アメリカの牛、食肉、豚、鶏・牛乳・チーズ・バターは安全か?




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投稿者 ★阿修羅♪ 日時 2001 年 10 月 16 日 19:38:34:

書籍『死の病原体 プリオン』より一部抜粋

脊髄や脳味噌ではなく、食肉は安全なのか?

(P.133)
 スクレイピーがあまりに特異であったため、ウイルソンは自分の成果を発表するこ
とをためらい、残念なことにその成果はほとんど外部に知られることかなかった。イ
ギリスでは、他の研究者もウイルソンの研究の追試をおこなっていた。

 コンプトンにいたウイリアム・ゴードンは、二四種の羊を数千匹も集め、それぞれ
の種について、半数にスクレイピーを接種した。二年間かけて経過の観察をおこない、
種によってスクレイピーに対する感受性が異なることを見いだした。

 羊や山羊はスクレイピーに感染した組織を食物として与えても発病する。この事実
は、群れの中でスクレイピーか伝染することの説明にもなり、クールーか食人慣習で
拡がったという説にも大きな支持を与えてくれる。

 接種量と潜伏期間の長さとが反比例することも、山羊で、ついでマウスでも確認さ
れた。

 スクレイピーに感染した動物の脳組織を接種すると筋肉組織を接種した場合より早
く発症する。つまり、脳のほうにより多くの病原体が存在していることがわかる。

 とはいっても、スクレイピーにかかった動物の筋肉からでも、スクレイピーは伝染
する。このうれしくない事実にだれも気がついていなかった。筋肉を切りわけ、包装
したもの、
これは他でもない、われわれか食肉と呼んでいるものなのだ。

歯科医一名とその患者二名がCJDで死亡


(P.155)
 一九八二年には、スタテン・アイランドにあるニューヨーク州立発育不全症基礎研究所から、スクレイピーに罹病した脳をすりつぶしてマウスの歯茎から与えても発病することが報告されている

(歯茎を鋏で傷つけたり、歯を抜いたりすれば、発病率はー〇〇パーセントだった。歯茎に傷をつけなければ、七一パーセントの発病率である)。

 このことは、歯の治療時にCJD感染の可能性があることを意味する。ほぼ同じころ、こうした危険性を強調するかのように、オックスフォード大学の研究者が一九五〇年代までさかのぼって調査し、神経系の手術の際にCJDに感染したと思われる事例を三件報告している。それに加えて、歯科治療に関係していると見られるケースがイギリス東部に三件まとまって発生している。

 
歯科医一名とその患者二名がCJDで死亡しているのだ。


最悪のシナリオ

豚、鶏・牛乳・チーズ・バターは安全か?

(P.248)
 七月中旬、ガイデュシェックかられ連絡が入った。彼は大惨事を予言するような口
調で語った。

『みんなヒトがかかっている疾患の原因などこれっぼちもわかっていやしないんだ。・
あれはクールーだよ。クールー以外のなにものでもないよ。どんな動物にも感染する。
乳牛、肉牛、豚、ニワトリにもね。その危険性をきちんと認識して、現実的な対策を
とる必要がある。

 イギリスの豚は全部動物性飼料で飼育されている。どうして豚が発病しないかとい
うと、豚を七年も八年も生かしておくかい。よくて二、三年で殺してしまうだろう。
われわれの実験室では、病原体を接種した豚をハ年間飼育しておいた。みんなスクレ
イピーを発病したよ。イギリスの豚は全部感染しているんじゃないか。豚肉だけのこ
とじゃないんだよ。豚皮の財布もあるだろう。手術用の縫合糸にも豚の組織が使われ
ている。

 ニワトリも動物性飼料で飼育している。だから感染しているだろうね。ニワトリが
食べたものの一部はまた出ていく。ニワトリの排泄物を肥料に使っているんだから、
菜食主義者といえども安全とはいえないね。

