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Re: 「斜めレス」になりますが 投稿者 あっしら 日時 2002 年 3 月 26 日 19:06:08:

(回答先: 貧富 投稿者 596 日時 2002 年 3 月 26 日 00:44:00)


596さん、こんにちわ。

私とのやり取りを「横レスすまぬ」さんが引き継いで続いていたのを読ませていただいておりました。


>課税最低限は現在、諸外国に比べ高すぎる状態にあり、課税最低限引き上げを要請さ
>れています。

誰に要請されているのかとはことさら問いませんが、諸外国に較べ高すぎるという認定は596さん自身の判断だと思いますので、その根拠を示してください。

おそらく、米国・英国・フランス・ドイツなどの所得税課税最低限と比較されているのだ思います。ドイツ(日本よりやや低い)を除けば、それらの国が日本の課税最低限よりも100万円以上低いことは事実です。とりわけ英国の課税最低限は180万円くらいなので、低所得者に重税が課せられていることになります。

しかし、課税最低限をストレートな為替レートで比較することは意味をなしません。

まず、生活に必要な諸条件の購買力平価で課税最低限を見直す必要があります。
次に、付加価値税=消費税の在り方です。欧州諸国の付加価値税は未加工の食品には“0%”の税率が適用されています。

日本では、1ヶ月に5万円の未加工食品を購入すると、所得の多寡に関わらず、2,500円の消費税を徴収されます。(これは、2,500×12=30,000円すなわち課税最低限が30万円(税率10%だから)引き下げらていることと同じです)
しかも、同じ未加工食品が、列挙した国々では30%引きから半額ほどで購入できます。それは、政府が、農家に所得補償することで、消費者はほぼ“国際価格”で農産物を購入することができるからです。
また、米国や英国はやや異なりますが、欧州諸国は低所得者向け公共住宅政策がそこそこ充実しています。日本のように、年収の5倍(列挙した国々はおよそ3倍から5倍)でも住宅が購入できないとか、東京郊外のように狭い1DKで7万円(パリでさえ中心部の家賃)も取られることはないのです。

このように、所得税の課税最低限については、為替レートでの金額比較だけはなく、総合的な生活条件の比較をしなければ意味を持ちません。

日本の課税最低限が高すぎるのではなく、英国や米国の課税最低限が低すぎるのです。


>私は課税最低限よりほんの少し上ですが、引き上げは止むを得ないなと思っています。
最終的には個々人の判断ですから、596さんがそのように判断されるのはけっこうだと思います。


>累進課税を極端にして高所得者に高税をかけすぎると、人々のやる気が起こらなくな
>ります。

>レーガンやサッチャーは累進課税を緩やかにして経済不振から克服させました。

>累進課税が経済を成長させているとは思いません。累進課税を弱めたアメリカやイギ
>リスが経済危機を克服し好景気を維持しているではありませんか。アメリカは現在不
>況ですが減税して好景気にしようとしています。アメリカが累進課税を強めても好景
>気にはなりません。逆です。


これは、日本が、それなりの累進課税(所得+住民で70%ほど)が行われているときに「高度成長」を遂げ、消費税導入(89年)とともに所得税がフラット化されていくにつれ、「バブル崩壊→デフレ不況」が深化させていることからだけでも、アテにならない論拠だと言えます。


米国が累進課税を強めれば、景気=多くの国民の経済状況は間違いなくよくなります。
「逆です」と大見得を切るのなら、「横レスすまぬ」さんの“需要と経済活動の関係”についての説明に対してきちんと反証してください。
“努力”とか“やる気”いった言葉しか聞こえてきませんが...


(個人的には、税金でやる気が起きないのなら、どうぞ所得税が低い外国にでも出ていけばという気持ちです。お金儲け目当てで頑張る人はろくなことをやらないと思っていますので住み易くなって幸いです。人は好きなことならお金を使ってまでやる気を起こすし、日本の生産効率を支えてきたTQCなども、それほどの給与をもらっていない従業員の“無償の奉仕”に依拠したものです。経済成長主義者でもないのに経済成長策をアップしているのでは、このまま進めば、日本が、誤った「デフレ不況」脱却策に踊らされ、とんでもない災厄に見舞われると考えているからです)


