特集:技術創世紀:未来と向き合う

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投稿者 nikkei 日時 2001 年 8 月 24 日 09:35:52:

特集:技術創世紀:未来と向き合う


(6)地球診断 天災を予知
  電磁現象で地震予測・樹木観察で温暖化解明。大地の声から自然との
共存を探る

 今年3月15日の夕方、静岡県御前崎町の地中を強い電流が走った。異常
は約50分続く。この地点の地電流を測定している東海大地震予知研究セン
ターの計測器がとらえたこの電流は、観測開始以来、最大の激しいものだ
った。

 3週間後に発生

 その3週間後、静岡県地方で大きな地震が起こった。長尾年恭・研究セ
ンター長は「地電流の異常は地震の先駆的現象だった」と見る。

 同センターと理化学研究所は協力して、過去5年間、電磁現象の測定を
続けている。地震発生との関係を調べるためだ。約40カ所の観測拠点のデ
ータは静岡県清水市の研究室に集め、パソコンに記録している。その結
果、「電磁波に大きな異常があった後は、その観測点から20-30キロメー
トル離れた範囲でマグニチュード5以上の地震が起きる可能性があること
が分かった」と長尾センター長は言う。

 電磁現象の分析による本格的な地震予知研究は、1980年代にギリシャ
で始まった。工業国の日本は工場など人工物による「雑音」が入ることが
障害だったが、情報技術の発達で必要な情報だけを取り出し、解析するこ
とが可能になった。主役は情報工学、物理学など従来の地震学者と異なる
系統の研究者たちだ。

 最近も広島市立大情報科学部の吉田彰顕教授が今年3月の芸予地震で、
発生1日前から電磁波に細かい前兆現象があり、発生と同時に消えたこと
を突き止めた。海外ではフランスが地震観測用に地球規模で電磁波データ
を集めるため、人工衛星を打ち上げる。

 電磁現象を使った地震予知には異論も多く、まだ発展途上の技術だ。だ
が、だれもなしえなかった地震予知の実現へ向けて一つの扉を開けようと
している。

 地震だけでなく、地球環境の行方を「予知」しようという試みも始まっ
た。

 宇宙からも計測

 パソコン上に、印象派の点描画を思わせる色とりどりの画像が映し出さ
れた。「赤い点がヤナギの木、青い点はエノキ……」。NTTデータ社会
情報システム事業部の高石哲部長が色の違う点を一つずつ説明する。

 画像は航空機から撮影した森林の写真。通常は一面緑にしかみえない
が、植物の種類や生育の様子で微妙に異なる電磁波特性を見分ける特殊セ
ンサーで撮影したため、樹木の1本1本を識別できる。このセンサーを搭
載した米社の人工衛星が9月に打ち上げられる。これを活用すれば、地球
上の細かな自然の変化をリアルタイムでとらえる「地球の健康診断」が可
能になる。

 樹木の成長状況から二酸化炭素の吸収度合いを計ることを狙った人工衛
星も2004年度に打ち上げられる。宇宙開発事業団の「ALOS」だ。こ
うした衛星が1基当たり集めるデータは1日に数テラ(1テラは1兆)バイ
ト。膨大なデータを地上のコンピューターで分析すれば、地球の温暖化を
より精緻(せいち)に予測できるようになる。

 診察で人の病気を察知、予防するように、ありのままの地球を診断し、
未来を読む時代がやってきた。

 「将来の姿」実現

 地球の将来の姿を先んじて実現してみせる試みも始まった。

 青森県六ケ所村にある環境科学技術研究所。何の変哲もない事務棟に見
える延べ床面積5000平方メートルの建物は「ミニ地球」と呼ばれる。外
界から遮断した施設に植物、動物、人間が住む地球と同じ環境を再現し
た。

 公募で選ばれた30代の元会社員と研究者が40日間ここで生活、様々な
模擬実験をする。2人が入居する約50平方メートルの部屋には革張りのい
すや机、ベッドが置かれ、広めのワンルームマンションのようだ。

 ミニ地球では、コメや大豆、トマトなど30種類の作物を育て、ヤギの乳
を搾って暮らす。外から送るのは電気と情報だけで、排出物は外に出さな
い。

 放射性物質や環境ホルモンが生物の体内や環境をどう循環、蓄積される
のか。二酸化炭素はどのように循環していくのか。一定の環境をつくりだ
すことで、地球温暖化の仕組みを実地で探ることが可能になる。

 有史来、人類は地震、噴火といった自然の猛威を受け、被害を繰り返し
てきた。環境破壊に対して温暖化というしっぺ返しも受けようとしてい
る。地球の声なき声を聞き取り、その将来を読む技術が進めば、地球と共
存しつつ安心して生活を送る道も見えてくる。





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