信頼感の危機:経済が鈍化し、ブッシュ大統領は指導者というよりも子供の王様だ 『ロサンゼルス・タイムズ』紙 2001年3月4日ケビン・フィリプス

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投稿者 dembo 日時 2001 年 9 月 28 日 03:58:47:

信頼感の危機:経済が鈍化し、ブッシュ大統領は指導者というよりも子供の王様だ 『ロサンゼルス・タイムズ』紙 2001年3月4日ケビン・フィリプス

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http://www.billtotten.com/japanese/ow1/00466.html
From : ビル・トッテン
Subject : 信頼感の危機:経済が鈍化し、ブッシュ大統領は指導者というよりも子供の王様だ
Number : OW466
Date : 2001年5月10日
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 平成になってから、自民党、官僚、メディアは、長い間日本の伝統でもあった考え方を次々に米国流儀に切り替え、規制や慣行を撤廃してきました。それもすべて、一部のデータだけを基に、日本よりも米国経済の方が効率的であるからだと説明しています。しかしその米国礼賛は、低下する労働者賃金、拡大する貧困、所得と富の格差、蔓延する暴力犯罪や麻薬、不足する刑務所など、米国が直面している多くの問題をまったく無視しています。

 事実、真の米国は先進国と呼ばれるどの国よりもひどい状態にあります。さらに、米国は地球史上、最大の貿易赤字、最大の個人および公的負債、最大の対外債務を抱えながら、それらについては都合よく無視しています。日本のメディアや自民党が国民に繰り返し伝えてきたのは、米国のGDPや株価の上昇率が日本のそれを、ほんのここ数年上回っている、ということだけです。

 今回このOWで取り上げるのは、その一時的、かつ一部の現象を捉えて日本と比較した米国の成功も、終焉を迎えようとしているというケビン・フィリップスの記事です。日本の伝統を簡単に捨て去り、米国流儀のやり方を猿真似することばかり熱心に勧めてきた人々は、これで自分たちの愚かさに気づくのでしょうか。それとも、また別のいい訳を探して、米国の猿真似を続けようと主張するのでしょうか。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

(ビル・トッテン)
信頼感の危機: 経済が鈍化し、ブッシュ大統領は指導者というよりも子供の王様だ
『ロサンゼルス・タイムズ』紙 2001年3月4日
ケビン・フィリプス

 深刻な景気後退が米国を脅かしているにもかかわらず、国家全体の問題としては注目されず、その一方で米国の指導者たち、特にブッシュ王朝の後継者ジョージ・W・ブッシュ新大統領と、「恩赦担当」のクリントン前大統領は、それぞれのすごろくゲームに興じている。おそらく誰か、「崩れる信頼感」と子供の字で書かれたプラカードを持たせるべきなのである。

 新大統領の経験のなさについては、ブッシュ一族の最上層部、すなわち父ジョージと母バーバラまでもが初めから懸念していた。そのためメディアは、過去のヨーロッパの王政復古になぞらえ、副大統領のディック・チェイニーを事実上の首相、ジョージ・W・ブッシュを式典や幼稚園訪問担当として描いた。さらに、チェイニー副大統領、ドナルド・ラムズフェルド国防長官とコリン・パウェル国務長官を、皇子が成人するまで政権を司る往年の君主政治の賢い摂政になぞらえた者もいる。

 残念ながら、君主政治との類似はますます危険域に達している。ミシガン大学と非営利団体コンファレンス・ボード発表の消費者信頼感指数の低下、ナスダックの暴落、消費支出の抑制などにより、必ずとはいわないまでも、米国経済を支えるものが崩れ落ちる可能性が出ている。連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長は、2月末の議会証言で、もはや経済がどうなっているのか把握できていないようだった。もし、曖昧なことをこれからもいい続けるのであれば、彼もブッシュ、クリントン同様、「崩れる信頼感」のプラカードを掲げるべきである。

 民間債務と対外債務が、処刑台の斧のように米国の上にぶら下がっている。しかしグリーンスパンにできるのは、いかにして国家債務を返済するか説明することだけである。残念ながら、歴史が証明するように最大の好景気の後には、最大の景気下降がやってくる。もし深刻な不況になった場合、記録的に膨らんだ米国人家庭の一部でも借金で破産すれば、景気は一層悪化するであろう。そして米国が抱える対外債務が年間約4,000億ドルずつ増加しているのを見て、外国人投資家が米国から資金を引き上げ始めれば、資金の流れが逆流し、米国経済はさらに悪化する可能性もある。

 民主党のイメージを未だ悪くしているクリントンは、注意欠陥障害(注意散漫・衝動行為・多動などを特徴とする)のようである。世間から注目されていないと障害を起こし、国家政治の道化者となる危険性がある。ここ数週間の彼の品性を欠いた行動、つまり退任直前に海外逃亡中の実業家マーク・リッチ他を恩赦したことが、今、議会やメディアの大きな話題になっている。なぜならそれは、クリントンは在職中も薄汚れていたが、今後も薄汚れた前大統領となることを証明するからである。そしてその他の有名民主党員も、注目度で彼に勝る者はなく、それが議会における民主党の指導力にとって大きな災厄となりうる。

 共和党員のすごろくゲームの問題は、クリントンのマーク・リッチ疑惑が話題を独占する連邦議会だけではなく、ブッシュの演説および思考が不明瞭という問題を抱えるホワイトハウスにもある。例えば、2月27日夜の施政方針演説と翌日に発表された予算で、ブッシュは米国の一般市民に利益をもたらす政府歳出プログラムの削減で頭が一杯だと明らかになった。それはすでに打ち出している、主に富裕層上位1%に利益をもたらす大型減税の可能性を国民に納得させることを狙ったものだった。

