分析「日本の政治を読む」〜決断間違えば「小泉不況」が政権をのみ込む(PAXNET)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 29 日 20:34:10:

【今週の主な政治日程】

▼10月29日(月)テロ対策関連法成立、自民党選挙制度調査会

▼  30日(火)与党衆院選挙制度改革協議会、衆院選挙区画定審議会

▼11月 2日(金)与党3幹事長がパキスタン訪問(4日まで)

【政局の焦点】

●「中選挙区」ゴリ押しなら「政局」に発展も

与党3党がまとめた大都市の一部に中選挙区を復活する衆院選挙制度改革案をめぐって政界が大きく揺れている。同案は一言で言えば「公明党の公明党による公明党のための改革案」(市田忠義共産党書記局長)で、特定の政党に有利なように選挙制度を改変する「ゲリマンダー」そのもの。事前にはとても実現不可能とみられていたが、公明党が昨年の衆院選時の自公協力の資料を示して実行を迫り、山崎拓自民党幹事長がこれをのむなどにわかに現実味を帯びてきた。ところが、報告を受けた小泉純一郎首相が「党利党略が絡んでいる。野党第1党の理解を得るようなものを考えてほしい」と差し戻したことから、公明党が一時政権離脱の構えもみせるなど「政局」に発展しかねない様相となっている。
現時点であえて結論を言えば、(1)公選法改正案を今国会にたとえ提出しても、自民党内が割れ不成立(2)自民党内が混乱を恐れ、法案採決を断念(3)公明党、創価学会への批判が集中して、法案提出を取り下げ――と、結局、同案の実現は相当困難な見通しだ。それでもなお、ごり押ししようとすれば、民主党をはじめ野党各党の抵抗で国会審議は全面ストップし、場合によっては衆院解散まで覚悟しなければならなくなる。構造改革を政権の第一目標に掲げる小泉首相がこれを犠牲にしてまで公明党に義理を立てるとは考えにくい。

●自公だけが増える「我田引水」の典型

定数1の小選挙区に定数2と3の中選挙区を混在させると言う今回の案は、憲法で保障する「法の下の平等」との関係で制度上説明がつかなくなるうえ、政権交代可能な2大政党を作るという小選挙区制の理念に反することになる。さらに小選挙区では反映できない少数意見を生かすための比例代表制との重複立候補に中選挙区の落選者も認めるのか、あるいは惜敗率の算定方法をどうするのか、全国一律でなくなった選挙区での選挙運動の制限はなど、制度がより複雑で分かりにくくなる。
何より、今回の合意案を直近2回の衆参両院選挙のデータに基づきシミュレーションすると、公明党は現行制度ではわずか1議席であったものが最大8議席まで拡大。自民党も最大4議席増の14議席。逆に民主党は現有議席を6議席も減らすことになる。これをみても分かるように、同案が公明党あるいは大都市圏で弱い自民党の一部のため
の「我田引水」の典型であることが一目瞭然だ。

●公明と橋本派が首相の“民主寄り”をけん制

公明党が自民党に示した蒲島郁夫東大教授の2000年総選挙の分析資料によると、公明比例票の6割が小選挙区の自民党候補に投票したと仮定すれば34人が落選を免れ、8割ならば44人の自民党候補が落選を免れた計算になるという。さらに「もし、民主党と公明党が共闘していれば、自民党の当選者は激減していただろう」と結論付ける。
公明党としてはこの資料と自公連立時の約束を楯に、自民党に対し、公明党に不利な現行選挙制度そのものの改正を迫っている。しかし小泉首相としては、テロ対策関連法成立後は懸案の特殊法人改革などの構造改革が待っており、野党第1党の民主党の協力は不可欠との立場。逆に言えば、そうした首相の考えが透けて見えるだけに、これに危機感を抱いた公明党と自民党橋本派が山崎幹事長らのネジを巻いたとの見方もできる。テロ対策法案の衆院本会議採決の際、野中広務元幹事長らが欠席したのも、表向きの理由はともかく、首相の民主党寄りの姿勢をけん制したと解するのが妥当だろう。野中氏や森喜朗前首相らは「公明党の協力があってこそ、安定して改革がやっていける」と主張する。

