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レス6:「ウォールストリート・ジャーナル」の“インチキ手法”の駄文にダマされないように 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 20 日 19:56:35:

(回答先: Re: “定型句”的レスから脱却してください 投稿者 596 日時 2002 年 4 月 19 日 23:33:29)

>>だから、耐久消費財の需要は、消費税が低い段階で高まり、高くなるにつれ減少し
>>ていくことになるのです。

>不況であり構造改革しなければならない時期に一番売れてくれれば良いではありませ
>んか。

何度も書きますが、好不況は、規模ではなく経済変動の状態を表すものです。
徐々に売れなくなると言うことは、不況になると言うことです。

596さんのアイデアでは、単年度だけの好況で終わり、翌年から不況に落ち込んでいくのです。
だから、「良くはありません」。

徐々に良くなるか、悪くはならないと多くの人が先行きに不安を抱かずに生存していけるような政策を実行しなければならないのです。


>>前回のレスでも、「「消費税の年度ごとの上昇」は、年度を経るごとに耐久性があ
>>る商品に対する需要が減少し、経済成長はマイナスになります。ですから、レーガ
>>ノミックス的な構造改革を行えば、さらに経済状況が悪化することになります」と
>>書いたのです。

>レーガノミックスの中心は、大型減税―キャピタルゲイン税は半減され、所得税の最
>高税率は70%から最終的には28%に引き下げられた―とドル高政策である。レーガノ
>ミックスは1983年に実施され、その年末にはすでに米国経済は7.6%の成長を達成し
>ている。株式市場も82年夏には底を打ち、その後20年間上昇し続けた。英国でもサッ
>チャー首相が同じような経済政策の下で大きな成果を上げた。その結果、英国経済は
>第一次大戦以来の“英国病”から最終的に脱出したのである。
>税収の落ち込みは不況の結果に他ならず、増税は不況を悪化させるだけである。経済
>成長こそが税収増を生み出すのである。アメリカの税収はレーガン減税後に減少する
>ことはなかった。1983〜93年に92%増加したのである。毎年減税が実施された日本の
>高度成長期の60年代には税収は347%も伸びた。日本の未来は金融問題、そして減税
>問題がどう最終的に解決されるかにかかっている。今こそ日本は不況をつくる手助け
>をしてきた財務官僚と訣別し、減税を実施すべき時である。
>(米ウォールストリート・ジャーナル4月1日)これはうそではありません。


「米ウォールストリート・ジャーナル4月1日」は、嘘を書いているわけではありません。
ただ単に、自分の主張を補強するのに都合のいいデータのみをピックアップし、都合の悪いことには一切触れないという“インチキ手法”を使っているだけの話です。


>高税率は70%から最終的には28%に引き下げられた―とドル高政策である。レーガノ
>ミックスは1983年に実施され、その年末にはすでに米国経済は7.6%の成長を達成し
>ている。株式市場も82年夏には底を打ち、その後20年間上昇し続けた。

単年度の成長率のみを出して、あとは、インフレと外国からの資金流入をベースに高額所得者及び法人税減税で上昇するのが当然の株式市場の話にスライドさせています。

83年から86年の平均成長率は、米国経済の潜在成長率(人口増+生産性上昇)3%を1%超える4%で、83年の7.6%を除外すれば、潜在成長率に相当する3%でしかないのです。
「規制緩和」を採ったことで航空会社の新規設立などが起き短期的に需要が増大するのは経済論理に合います。
しかし、あの時点に設立されたほとんどの航空会社が破綻したのみならず、パンナム・イースタン・TWA・コンチネンタル・USエアーまでが、破綻したり、連邦破産法の適用を受けることになったのです。航空業界は、今では、巨大2社+大1社+中1社と寡占状態になっています。

転載された「ウォールストリート・ジャーナル」の文章で一番笑えるのが、米国が「プラザ合意」というとんでもない政策に追い込まれたことに一切触れていないことです。
米ドルを約半分の価値まで“強制的”に切り下げ、外国の中央銀行をはじめとする対米投資家に大損失を与えたのみならず、経常収支と政府債務という“双子の赤字”をさらに増大させることになったのです。こんなフザケタ芸当ができたのは、米ドルが国際基軸通貨であったがゆえで、他の国ではできないことです。

また、GDPの分配状況についてもまったく触れていません。
人々の生活という観点から言えば、生産された付加価値をどういう層がどういう割合で手に入れているかの問題が重要なのです。

これも何度も書いていますが、GDPが7.6%増えても、極く一部の人がその果実の多くを手にし、多くの人は可処分所得が減るというのでは、経済成長さえ持続しません。


>税収の落ち込みは不況の結果に他ならず、増税は不況を悪化させるだけである。経済
>成長こそが税収増を生み出すのである。アメリカの税収はレーガン減税後に減少する
>ことはなかった。1983〜93年に92%増加したのである。

増税や減税をグロスで語るのは詐欺的言説です。
個人なのか法人なのか、所得なのか物品・サービスの販売なのか、高額所得者なのか中低所得者なのかなど、課税対象や負担変動内容を明示しないまま減税や増税を語ってもあまり意味がありません。