レーガノミックスは、日本を中心とした外国からの資金環流に支えられて「金融経済社会」にすることでGDP的な成長を実現したものに過ぎません。金融家や資産家はGDPの成長率以上に所得をアップさせたのですから、それ以外の一般勤労者は、GDPの上昇のなかで逆に所得を減少させていったのです。

マクロ経済的に言えば、日本などからの資金還流が90年代の米国の繁栄を支えたのです。

サッチャリズムも、ロンドンシティを国際金融の拠点にすることでGDP的な成長を実現したものです。その代わりに、一般勤労者の経済条件は悪化しました。

そして、サッシャリズムの破綻はここにきてさらに明白になっています。民営化した「レイルトラック」(旧国鉄=ブリテッシュレイルの路線網保有会社)が破綻し、「ネットワークトラック」(政府出資の非営利会社=国有)に移行されようとしています。(ブレア政権は、この移行について、株主の損失を補填するために100億ポンド(1兆8千億円)を国費から出すと言い出し(昨日議会で発表)で、保守党のみならず労働党からも大きな非難を浴びています)
民営化した郵政公社も、1万7千人の首切りを発表し、ここ数年でさらに4万人を解雇するとしています。


「横レスすまぬ」さんが、米国を例にして、70年代からの勤労者の経済条件悪化の歴史的な経緯を説明されているのに、それを「知りません」で済まして、「経済不振から克服」というような論を展開することは議論のやり取りとしては不適切だと思います。


映画や新聞で見るニューヨークやロンドンだけが米国でも英国でもないし、GDP指標が人々の経済状況を現すものではないのです。


>>この最上位1%の人々は資本利得を含めると90%も所得が増加しています。

>アメリカは能力の有る者にとってすばらしい国になっています。能力の有る者はアメ
>リカを目指すでしょう。
>いやならアメリカから別の国へ移住すればよい。

これも、「横レスすまぬ」さんの“需要と経済活動の関係”の総体的な説明を無視して、ある部分だけを抜き出したとんでもないレスです。
「横レスすまぬ」さんは、その前段で、そのような結果をもたらした過程が米国の財政赤字や中低所得者の経済条件の悪化につながり、今後、米国経済全体の崩壊をもたらすと説明しているのです。

“詐欺”も能力と言えばそれまでですが、1%の人々は能力が有ることで、高所得者になったり資産家になったわけではありません。国家権力・メディアとグルになった“詐欺”で金儲けに励んでいるのです。
それは、日本で能力があると自負している人が、米国で自前の会社を興しその能力を試してみればわかるでしょう。(インサイダーもしくはインサイダーの意図を見抜ける人でなければ、身ぐるみ剥がされるのがオチでしょう)

「いやならアメリカから別の国へ移住すればよい」と言いますが、移住を受け入れる国はそんなにあるわけではありませんよ。


>アメリカがいやなら外国へ移住する自由が与えられています。世界各地からアメリカ
>への移住が耐えないのはどうしてでしょうか。

アメリカでなくても、日本が移民を受け入れれば、同じように世界各地から日本に移住する人が絶えないでしょう。日本に移住して“成功”しないとしても、そこそこの稼ぎがあれば、その一部を1年間送金すると数年分の稼ぎを家族に仕送りすることになったり、日本で貯めたお金を持ち帰れば立派な家を建てることができたりするからです。
経済水準の落差=為替レートの落差が、低いところから高いところへと人を引きつけるのです。

世界各地から米国に移住が絶えない最大の理由は、「米国支配層が、低賃金労働者の流入を好ましいものと考えている」からです。
合法的な移民よりも圧倒的に多い300万人とも500万人とも言われている不法移民も同じ狙いで黙認されています。
不法移民が都市のサービス業従事者や農場の季節労働者になることで、賃金水準全体が低く抑え込まれ、物価水準も低く抑え込まれているのです。

そして、これらは、“見掛け”であるGDP指標の上昇にも貢献しています。
同じ経済条件の人が3%増えれば、それだけで、GDPが2%以上アップすることになります。


>日本の能力のある人はアメリカへ移住したがるでしょう。有能者を日本にとどめるた
>めにはある程度、有能者を優遇しなくてはならない。
>日本を無能者ばかりの国にしたければ有能者を優遇してはなりません。

