TWP特報・アメリカの対日経済戦略(ウイークリーポストドットコム2001年10月19日)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 07 日 13:25:50:

(1)日米首脳会議の知られざる真相

小泉純一郎首相はアメリカの同時多発テロにこうよう高揚して自衛隊の米軍支援に前のめりになり、歴代首相がやれなかった軍事的貢献策をひっさげてホワイトハウスに乗り込んだものの、ブッシュ大統領の一撃に面食らったのだという。
「日本は今こそ不良債権処理をしっかりやってほしい」
ブッシュ大統領は有無をいわせぬ口調で、不良債権処理が遅々として進んでいない実態を具体的な数字をあげてまくし立てた。
予想外の展開に小泉首相はたちまちたたらを踏んで釈明に転じるしかなかった。
「政府が責任をもって2〜3年で処理します」
――改めてそう誓わされたのである。
官邸筋の話は首脳会談でのやりとりを裏付ける。
「総理はブッシュ大統領が軍事的テーマより経済問題、とくに銀行の不良債権という具体的内容に踏み込んできたことに驚いた。官邸は新しい金融再生プランを決めていたものの、訪米には竹中さん(平蔵・経済財政相)をはじめ経済ブレーンは同行していなかったから細かい説明ができない。総理は“とにかくやる”と一方的に誓わされ、帰国すると財務省や金融庁に処理を急ぐようにと、今度は総理の方が有無をいわせぬ姿勢で指示した」
テロ事件後、政府はそれまでの金融政策を転換し、政府が直接、銀行から不良債権を買い上げて処理するというかつての住専処理に近い対策を打ち出した。
しかし、日本政府と不良債権問題を協議するために9月10日に来日したオニール財務長官がテロ発生によって塩川正十郎財務相との会談をキャンセルして帰国して以来、日米政府間ではそうした新たな処理策について正式の協議はなされていなかった。ブッシュ大統領は自らその説明を小泉首相に求めたわけだった。
それにしても、ブッシュ大統領はなぜ、日本の軍事的貢献より不良債権処理をそれほど重視しているのか――。
その動機は一にも二にも、アメリカの、対テロ戦争に向けた軍事展開と同時に進めている経済再建戦略が密接にからんでいる。

(2)米政府とウォール街の対日密約

テロ事件発生直後、ホワイトハウスの経済政策担当の高官がウォール街の有力投資銀行や証券会社の首脳を招集し、緊急会議を開いた。テロ攻撃によって壊滅的打撃を受けたニューヨーク株式市場の暴落が予想される中、不況にさしかかった米国経済と金融機関をどう立て直すかという焦眉の急の課題を話し合うためだった。
会議では2つの戦略が練られたという。
アメリカの大手証券会社の日本法人幹部が明かす。
「戦略の第1はニューヨーク市場を再建するため、世界から取引ベースで1兆数千億ドル規模、日本円でざっと200兆円の投資資金を呼び込むことが計画された」
200兆円!? 問題は日本がそこにどう位置づけられているかである。
「そのうち30兆円は日本から調達する方針が決められた。さらに、株価急落で経営を直撃されているアメリカの金融機関のテコ入れのために、日本に不良債権処理を進めさせ、不良債権ビジネスを拡大する戦略も合わせて練られた」
日本の銀行が抱える不良債権の総額は表向き80兆円と公表されているが、IMF(国際通貨基金)の報告書では150兆円にのぼると見積もられている。アメリカの投資銀行やヘッジファンドは、不良債権の土地やビル、あるいは資産、技術を持ちながら経営不振に陥っている企業そのものを安く買収し、分割して高く転売する≪不良債権ビジネス≫のノウハウに長じており、その商売の手口から≪ハゲタカファンド≫と呼ばれる専門業者もある。
これまでは日本の銀行が不良債権処理を先送りしてきたために、日本に進出している≪ハゲタカファンド≫は思ったほどの利益をあげられずに苦戦していた。
しかし、日本政府が驚異的に不良債権処理を進める政策を打ち出せば、米国の金融資本の前に巨大な“宝の山”が出現し、そこであげた利益によってテロによる経営的ダメージを回復できる。
ブッシュ大統領が首脳会談で小泉首相に不良債権処理を強く迫ったのは、そうしたウォール街の要請に基づく金融再建プログラムがあったと思えるが、日本の駐米大使館の情報収集はとてもそこまで及びもつかず、テロ関連で手いっぱいだったから、小泉首相にそんな背景が読めるはずもなかった。