「税収の落ち込みは不況の結果に他ならず」は、「ウォールストリート・ジャーナル」の主張そのものを“自己否定”する言説です。

「ウォールストリート・ジャーナル」は、「レーガノミックスの中心は、大型減税」で、「その年末にはすでに米国経済は7.6%の成長を達成している。株式市場も82年夏には底を打ち、その後20年間上昇し続けた。」と、グロスの減税(=税収の落ち込み)が好景気もたらしたと主張しています。

このように、減税が景気回復に貢献すると主張しながら、「税収の落ち込みは不況の結果に他ならず」という主張をするようでは、“思考力”が足りないか、思考が分裂しているとしか言いようがありません。


「1983〜93年に92%増加したのである」も、大減税で大減収になった年とクリントンの高額所得者増税で大増収になった年を比較しているという“インチキ”は問わないとしても、85年以降税制を変更したことを触れなかったり、「プラザ合意」でドルの大減価が行われたことも触れず、インフレ率を考慮しない数字の“遊び”でしかないものです。

83年と93年では、円レートで考えれば半分以下(およそ44%)の価値に下がっているのですから、それだけでも100%以上増加していなければ帳尻が合わないのです。
インフレ率のみを考慮すれば、63%の増加で同等の価値になります。


>毎年減税が実施された日本の高度成長期の60年代には税収は347%も伸びた。
>日本の未来は金融問題、そして減税問題がどう最終的に解決されるかにかかってい
>る。

日本の高度成長期は、インフレ率が高いだけではなく、給与の実質上昇率(インフレ率と租税等負担率を調整したもの)も高かった時代です。60年代の10年間で平均初任給がおよそ3倍になったのです。
そのような経済状況で毎年減税しなければとんでもない税負担になり、賃上げがあっても実質的な手取り減収になってしまいます。

「60年代には税収は347%も伸びた」といくら大げさに書かれても、高インフレ・実質給与上昇・GDP上昇という歴史上なかったと言われた状況が10年も続いた時代の話でしかありません。
高度成長期には、所得税・法人税・不動産関連諸税・証券取引関連諸税・相続税などの税収が揃って急拡大したのです。

高度成長期という特殊な歴史過程を持ち出して、成熟期にある日本の経済政策を云々する「ウォールストリート・ジャーナル」の「思考力」を疑いますね。


ひとの言説は、書いている内容だけではなく、書いている対象をできるだけ総体的にイメージして評価されることをお奨めします。


レーガノミックスについては、私と異なる立場の人の考え方も示した方がいいと思いますので、参考文章を添付しておきます。(内容は一部抜粋です)
==================================================================================
「決定的岐路に立つ日本経済」
 クレディスイスファーストボストン証券東京支店経済調査部長  岡田 靖

●レーガノミックス

 こうした、とてもまともな経済学の原理からは正当化できない政策が主張さ
れている有りさまを見るとき、アメリカ経済が出口無しの混迷に陥っていた70
年代末頃、一群の経済評論家(コメンテーター)たちが主張しはじめたサプラ
イサイドエコノミックスの台頭してゆくさまのフラッシュバックを見ているよ
うに感じるのは筆者だけではあるまい。既存の経済学は権威を失い、思いつき
の屁理屈が白昼堂々と政策として取り上げられていたのだ。

 その典型的な例が、発案者がランチを食べていたテーブルで紙ナプキンの裏
に描いてみせたというラッファー曲線である。所得税率がゼロなら税収はゼロ
だし、100%なら誰も働かないからやはり税収はゼロになる。ということは、
税率をゼロから徐々に上げていくと税収は増えるが、ある率を超えると逆に減
りはじめるはずだ。そして、現在の税率がその税収最大になる率を超えている
なら、税率の引き下げが税収を増やすことになる。この「自明の真理」にもと
づいて、財政再建と大幅減税を同時に公約として大統領選挙を勝ち、実行に移
したのがレーガン大統領である。

 言うまでもないことだが、当時の税率が税収を減らすほどの高さにあったわ
けではない。当然ながら大規模減税は大幅な税収の減少をもたらし財政赤字を
爆発的に増加させることになった。しかも第二次石油危機以降のコスト圧力と
この減税による需要圧力の双方によるインフレ圧力を緩和するため、金融政策
は激しい引き締め政策とならざるを得なかった。強力な消費需要と高金利の組
み合わせはドルの急騰を引き起こし、インフレ圧力の緩和にこそ役立ったが経
常収支赤字の爆発的な拡大を招き、いわゆる双子の赤字問題を招いたのである。

 このように、マクロ経済政策としてのレーガノミックスは、デタラメな原理
にもとづいていたため、当然ながら持続不可能であり、1985年の「プラザ合意」
において大規模な為替市場への協調介入によるドルの大幅切り下げに追い込ま
れることとなった。さらに、レーガンの後継者であったブッシュ(現大統領の
父親)は、レーガン政策の継承を約束しながら実際には増税を行い、それがク
リントン政権にも引き継がれ、ようやく財政再建という公約を実現したのであ
る。このように強いドルと大規模減税でインフレと財政赤字を克服すると主張
したレーガノミックスは、完全に破綻してしまったと結論づけることができる。


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