生き残りへ銀行再々編・最強『三井三菱住友銀行』ができる!(週刊現代オンライン)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 06 日 22:42:21:

ほんの数年前まで、企業グループの壁を越えてみずほや三井住友が誕生するなど、誰も想像しなかった。実現したのは、経営が極度に悪化したせいだ。そして、状況がさらに苦しくなったいま、日本の3大財閥が統合して巨大銀行を作るプランが浮上した。この“最後の大再編”は銀行を救えるのか――。

●もはや国が管理するほかない

《'99年の公的資本注入後、一時的に安定したかに見えた金融システムであるが、止まらぬ資産デフレ(株価、地価)と不況により、再度、懸念されてきたようだ。おりしも、来年4月にはペイオフの解禁を控えており、自治体をも含む預金者らの一喜一憂がデフレスパイラルを加速させる可能性が高まりを見せてきた》
 こんな、金融パニックの到来を暗示するような文章で始まる一通のレポートがある。
タイトルは『金融再々編の必要性』。分量はA4の用紙でわずかに7枚だ。しかし、コンパクトな長さとは裏腹に、そこにはきわめて衝撃的な内容が記されているのである。
大手銀行関係者が明かす。
「このレポートは、大手都銀グループの調査部門の行員がひそかに作成したと言われています。いま、金融関係者の間で少しずつ出回り、評判を呼びつつある。趣旨は、一昨年から昨年にかけて4大メガバンクに収斂された銀行をさらに再編しなければ、日本の金融は再生できない――というショッキングなものです」
大手13行の9月中間決算の結果が、11月26日に出そろった。うち9行が赤字となり、来年3月通期の決算では、10行が赤字の見通しとするありさま。不良債権処理に伴う損失も、通期で6兆円以上にのぼる見込みとなった。
三井住友、UFJ、大和、あさひ、中央三井信託の各行は、自己資本である法定準備金を取り崩す予定を表明しているが、「“最後の砦”の法定準備金まで手をつけるのは、タコが自分の足を食べ始めたような状態。これらの銀行のなかには、確実に破綻への道を歩み始めたところもあるはず」(金融アナリスト)という。銀行はまさに、崖っ縁に追いつめられている。
慶応義塾大学商学部の深尾光洋教授もこう語る。
「私の試算によると、株価が現在の水準で推移した場合、来年3月期には多くの銀行で、公的資金を除く自己資本がほぼゼロになる可能性があります。言い換えれば、公的資金の分しか自己資本がない、という末期的状況。そういう銀行は当事者能力を失い、国が管理するしかなくなります」

今回本誌が入手したレポートに添付された資料には、今年5月から11月までの半年間で、4大メガバンクの株の時価総額がどれだけ下がったかも記されている(グラフ参照)。三菱東京38%減、三井住友46%減、みずほ63%減、UFJ55%減というすさまじい減り方だ。4グループ合計で見ても、5月7日に29兆3700億円だった時価総額が、11月15日には14兆6000億円とほぼ半減している。トヨタ自動車1社の時価総額、約11兆円を上回る額が吹っ飛んだわけだ……。
レポートには、銀行がこういった苦境を脱するための妙案が書かれているとして、都銀幹部及び自民党議員らに熱心に読まれているというのだ。中身を紹介していこう。
まず、冒頭に引用した書き出しの後、日本経済が陥った状況をこう記す。
《10月23日に株価が100円以下の企業は97社であったのが、11月12日終値ベースでは122社に増加している》
《企業の倒産件数も歴史的水準となっている。大手信用調査会社が発表した10月の企業倒産は1911件、(中略)今年1年間の倒産は19000〜20000件に達することはほぼ確実視され、第二次石油ショック後の1984年20841件に次ぎ、戦後2番目を記録するか、若しくはそれを上回る可能性さえ高まりつつある》
そして、こんな疑問が投げかけられている。
《こうして日を追う毎に増加する不良債権額と企業の経営破綻に果して金融システムはいつまで耐え得ることができるのであろうか》

