分析「日本の政治を読む」〜抵抗勢力との妥協は首相にとって「政治的死」[PAXNet] 2001/11/12 09:23:00

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 12 日 11:56:33:

【今週の主な政治日程】

▼11月12日(月)2001年度補正予算審議開始、与党3党幹事長・政調会長会談

▼ 15日(木)2001年度補正予算成立

▼ 16日(金)テロ対策法に基づく自衛隊派遣基本計画を閣議決定

▼ 18日(日)タクシン・タイ首相来日(21日まで)

【政局の焦点】

●目立つ石原行革相の後向き発言

小泉内閣の看板である構造改革のシンボル的存在だった特殊法人改革が、にわかにおかしくなり始めている。族議員や官庁の抵抗の強さに「一番困難で抵抗の激しい所から手を付ける」としていた肝心の小泉純一郎首相が7日、“行革族のドン”橋本龍太郎元首相との会談後、「全部を廃止・民営化できるとは思っていない。独立行政法人がいいという法人もあるだろう」と持論を大きく後退させた。さらに“行革の先兵”としての役割が期待されていた石原伸晃行革担当相が「他の省庁の所管する法人の改革案を取りまとめる権限はない」との消極発言に加え、10月30日の改革会議では経済財政諮問会議に提出する規制改革案について「小さなタマで、実現するものを出せばいい」と、極めて後ろ向きの発言をしていたことが明らかになった。(10日付朝日)

●抵抗勢力との妥協は政権崩壊への道

これらの発言がすべて事実だとすると、今月内の高速道路整備計画の凍結問題の結論はおろか、年内に予定されている特殊・認可法人の整理合理化計画決定は極めて厳しい状況に追い込まれる。本来ならこのヤマ場を乗り切り、党や所管官庁から独立した第3者機関による民営化の具体化に入らなけえばならないのだが、今後の見通しは不透明と言わざるを得ない。
首相は11日、何としても改革をやり遂げる考えを改めて強調したが、事は小泉内閣の存立に関わる重大問題であり、下手すれば政権崩壊にもつながりかねない。党内基盤がぜい弱な小泉内閣は特殊法人改革を一点突破に実績を挙げ、世論の支持を得る以外に生きる道はない。しかし、もし首相が一時的にせよ抵抗勢力との妥協を考えているのなら、それは短期間の政権延命にはなっても政治的には「死」を意味しよう。

●小泉首相は内閣改造に踏み切れない

小泉内閣は、特殊法人改革で評価を大きく下げた石原行革相以外にも、田中真紀子外相という“内閣の大目玉”が相変わらずのわがままぶりを発揮。また塩川正十郎財務相と竹中平蔵経済財政担当相、柳沢伯夫金融担当相の経済3閣僚が不良債権処理や国債発行枠などをめぐってぎくしゃくしている。さらに狂牛病をめぐっては武部勤農水相の不手際も目立つ。
小泉首相もこれでは内閣改造に踏み切れまい。1人代えようとすると、次々と交代要求が出されるのは目に見えているからだ。しかも政権発足当時、首相が派閥を無視して一本釣りしたような閣僚人事での荒技は2度とできない。それでも改造することで妥協を図ろうとすれば、閣内に構造改革に後ろ向きな人物が送り込まれてくることは、ほぼ間違いないだろう。しかもその閣僚が“トロイの木馬”となり、結局、小泉政権を内部崩壊させることにつながろう。よって首相は内閣改造に踏み切れない可能性が高い。

●首相は面子にこだわらず、景気回復策を

政府は9日、2001年度の政府経済見通しについて、実質国内総生産(GDP)の伸び率を当初のプラス1.7%からマイナス0.9%へと下方修正した。来年度もマイナス成長が確実視されており、日本経済は戦後初めて2年連続のマイナスとなる。また今年度補正予算案が2兆9955億円と決まった。この数字は今年度の国債発行額を「公約」の30兆円以下に抑えることを最優先した結果だ。しかし、日経平均株価も政権発足時に比べ30%近くも下落するなど、あらゆる経済指標が急激に悪化している時に、一時的に過ぎない「目標数値達成」にいかほどの意味があるのだろうか。
既に閣僚の間からも「デフレスパイラルの入り口にある」(竹中経済財政担当相)との見方が公然と出されており、首相は持論の「構造改革なくして景気回復なし」を早急に政策転換する必要がある。首相自身は「公約破り」の汚名を着ることを気にしているようだが、経済は生き物であり、その時々によって臨機応変の対応することは何ら恥ではない。逆に、このまま何の手を打たないまま日本経済が抜き差しならない状況に陥れば、「小泉不況」との不名誉な名前を歴史に残すことになるだろう。首相は面子にこだわっている場合ではない。

●ビンラディン「核兵器保有」発言の衝撃

アフガニスタンの反タリバン勢力「北部同盟」は10日、米航空戦力の支援を受け、同国北部の要衝マザリシャリフを奪還したと発表した。これにより、隣国ウズベキスタンからの補給ルートもつながり、首都カブール攻略も容易になる。ただ米軍の大規模な地上軍投入が間近に迫ったのかどうか、さらに肝心の同時テロの首謀者と目されるウサマ・ビンラディンの所在は依然明らかではない。
一方、10日付のパキスタン紙「ドーン」はビンラディンのインタビュー記事を掲載、この中でビンラディンは「我々は核兵器と化学兵器を持っている。米国が使えば、我々にも使う権利がある」との衝撃的事実を明らかにした。もちろん情報戦の一環に過ぎない可能性はあるが、ビンラディンの資金力、国際的ネットワークからみて、本物である可能性は否定できない。本人は同時に「抑止力として持っている」と述べているが、民間航空機を使った同時テロという残忍な手口からみて、核・化学兵器の使用を躊躇(ちゅうちょ)するとは考えにくい。むしろ米軍が核爆弾に次ぐ威力を持つという「デージーカッター」爆弾などを使用している以上、対抗手段として、いざとなったら使ってくる可能性に備えた方がいいだろう。

●各国の思惑が交錯する交通の要衝アフガン

米軍のアフガン攻撃は、もちろん同時テロ犯の身柄確保ないしは殺害にあるが、こうした表向きの理由とは別に、軍事作戦の裏には別の理由も存在する。アフガニスタンはシルクロードで知られるように、古くからアジアとヨーロッパとを結ぶ東西の交通の要衝。さらにロシアからカスピ海を経てパキスタン、インド洋へとつながるこの地域で唯一の南北の交通路の要衝でもある。とくに南北ルートはカスピ海沿岸の石油、天然ガスを運ぶ長大なパイプラインがアフガン、パキスタン両国を通る。従ってエネルギー政策から、この地域がどの国の影響下に入るか、米英両国だけなくロシア、中国も重大な関心を寄せる。
また地政学的にも南下の夢を依然捨て切れないロシア、イスラム教徒の独立運動の新彊ウィグル自治区を抱える中国、ロシアとインドの関係に楔を打ち込みたいパキスタン、アフガンが米国の強い影響下に置かれるのを警戒するイランと周辺国の思惑が複雑に絡み合っている。こうした情勢が絡めばこそ、同地域では半世紀に3回もの戦争があった。悲惨なのはそのたびに巻き込まれるアフガン国民である。
(政治アナリスト 北 光一)

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