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「日本の政治を読む」〜2001年を回顧する[PAXNet] 2001/12/25 09:53:00

投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 25 日 10:42:12:

【総論】
●すべては予備選圧勝から始まった

国民の多くが恐らくもう忘れているが、1年前はまだ森喜朗政権だったのである。それどころか、小泉純一郎政権が発足したのは4月26日だから、まだ8カ月しかたっていない。それなのに国民の記憶にはもう小泉首相しか残っていないということは、それだけ同首相の誕生とその後の7月の参院選を挟んだ展開があまりに劇的だったのである。
小泉政権の誕生は登場から衝撃的だった。小泉氏は4月23日に行われた自民党総裁選予備選で41都道府県で1位となり123票を獲得、15票の橋本龍太郎元首相ら2位以下を大きく引き離し、圧勝した。同予備選は米大統領選に似た「総取り制」を採用したため、実態以上に差がついたが、「劣勢」との当初の予想を大きく上回る結果は、それだけ国民の政治に対する不満と改革への期待を表すものとなった。
同予備選は自民党員・党友だけで国民による投票ではなかったが、事実上「国民によって直接選ばれた最初の首相」となった。この国民の期待がその後、驚異的な高さの内閣支持率となって表れ、それがまた首相が構造改革を推進するに当たって唯一最大のバックボーンとなっている。すべては、この予備選から始まったと言える。

●トップダウン方式に最大の特徴

小泉政権の特徴は、圧倒的な国民の支持を背景に、重要政策はほとんどすべて首相が決定するというトップダウン方式にある。中曽根内閣時代に「大統領的首相」ということがしきりと言われたが、小泉内閣になって初めてこれが具現化したと言ってよい。
自民党役員・閣僚人事ではこれまでの派閥均衡を無視、最大派閥の橋本派から党3役に起用しなかっただけでなく、閣僚にも同派からはたった2人と徹底的に冷遇した。しかも閣僚選任に当たって従来の派閥の領袖を通すというやり方を取らなかったため、派閥そのものの機能が形骸化するという副産物を生んだ。
首相のこうした独断専攻型の政治手法は、議員や官僚などの抵抗が強い構造改革を進めるには適しているが、逆に言えば、有権者の負託を受けてきた多くの国会議員を敵に回し、また場合によっては弱者や地方切り捨てにもつながりかねない側面がある。首相がその辺をどう考えるかが「小泉改革」の行方とも密接不可分に関わってくる。

●驚異的支持率の中核を成す中年女性層

小泉首相に対する依然70%を超える驚異的な高支持率は、かつての細川護煕、田中角栄両首相のそれをはるかに上回る戦後政治史上のもはや“事件”と言ってよい。その中核を成すとみられるのが、これまで政治に比較的関心の薄かった中年女性層だ。
この層の政治との関わりはテレビ各局のワイドショー番組を抜きにしては語れない。小泉純一郎首相と田中真紀子外相という2人の“スター”を抱えたこの内閣の発足以来、テレビ各局は競って首相、外相らを取り上げ、高視聴率を取るという一種の社会現象化の一翼を担った。
こうしたテレビと政治が一体化した「テレポリティックス」は国民の政治への関心を高めるのに多大の貢献をした。その一方で何かと派手なパフォーマンスばかりが脚光を浴び、地道な政治活動が顧みられなくなるという風潮が強まったことは間違いない。政界での支持基盤がぜい弱で、国民の高い支持率を背景にした首相にとってこの手法はやむを得ない側面があるものの、こうしたやり方だけに終始した場合、いったん支持率が下がり始めたら歯止めが効かなくなり、一気に政権瓦解まで突き進む危険性がある。

