金融再生の指揮系統混乱/官邸、金融庁の責任なすり合い(Weeklyポスト・ドットコム)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 19 日 21:23:33:

1. 金融庁最高幹部の「援助交際」醜聞

銀行株が一斉に売られ、その中でもあさひ銀行や大和銀行の株価が100円割れに追い込まれて金融危機が急速に広がった11月中旬、自民党中枢部から一枚の≪メモ≫が流出した。
メモは金融庁最高幹部A氏(特に名を秘す)の女性スキャンダルに関する簡潔な調査報告の形式をとっていた。
<A氏の援助交際問題>
――と冠して以下、A氏がアメリカに赴任していた期間と当時の役職の記述の後にいきなりこうつづく。
<その際、大蔵省から国際機関(原文は実名)に出向していたB子さんと援助交際していた>
原文はB子さんも実名であり、ご丁寧に旧姓まで書かれている。そして、いかにも念を押すように、次の文面で結んでいる。
<仮に機密費を交際費に流用しているようなことがあれば大問題>――。
A氏は旧大蔵省から金融庁に転じているが、大蔵省時代に確かに3年間のアメリカ勤務経験がある。
目下、そうした事実の糾明とは別に≪援交メモ≫は、官邸と自民党中枢では金融危機と抱き合わせた重大問題に展開しつつある。
≪メモ≫は時が時、人物が人物であることに照準を当て、明らかにA氏を狙い撃とうとしている印象を抱かせる。
金融庁は今月から大手銀行への特別検査を実施し、政府主導で強制的に不良債権処理を進める方針の実行に踏み出している。銀行から巨額の融資を受けているゼネコン、不動産、流通など経営不振の大企業のうちどの会社を処理、つまりつぶすかが金融庁のサジ加減一つで決まる。大企業が1社倒産させられると、下請けや取引先の連鎖倒産を招き、大量の失業者が出るし、銀行も巨額の損失処理を迫られる。それだけに、特別検査の対象となっている融資先企業や金融界、さらに自民党議員も金融庁の動きに神経をとがらせている。
A氏はその金融庁の不良債権処理の指揮をとる立場にある人物なのだ。
問題の≪援交メモ≫はそれほど微妙なタイミングで流出した。メモはいつ、誰が、何のために作ったのか。
≪メモ≫の真偽はともかく、A氏の失脚を企図した“情報テロ”とすれば、記述の内容の真偽とは別の問題を喚起している。
メモの流出ルートを追うと、興味深い事実がわかった。
銀行の株価が急落を続けていた11月の第2週、その対応と特別検査に向けた準備に追われていた金融庁に符節を合わせたように3本の電話が入った。
最初は首相官邸、次に自民党幹事長室、3番目が民主党本部からだった。奇しくも申し合わせたように同じ内容だった。
「A氏のアメリカ勤務当時の経歴を確認したい」
――という照会である。
問題の≪メモ≫は、そうした水面下の動きに応えて、首相官邸や自民党中枢に対する調査メモとして作成された形跡が明らかになった。

2. 金融庁長官の更迭説が噴出

金融庁内では、最高幹部のスキャンダル情報の流出と軌を一にして、柳沢伯夫金融相と森昭治長官の亀裂が表面化している。
小泉内閣の不良債権処理方針をめぐっては、これまで柳沢金融相と竹中平蔵経済財政相が激しい対立を演じてきた。税金投入による早期処理を唱える竹中氏に対して、柳沢氏と森氏は税金投入に反対し、「この不況下で不良債権処理を強要すれば日本経済は大混乱に陥る」と主張してきた。
小泉純一郎首相は金融再生を国際公約にしながら、閣内にある2つの路線対立に決断を下せずにいたわけだが、そのことが金融危機を一層深刻化させることになった。
小泉首相はヘッジファンドの攻勢に背中を押されるように金融庁に特別検査を急ぐことを指示せざるを得なかった。柳沢―森氏の金融庁中枢ラインによる問題先送り派の敗北だったが、待ってましたとばかりに、自民党中枢からも≪森更迭論≫が噴き出した。そこで件の≪援交メモ≫が登場する。
官邸筋がいう。
「金融行政を混乱させて危機を深めたという意味では柳沢大臣も森長官も連帯責任を負うべきだが、柳沢を更迭しようとすれば、真紀子外相更迭とセットにされ、内閣改造論に火がつく。小泉首相は改造だけはどうしても避けたいから、柳沢の更迭はできない。そこで援交問題が生きてくる。森には幹部の不祥事の監督責任という内々の理由で勇退させる。そうでもしないと竹中大臣もアメリカ側も納得しない」
柳沢氏の政治責任を不問にするかわりに、森氏に金融危機の行政責任をとらせ、スケープゴートに仕立てようというわけなのだ。
自民党側の森更迭要求の背景はさらに複雑怪奇である。
金融庁は今年に入って地方の信用金庫や信用組合への検査を強化し、その結果、全国で中小金融機関の破綻が相次いでいる。そうした金融機関の経営者は自民党議員の有力後援者になっているケースが多いことから、党内には金融庁への批判が渦巻いている。
閣僚経験者の有力大蔵族が右代表で憤懣を代弁する。
「金融庁は大手銀行には税金を投入して救済しながら、中小の金融機関は容赦なくつぶしてきた。そのため地方の経済は大打撃を受けている。それだけではない。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)系や韓国系の信用組合の破綻処理を進めたことから経営者の責任追及が本格化しているが、そうした金融機関は政治力が強く、これまで検査も甘かっただけに、親北朝鮮派の議員からは金融庁のやり方に不満が爆発し、森長官を辞めさせろという声が日増しに高まっている」
破綻した韓国系の東京商銀や北朝鮮系の朝銀近畿などには現在、警察と検察の捜査が入り、経営陣の逮捕が続いている。朝銀の場合、グループ全体で1兆円にのぼる税金投入が必要とみられており、まさに責任追及が遅すぎたといえる。
森長官の更迭論の背後に潜む政治的思惑こそ、これまでの金融行政がいかに政治的にねじ曲げられてきたかを物語っている。

