投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 7 月 27 日 19:05:26:
「13万9026人の新しい株主が誕生した。当社の上場を導火線に日本の株式市況の活況がもたらされれば本望」―。26日、店頭のJASDAQ市場に新規上場した日本マクドナルド＜2702＞。そのカリスマ的リーダーとして君臨してきた藤田田社長は、同日午後、記者会見でこう語った。
初値ベースで時価総額6249億円というJASDAQ市場ではトップ・スケールの上場企業が誕生したが、上場初日の動きからみる限り、同社が果たして市況盛り返しの導火線になるかどうかは、まだ疑わしい。同社株をみつめる機関投資家のクールな視線が売買動向から浮き彫りになったからだ。
●ハムレットの心境
公募価格4300円に対して、26日の初値は4700円と9.3%上回った。出来高は210万9100株だった。だが、上場前日には「初値5000円台は固い。うまくいけば6000円台も」との観測がマーケットでは広がっていただけに、それからみると「明らかに期待はずれの水準」（準大手証券営業部長）。もちろん「最悪の市場環境下で、これだけの大型銘柄が公募価格を上回ってスタートしたことは人気の強さを物語るもの」（大手証券）との声もある。
しかし、「抜群の知名度をテコにして上場初日から株価驀進（ばくしん）を予期して公募株を手にした個人投資家が多い」（中堅証券幹部）だけに、そうした投資家にしてみれば“嬉しさも中くらい”。もっといえば、“売るべきか持続すべきか”、大いに悩むハムレットの心境かも知れない。実際、初値がついた午前11時以降、個人投資家から「明日以降、どうすべきか」との問い合わせが証券会社の営業員に数多く寄せられたようだ。
●外資系証券は「冷たい反応」
需給面で気になるのは、上場初日にみられた外資系証券の売り手口だ。目立ったのはモルガン・スタンレー証券が21万4900株、ドイツ証券が7万6200株、メリルリンチ証券が3万1400株を、それぞれ売却した。国内証券は主幹事証券の大和を中心に、概して買い越し、または売り買い交錯の状況にあったが、外資系証券で積極的に買いに出たところはない。国内証券は個人投資家の買いが多く、外資系証券は外国人投資家の売り注文がかなり含まれている模様だ。
日本マクドナルドでは、7月末までは従来のオークション方式で機関投資家からの大量注文を幅広く受け付けて人気を盛り上げ、8月1日からはMM（マーケット・メイク）方式によって個人投資家の参戦に結びつけることを想定していたようだが、上場初日から表面化した外資系証券の「冷たい反応」は今後の株価展開にとってはひとつの試練とみて間違いない。
米国市場と比べると、日本の個人投資家は“寄らば大樹”の意識が強いため、機関投資家（とくに外国人投資家）へ追随する傾向がしばしば見られる。したがって、当初は買いムードに乗っていた個人投資家も、機関投資家の動きいかんでは売り転換する可能性が十分ある。
●注目される株主優待策
株式市場には「売りたい強気」という相場用語がある。売りたくてたまらない本心を押し隠して強気を唱え、高値での売り抜けを狙うことだ。日本マクドナルドの場合、初値のPER（株価収益率）は42倍。他の外食上場企業（30〜35倍）を上回っている。
もともと、「成長株理論」でもあるPER理論は、「高いPER」を裏打ちするのは「高い利益成長」となるのだが、マクドナルドの業績予想は2001年12月期が経常利益7%減で、回復を見込む来期にしても大手シンクタンクによれば2〜3%程度の増益にとどまる見通し。
こうした業況で、「強気の相場観」をいくら唱えても、「売りたい強気」に聞こえてくるし、それに簡単に乗せられるほど機関投資家は甘くない。しばらくは、機関投資家VS個人投資家の神経戦が繰り広げられる可能性が強いし、株価の下ぶれリスクにも十分注意する必要がある。
同社では、今、100株保有の株主にハンバーガーの優待券やおもちゃなどを贈呈するなどユニークな株主優待策で個人投資家の関心を引き付けようとしている。もし、これが火種となって人気拡大につながるなら、機関投資家に頼らない個人投資家復権のシンボル・ストックとして、今回の上場は大成功という評価を得るだろうが、道のりは平坦ではない。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。