狂牛病のルーツをめぐる謎ますます深まる




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投稿者 ★阿修羅♪(佐藤雅彦氏の全文引用再投稿) 日時 2001 年 9 月 21 日 23:24:04:

回答先: 英国の科学者が、歯科医療を介した狂牛病伝染の危険性を警告 投稿者 ★阿修羅♪(佐藤雅彦氏の全文引用再投稿) 日時 2001 年 9 月 21 日 23:18:26:

http://www.asyura.com/sora/bd9/msg/46.html
狂牛病のルーツをめぐる謎ますます深まる


投稿者 佐藤雅彦 日時 2000 年 8 月 12 日 03:41:12:

  英国の狂牛病のルーツは
    羊のスクレイピー病ではなかったのか???


●英国で“突発出現”を果たし、欧州連合諸国や米国にパニックを巻き起こしている“ヒトの狂牛病”や、そのルーツと見なされている“狂牛病”(ウシ海綿状脳症:BSE)が、一体どういう経緯で出現したのかは、大いなる謎です。
  一応、「ヒツジの“海綿状脳症”として昔から知られていたスクレイピー(スクラピーとも言う)で死んだ羊の死体を、家畜のエサに使ったため、それを食べたウシにスクレイピーが種間転移して、“ウシ海綿状脳症”という新型病が生まれたのではないか」という仮説が、これまでは唱えられてきました。
  (8月2日のΨ空耳の丘8Ψ投稿NO: 8SR640「英国の科学者が、歯科医療を介した狂牛病伝染の危険性を警告」を参照。)
  (直前の投稿、英国の科学者が、歯科医療を介した狂牛病伝染の危険性を警告に全文引用)

●最新のロイター電によれば、少なくとも「ウシの狂牛病がヒツジに伝播した証拠はない」という結論が出たようです。
  狂牛病を実験的に他の動物に感染させてみたらヒツジには感染した……。となると、英国産のヒツジは狂牛病に感染している恐れが出てくるわけで、実際に米国ではこうした恐れから「英国輸入ヒツジを屠殺[とさつ]処分にしてもいい」という司法判断まで出ている。
  これは英国の畜産業にとって大きなダメージになるので、「英国のヒツジに狂牛病の心配はありません」という宣伝をする必要が出てきた。
  今回の研究報告の背景には、そうした政治経済的意図が多分に働いています。

●……ところが、いみじくもこの調査報告によって、これまで喧伝されてきた“狂牛病の自然発生説”まで否定されたことになる。
  つまりこれまでは、「スクレイピーのヒツジの死骸をエサに混ぜたせいで、それを食べたウシたちに新型の“狂牛病”が生じた」というシナリオが、あたかも歴史的事実のように宣伝されてきたわけだが、スクレイピーの顕著な増加も見られなかったということになると、仮に「スクレイピー羊の死骸」がエサに紛れてウシたちの口に入ったとしても、ウシに狂牛病の大規模な感染爆発が起きたことは合理的に説明できない。
  それに、スクレイピーは基本的にはヒトに感染しない。 現在英国で次々と患者を出している「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」が本当に狂牛病の変種だとしたら、ヒツジのスクレイピーと、狂牛病および(ヒトの)「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」とは、脳をボロボロにしてしまうという“海綿状脳症”の症状は似ているが、別系統の病気だということになる。

●無責任な推測をいえば、狂牛病は、最初からヒトの脳を破壊する新型病原体として開発された可能性だって考えられる。 それが何らかのきっかけで、ウシに感染爆発をもたらした……というシナリオになるわけですが。
  狂牛病が、遺伝子組換えに次ぐ“新たなバイオテクノロジー”として「蛋白工学」が喧伝され始めた時期に出現してきたのは、偶然のタイミングではないかも知れない。