3. 某都銀危機のスクランブル情報

政府と自民党内の森長官更迭の動きの裏には、危機をもはや隠せなくなっている新たな事態が起きていた。実は、大手銀行のひとつで、大量の預金者が預金引き出しに押し寄せた。事実上、取り付けの事態に陥っていた。
日銀、金融庁は取り付け回避の極秘行動を展開した。
それは、11月の第2週、つまり≪援交メモ≫が作られて官邸や自民党で森更迭への布石が打たれているのと同じタイミングだった。
大手証券会社ディーラー。
「その銀行の危機が一段と高まったのはメーンバンクを務める有力ゼネコンP社の倒産説が発端だ。特別検査がいよいよ始まるが、P社は“つぶされる企業”のリストの筆頭にあるとみられている。P社が倒産すればメーンバンクの経営破綻をもたらすと見られ、関連株が売られた」
そうした市場の動きが週末をはさんで11月12日、預金者にも伝わった。その銀行の各支店には預金者が殺到し、預金の引き出しが集中した。
窓口の行員だけでは客をさばききれず、支店長ら幹部が先頭に立って客の整理にあたり、パニック回避に全力をあげたが、まさに薄氷を踏む状況が呈された。
いよいよ現実化した大手銀行の危機はすぐに首相官邸と自民党執行部にもスクランブル情報として伝えられた。
翌13日もやはり預金の流出は続いたものの、前日ほどではなく、ひとまず小康状態を維持している。都内の支店では、現在も幹部が総出で預金者を動揺させないようにフロアに立って“臨戦態勢”をとっており、異様なムードだ。
今回の取り付け騒動の引き金となったのは一部の外資系証券会社が流した経営危機情報だったとみられており、証券取引等監視委員会(日本版SEC)では、株価を下げるために故意にマイナス情報を流すインサイダー取引の手法の一つ、≪風説の流布≫にあたる疑いで調査に乗り出したとされる。
それでも、同銀行の危機が去ったわけではない。

4. 「大手2+1社」の取りつぶし計画

森長官の更迭論や最高幹部のスキャンダル情報で揺さぶられた金融庁は、そのホコ先を銀行や融資先企業に転じようとしている。特別検査にあたって、銀行側に、「問題債権のリストを作れ」と指示を飛ばした。
小泉首相は竹中氏ら経済ブレーンから提出された経営不振企業30社のリストを眺めては、どの企業を処理の対象にするかを検討しているというが、政治家が企業の生殺与奪の権を握ることが構造改革だと勘違いしているのではないか。銀行側には≪30社リスト≫のうち、
<官邸はゼネコン2社、不動産1社の取りつぶしの方針を固め、大手流通グループの処理は検討中>――という情報まで流れている。
金融庁・A氏の≪援交メモ≫で金融庁を屈伏させた次は、企業の取りつぶしリストで銀行を思い通りにコントロールし、対米公約を果たすのが小泉首相のやり方ということではあるまいが、そうだとしたら、あまりに貧しい。
結局、そうした不良債権処理で得をするのは米国の金融資本だけなのである。
象徴的なのがあさひ銀行だろう。同行はさる11月12日、アメリカの大手証券会社ゴールドマン・サックスと不良債権処理で提携すると発表した。
ゴールドマンは破綻した旧長銀のリップルウッド社への売却の際にもコンサルタントを務め、企業のM&Aや不良債権処理には実績があるが、今後、あさひ銀行の大口融資先企業の処理を進める際には、企業買収の仲介役などで大きなビジネスチャンスを得ることになる。
アメリカの金融資本が日本の不良債権処理に期待しているのはまさにその点にあり、小泉首相が取りつぶしを決める企業が多いほど、アメリカは喜ぶはずである。
現在の金融危機は逆にアメリカ政府の金融戦略に沿う形で仕掛けられているのではないかと見紛う。
そうだとすれば、この先、日本は次々に企業を倒産させて外資に切り売りしなければ危機は収束しないことになってしまう。

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