 牛脂にも、バターにも病原体が入っているだろうな。バターの感染力を調べろとい
われてもね。調へようがない。CJDに感染している人が血液を提供する可能性も考
えられる。輸血用の血液には入っているだろうな。ほんとうに必要なとき以外は輸血
などしないことだね。ウィルたちには、この原因などわかりはしないよ。わたしから
教えてあげよう。十五歳以下の子供が発病したら、それはクールーだよ。そういえは、
ミルクの中にも入っているかもしれない。うん、その可能性も否定できないな。』

 もしフランスでの新たな患者とイギリスでの患者がCJDであると確認されたら、
患者総数は一八人に増える。仮に潜伏期間を最低一〇年とする。妥当な線だ。とする
と、感染したのは、BSEが流行しはじめたころだ。そのときは食用に供された病牛
の数はまだ少なかったはずである。一九八〇年代後半になると、その数は増えている
から、今後発病して亡くなる人の数は増えていくだろう。一九九六年十月には、三十
三歳になるイギリス人女性が新型CJDであると診断され、罹患件数は一三件になっ
た。一四番目の患者がすぐリストに加わった。リヨンの神経科医院からの報告で、フ
ランスで疑惑が持だれていた二人の患者のうち一人、サホワに住む五十五歳の女性が
一九九五年八月に死亡し、新型CJDであったことが判明したのである。この暗い月
の終わりになって、ロンドンのセント・メリー病院の神経科医ジョン・コリンジ博士
はジェームズ・アイアンサイドなど彼の同僚との連名で<ネイチャー>に論文を発表
した。BSEの分子レベルでの特徴と、ヒトに感染する新型CJDの特徴とが一致す
るという内容である。「この新規なCJDの変異型は他のCJDとは系統的に異なる
特徴を持ち、マウス、家猫、マカクに感染したBSEの特徴に類似しているといえる。
これはこの新規の疾患の原因がBSEであるとする見方に合致するものである」


 ロバート・ウィルが秘匿しているリストには少なくとも東ケントの四人の患者集団
は含まれているだろう。ここは一九八五年に獣医のコリン・ホイッタカーがはじめて
BSEに感染した牛を発見したところである。この集団の四人のうちニ人はすでに死
亡している。東ケント衛生局のマティ・チャンドラクマール博士は、国営テレビに出
演し、集団発生の持つ意味合いについて悲観的な見方を示した。「全世界でのCJD
の年間発生率は、およそー〇〇万人に一人であるといわれている。アッシュベリとカ
ンタベリ地区にはだいたい二五万人ほど住んでおり、平均からすれば四年に一人発病
する程度であろう。ところが一年に四件も発生した。これは集団発生といえるもので
あるが、今後こうした集団発生は増えていくであろう」。SEACのジェフリー・アー
モンドも「最悪のシナリオもありうる」と認めている。「最悪の事態にならないこと
を祈っている。しかしそれが起こりうることも認めざるをえない」

 わたしはリチャード・レイシーを訪ね、話を聞いた,彼の家はリーズから郊外へつ
づく田舎道の突き当たりにある。彼に最悪のシナリオとはどんなものだろうかと訊い
てみた。最初にあげたのは、若年層の患者の潜伏期間が短くなっている点であった。
これはフォアの状況と同じだという。とすると、クールーをモデルとして考えること
かできるだろう。クールーについては、フォアの人びとが食人慣習をやめたときに、
その感染源を絶つことができた。その結果、患者は急速に減少していった。一九九六
年には、フォアでクールーを発症した人数は六人以下である。感染している者がいる
としても、潜伏期間か四〇年以上にもなっているということになる。

 BSEについては、感染源が断ち切られたという確証かないとレイシーは指摘した。
BSEはまだ拡がっているし、感染した動物が入間の食用に利用されているという疑
惑も残っている。となると、あのフォアで起こった悲惨な状況がこのイギリスで再現
されるのではないか。「CJDの潜伏期間を平均二五〜三〇年とすると、ヒトの問で
の流行のピークは二〇一五年あたりになるだろう。新型CJD患者が平均年率五〇パー
セントで増加していくものと仮定する。それほどありえない仮定ではない。そうする
と二○一五年には年間約二〇万人か罹病することになる」。年間二〇万人が死んでい
くことになるのだ。


アメリカの牛は大丈夫?

