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【信用リスク再考】民鉄も破たん時代‐信用不安と金余りの矛盾 東京 1月8日(ブルームバーグ)

投稿者 sanetomi 日時 2002 年 1 月 08 日 10:21:55:

国内の債券発行市場で起債環境の不透明感が増している。昨年の米国同時多発テロ事件やマイカルの破たん以降も企業倒産が相次いでおり、社債の信用力を示すスプレッド(国債利回りへの金利の上乗せ幅)が大きく拡大しているからだ。

金融庁による大手銀行への特別検査も実施されるなか、銀行も企業への貸し出しを選別し始めている。3月末の銀行決算を控えて、企業倒産が増加するとの見方も多い。起債環境と企業の資金繰りの関係を追ってみた。

市場関係者の多くは、現在、社債市場へアクセスすることができる、ある程度の信用力を有する企業には、銀行からの借り入れが代替可能なため、資金繰りに影響が出る可能性は少ないと指摘する。

このため、起債環境の悪化していることと銀行の貸し出し先選別も、明確に分けて考える必要もある。ただ、財務内容が悪く、格付けの低い一部の企業の資金繰りには今後、影響が出ることは懸念される。

民間鉄道も破たんの時代へ

昨年9月以降の信用不安の高まりは大きく、資本市場を大きく揺るがした。マイカル破たん以降も、青木建設、新潟鉄工所、大成火災海上保険、壽屋と倒産が相次いだ。

昨年の12月7日には、高松琴平電気鉄道(非上場)が民事再生法を申請して倒産した。第3セクターを除くと、民間鉄道会社では初めての破たんとなり、鉄道会社も倒産することが証明された。

「鉄道事業の公共性に対する公的サポートは過大評価されるべきものではない」。クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券の島義夫クレジット調査部長がこう指摘する通り、時代は変わったものだ。

海外に目を向けると、アルゼンチンが実質的に債務不履行状態に陥ったほか、米国の総合エネルギー会社、エンロンが経営破たんした。アルゼンチンは円建て外債(サムライ債)を発行しているうえ、エンロンのユーロ円債を組み入れたMMFが元本割れを起こしたことで、個人投資家にも大きな影響が出ている。

株価100円割れ銘柄が続出

株式市場でも、株価が100円割れとなる銘柄が相次いだ。なかでも、ゼネコン、流通、建設などの有利子負債が大きく信用リスクが大きい銘柄の株価が大きく下げた。大発会の株価でみると、フジタが17円、ハザマが24円、ダイエーが72円、住金が42円、神戸製鋼が52円。

市場ではフジタの第4回転換社債に注目が集まっている。今年3月29日に満期を迎えるこのCBは昨年12月19日に最安値41円50銭となった。このときの利回りは実に551.70%。合理的な投資水準ではない。

フジタの格付けはR&Iで「B」。これは「債務履行の確実性に問題があり、絶えず注意すべき要素がある」(格付投資情報センター)の状態だ。

社債の教科書では「転換社債の価格は株価が下がっても社債としての価値があるために価格下落の抵抗力がある」などと説明されている。だが、フジタ債を前にするとこの説明も空しい。同社のメインバンク、三井住友銀行の出方が注目される。

リスクは今や「A」格以上にも

このように、相次ぐ倒産で、投資家は信用リスクへの警戒感を一段と強めた結果、低格付け債のスプレッドは大きく拡大した。ソフトバンク(BB+格:R&I、BBB:JCR)が発行した第2回債(2007年9月27日満期)のスプレッドは、米国テロ事件以降、国債+3.0%程度から現在は7.0%と大きく拡大した。高格付債と低格付債のスプレッドのいわゆる「2極分化」の傾向が顕著になっている。

銀行の優先債も売られる状況下、現在の金融・資本市場を「銀行システムや金融システムが危機的な状況に置かれている」ととらえるCSFBの島氏は「新聞報道にあったような『低格付け債は売られているが、高格付債は大丈夫』などというような甘い状況ではなく、97-98年的な状況または流動性危機への入り口に立っているような状態」とみる。