移住してもらってもたいした“損失”はありませんが、これまでの動きを見てわかるように、ごく一部の人を除けば移住しないでしょう。
“無能者”というのがどういう人たちを指しているのかわかりませんが、世間を見ているかぎり人の活動力ということに照らして無能者は皆無だと思っています。

有能者が金融的有能者ということであれば、そういう人はいなくてもいっこうに困りません。


>努力すればするほど、報われる社会を作れば人々は目の色を変えて働くようになるで
>しょう。その結果、経済成長する。

596さんの論理は転倒しています。
「報われた人が努力した人である」としか認定しようがないのが近代経済システムです。「努力したから報われる」という論理は成立しないです。

違うというのなら努力がなんなのか具体的に説明してください。

目の色を変えて働いても、売れない物を造ったらお金に変わらないし、首を切られることもあります。全体の需要を超えて物を供給されても経済成長しないし、掠め取る対象が減っていけば、金融業も利益を上げることはできません。
近代経済システムでの“努力”とは、人に負けることなく確実に金銭を掠め取ることなのです。掠め取る対象が減っていけば、否応なく“努力”が報われない人が増大していきます。

経済成長なんかしなくてかまわないのです。人々がそこそこの生活をおくれる社会かどうかが問題なのです。


>努力しても報われない社会を作れば、人々はあまり努力をしなくなるでしょう。当
>然、経済成長は鈍化してしまう。

どういう努力をするのか明示がないので何とも言い難いのですが、人は、“無償”(それどころか逆にお金を払ってまで)の努力もいとわない生き物のように見えますが...

生存基盤=そこそこの経済条件を維持するためであれば、そんなに頑張る必要はないのです。


>文化大革命のときの中国は完全平等でした。経済も何もかも停滞しました。多くの人
>が殺されました。
>ポルポト派が支配したカンボジアも完全平等でした。何もかも衰退し多くが殺されま
>した。

文化大革命時の中国やポルポト派のカンボジアが「完全平等」(経済的意味)であったとは思いませんし、「完全平等」がいいことだとも思いません。人は、差異性にこそ面白味があると思っています。

近代的平等概念は、「法の適用の平等」を意味するもので、王であれ資産家であれ庶民であれ、同じ法が等しく適用されるという意味です。

政治闘争が経済的停滞や殺戮をもたらしたことは否定しませんが、「完全平等」がそれらをもたらしたというわけでありません。


>消費税についてはいったん1パーセントぐらいの率にして、1年ごとに1%づつ増税
>するのが良いと思っています。
>税率が上がる前に消費してしまおうという気になりますから。不況になるごとにその
>ような方法をとればよいでしょう。

まったく、「横レスすまぬ」さんのレスにはなっていません。
しかも、596さんの主張は、部分的・刹那的には有効かも知れませんが、ちょっと考えればそのアイデアのバカバカしさに思い至るものです。

消費税を5%から1%に減税すれば、7兆円ほどの税収がふっとびます。それを何で補填するのですか?

1年ごとに消費税が増税されることがわかっていれば、耐久的消費財は、1%や2%の消費税の時に売れ、3%以上になればがたっと売れなくなるでしょう。そうなれば、不況ですから、また消費税を1%に戻さなければなりません。
家電メーカーなどの生産計画は、596さんが言われる消費税率変動に合わせたものになるでしょうね。低いときに増産、高いときに減産という計画です。

このサイクルを経験すれば、「不況待望論」さえ世に満ちるようになるでしょう。


>>一般の消費者に資金がゆかなければ需要は伸びません。この資金循環の停止こそ
>>が、不況や大恐慌の原因になるのです。

>そうであればアメリカは大不況になっているはずです。アメリカの一人勝ちといわれ
>るほど繁栄しています。

日本をはじめとするアホな投資家(政府・中央銀行を含む)が、物の輸出ができるという短期的な“利益”のためや自分たちがそのような役割(米国経済を支えている)を演じていることを認識できないまま“米国経済はすごい”と錯覚して、米国債や米国有価証券にお金を突っ込んできたことで、見せかけの繁栄を遂げてきたに過ぎません。


米国経済は、そのような砂上の楼閣が崩れるだけではなく、米国経済を崩壊させてボロ儲けしようという人たちの策動により、今年4月以降、「株価崩壊」と「深刻なデフレ不況」に落ち込みます。
日本経済も、そのような米国経済のあおりを大きく受けて、ますます「デフレ不況」が深刻化します。

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