(P.253)
 一人の専門家がこの楽観的な評価に対して異議を唱えている。マディソンにあるウ
ィスコンシン大学のリチャード・F・マーシュ博士である。博士は、<ニューヨーク・
タイムズ>の記者に語った。「アメリカ国内でBSEの感染例が報告されていないか
らといって安全だと考えるのはまちがいだ。というのも、十分な検査結果に基づいて
はいないからだ。アメリカでもし狂牛病が発生したら、イギリスのときと同じような
混乱が生じるだろう」。

 マーシュは動物衛生学と生体臨床医学部の主任教授である。彼がアメリカ政府の自
己満足に対して疑問を抱くのにはわけがある。彼は感染性ミンク脳症(TME)の専
門家で、一九八五年に起きたTMEの爆発的な流行について調査をおこなっており、
これはミンクに死んだ牛の肉を与えたせいだと考えているのだ。

「一九八五年四月、ウィスコンシン州ステソトソンピルのミンク飼育場から連絡が入
った。白分のところのミンクが多数『奇妙な振る舞い』をしており、一部死亡したも
のもいるという。そこで早速、その飼育場を訪ねると、成育したミンクのうちー〇バー
セントほどが典型的なTMEの症状を示していた。通常の清潔好きな習慣が見られな
い、一ヵ所ではなくおりの中のあちこちに糞をしでいる、過敏になり、食べ物を噛ん
だり飲み込んだりできない、そして尻尾がリスのように背中の方に巻き上がる──こ
れらの行動の変化が潜伏期間を経て現れていた」。症状は悪化していき、筋肉運動の
調整ができなくなる。おりの片隅に頭を付けて、立ったまま長時間眠る。しだいに衰
弱し、最後には死んでしまう。ステットソンビルで飼育されていたミンクの成獣七三
〇〇匹のうち約六○パーセントか発病、死亡した。検査の結果、TMEであると確認
された。

 前回のTME流行の原因か汚染された飼料にまでさかのぽって解明されていたので、
マーシュは飼育場の持ち主に状況を詳しくたずねた。「そこでは魚介、鶏肉や穀物な
どの市販のものを使っでいた。配合飼料に含まれる生肉の大部分は病気かすでに死亡
した乳牛からのものだった。こうした乳牛はこの飼育場の周辺一〇〇キロぐらいの地
域から集めてきて、処理加工(裁断、粉砕、冷凍など)にまわされていた。馬も使わ
れることがあった。しかし羊は使われていない。動物性加工飼料も使われていなかっ
た」

 マーシュは汚染した飼料を使ってミンクに羊のスクレイピーを感染させる実験をく
り返したが、とても大流行を引き起こせるものではないし、潜伏期間もかなり長かっ
た。マーシュはTMEを牛に感染させ、その牛から逆にミンクに感染させることはで
きないかと考えた。そこで、ステットソンピルのミンクの脳を、生後六週間になるホ
ルスタインの雄二頭の脳に接種してみた.その一年半後、二頭とも致死性スポンジ状
脳症を発病した。ここまでは特に際立った結果というものでもない。しかしマーシュ
はこの牛からふたたびミンクヘ感染させることに成功したのだ。それも脳への接種だ
けでなく、飼料として牛の脳を与えた場含にも感染した。その感染力はミンクからミ
ンクヘと感染させるのと変わらない。

 「このことが示しているのは、ミンクと牛の間には種間の障壁がないということで
ある」。もしステットソンビルのミンクが、老廃牛を飼料にした結果、TMEに感染
したのならは

「アメリカ国内の牛にも、未確認のスクレイピー類似の疾病が存在する可能性がある
ということになる」と、マーシュは話を締めくくった。



他にも何冊かの本を読みましたが、この本は、今まで読んだ狂牛病関連の本の中でも
もっとも、知識をまとめるのに役だった本になりました。

おすすめ順

死の病原体 プリオン ★★★★★
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ピーターは死んだ―忍び寄る狂牛病の恐怖  ★★★★
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狂牛病のすべて―ファクト・ブック ★★★
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狂牛病パニック―脳が溶けていく ★★
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狂牛病―イギリスにおける歴史  ★
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