(3)日本の大物政治家が銀行破綻で裏金稼ぎ

日本の不良債権を食いものにしようとしているのはアメリカだけではない。
ある民事訴訟の陳述書。膨大な裁判資料から発見されたそこには、蔵相経験を持つ自民党の大物政治家が、銀行破綻に際して重要情報を企業に流し、メーンバンクの切り替えを大蔵省に仲介する口利き料として、その企業から9000万円を受け取っていたというとんでもない疑惑が告発されていたのである。
永田町では、有力政治家が銀行破綻やその処理に関与して仲介手数料を稼ぎ、金融危機を政治ビジネス化しているといわれてきたが、はじめてその実態の一端が明らかになった。
件の9000万円疑惑の舞台は、一連の金融危機の発火点といえる97年の北海道拓殖銀行の破綻だった。
拓銀の経営破綻は当時の株価低迷と乱脈融資が表面化したことで、戦後初めての都市銀行の破綻として、大蔵省の対応が注目されていた。
拓銀の危機説に最も慌てたのが同行をメーンバンクにしていた情報関連ベンチャー企業のA社である。子会社の店頭公開をひかえており、拓銀が破綻してしまうと、店頭公開そのものが中止になるおそれがあった。
A社はメーンバンクを替える必要に迫られていたが、子会社は優良企業でも、A社本体への融資は拓銀でも不良債権と分類されていたため、他の都銀に転換できるかどうかという不安があった。
A社の政界と大蔵省への工作は96年夏から97年初めまで、まさに拓銀危機が深まるのと同時に進められた。工作の狙いはメーンバンクの転換をスムーズに行なうことだった。問題の陳述書にはそうした工作の実態が克明に記されている。拓銀OBで当時のA社役員の手になるもので、政界工作のターゲットは大蔵大臣経験者のB代議士だったと明かしている。
とくに生々しいのは、現金授受の場面の記述である。
2回に分けて行なわれた。
<平成8年9月×日
経理部長は社長に3000万円を手渡す。
後日、社長より3000万円はB代議士(自民党)に渡した旨の話があった>
圧巻は2回目である。
<平成8年12月×日
経理部長、社長室でダンボール箱に6800万円入れて社長に渡す。勿論現金1万円札にて。
同日昼時。社長は息子をボディガードにして運転手の車にてC氏(編集部注=仲介者の元首相秘書)事務所に運ぶ。
6800万円の配分内訳
6000万円――B代議士の自宅へ
200万――仲介手数料
600万――社長のポケットマネーとなる>(いずれも原文は実名。他は原文のまま)
B代議士はこうして9000万円を得た。
陳述書は同社の大蔵官僚接待にも及んでいるが、工作は成功した。こう書かれている。
<大蔵省に対する工作の結果トップシークレットである筈の情報が入手できました。
・拓銀にはもう将来性がない危険銀行である
・メイン銀行はD銀行がOK
・大蔵省から人を送り込むこと了解>――。
A社はB代議士の口利きが功を奏して拓銀破綻前にメーンバンクを別の都市銀行に切り替え、さらに大蔵省から天下り役員を受け入れて子会社の店頭公開準備を進め、その後公開前に売却して巨額の売却益を得た。政官工作資金など軽く元をとった。
拓銀破綻と軌を一にして発生した第1次金融危機では、山一証券の倒産や証券・銀行の総会屋利益供与事件、大蔵省接待汚職など金融スキャンダルが噴出したが(※〓)、よりによってそのさなかにも、自民党の大物政治家や大蔵省は金融危機に乗じて政治・行政利権の拡大をはかっていたことを物語っている。