●「松」「竹」「梅」の3行にせよ

次に、「前回再編の経験則から」と題した章がある。ここではまず、《増加する不良債権を償却しきれないばかりか、経営者がここまで事態を放置してきたのは、「先の金融再編」がその大きな要因の一つに挙げられるのではなかろうか》とし、'99年のみずほグループ統合発表を皮切りに進んだ再編の問題点として、以下の5点を挙げている。
(1)補完的再編の功罪
《重複分野が比較的少ない合併となったことから、経費削減を中心としたリストラ効果が生まれにくい》
これは、以前から多くの識者が指摘していた点である。
(2)経営責任の不問
《本来問われるべき公的資本の注入に対する経営責任を不問のままにしたことで、(中略)権力闘争が生じる傾向が強く見られ、効率的経営判断がなされていない。あるグループでは、覇権争いの結果、既に確立された千億単位の最新システム投資が水泡に帰すといった究極の非効率さえ生じているようだ》
最新システムにかけた数千億円が無駄になった銀行があるというから仰天するほかはないが、前半部の権力闘争に関する記述は、何度も報じられてきたみずほグループの内部状況を彷彿させる。
(3)置き去りの功罪
《4大グループへの加入に漏れた金融機関は一部を除き、脛にキズを持っているという判断を市場から受けており、財務内容もそうした判断に近い状況であった。(中略)置き去りにされた一部の金融機関の存続を巡り、市場全体に金融システム不安再燃の懸念を導く結果となった》
置き去りにされた一部の金融機関とは、あさひ、大和、中央三井の各行のことだろう。
続いて、(4)不透明な国家ビジョン、(5)予期せぬマクロの変化という、金融を取り巻く環境に関する問題点も二つ指摘している。
この後が肝心の「打開策は再々編」と題された章だ。まず、《5グループになった大手行をさらに集約し、異なるコンセプトの3つのグループに再編し直すべきではないであろうか》とズバリ直言。銀行を「松」「竹」「梅」の3つに再編しろと説くのだが、具体的にはどことどこが一緒になれというのか――。
《「松」具体的な例を挙げれば、「三菱グループと三井住友グループ」の組み合わせ。旧財閥同士が統合することで企業再編は一気に加速すると思われる。(中略)同グループには国際業務や証券業務を含む「フルライン業務」を行う金融機関として、欧米の列強と力を競い合わせるべきではなかろうか。対象とする主な顧客層は、国内優良大企業及び、個人富裕層とする》
次に2番目のグループ。
《「竹」の組み合わせは「みずほグループとUFJグループ」だ。このグループは国際業務から撤退し、国内の大口問題企業の再生をその中心業務とする。(中略)リテール部門については、ミドルクラスの顧客をターゲットとし、証券業務及び保険業務を含めた広範な金融業務の直接参入を認めるべきではないか》
そして3番目の「梅」。
《「梅」の組み合わせは「大和グループとあさひ」である。再編の際には「松」グループの兵庫県の店舗の購入、問題地銀を次々にここに集結させ、一大金融グループを形成させる。顧客基盤は中堅及び中小企業と小口の個人に狙いを絞り、「金融のコンビニ」を目指す経営戦略を描くべきではないか》
――前出の大手銀行関係者は言う。
「つまりこのレポートは、銀行を『三井三菱住友』と『みずほUFJ』と『大和あさひ』の3銀行グループに再々編すべきだ、と提案しているんです。初めて見るとビックリの内容ですが、3グループがそれぞれ異なるフィールドを担当して合理的に収益を上げるべきだ、とも主張している。
たしかに、これくらい大胆な手を打たないと、日本の金融の再生なんておぼつかないかもしれません。そうそう、みずほUFJの新名称は『あすか銀行』になる、という説も聞いたことがあります」
「三井三菱住友銀行」――数年前なら笑い話にもならないが、厳しい現実を直視すれば、確かに日本経済の救世主として、説得力がある名前だ。