●1970年代の半ばに米国では「黄色い雨」という新型“毒素兵器”をソ連が開発して東南アジアで使用している、というデマが広まったことがありました。
  それは、東南アジアで突如“黄色い雨”が降って、これを浴びた住民に“負傷者”が続出したという話だったのですが、生物化学兵器に詳しいハーヴァード大学の公衆衛生学専門家チームが現地調査を行なった結果、“黄色い雨”の正体は昆虫の糞だということが判明しました。大量の昆虫が一斉に脱糞するので、突然降ってくる“正体不明の雨”だと誤解されていたわけです。
  もっとも、反ソ宣伝で生物化学戦争対策予算を獲得しようと汲々[きゅうきゅう]だったペンタゴンの連中は、「ソ連が昆虫に毒素兵器を仕込んで解き放ったせいだ」とマンガチックな屁理屈を言って、失笑を買っていたものでしたが……。
  しかしとにかく、生物兵器と化学兵器の橋渡しをする“生化学兵器”の一形態として、この事件をきっかけに「毒素兵器」の脅威が広く認識されるようになったことは事実です。
  食中毒の例でもわかるように、細菌は熱で殺せるが、細菌が作り出した毒素蛋白はちょっとぐらいの加熱じゃ壊れないで病毒性を発揮する。 毒素兵器にはそうした“兵器としての有用性”があるわけですが、より有効な毒素をデザインするには蛋白工学を用いる必要がある。かくして蛋白工学で毒素を開発していた過程で、狂牛病の“プリオン”を作り出したのかも知れない……。

  と、憶測はできるわけですが、今後はそうしたシナリオの信憑性を、ひとつひとつ確認していく必要があるでしょうね。


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科学ニュース − 8月11日、東部時間午前5時06分に更新
http://dailynews.yahoo.com/h/nm/20000810/sc/health_sheep_dc_1.html


 羊が「ウシ海綿状脳症」に感染していた証拠は、
   調査では見つからなかった

     (8月10日木曜日、アレックス・リチャードソン記者)
      ロンドン(ロイター電)

  英国の科学者たちがヒツジの“脳 に生じる消耗性の障害”を調査した結果、この国で「狂牛病」が流行している時期にヒツジにそうした”脳の病気”が増加していた証拠は見いだせなかった、と報告する論文が発表された。

  調査結果は、狂牛病――すなわち「ウシ海綿状脳症」(BSE) ――が、ヒツジからウシに伝播する段階から、さらに一歩進んでウシからヒトに伝播する段階に差し掛かっているのではないかと、欧米で不安が高まっているさなかに世に出された。

  「我々が興味を持っていたのは……つまり、あの(ウシ海綿状脳症の感染爆発が起きていた)さなかに、このヒツジの病気の発生数が顕著に増加していたのか、という疑問でした。」 報告者の一人であるマイク。グレイヴナーはロイター通信の記者にそう語った。 「我々の調査結果を一言で言えば、ウシ海綿状脳症が流行していた当時、この病気ときわめてよく似たヒツジの病気である“スクレイピー”の発生率は、全然変わらなかったということなのです。」

  「スクレイピー」は、「ウシ海綿状脳症」(BSE) と同じ系統に属し、英国では200年以上も前からヒツジの風土病であり続けてきたが、ヒトの健康には脅威をもたらさないと考えられている。 スクレイピーに罹ったヒツジは、欧州の多くの国と米国でも見つかっている。

  一方、「ウシ海綿状脳症」(BSE) は、すでに英国で50人以上の死者を出しているヒトの病気である「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」(vCJD)の原因になっていると指摘されてきた。

  「ウシ海綿状脳症 (BSE) の脅威が問題化する前に、この病気に罹っている多くのウシの死骸が“リサイクル使用”されて家畜のエサに再利用されていたが、そうしたエサをヒツジに与えていた例もあったのです」とグレイヴナーは語っている。 「それがヒツジの集団に何かまったく新たな事態をもたらした可能性だって考えられないことはないが、そうした証拠は我々の調査ではまったく出てこなかったのです。」

  この調査は、英国南部のバークシャーにある動物保健研究所の科学者たちが行なったもので、『ネイチャー』誌に発表されたが、「ウシ海綿状脳症(BSE) がヒツジに伝播した」ことは証明できなかった。 証明できなかったけれども、彼らは“羊への狂牛病伝播”説には否定的である。 つまりこの論文の著者たちは、1980年代後半から90年代前半までの時期の、英国で狂牛病の流行が始まる前も、流行の最中も、その後も、(狂牛病と混同されやすい)スクレイピーの発症のピークは見つからなかったので、「ヒツジの集団内で狂牛病の顕著な流行が起きていたとは到底考えられない」という結論を提起している。