(4) 政治手動の税金30兆円投入

小泉首相がブッシュ大統領に約束した新たな不良債権処理策は、銀行破綻を食いものにしてきた日本の≪ハゲタカ政治家≫たちに、さらに巨額な政治利権をもたらそうとしている。
アメリカの同時多発テロ事件をさかいに政府の不良債権処理の方針は180度転換した。事件前に政府内で竹中経済財政相が主張していたのは、銀行への再度の税金投入によって経営を支援し、不良債権を処理させるやり方だった。その場合、どの企業への融資をカットするかはあくまでも銀行の判断だ。
ところが、テロ事件後に自民党内から急浮上したのは、銀行が抱える不良債権を政府の整理回収機構が丸ごと買い取り、損失が出たら税金で穴埋めするという政府主導で処理する仕組みだった。小泉首相は自民党案をそのまま政府決定した。
新しい処理策の政治的メリットを、自民党金融族の幹部が得意気に語る。
「処理策の鍵を握るのはRCCが銀行からどれだけ高く不良債権を買い取るかにある。厳密に資産価値を査定すれば、売却する際に銀行が大きな損失を出すから、銀行救済にならない。そこは政治主導でできるだけ高く買い取る。不良債権といっても、土地や建物だけではない。経営不振の企業への融資も不良債権買い取りの対象だ。従来、RCCは倒産した企業の債権しか買わなかったが、これからはRCCに銀行のような融資機能を持たせて、再建中の企業も引き受ける。そうすれば、政治主導でゼネコンや流通企業の再編を強制的に進めることができる」
やたら政治主導を強調するが、要するに銀行からいくらで不良債権を買い取るかも政治のサジ加減で決まり、経営不振の企業への融資を打ち切って倒産させるか、それとも債権放棄で再建させるかの生殺与奪の権も政治が握るということに他ならない。
これほどおいしい政治利権はあるまい。
実際、金融庁と全国銀行協会は早くもRCCの不良債権買い取り価格について非公式な協議を重ねている。当然、政府に虫食いだらけの土地や倒産寸前の企業をいかに高く売りつけるかの交渉だ。
そもそも今回のプランがテロ事件のどさくさに紛れて自民党内から急浮上したこと自体、最初から不良債権処理を政治利権化しようという思惑があったとみていい。
日本の銀行の不良債権総額は現時点で150兆円に達しており、不況が続けばさらに増える。30兆円といってもあくまで当面のことで、政治主導で銀行やゼネコン救済のためにRCCが債権放棄を連発すれば国民負担は天文学的に増えていく。

(5) 救えば政治家、つぶせばアメリカ

アメリカの≪ハゲタカファンド≫と日本の政治家の不良債権ビジネスは、30兆円利権の争奪戦というより、むしろ山分けの色合いが濃い。
ワシントンでは日米首脳会談が行なわれていたその日、東京で来日中だったシードマン・元米整理信託公社総裁が講演した。
シードマン氏は米国財務省の意向を受けて日本の銀行の不良債権問題の実態調査に来たとみられていたが、日本政府の不良債権買い上げ計画を高く評価し、こう述べた。
「経済全体にとって何がベストか考えるべきだ。健全な企業には資金を投じ、そうでない企業は清算して資産を売却すべきだ」
企業の売却を急げという主張は米国企業のビジネスチャンスの拡大を迫る意味がこめられているのは明らかだ。
小泉首相がホワイトハウスで日本の処理策の説明に冷や汗をかいている時に、実はアメリカはその内容を十分に把握しており、小泉首相から「必ず実行する」という言質だけをとろうとしたのだ。
というよりも、不良債権の処理策それ自体、ウォール街が仕掛けたと思わせる形跡すらある。
なんのことはない。小泉首相はウォール街とアメリカ政府の振りつけに踊らされたということになる。
小泉首相には、経済ブレーンの一人から訪米前に不良債権処理の対象となる経営不振の大手企業30社のリストが提出されている。そこにはゼネコン、流通大手企業などの名前が並び、それらの企業をつぶすか、救うかが経済再生の分岐点とされている。≪30社リスト≫は、いいかえれば、アメリカのハゲタカファンドが買収に目を光らせている企業そのものなのだ。
日本の政治家はつぶすか否かの決定権を持つことで政治介入し、救えば、見返りの政治資金を得、つぶせば、アメリカ資本に売り渡すという、日米双方に持ちつ持たれつの収奪の仕組みができている。
小泉首相がいくら対テロ戦争への自衛隊派遣を絶叫しても、アメリカはすでに日本から得るべき支援の実利をしっかり収める仕組みをつくりあげている。

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