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円安と世界経済 藤原直哉氏 2002/01/04 NHKラジオ放送より

投稿者 sanetomi 日時 2002 年 1 月 07 日 10:20:36:



Q:昨年末から円ドル為替レートで円安ドル高が進み、一時1ドル132円台をつける展開になって
います。まずなぜこの時期に円安が進んだのでしょうか。

A:日本の問題と米国の問題、さらに欧州の問題の3つを考える必要がある。
・ 日本の問題の第一は金融機関の経営不安問題。株価が大きく100円を割り込んだ銀行がある。
また昨年秋から中小金融機関の破綻が加速している。
・ 来年4月のペイオフ開始に向けて大規模な資金移動が起きている。
・ 小泉首相は公約を曲げて不良債権処理に公的資金を投入すると述べたが円安は止まらない。
・ 結局、政府は巨額の国債発行で金融経済の危機的状況に対処せざるを得なくなる可能性があ
る。その場合に国債のさらなる格下げにより、BISで決められた基準によれば日本国債のリスク掛
け目がゼロから10%に上昇し、日本国債を保有している金融機関はこの保有量を減らさざるを得
なくなる。これは国債の売り要因であり金利の上昇要因であり、日本から海外に資金が逃げる非
常に大きな要因になる。
・ 銀行と政府が行き詰まれば民間企業、上場している大企業まで含めてさらなる大整理が進むこ
とが予想され、倒産や失業が増え、株価もさらに下落し、これも日本から資金が逃げる大きな要因
になる。
・ 米国の要因の第一は、米国の金融市場を支えるために世界から資金を米国市場に還流させな
ければならない事情がある。
・ アルゼンチンは公的債務の支払いを停止したが、これから通貨ペソを切り下げ、また市場経済を
取り入れた政策を破棄する方向に動いていく見とおし。アルゼンチンでこういう危機が起きればそ
れがブラジルやメキシコに波及し、米国市場に多大な悪影響を及ぼすのは時間の問題。
・ 昨年、多額のデリバティブ取引を抱えて突然破綻したエンロンの後始末を行わなければならな
い。金額が大きいだけでなく、取引内容に不明なところが多く、また非常に多くの取引先が全世界
に広がっているので、後始末は大変であり、連鎖倒産の恐れも大きい。
・ バブル経済の崩壊が始まって2年近くになる。この間景気の悪化や株価の下落が進んだが、来
年には景気が良くなるとエコノミスト達は言っているし、人々も素朴にそれを信じている。これから米
国は再び株価を上昇させ、景気を良くする必要がある。そのためにも資金を米国に集めなければ
ならない。
・ 欧州の要因の第一は、この元旦から始まったユーロの紙幣・コインの発行をスムーズに実施す
ること。ユーロは発足以来価値の下落が続いてきたが、この下落を止めて強い通貨にしていく必要
がある。さらに米国と同様に海外から、特に日本から資金を集めて株価の上昇や景気の回復に努
めなければならない。
・ 現在の円安はこうした各国の思惑が重なる中で、日本政府が主導して行われているようだ。米国
政府は日銀に対して外債を購入するようにという圧力をかけていたが、これを日銀が正式に拒否し
た直後から円安が始まっている。そして日銀は円安を止める介入を行っていないようだ。今回の円
安にはかなり各国の政治的思惑が絡んでいるのではないか。


Q:このような円安は各方面に影響を与えていると思いますが。

A:まず、中国が円安の進行に対して強い警戒感を示している。日本が円安になれば日本の輸出
競争力が増大し、反対に中国の輸出競争力は低下して中国経済に悪影響が生ずる。
・ この効果は中国だけではなくて韓国や東南アジアにも及んでおり、現在の円安が続けば第2次
アジア危機が起きるのは時間の問題ではないか。
・ 日本では輸入物価の上昇がこれから始まるはずだ。特に食料品や衣料品などで低価格による
輸入のメリットを最大限に享受していた製品は値上げをせざるを得なくなるのではないか。
・ デフレ経済からの脱却を考えている日本政府にしてみれば、物価が上がることは好ましいことか
もしれないが、実際には不況の深刻化と倒産・失業の増大と物価の上昇が重なってくるわけで、庶
民の暮らし、特に年金生活者などお年よりの生活は一段と苦しくなるのではないか。
・ 米国では反対にドル高であり、ただでさえ不況の米国製造業にとってはさらに経営環境は厳しく
なり、失業者を増大させる要因になる。
・ 一方日本では大リストラが進行中の製造業にとっては競争力を回復させる助けにはなるはず
だ。しかし米国を中心とした全世界的な不況と、携帯電話の後に続く大型商品が見当たらない中
で、この円安だけで業績が回復し、またリストラが止まることはないと思われる。したがって円安に
よる日本経済の景気下支え効果は限定的ではないか。
・ 日本の株式市場や債券市場に価格下落圧力が強まる中で、現在の円安は日本から米国、およ
び欧州への投資を有利にさせる効果がある。しかし円安が進んでも米国や欧州の株価はあまり上
昇しておらず、金利もあまり下がっていない。ということは実際には円安が進んでも日本から米国
や欧州に流れたお金がそこで株を買ったり債券を買ったりという投資に向かっていないのではない
か。
・ 日本の投資家も数年前に147円まで円安が進む過程で多額の外国投資を行い、その後あっと
いう間に円高になって大損した記憶が残っている。また日本から資金を引き上げている外人投資
家も、引き上げた資金で必ずしも米国や欧州で積極的な投資をしているわけではないようだ。


Q:今年の為替レートの動きはどのようになると考えられますか。

A:日銀総裁は昨年12月21日の記者会見で、「日銀券の見合いの資産として、ドルの債券、外貨
の債券を持つということは、私は健全な政策ではないと思う」と述べ、中長期的なドルのリスクにつ
いてはっきりと述べている。
・ 相場のことだから何ともわからないが、米国や欧州に比べて日本だけが特に悪いとも思えない
ので、一方的な円安が続くことはなく、今とは正反対に大きく円高になることもあるだろう。

http://www.icpe.or.jp/fujiwara/20020104_radio.htm




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