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Re: 「21世紀日本再生ニューディール」は一時的な成長効果か不況悪化下支え策 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 04 日 23:26:06:

(回答先: 「完全雇用」約束を要求する画期的「21世紀日本再生ニューディール」再度発表 投稿者 木村愛二 日時 2002 年 4 月 04 日 01:30:42)

木村さん、こんばんわ。

日本経済に対する提言を読ませていただきました。


>結論を先に要約すると、今話題の「金融システム」救済のようなモグラ叩きの表面的
>な対症療法よりも、「環境・福祉」を旗印とする根本治療、史上空前の大規模な地方
>公共事業を先行させることによって、足元から日本経済の再生を図る案です。

小泉政権というより“バブル崩壊”後の政権がずっと行ってきた銀行救済政策は、「デフレ不況」からの脱却には貢献しないどころか、さらに不良債権を増大させ、「デフレ不況」を深化させるものです。

しかし、木村さんが言われているような「史上空前の大規模な地方公共事業」も、不況悪化の下支えや一時的な経済成長効果があるとしても、持続的な経済成長効果はありません。
「史上空前の大規模な地方公共事業」を行った翌年に「さらに史上空前の大規模な地方公共事業」を行うというサイクルを続けなければ経済成長を継続できないからです。
91年から97年にかけてでも、地価対策やゼネコン救済策とは言え、100兆円規模の公共事業を行っています。
「日本列島改造論」をひっさげて70年代に行われた大規模公共事業による経済成長推進策の末路は、受注にありつけなくなり苦境に陥った小規模建設業の林立です。

政府債務や地方公共団体の債務増大問題はとりあえずおくとしても、他にあまり需要がないなかで大規模な公共事業が行われれば、そこへそこへと事業者がなびくことになります。(そうでなければ、それほどの経済効果は出ません)
そうやって増大した事業者の供給力を満たしてやるためには、さらに規模を拡大した公共事業をやらなければならなくなります。

「環境整備施設」や「高齢者福祉施設」の不足や建設の重要性には同意しますが、ことさら景気対策として行う意義を認めません。
政策の優先課題と位置づけ、税収に見合った規模で事業を進めていけばいいものと考えています。


>銀行は生産現場ではない。生産、流通、消費の流れを作り直し、機敏に内需拡大を図
>る資金投入なしには、経済は復興しない。

銀行は、生産現場でないばかりではなく、生産(流通も含む)現場の収益(ときには身を削らせて)を掠め取る存在です。
そのような存在を税金を使って救済する必要はまったくありません。そのようなことをしなくても、日本経済の「決済(金融)システム」は維持できます。
内需を拡大しなければならないのは確かですが、そのために、政府や地方公共団体が負債を増やすかたちで資金を投入するという政策はできるだけ避けるべきです。

国債にしろ地方債にしろ、それが引き受けられているということは、経済社会に余剰資金があるということを示しています。余剰資金を全部とは言いませんが、国家が必要なものは、借り入れではなく税金として徴収すればいいのです。


>早い例が1930年代、アメリカのニューディールと戦争(実は、経済の軍事化の効果が
>大きかったというのが定説)である。

ニューディール政策は、不況悪化の下支えにはなりましたが、不況脱却の決め手にはなりませんでした。
富裕税や法人税を増税し、第二次世界大戦という国家総動員体制になって、ようやく不況から脱却できたのです。
戦争になればそれまで緩めていた高所得者への課税強化をはかるにしても名目が立つし、戦争遂行のためにはそうせざるを得ません。
言われるように、米国は「戦時体制」で完全雇用を達成したのです。


>病気を直すには、その原因を解明し、足なえならば、三里に灸を据えるような最大の
>急所を押さえ、そこから元気を付け直さなければならない。

言われる通りです。
350万人も失業者がいて、ホームレスが18万人も達し、生活保護を受給する世帯が急増するという事態を招いたのは「長期デフレ不況」です。

デフレ不況を長期化させた原因は、「資産デフレ」を解消するという名目で地価や株価の下支えに国費を投じ、不良債権を片づければ不況が終わるという誤った認識で銀行救済策をとり続けたことにあります。

経済実態に不釣り合いなほど高い地価や株価は、「決済システム」が破綻しない措置だけ構じて、早く下落させてしまうのが正しい対処です。(おそらく現在の1/2から1/3に下落しなければならないでしょう)
地価や株価は、経済実態に不釣り合いなほど安くなれば、ほっといても値上がりに転じます。
デフレやインフレは変動傾向のことですから、絶対価額が安くても値上がり傾向にあればインフレですし、絶対価額が高くても値下がり傾向にあればデフレです。
デフレであれば、もっと待てば安くて手に入ると考える人が増えるので、経済活動は沈滞します。


※ [参照]

『【経済学者のトンデモ理論】 デフレの論理と「資産デフレ」罪悪説の問題点』
( http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/216.html )

『【経済学者のトンデモ理論】 「資産デフレ」の問題点と「不良債権」罪悪説 (別タイトルの続き)』
( http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/217.html )

「デフレ不況」という現状で長期的な視野をもった政策論議が必要だとは思いませんので、「デフレ不況」から脱却することに絞って、需要を幅広い分野で拡大する政策をとらなければならないと考えています。

生存にとって基礎的な商品から生活利便&娯楽商品までという幅広い分野で需要を拡大させるためには、そのような物を欲していながら可処分所得が少ないために買えないでいる人たちの可処分所得を増やす必要があります。
そのためには、低中所得者への減税とそれに見合うかそれ以上の高所得者への増税を行うのが、コストもかからず合理的な政策です。
そして、それと同時に金利を引き上げる(公定歩合で2%まで徐々に)政策が必要です。金利を上げれば、企業にとってはコスト上昇になります。そして、企業は価格支配力を持っているので、商品価格は上昇します。
(“インフレの恩恵”が中小企業や勤労者に還元されるのは遅れます。それを緩和するためには、低中所得者向け減税と中小企業向け極低利の政策融資が不可欠です。そうでなければ、商品価格が上昇したことで買える量が減ってしまうだけになり、価格上昇も抑え込まれること(金利アップ分だけ企業収益が悪化する)になります)


※ [参照]

『クリントン時代の「経済的繁栄」と「財政赤字」は“高額所得者増税”から始まった』( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/374.html

『【大間違いの経済理論】 “超低金利政策”はデフレを悪化させる 《金利引き上げがインフレを誘発し「デフレ不況」から脱却するための一つ方法》』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/302.html )

『Re: 2chの「★阿修羅♪ 国家破産について語ろう」』(上記の補足説明)
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/336.html )

『米国金利の反転と原油価格(ロスチャイルド投資顧問レポート2002/03/13)』
( http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/145.html )

『ささやかながら少しはましな経済状況を』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/119.html )

『【経済学者のトンデモ理論】 利子率と物価変動の関係  〈参加型アップ〉』
( http://www.asyura.com/2002/bd17/232.html )

『【経済学者のトンデモ理論】 利子率と物価変動の関係  その2』
( http://www.asyura.com/2002/bd17/240.html )

その他のテーマについては、不況からの自律的な脱却を終えた後で考えればいいと思っています。

今後も、木村さんと日本経済の「デフレ不況」を克服する論議ができればと思っています。
おそらく、日本経済が「デフレ不況」にまともに対応できる残された時間は少ない(今年くらい)でしょう。

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