★阿修羅♪  国家破産5
 ★阿修羅♪
国家破産5検索 AND OR
 

銀行問題の最終局面 金融危機は第2段階に突入した  吉冨 勝(週刊エコノミスト12月25日号)

投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 18 日 23:30:07:

http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/economist/0112/25.html

▼金融再生工場〜銀行問題 金融危機は第2段階に突入した

銀行の「要注意先債権」に、市場が目を光らせている。どこを「破綻懸念先」に落とすか。実はそこは、銀行にとって儲けどころのうまみのあるローン。それを処理しなければならないところに、不良債権最終処理の厳しさがある。しかも、銀行の判断だ。迷っていると資産はさらに劣化する。時間はない。銀行を信用するしかないのか。

吉冨 勝(アジア開発銀行研究所長)

1992年以降、日本政府が実施した景気対策は、基本的に財政出動と金融緩和だ。財政刺激は「ポンプの呼び水」といわれているように、実施すればその後は自然に民間から需要が湧いてくることを想定している。95、96年は、民間の需要がそれなりに湧いて、潜在成長率2%を上回る年率3%の成長を果たした。
ところが、その同じ2年間、景気の回復にもかかわらず不良債権問題は悪化した。これは非常に重要だ。景気が回復すれば、不良債権問題も軽減されていくと主張する人が多い。だが、そうではなかった。
この事実を知らしめたのが、97年10月の日銀の調査月報だ。いま問題になっている銀行の四つの債務者区分(正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先)のうちのサブスタンダード(要注意先)についての論文だ。
英語では正常先を「スタンダード」と表記するのに対して要注意先は「サブスタンダード」と記している。実は、このサブスタンダード・ローンこそが銀行融資の要だ。当然、リスクは少しある。しかし、うまく審査してリスクをコントロールできれば、リターンも高い。妙味のある資産だ。ここが銀行の資産の10〜15%占めている。正常債権は、ローリスク、ローリターン。サブスタンダードは、中リスク、高リターンで銀行業の本質的なローンといえる。
こうした重要な意味をもつサブスタンダードについて、破綻懸念先や実質破綻先といった不良債権への劣化率が、正常な時期の2〜3%に対して、年率3%成長した95〜96年の2年間を挟んだ3年間で16〜17%にまで上昇したと調査月報は報告した。

●景気が回復しても不良債権は減らない

これは驚くべき事実である。実体経済が相当に回復しても不良債権問題は、悪化し続けるという事実を突き付けられたからだ。
なぜか。
実体経済が回復しても、いわゆる構造不況4業種(建設、不動産、ノンバンク、流通)の業績は回復していないからだ。マクロ経済が回復しても、そうした企業が投融資した不動産の価格は下がり続け、リターンを生み出すようにはなっていない。経済が成長すれば不良債権問題は解決するといった関係は、そこにはないのである。
不良債権問題は、不動産価格の継続的な低下を反映して悪化し続けている。不動産価格を決めているものはマクロ経済ではない。それは、不動産分野での過剰投資と不動産を担保にもっている金融機関の供給圧力だ。投資した不動産の資産価値が下がり続ければ、それだけ債務の実質価値は上がり続ける。だから4業種は、その返済が依然として難しい情勢にある。しかも、銀行が追い貸しをして延命させている。その間に資産は一層劣化するという現象が続いている。
こういう状況では、いくら財政刺激を行っても、それが呼び水となり民間の需要が湧いてくることはない。というのも、民間の需要を支えているのは金融であり、その金融がうまく回っていないからだ。

●すべてが後手に回った

大手企業は直接、市場から調達することは可能だが、中小企業の場合は、銀行から借りざるを得ない。だが、不良債権を抱えた状況では、銀行は自己資本のリスク資産に対する比率を高めようとして、新しいリスクをとる融資には慎重になる。金融を緩和して、インターバンク・マネー・マーケット(銀行間取引市場)には潤沢にお金があるが、銀行はそのお金を企業向け貸し出しに向けず、リスク資産ではない国債を買っている。民間の需要を引き起こす要因である金融がうまく回らないから民間需要はでてこない。それは日銀の短観からもわかる。
日銀の短観は、景気の循環を回復、好況、後退、不況の四つのフェーズに分けるのに役立つ。短観のDI(業況判断などの指数)は、企業がいまの自分の状況を良いと思っている企業の数と、悪いと思っている企業の数の差だ。景気のボトム(谷)から上がってくるときは、回復期だが、DI=ゼロになるときが景気の中間点。そこまでが水面下の回復だ。それを越えると水面上の好況。途中で腰が折れるというのは、中間点(ゼロ)から、再び悪いと思う企業が良いと思う企業を上回り、マイナスに転じることだ。
その典型が、2000年8月のゼロ金利解除の議論をしていたころだ。DIがゼロに到達していれば、解除してもいいと思っていたが、実際はゼロの手前だった。というのは、当時のDIも製造業の大企業はプラスだが、中小企業は全部マイナス。中小企業のサービスはさらに悪かった。加重平均を見ると、まだ全体としてはゼロになっていなかった。だから解除は早すぎたと、私は考えていた。同じ時期、つまり00年の秋口からアメリカの景気が後退局面に入った。
呼び水政策を行っても、金融機関からの銀行信用が中小企業に回らないかぎり、民間需要が井戸水のように自然に湧いてこない。となると、財政出動するときは、同時に金融機関のもっている不良債権を処理して、銀行が前向きに貸し出しができるような環境をつくることが必要となる。これまで再三指摘してきた議論だが、それが後手後手に回ってきた。