●「国家レベルの公的処刑」を

※金融再生法開示債権額。内訳は(A)が破産更生債権及びそれに準ずる債権、(B)が危険債権、(C)が要管理債権

この「三井三菱住友」など3グループに再々編が行われた場合、グループそれぞれのバランスシートの中身や不良債権額を試算した結果も、レポートには載っている。それをもとに作成したのが左のグラフ2点である。
総資産量を見ると、三井三菱住友銀行は約229兆円、みずほUFJ銀行は約249兆円という数字になる。現在世界一と言われるみずほグループの総資産量が約140兆円であることを考えれば、これらの数字のすごさはおわかりだろう。不良債権(金融再生法開示債権の合計)も、三井三菱住友が約7兆8874億円、みずほUFJが約7兆2162億円にのぼる。
レポートに戻ろう。3大グループ再々編計画に触れた後で、次のような文面が続く。
《公的資金注入と2期連続の赤字に対して、来年度通常総会で現行の経営陣の多くが退く可能性が高まりつつあるようだ。(中略)経営体制が一新することにより経営の効率性が高まるチャンスが訪れる。この場合、最も重要なのは、生え抜きの経営者ではなく、望むべくは覇権争いや、しがらみとは無縁の外部から、国籍を問わず、優れた経営者を招くことである》
《金融グループを再集約化つまり、債権者を集約させることにより産業の再編・再生に対する抵抗は極めて減少すると見込まれる。(中略)産業界もある種の「勝ち組」と「負け組」に選別することが望まれる。また、国家レベルの公開処刑とも言われかねないこうした作業を粛々と行うためには、国家の長たる内閣総理大臣が中心となって、厳正なルールを敷き、将来を見据えた上での多角的な視野に基づいた計画に沿って行われることが必要となる》
もう内部出身者には経営させず、日産のゴーン社長のように優秀な経営のプロを招く。融資先も、首相が中心となって国家レベルで「負け組」を決め、潰す――というわけだ。
まさに“最後の金融大再編”だが、実際にこれが実現する可能性はどれだけあるのか。そのカギは、銀行に3度目の公的資金注入が行われるかどうかによる。全国紙経済部デスクが説明する。
「これまで、公的資金注入に強硬に反対してきたのが柳沢伯夫金融担当相。ところがいま、柳沢さんの“外堀”が埋められ始めました。11月20日の経済財政諮問会議の席上、小泉首相の目の前で、ほかの出席者が次々と公的資金注入を主張したんです。首相の前で柳沢さんは面子を潰され、黙り込んでしまいました。
もう公的資金注入は避けられない、という状況になっている。すると、経営者の責任を厳しく問いつつ、経営安定のために銀行の再々編が必要になってきます。もう、4大メガバンクという構図は成り立たなくなっているんです」
帝国データバンク情報部・中森貴和課長も言う。
「今回、銀行の不良債権の償却は6兆円規模ですが、本当に不良債権の処理を考えているのなら、13兆〜14兆円を償却しなければならない。しかし、もしそんなに処理したら、自己資本比率は間違いなく8%を割り込むでしょう。だから、結局は公的資金を注入せざるを得ません。大手行の再々編も行われるでしょうが、それは2〜3年後、ゼネコンや流通が淘汰されてからのことになると思います」

●郵貯や特殊法人との大合併

このように、専門家はいずれも「銀行の再々編はある」と語るのだ。しかし、各行とも内情は苦しく、安易に統合や合併をしても、成功する保証はない。三井三菱住友銀行ができて最強バンクになるといっても、「黒字決算だった東京三菱だって経営状況は厳しく、他行と比べて相対的に多少いい程度。三井住友も法定準備金を取り崩し、保有資産の売却などを進めていかねばならない」(前出・金融アナリスト)のが現状なのだ。
経済評論家の松本明男氏が言う。
「先日、みずほホールディングスは、前田晃伸・富士銀行副頭取が新たに社長に就任する人事を発表しましたが、4大メガバンクのなかで、みずほグループの状況は厳しいと思います。統合発表から2年以上経つのに、目立った成果があまり見当たらず、聞こえてくるのは内部対立の話ばかり。投資銀行業務で稼げる興銀の優秀な人材はどんどん流出している。中堅行員たちは『このままでは立ち枯れる』と危機感を募らせています。
あさひ銀行は大和銀行と一緒になって、地域密着型のリージョナル・バンクになると宣言していますが、株価が100円前後を低迷している銀行がはたしてこのまま存続できるのか、疑問ですね」
複数の専門家によると、海外の銀行にくらべて競争力が大きく劣る日本の銀行が生き残るには、やはり銀行の再々編を行うしかない。レポートのような組み合わせの3グループのほか、三菱東京とUFJが一緒になったり、みずほが外資の傘下に入ったり、UFJが大和やあさひと統合したり……といった可能性も十分考えられるという。
「再編の対象は、銀行だけではない。民営化された郵貯が相手として浮上する可能性もあるし、いま議論されている特殊法人の日本政策投資銀行や国際協力銀行、住宅金融公庫などを巻き込んで、“官民合体”の大再編が起こるかもしれません」(前出・松本氏)
さて、レポートに書かれた「三井三菱住友銀行」構想を、かつての頭取たちはどう思うのか。住友銀行で頭取、会長を務めた巽外夫氏は、本誌記者にこう語った。
「(東京三菱との)統合などという話は、何年か先ならともかく、いまの時点ではまったくありえないと思う」
また、東京三菱銀行の頭取を務め、現会長の岸曉氏は、
「(再々編も三井住友との統合も)可能性はありません。日本の経済対策としては、いまの構造改革を進めていくことが当面は必要でしょう」
とコメントした。
経済評論家の津田栄氏はこう語る。
「いま銀行は、リストラで何とか利益を確保し、不良債権処理に回しているだけのジリ貧状態で、トップに戦略がありません。これまでの経営方針を根本的に変え、収益が上がる新しいビジネスに移行しなければ、再々編したところで、展望のない状態が続くだけ。今後、日本の銀行が海外(外資系)に軒並み席巻される可能性も十分あります」
銀行サバイバル競争の最終局面が、まもなく幕を開ける。

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