【構造改革】
●特殊法人改革は端緒に着いたばかり

小泉首相が「聖域なき構造改革」と政権で取り組む最大の課題に掲げている諸改革のうち、特殊法人改革や郵政事業民営化、医療制度改革、公務員制度改革については年内にほぼその作業を終えた。特殊法人改革の最大の焦点だった道路関係4公団の民営化については事業形態を第三者機関に委ね、政策金融の統廃合問題でも決着しなかったことなどから「問題の先送り」との批判もある。しかし道路族などの激烈な抵抗を前に(1)道路4公団の一括民営化(2)年間3000億円の国費投入中止(3)高速道路計画の見直し―などに踏み込んだことは高く評価されてよい。
整理合理化計画に、163の特殊・認可法人のうち全体の4分の1近くの38法人が廃止・民営化を免れ、独立行政法人化することを過大にとらえ、改革が全く前進しなかったかのごとく評する新聞や識者がいるが、それは「木を見て森を見ない」為にする議論である。もちろん今後の改革の行方を厳しく監視することは必要だが、戦後50年間以上全く手付かずだった最大の抵抗勢力である官僚機構に大ナタを振るうわけだから、一朝一夕にいかないのは当然のことだろう。

【外交・安保】
●見るも無惨な「真紀子外交」

小泉政権の外交は、非常識極まる田中真紀子外相の言動が災いして全く見るも無惨な結果に終わった。いちいち詳述する余裕はないが、同外相の着任以来、日本を訪れた各国の外相はたった7人。中にはイラン外相のように指輪“紛失”事件のあおりで会談を待たされた上、内容もないという非礼さに怒って帰った外相もいる。
中国とのセーフガード(緊急輸入制限措置)発動問題で協議の大詰めを迎えていた今月下旬、田中外相が外国の報道機関とのインタビューで「本格発動すべき」と政府方針と異なる見解を示した。だが、その翌日には発動が回避され両国間で合意が成立したことは、同外相が問題の本質を全く理解していないだけでなく、誰からも既に相手にされなくなったことが改めて白日の下にさらされた。小泉首相は外相の頭越しに自ら外交を担当する覚悟なのだろうが、この8カ月間、わが国が失った国益は測り知れない。

●テロ特措法は安保の転機に

安全保障面では、9月の米同時テロに伴う米英軍の報復攻撃に対し、後方支援を可能にするテロ対策特別措置法が10月29日成立。11月下旬、海上自衛隊の補給艦2隻、護衛艦3隻などをインド洋に派遣した。同法は日本領海内外で米英軍艦船に燃料補給などを可能とするもので、2年間の時限立法。いわば「戦時」における自衛隊の海外派兵に道を開くもので、日本の安全保障政策の大きな転機となった。このため野党第1党の民主党などは国会の事前承認を求めて譲らず、法案反対に回った。
この点について後藤田正晴元官房長官は「自衛隊は憲法で専守防衛、外国で自衛権は行使しないと決めているのだから、国会は当然事前承認でなければならない」と批判的。また自民党の中からも加藤紘一、野中広務両元幹事長らが「イージス艦の派遣は行き過ぎ」などの慎重論が大勢を占めたため、同艦派遣は見送られた。今後は米軍がテロ集団根絶を名目にイラクなどを攻撃した場合、日本としてどう対処するかが最大の焦点となろう。

【経済・財政】
●2〜3年は続く「緊縮型予算」

24日決定した2002年度予算政府案は、財政構造改革路線を取った橋本内閣が編成した98年度予算以来、4年ぶりに一般歳出が前年度比マイナスとなる緊縮型となった。「構造改革なくして成長なし」とする小泉首相の主張に沿い、国債の新規発行額を30兆円以内と抑制、特殊法人見直しで歳出を1兆円削減するなどしたためだ。
予算規模をみればデフレ下の日本経済をさらに縮小させる可能性があり、マイナス成長や失業率増大の懸念がある。それでも公共事業や政府開発援助(ODA)予算の10%削減など、亀井静香前政調会長らが主張した大型の景気対策要求を排したのは「10年間に100兆円以上の景気対策を実施したが何の効果もなかった」(首相)との判断に基づく。このため、「国地方を合わせ666兆円に上る負債を何とかしなければ、取りかえしがつかなくなる。本当の景気対策はこちらの方」(首相周辺)と、2、3年間はあくまで緊縮予算を貫く構え。
ただ金融機関、ゼネコン、流通などの大型倒産も予想される景気後退の中にあって、何の景気対策も打たないまま、「痛み」を与え続けた場合、国民がどこまでそれに耐え得るのか。この点は政権の存続とも大きく関わってこよう。
(政治アナリスト 北 光一)




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