●ガバナンスがなかった銀行の「罪」

結局、順序をきちんとわきまえない経済政策をとってきてしまった。その原因の一つは、銀行自身のコーポレート・ガバナンス(企業統治)の欠如にある。経営悪化の責任をトップがとらずにきてしまった。正確にいえば、ガバナンスの仕組みがなかった。一般企業の場合は、メーンバンクが目を光らせていて、業績が悪化すれば、銀行から重役や社長を送り込んで再建にあたる。銀行の場合、誰が監視するかというと、かつては大蔵省と日銀だった。
ところが、80年代には金融の自由化の波が押し寄せてきた。伝統的な護送船団方式での監督体制から新しい監督体制に移行する必要がある。前述のように自由化の下では、銀行がリスクの高い分野に乗り出していかざるを得なかった。しかし当の金融当局には、新しいプルデンシャル・レギュレーション(銀行の新しい監督のあり方)をまったく考えてなかった。自由化で古い監督権限を次第に失い、同時に、銀行自身にも新しいリスク管理能力が備わっていなかった。
銀行に対して、早く不良債権を処理させるメカニズム、さらには銀行自身のガバナンス、つまり、銀行の頭取を早く首にしていくようなメカニズムがなかった。
銀行は、誰にも監視されない。不良債権をどう処理していくかは、銀行自身が決める話になる。だから、銀行自ら早いアクションをとることができない。頭取がずっと居座っていたり、あるいは顧問のような形で影響力を保持したりする。当然、不良債権処理は遅れる。みずほフィナンシャルグループが先日、ようやくトップの若返りをはかることを発表したが、もしコーポレート・ガバナンスがきちんと機能していれば、もっと早くできただろう。
一言でいうと、金融自由化の大きな流れのなかで、本来確立すべき銀行のコーポレート・ガバナンスの新しい仕組みができずに、ここまでずるずるときてしまったということだ。柳沢伯夫金融担当大臣が、銀行のトップは本当に危機意識があるのかと、イライラする気持ちはわかる。ペイオフ(預金の払い戻しを元本1000万円とその利息を上限とする措置)解禁前には、いわゆる銀行取り付けはない。しかし、株取り付けは起きる。銀行の株価が200円を割り込むと危険水域と考えるべきだ。

●小泉首相よフーバーと同じ轍を踏むな

いままさに、要注意先債権が問題になっている。4業種の古い不良債権をすべて処理したわけではなく、それを積み残したうえに、新たなサブスタンダードが00年秋からの不況で劣化しているから事態は深刻だ。
サブスタンダードを監督するのは、尋常ではない。ここまでくると、銀行危機は第2段階に入ったといわざるを得ない。破綻懸念先以下の不良債権の規模は把握できているから、貸し付け損失勘定の積み上げなど、その処理に伴い銀行の自己資本が不足すれば国が資本を注入するしかない。が、要注意先まで含めた処理となると、その規模がわからない。基準もつくれないから、処理が進まず、そうするうちに、資産は劣化する。銀行は萎縮して前向きな融資姿勢にはなれない。アメリカのように新しいリスクを取るベンチャーキャピタルが少ないから、中小企業やベンチャーには資金が回らない。これでは絶対、好況にはならない。4業種への追い貸しも、削らなければならない。だから、要注意先がいいか悪いか判断するのは、銀行にしかわからない。
だが、ことここに至れば、要注意先を思い切って処理をするしかない。ただし、ここには、相当数の将来性のある企業が入っている。それを選別するというのは、日本経済の再生にかかわる重大な作業だ。銀行の本当の能力が試される。当然だが、古い不良債権、4業種向けの追い貸しをしても将来性のない企業は、切るべきだ。
銀行の構造改革の次は、オーバーバンキング(銀行が過剰で、統合・再編が必要な状態)の是正だ。中小企業にとって銀行融資は依然として重要だが、大企業については今後、銀行融資の需要は低下していく。そのとき、いまの銀行は過剰だ。これに拍車をかけているのが、大きな公的金融の存在だ。再編で数は減ったが、全体のボリューム(資産)は減っていない。だから、ペイオフは必要だ。郵貯をはじめ公的金融も減らす必要がある。
要注意先まで踏み込んだ処理は早急に断行しなければならないが、そのときの財政のあり方は、ビルト・イン・スタビライザー(構造の中に組み込まれている景気安定化装置)を生かすべきだ。
小泉首相は、国債の発行枠を30兆円と決めている。だが、今後景気がどんどん悪化してもなお、30兆円という枠に縛られると、増税でもしないかぎり税収減を補えない。しかし、増税すれば、また不況は深刻になる。だから、30兆円と決めた時点から、景気の悪化にともなう税収の低下で生じる財政の悪化については許容すべきだ。これを増税して埋め、あくまで30兆円を死守しようとすれば、アメリカ恐慌期のフーバー大統領(1929年米株式大暴落に続く世界恐慌時の大統領、自発主義政策で経済の深刻化を招いた)と同じ轍を踏むことになる。(談)