●経済運営の決断間違えば「小泉不況」に

小泉内閣は10月26日、政権発足半年を迎えた。支持率は依然70%を超す高率だが、この半年間を子細に検討してみると、実はまだ実績と呼べるようなものがないことが分かる。第一の目標である構造改革は各省庁の強い抵抗に遭い、首相自ら「原則廃止か民営化」を打ち出した特殊法人改革も遅々としており、改革案が本当に年末までに出来上がるのか疑問が残る。また経済面でも、不良債権処理策をめぐり経済閣僚の間で足並みが乱れ、進まず。一方、日経平均株価は首相就任直後の5月に1万4529円をつけたものの、その後下がり続け、現在でも1万円をわずかに上回る水準で低迷。完全失業率も史上初めて5%を突破、その後下がる気配を見せず、今年度の経済成長率もマイナスは確実だ。
唯一の実績と呼べるものは29日成立予定のテロ対策関連法案。しかしこれも、自衛隊派遣の実施計画や国内のテロ対策などの具体策はこれから。今後は補正予算案や2002年度予算案が控えているが、首相が「国債30兆円枠」にこだわり続ければ機動的な財政運営が難しくなる。しかも米国で発生した「テロ不況」の大波も予想され、首相は中長期的課題の構造改革と当面の施策である景気対策とを切り離す必要がある。
その決断の時期を間違えれば、その波は「小泉不況」と名前を変え、政権をのみ込んでしまう可能性がある。

●予想以上に手間取るアフガン攻撃

米英軍によるアフガニスタン空爆が当初の予想に反して長引いている。それはラムズフェルド米国防長官が記者会見で思わず「(ウサマ・ビンラディンを)将来、確実に捕まえられるかと聞かれれば、干し草の山から針を探すくらい難しい」との本音を漏らしたように、タリバンの徹底抗戦に遭い、作戦が予想以上に難航しているためだ。
このため米国務省は他のイスラム諸国の反発を恐れ、11月16日からのラマダン(断食月)以降の戦闘停止を求めているのに対し、国防総省はラマダン中も作戦継続を主張するなど米政府内部も意見が割れ始めている。
これまで何度か触れたように、今回の作戦は長期化必至で、しかも目的を達成できないまま米英軍が退かざるを得ない可能性すらある。米軍がアフガン攻撃にこだわり続ける間に一般市民を巻き込むケースが増え、反米感情は高まる一方となろう。米政府はいずれかの時点で、外交交渉に切り替えざるを得ない時がくるのではないか。

●「テロ根絶」には米の中東政策変更が必要

また米国が真に「テロ根絶」を望むのであれば、米国自身の中東政策をいずれ変える必要が出てこよう。それは第一に、米国はサウジアラビアなどから膨大な原油を買い付けているが、その代金は王族など一部の人間の富を増やすだけで、大部分の国民または非産油国との貧富の差を広げているだけに終わっている。その貧しい層から比較的教育程度が高い者がイスラム原理主義に走り、テロリストとなっているという現実がある。やや「風が吹けば桶屋が儲かる」式の理屈になるが、米国が自国のエネルギー政策や中東政策を変えない限り、いつまでもこのテロリストたちを増産し続けることになる。
第二というか、こちらの方がより重要かも知れないが、米国はパレスチナ問題で一方的にイスラエルだけを支援するのではなく、同問題をもっと公平に扱う必要がある。
歴史的経緯があるにしろ、イスラム諸国側がイスラエルとの戦いを「宗教上の問題」ととらえている以上、問題は抜き差し成らないところまで行かざるを得ない。
こうした米国自身が絡んだ“負の連鎖”をどこかで断ち切らない限り、真のテロ根絶にはつながらないだろう。

●日本はアフガン復興で存在感示せ

一方、日本政府は、今回のテロ事件に伴う米英軍の攻撃で巻き添えを食ったアフガン国民の窮状を考えれば、戦闘中であっても同国への人道援助と戦後の復興について最大の努力をすべきである。それこそが同地域で“手が汚れていない”わが国の唯一とれる道だろう。付言すれば、中東問題でも日本はもっと重要な役割を果たし得る立場にある。外交というと「対米追従」が当たり前と小泉首相も思い込んでいる節があるが、そんなことはない。この地域における日本の存在感は日本国内で考えるよりずっと大きいことをこの際、認識すべきだ。もっとも日本が活躍するためには有能な外相に差し替える必要も出てこようが、この問題は別稿に譲りたい。
[政治アナリスト北 光一 2001/10/29 09:23]

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