テロ株安下で大手生保危機〜遠のく金融再生(週刊ポスト)

 ★阿修羅♪

[ フォローアップ ] [ ★阿修羅♪ ] [ ★阿修羅♪ 国家破産2 ]

投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 02 日 22:04:01:

(1)朝日生命と三井生命が焦点

米大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズは、9月中間報告を前に、日本生命と第一生命を除いたすべての大手生保の格下げ検討を発表したが、いまや、「業界トップの日生さえ勝ち組とは断言はできない」(あるメガバンク首脳)という危急事態というのが本当のところなのである。
その中でも、業績低迷とテロ株安の挟み撃ちにあって、業界再編の渦中にいるのが業界5位の朝日生命と7位の三井生命だ。
朝日生命は、株安に加えて銀行危機のあおりを食った。
同社は、今年5月に500億円の基金増強を発表した。それに応じたのは、もともとメーンバンクの第一勧銀(340億円)と、あさひ銀行、大和銀行(それぞれ80億円)だった。が、それからわずか4か月後には、それら3行は、揃って≪銀行危機の主役≫になってしまった。
第一勧銀は、破綻した大手スーパー、マイカルのメーンバンクとしてその処理に追われ、9月中間決算は大幅な赤字に転落することが決定的になった。あさひ銀行は再編戦略の遅れから危機説が流れ、9月に入ってようやく大和銀行と統合して≪第5のメガバンク≫を目指すことが決まったものの、この4か月の間に同行の株価は300円台から半値以下に急落し、統合相手の大和銀行とともに130円台の低空飛行を続けている。
朝日生命にすれば、頼みの綱の銀行団からの支援を今後も受けることができるか難しい状況だが、それだけではない。同社が参加を決めている東京海上火災を中心とした≪ミレア保険グループ≫の統合計画にも影響が出始めている。
一方、三井生命の場合は今年7月、三井住友銀行、中央三井信託銀行など三井グループ数社から基金を調達し、さらに各社から人材を受け入れるなどしてグループの結束強化で生き残りを図ってきた。当然、その先には住友生命との合併があるものと見られていたが、その住友生命もやはり株安で体力を削られており、そちらの計画は遅々として進んでいない。
そこに急浮上したのが最大手・日生との合併説だ。三井住友銀行幹部が明かす。
「日生はウチの筆頭株主でもあり、もともと関係は深い。一方、三井生命にしろ住友生命にしろ、逆ザヤで苦しいことは事実だが、ともに顧客には優良グループ企業が多く、日生にしてみれば、逆ザヤ問題さえクリアできれば三井生命を吸収するメリットは大きい。実は、予定利率引き下げが実現すれば、逆ザヤが解消されて一気に合併に向けて話が進む可能性があったのだが、結局、経営破綻した場合以外は下げられないという従来の規定のままになった。日生の中には、“いったん法的整理をして予定利率を引き下げるなら合併したい”という声まである」
まさに、前述の「破綻してから買収する」という商法を狙ったということだろうが、実際、過去に破綻した生保では、予定利率を引き下げた後に外資が安く買収し、大きな利益をあげている例もある。 

(2)経済財政相と金融相の対立

生保各社は株安と情報戦で疲れ果てているが、保険評論家の大地一成氏は、今だからこそ、契約者の信頼を失っている生保業界の≪構造改革≫を進めるチャンスだと語る。
「日本の生保の問題は契約のやり方に象徴されています。契約者の不利益になることは説明を避け、とにかく営業職員のサービス合戦でハンコをつかせてしまうやり方です。人件費が無駄にかかるし、トラブルが起きても、“ちゃんと説明した”の一点張りでうやむやにしてきたのです。外国の場合、コンサルティングの充実や代理店を中心とした低販売コスト戦略、ニーズに合わせた商品開発などの点で日本よりはるかに進んでいる。顧客に買わせるのではなく、顧客に選んでもらうための当たり前の努力です。そこから学ぶべき点は多く、今の生保危機で外資との提携や業務見直しが進めば、旧態依然とした体質を改革するきっかけになり、逆に業界再生が加速するはずです」
ところが、せっかく立ち直りのチャンスがありながら、それが担当閣僚の縄張り争いと面子の張り合いによって水に流されようとしている。柳沢伯夫金融相と竹中平蔵経済財政相が金融政策で真っ向から対立し、一触即発状態になっているのである。
マイカル破綻以来、同じ流通大手のダイエーの株価が急落するなど、市場では「次はどこなのか」という不安が広がっているが、竹中氏は、そうした雰囲気を払拭するためにも、銀行に税金をもう一度投入し、経営危機が深刻な大手企業を思い切って処理してしまうという強硬路線を主張している。ところが柳沢氏は全くそれと反対の立場だ。
金融庁首脳が語る。
「竹中さんは『マイカルのような危ない大手企業があと20〜30社ある。それを処理しなければ国際的にも日本の不良債権処理は評価されない』といっているが、それは違う。そうした企業には、すでに銀行は規定に従って貸倒引当金を積んでいるのだから税金は必要ないし、そもそも大企業を次々と破綻させたら日本はもたない。柳沢大臣は今でも小泉首相に金融政策を一任されており、竹中さんにとやかくいわれることは心外だ」
当然、竹中氏はおさまらない。最近、親しい知人にこう漏らしている。
「柳沢さんは面従腹背だ。小泉首相から“税金再投入について柔軟に考えろ”といわれているのに全く検討しようとしない。現にマイカルは倒産しており、他の企業は大丈夫という保証はない。今や、あの人が小泉改革の最大の抵抗勢力になっている」
経済オンチの総理大臣を戴いているのをいいことに、金融オタクの学者大臣と、政治家でありながら柔軟性に欠け、面子で突っ張る金融担当相の成算なき対立で、金融再生は遠のくばかりだ。

フォローアップ:



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。