●貸し出し競争から一転、金利引き上げ競争に

銀行が、不良債権処理と双璧をなす喫緊の課題である収益力改善に動き出した。
「(銀行業は)慈善事業ではない」。12月5日に都内で開かれた投資家向け説明会で三井住友銀行の西川善文頭取は、リスクに見合った金利を今後とっていくことを宣言。その結果「(経営健全化計画に盛り込まれた中小企業への)貸し出し目標も達成できないことになるかもしれない」と明言した。
中小企業への貸し出し目標を巡っては新生銀行が目標と実績の乖離が大きく金融庁から業務改善命令を受けた。同じリスクを背負ってまで西川頭取が中小企業向け貸し出しにシビアな姿勢で臨む背景には、「不良債権処理を進めれば、(結果的に)中小企業への貸し出しは減る。その一方で、中小企業への貸し出しを増やせば不良債権が増加する」(アナリスト)という実態があるからだ。マスコミから批判の声があがれば、「きちんと説明する」ときっぱり。
「名古屋金利」とまでいわれる地域特有の低金利融資が歴史的に続いた中部圏でも地元各行が、金利引き上げに躍起になっている。東海銀行関係者は「金利で競争する時代ではない」という。ほかの地銀も同様の動きが見られる。だが、「資金需要が低迷するなかでは(金利引き上げは)容易ではない」(地元地銀幹部)と冷ややかな視線を送る向きもある。(編集部)

●銀行自らが招いたバブルの真相

吉冨勝氏は土地バブル発生に関して、「通説では、過剰なマネーサプライを原因としているが、過剰なマネーサプライだと一般物価のインフレにはなっても、それがアセット・プライス(資産価格)・インフレーションになるメカニズムは説明できない」と指摘し、「1980年代の金融の自由化が日本の銀行のビヘイビア(行動)を変えたことに土地バブルの原因を求めるほうが、事実や理論と整合する」と断言する(詳細は同氏著の『日本経済の真実』東洋経済新報社刊)。
金融の自由化によって、大企業は資本市場で資金調達ができるようになった。また、貸出金利と預金金利の自由化は、将来、利ざやが縮小していくことを示した。そこで、「大銀行は、大企業というこれまでの古い大手の顧客ではなく、中小企業の中に新しい顧客を見つけていかざるを得なかった」と解説する。ところが、新しい顧客に対しては十分な情報をもっていない。そこで情報不足を補うために担保を取った。それが土地であり、土地バブルを発生させた原因と位置づける。このバブルの整理がいまなお続く。
また、吉冨氏は「今回の不況は92年から始まっている」という。92〜94年の3年間は80年代ブーム期に行われた過剰設備投資の下方修正の時期に当たる。それが終わって、95年、96年に年率3%の経済成長を達成し、97年4月から財政再建が始まった。ところが、同年11月に北海道拓殖銀行、山一証券、三洋証券が経営破綻し、98年から本格的な金融デフレが始まる。99年3月に大手銀行への政府による本格的資本注入に助けられた不良債権処理と、日銀のゼロ金利政策で99年、2000年と景気は回復に向かう。だが、アメリカの急速な景気後退に影響され、同年秋以降、再び日本も後退を始め、現在に至っている、とみている。(濱條元保=編集部)




フォローアップ:

全★阿修羅♪=

 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。