  しかも彼らは、羊と牛を育てている農家でスクレイピーの発症例は皆無だった可能性が極めて高く、なおかつスクレイピーと狂牛病の発生に地域的な相関がなかったことも確認ずみである。

  狂牛病(BSE)に罹っていながら外見上は判断がつかない“無症候性”のヒツジの症例は、これまで一件も見いだされていないが、実験的研究で、“無症候性”症例が出てくる可能性が理論的にはありうることも確認されている。

  今月の初め、米国ヴァーモント州の連邦裁判所で「連邦農務省はベルギーから輸入済みのおよそ350頭のヒツジを屠殺[とさつ]処分にしてよい」という判決を出した。その理由は、これらの羊が「狂牛病に罹っている恐れがあるから」というものである。 この判決を不服として、農民たちは上訴することを決めている。

  欧州連合の科学者たちは、目下、狂牛病がヒツジの集団に入り込んだのかどうかを突き止めようと、調査を続けている。欧州連合でこの分野の権威的な科学者であるエマニュエル・ヴァノプデンヴォッシュは、今月になって、この問題が「カチカチと音を立てて動き続けている時限爆弾だ」と述べた。


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●●参考●●
  この報道のネタ元になった『ネイチャー』誌の論文の概略

  Encephalopathies: Scrapie in Britain during the BSE years
   (MIKE B. GRAVENOR, D. R. COX, LINDA J. HOINVILLE,
      ALIES HOEK & ANGELA R. MCLEAN)

The experimental transmission of bovine spongiform encephalopathy (BSE)
to sheep raised the possibility that some sheep in the United Kingdom could
have been infected during the 1980s after exposure to BSE-contaminated
feed. In contrast to new diseases that have appeared in a number of feline
species and wild ungulates, the symptoms of BSE in sheep are very similar
to another transmissible spongiform encephalopathy called scrapie, which
has been endemic in Britain for over 200 years. Although so far no cases of
BSE in sheep have been found, these may have been misdiagnosed as
scrapie. Here we present data describing the historical changes in scrapie
incidence, and find no evidence for a peak in scrapie incidence before, during
or after the BSE outbreak, making it unlikely that a substantial epidemic of
BSE has occurred in the sheep population.
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●●試訳●●
『ネイチャー』誌・8月10日号(406巻584頁)

二つの脳症:「狂牛病」が流行していたさなかの英国におけるスクレイピー
   (マイク B. グレイヴナー, D. R. コックス, リンダ J. ホインヴィル,
    アリーズ ホーク & アンジェル A R. マクリーン)

ウシ海綿状脳症(BSE)――いわゆる「狂牛病」――をヒツジに伝播させる実験を通じて、一つの可能性が浮上してきた。それは1980年代に、英国のヒツジのなかにBSEで汚染されたエサを食べて、その結果、BSEに感染した個体がいたのではないか、という疑惑である。ネコ科動物や野生の有蹄[ゆうてい]動物を多くに見つかった新たな疾患の数々とは対照的に、ヒツジに現われるBSEの症状は、ヒツジが罹るもうひとつの伝染性海綿状脳症である「スクレイピー」ときわめてよく似ている。「スクレイピー」の200年前から英国の(ヒツジの)風土病である。これまでのところ、BSEに罹ったヒツジは一例も見つかっていないが、実際にはBSEに罹っていたのに「スクレイピーに罹っている」と誤診されていた例だってあったかも知れない。 この論文で我々は、「スクレイピー」の発生率の歴史的な変遷がわかるデータを示して行くが、BSEの感染爆発の前にも最中にも後にも「スクレイピー」発症のピークはまったく見られなかったのである。この事実から、「ヒツジの集団にBSEの顕著な流行が起きたとは到底考えられない」という結論が導き出せる。


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