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2002/01/21 海外市場動向〜熾烈を極めたM&A(買収合戦)。結果は金価格に好材料。(住友金属鉱山)

投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 1 月 23 日 18:46:34:

http://www.sumitomo-gold.com/market/index.html

このところの金市場の大きな関心事だった大型M&A(企業の買収・合併)案件に決着がついた。
結論から言うと、北米最大の金鉱山会社であるニューモント・マイニングがオーストラリア最大の金鉱山会社ノルマンディー・マイニングをその傘下に入れることがほぼ確定的となった。1月18日のことである。
最初に「決着がついた」と表現したのは、この買収劇が始まったのが昨年9月のことで、大勢が決するまで時間がかかったこともあるが、それよりむしろその経過が泥沼化の様相を帯びていたからである。
話の発端は、世界最大の金鉱山会社であるアングロ・ゴールド(南ア)が、ノルマンディー・マイニングに触手を伸ばし、買収提案をしたことにある。2001年9月6日のことだった。受け入れ側(ノルマンディー)の姿勢により平和裏にことが進むか敵対的なものに変わるかの違いはあれ、いずれにしてもアングロ社の強い意欲(株式交換による買収で株価換算ノルマンディー社1株当時の時価1.1豪ドルに対し1.42豪ドルをオファー)によりこの案件はそのまま進むかにみえた。
ところがそこにライバルが現われる。ニューモント・マイニングの参戦である。提示したのは株価換算で1.7豪ドルだった。2001年11月15日のことである。
後はこうした事例の“お定まり”のコースを歩むこととなった。すなわち、両陣営入り乱れてのノルマンディー社株主に対する説得工作や相手方の行為に対する非難合戦や法的対抗措置、あるいは提示条件の引き揚げ合戦に突入していったのである。そこに両社の提示条件とノルマンディー社の時価とを天秤に掛けて「鞘取り(株価の差を利用した利益狙い“アービトラージ”と呼ばれる)」をもくろむ投資家集団(アービトラージャー)まで参入し乱戦模様に拍車をかける結果となった。
ノルマンディー経営陣のニューモント傾斜傾向もありアングロ苦戦が伝えられるなか両社の応酬がしばらく続いていたが、ニューモントが3度目の条件引き揚げ(最終的には2.04豪ドル)を実施し、アングロが追随の姿勢を示さなかったことからやっと決着の目が出たのが年明け3日のことだった。その後もアングロサイドの粘り強いノルマンディー株主への説得工作が続いたが、1月14日にオーストラリア政府の関係部署(海外投資審議委員会)がニューモントの買収につきお墨付き(認可)の方向を示したことから事態は大きく終結に向け進展し、18日にアングロ・ゴールドが引く形で決
着となった。
さて、ことの発端はアングロであるが、何ゆえノルマンディーを取り込むことにこれほど執着したのだろうか。
そこには南アフリカを基盤とする鉱山会社に共通する背景がある。ひとことで表すと南ア鉱山の「鉱区の劣化」あるいは「コストの上昇」となる。世界最大の金産出国南アは、すでに100年以上にわたり金を掘りつづけてきた。ピーク時の1970年には年間1000トンもの生産量を誇っていたが、その後は年々減少し2000年のデータでは428トンと半分以下の水準に落ち込んでいる(それでも世界最大の生産国、2位は米国で355トン)。長年の採鉱の結果今では地下4000メートルもの深さに達している鉱区もあると報告されている。富士山の標高以上を逆に地下に潜ることになるので、採鉱現場は地熱で通常では作業などできない。したがって温度を下げるための設備が必要となる。地下水の問題もある(高温多湿の過酷な環境)。それ以上に厄介なのは、地圧の問題である。落盤事故を起こさないよう最新の技術と細心の配慮のもと作業は進められている。これらは言うまでもなくすべて採掘コストとして跳ね返る。したがって従来より南ア鉱山の採算分岐点を意味する「産金コスト」は他地域にくらべ突出して高かった。90年代後半に至るまで1オンス(約31.1グラム)あたり平均340ドル程度とされていた。ここ数年で平均250ドル程度まで下がってきているのは、合理化(人員削減と不採算鉱区の閉鎖)もさることながら「通貨ランド」の対ドルレート大幅下落によりドル建てで示されるコストの絶対値が大きく下がったのが実態である。
こうした状況の南ア鉱山会社からすると、露天掘りに代表されるように鉱床が浅いオーストラリアの鉱山は魅力に映る。また南ア以外に資産を保有することは、企業戦略上ファイナンス(資金調達)などの上で重要な意味を持つのである。元より国際金融市場の中では、南アは政治的な部分を中心にカントリーリスクの高い国とされている。そこに資産が集中している状況は、投資マネーを呼び込もうにも自ずと限界があるだろう。それが世界有数の鉱山会社をして外に目を向けさせているのである。時価総額の上昇が期待できることも株式交換が主流となっているM&Aをさらに
進める上でも有利に働くという点もある。これはニューモントサイドの動機の大きな部分を占めていた点でもあると思われる。
さてニューモント・マイニングの傘下に入るノルマンディーであるが、従来よりヘッジ売り(将来生産予定分の先売り)で有名な鉱山会社でもあった。ところがニューモントはヘッジをしないことで知られている会社である。つまり今後、ノルマンディーが先売りしているポジション(契約)は解消(買戻し)される可能性が非常に高く、金市場の需給上プラスに働く要因となる。量的には約240トン程度あるとされているが、早くも今週1月16日に約40トン程買戻されたとの報道もあり市場への影響が出始めている。今後、こうした海外鉱山の再編に関連する動きが金価格に影響を与える機会が増えそうだ。過去10年がもっぱら「ヘッジ売り」という供給サイドの材料が中心だったので、買戻しという要素が加わったことは金にとって明るい材料となる。(1月19日記)

金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎




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