大手術の前に「まずは自助努力」-厳しい環境に意識改革が必要(解説)東京 9月24日(ブルームバーグ)

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投稿者 sanetomi 日時 2001 年 9 月 24 日 09:29:19:

大手術の前に「まずは自助努力」-厳しい環境に意識改革が必要(解説)

東京 9月24日(ブルームバーグ):大手術の前に自助努力を――。金融審議会(金融担当相などの諮問機関)が21日、既契約の予定利率引き下げの法制化見送りを決めた。生保業界は今後、経営体質の刷新で、厳しくなる一方の環境に対処しなければならない。

金融審の決定を受けて会見した福井俊彦部会長(富士通総研理事長)は「予定利率引き下げを可能にするための環境が今はまだ整っていない。まずは生保各社の経営刷新努力が必要だ」として、自助努力を積み重ね、国民の理解を得ることが、予定利率引下げの前提条件になるとの見方を示した。

リストラ余地はまだ大きい

6月の中間報告で示された容認方針が見送りに転じたのは、生保業界に対し、従業員への報酬が高い、経費の無駄遣いが多いといった指摘が多くなされリストラ余地がまだ大きいとの見方が強いためだ。

また、運用が予定利率を下回る「逆ざや」になっているが、死亡率や事業費率を高めに設定、余剰収益を出していることから、運用によるマイナスをほかの利益で埋められる会社が多く、予定利率の変更のような、契約社会の原則を揺るがすような超法規的措置を取るべきではない、といった意見が多かったためだ。

逆ざや―業界で1、2ポイント

大手術を見送って体質改善。と言っても、この2,3年、生保の破たんによって、契約者の受取額が大幅に変更される例が相次いだことや、十分な説明をせずに、古い契約を、利率の面で不利な新しい契約に乗り換えさせるような営業姿勢から生保に対する不信感が高まり、新規契約がなかなか増えない状況が続いているのも事実だ。

最大の元凶である逆ざや問題は依然として深刻だ。市場金利の底這いが続き、株式市場がバブル後の最安値を更新し続けるなかで、保有している高金利時代の国債の償還が進むため、縮小どころか拡大が懸念されている。

各社の保有契約の平均予定利率(3月末)は3.2%−4.5%。一方、運用利回りは平均的に2%台前半であり、1−2ポイントの逆ざやが発生している。金額にすると日本生命保険では3000億円を超える。

            含み益経営からの脱却

各社は逆ざやを埋めるために、コストの削減に努める一方、有価証券の含み益などを使ってきた。だが、最近の株安で、ほとんど会社の株式の含みは底を尽いた。3月末のポートフォリオが変わらないことを前提にすると、21日の日経平均終値の9554円で、含み益が残っているのは日本生命1社だけだ。

株価下落の影響を重視して、格付け投資情報センターやS&Pが格付けの見直し作業に入っている。健全性指標の1つとして重視されているソルベンシー・マージン(支払い余力)比率も低下しているとみられる。JPモルガン証券の辻野菜摘アナリストは、日経平均1万円を切ると、一部生保で同比率が 400%を切るとしている。200%が行政の介入基準だ。

     思うように進まない事業費の削減

だが、生保も手をこまねいているわけではなく、それなりのリストラも行っている。例えば、内勤職員数でみると、削減率が最大の三井生命保険では8年間に35%も減っている。太陽生命保険は33%、朝日生命保険も25%減。また、多くの会社は6年連続でベアゼロ、ボーナスの削減や会社業績に連動した報酬制度の導入なども進んでいる。

この結果、各社の事業費は92年度ごろをピークに減少し始めた。しかし、装置産業であることからIT(情報技術)などへの多額の投資がかさみ、各社の事業費を保険料収入で割った事業比率でみると、8年間で日本生命が5.4ポイントと大幅に削減しているものの、多くは1ポイント台の圧縮にとどまっている。

 売れる商品は売れる

商品や営業職員の大量採用による販売戦略も変化してきた。日本生命などが家族の保険を一社にまとめると保険料が安くなる割引サービスを1999年度から始めた。2000年4月に発売された明治生命の新商品は顧客のニーズに合わせた保障内容変更の自在性が評価され、同社の2001年3月期の新契約は前期比 55%も伸び、魅力的な商品は売れることを証明した。

今期に入り住友生命保険や朝日生命保険も類似の商品を発売、20年来の定番商品だった定期付終身保険を追い上げている。これらの商品のもう一つの特徴は、予定利率が市場金利に合わせて1−3年ごとに見直されることだ。金利が低下しても大きな逆ざやが発生する心配はなく、金利上昇時には契約者が恩恵を受ける。

         効果の上がらない男性営業部隊

従業員数を見ると、最近は採用数よりも辞める人数の方が多く、バブルのピークには44万人もいた営業職員の数は現在32万人にまで減少した。でも、これはリストラによるものではない。

女性営業職員を主力とする生保はみな、内勤職員は減少させても、営業職員の数は増やしたいというのが本音。これまで何度も効率化を図って給与や手数料体系を変え、優秀な営業職員の少数精鋭化を図る試みはあった。

だが、営業職員の数が減ると契約高も落ち込み、成功した例はない。日本生命はソニー生命保険やプルデンシャル生命保険で成功した男性の営業部隊を設置したが、思うような成果は上がっていないといわれている。

「中期的には逆ざやをカバーできない」

こうした地道な経営努力の割には、効果が上がらず、体質改善のスピードが遅すぎるという、苛立ちの声が生保の内部からも聞こえてくる。現在のような運用環境が続けば「今は基礎利益(逆ざやと他のフロー収益のネットに近い)が黒字でも中期的には逆ざやをカバーできなくなる会社が出てくる懸念がある」と、格付け投資情報センターの植村信保シニアアナリストは言う。

  しかし、妙薬はない。まずは契約者などの信頼を取り戻すことが先決だろう。「予定利率引き下げの前にやるべきことがある」――金融審の福井部会長はそう言った。この発言をどう受け取るか。

各社が、経営戦略の明確化、情報公開や企業統治(コーポレートガバナンス)の強化など、契約者などの理解や信頼を得られるように、自らが意識改革に取り組むことが必要だ。


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