実際、R&Iが「AA」と格付けしている住友電気工業の第9回債(2005年 10月21日満期)のスプレッドをみると、昨年12月以降の1カ月間で、国債+ 0.10%程度から国債+0.17%程度まで広がった。

国内通信最大手で市場重視派と言われるNTTでさえ例外ではない。同社は昨年12月に発行総額1600億円のSBを発行し、概ね順調に消化された。だが、NTTの第4部門資金担当者は、エンロンの破たん、日本国債格下げや自社の格下げなどのイベントが相次ぎ、投資家が信用リスクに警戒感を抱いているなか、起債環境は厳しいものがあった、と振り返る。

低格付け−資金繰りに影響も

起債環境が悪化するなか、起債を延期した企業も既に出ている。明治乳業、電気化学工業、東洋ゴム工業、北越製紙などが発行を計画していたが、起債を見送った。相次ぐ企業倒産で、投資家が警戒感を強めているためだ。

北越製紙の企画財務部・資金担当者は、社債も含めて資金調達を検討しているが、倒産など信用不安が大きくなる状況下では、社債を発行する状況ではない、と語った。

国内景気が低迷するなか、設備投資需要面から見た企業の資金調達需要は少ないが、97-98年に発行された社債のなかで、償還を迎える銘柄もあり、ある程度の借り換えからの資金ニーズはある。企業の資金調達はどのようになるのだろうか?

AA-AAAと高い格付けを持つ社債への投資需要はみられることから、これらの企業は、SBでの資金調達は可能だ。問題はA格以下の企業だ。国民経済では、依然として「貯蓄超過」の状況は変わらず、それらは、財政赤字や経常黒字をファイナンスする。銀行など金融機関は資金余剰となっており、その資金が、国債など高い格付けの債券へと流れ込んでいる。

だが、金融庁が大手銀行に対して特別検査を実施しており、銀行は、ゼネコン、流通、建設など財務状況が悪い企業への貸出しは選別している。市場関係者の間では、A格程度で財務状況が良い企業は、SBなど直接調達が可能との見方が多い。明治乳業の広報室担当者は、銀行からの融資で貸し渋りは感じられない、と語る。

現在、社債市場での資金調達が可能で、そこそこの信用力のある企業には、社債のスプレッドが拡大して一時的にSB発行が難しくても、銀行からの融資を受けることは比較的容易で、資金繰りに影響は出ないとの見方が多い。

また、起債環境の悪化と、銀行の貸し出し選別を結びつけて考えるのも短絡的だ。銀行の貸し出しが選別するような一部の流通、ゼネコン、建設業界の企業は、起債環境が悪化する以前からファイナンスが難しくなっており、社債市場でのスプレッド拡大との相関性は少ない。

問題は財務状況が悪い低格付け企業のファイナンスだ。CSFBの島氏は「低格付けの企業では銀行が貸し出しに消極的になりうる場合もある」と指摘する。

東京商工リサーチの荒谷紘毅情報部本部長補佐も「規模の小さな金融機関ほど貸出しに神経質となっている。新年以降に倒産が増える可能性がある」といい、一部の信用力の低い企業では苦しい資金繰りを迫られそうだ。

高格付け債への人気が集まる

昨年9月のマイカルの経営破たんを境にして、国内普通社債(SB)市場は大きく変わった。それまで、比較的順調に販売されていた「BBB」格の企業の起債が激減し、逆に「AA」格から「AAA」格の企業の社債が活発となり、投資家の資金もこれらのSBへ流れ込んだ。

マイカル破たん以降に発行された「BBB」格の社債は住友不動産債、東亜合成債など3社にとどまったのに対して「AA」格以上のホンダファイナンス、キリンビール、NTTドコモ、トヨタファイナンス、東京ガス、旭化成、凸版印刷、丸井、NTTなどの高格付け企業の社債が発行ラッシュとなった。「A」格の社債もそこそこ発行されたが、市場を大きく盛り上げるまでには至らなかった。





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