の操業率が上がることで利益も増大するでしょうが、現在の状況で雇用者が増えるでしょうか?
首切りが横行していますが、それでも、米国のように無慈悲に首を切っているわけではありません。結局、操業率のアップや首切りの抑制に貢献するにとどまるでしょう。

利益についても、円安で輸入原材料価格が上昇するので、それほどのアップは期待できないと思います。
ビデオデッキの世界市場でのシェアで中国(日本企業も含む)に追い抜かれたように、激しい競争が展開されていれば、円安で楽になった分を輸出価格の引き下げに利用するだけで利益の拡大にもつながらない可能性が高いと考えます。

いろんな見方はあるようですが、現在、世界は不況へと向かっています。
このようななかで中国など輸出拡大志向国家との激しい競争に打ち勝って、輸出を拡大するのは至難だと判断します。


このように、「インフレターゲット論」は、それが主張する政策を実行しても、デフレを解消できるものではなく、逆にデフレを悪化させるだけのものです。

(元々「インフレターゲット」という考え方は、インフレを沈静化させるための手法です。インフレであれば、通貨供給を絞り込むなどの通貨政策で対応が可能です。社会政策的な面を除外すると、景気を悪くすれば、インフレは簡単に抑え込めるものです。デフレの解消は、金融政策という“小手先”では対処できないものです。かつての日本は、不況期でもインフレだったのです)


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