 もしメディアがマーク・リッチの元妻であるデニス・リッチ、あるいは恩赦に与ったその他の人々がホワイトハウスを何回訪問したかや、その理由に関する報道をやめれば、ブッシュの予算案は集中砲火を浴びる風船のようにひとたまりもないだろう。これでは世論をばかにしている。最新の『ワシントン・ポスト』紙および『ABCニュース』の世論調査では、財政の最優先事項を減税と考えるのは米国人の22%だけだという。反対に、35%が財政黒字を教育と医療費予算増加に充てるべきだとしており、これは民主党の見解に近い。もし民主党員がこの案を通せなければ、彼らが非難するのは、クリントン元大統領、マーク・リッチ、元大統領の実弟ロジャー・クリントン、ヒラリー夫人の弟ヒュー・ロドハム、トニー・ロドハムしかいない。

 財政政策におけるブッシュの混乱した思考の根は深く、それがブッシュに対する評価の低さと米国経済に対する国民の信頼感の後退につながっている。Webなどを通じて、ブッシュ大統領の恐ろしいまでの混乱振りが国民に知らされている。

 2月21日、先の大統領選の得票数でゴアに敗れたテネシー州で、ブッシュは聴衆に向かって「読み書きを教えれば、子供たちは読み書き能力テストに合格するはずだ」と述べたが、彼自身が文法を間違えた。また1月の『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューで「私の任務は、平和維持の実現者から、平和維持者から平和を遠ざける者へと米国の役割を再定義することにある」とわけのわからないことを述べ、また1月29日、ワシントンにおいて彼は、父親を意識してか「私は自分自身のためだけでなく、前任者のためにも行政力の維持を大切にしている」と発言した。

 ブッシュの引き合いに出されるのが元副大統領のダン・クエールで、その失言ぶりは有名だった。実際、クエールの妻マリリン・クエールは、1999年、これについて『アリゾナ・リパブリック』紙に対し、「ジョージ・ブッシュは1988年のダンだと風刺されるが、ダンはそんなにひどくない。ひどいのはジョージ・ブッシュの方だ」と語った。

 崩れ落ちる消費者信頼感指数は特に今危険な状態にある。2000年、2001年の調査から、ナスダックの乱高下(2月末時点でナスダックは2000年3月に記録した最高値の約60%、さらにここ2年間で最低)が消費者支出の増減の大きな要因になっていることが明らかである。皮肉なことに、これは株式暴落後の1930年の消費者支出の動きに酷似している。当時、消費者支出は1929年より10%下がり、経済は徐々に悪化した。

 2001年のこの衰退は誰も予想していなかった。しかし、米国経済の歴史を辿ると、最長の好景気の後は、最も厳しい景気後退が起こることが多い。1960年代は、1970〜71年、1973〜74年の景気後退を導いた。1920年の後は、大暴落と1930年代である。怒涛の1880年代は、1890〜91年と1893〜96年の2回の不況となった。1982〜2000年まで好景気と強気の株式市場が20年間続いたことを考えると、これらの前例は厳しい未来を予想させる。

 2月末の下院委員会でグリーンスパンFRB議長は、米国は近々国家債務を返済するだろうといったが、実際には国家債務は返済できるどころか5兆7,000億ドルにも達し、またそれ以外にも危険を増している要因がある。国家債務のうち2兆1,000億ドルは社会保障費、高齢者向け医療保障、その他の信託資産に投じられており、残りの3兆6,000億ドルは民間の手にあり、その大部分が海外の投資家や中央銀行が保有する。もし米国が今後3年間、巨額の財政黒字を続けられるとしても、米国はそれを債務の返済に充てたいと思わないであろう。

 その他の負債の窮境として、企業が過去5年間に行っている巨額の借金があげられ、景気後退が悪化すれば多くの企業が危機に晒されるであろう。一般家庭も、1990年代に大きく負債を増やしている。人々はクレジットカードを利用限度額まで使い切り、見栄から、あるいは株価上昇に踊らされて、自分の家を担保に借金を行った。年間所得に占める個人負債額の割合は、1949年の29%から、1979年には63%に、1999年には約90%に増え、総額5兆ドルにもなった。住宅所有者の借金は平均で、1991年には住宅の市場価格の約40%だったのが、1999年には46%に増加している。低所得層の下位から3分の2の人々の多くには貯蓄がなく、あったとしても大不況になればすぐに破産し、彼らに金を貸している者の多くも破産するだろう。

 しかし、国家債務を返済するという楽観的な演説の中でも、グリーンスパンが特に無責任なのは、米国の対外債務を無視している点である。米国の対外債務は、経常収支の赤字が毎月320億〜330億ドルを記録する中、ますます増加している。経常収支には製品やサービスの貿易収支だけでなく、投資収支も含まれる。米国ほど経常赤字を積み上げた国は他にない。しかし今のところ、経済的破滅は論理的には可能でも現実には起きていない。なぜなら資金が米国に流入しているからである。つまり、外国人投資家が米国の株式、債券、企業に投資しているからだ。しかし、深刻な不況かドル安、またはその両方が流れを変えてしまう可能性がある。

 もし米国経済が不況に突入する様相を見せ始めたならば、米国財政は、すべて下から3分の2の米国人家庭を助けることが最優先でなければならない。いかなる減税も、彼らを対象としたものであるべきだ。優遇分の30〜40%が上位1%に配賦される減税の10年間にわたる実施、特にそれが医療保障や社会保障、または低所得層、中間所得層のための既存の連邦予算の削減を必要とするのではまったく意味がない。

 もしブッシュが、彼と彼の完成半ばの財政プログラムが信頼感危機の原因の1つだと理解しないのであれば、前任者のために問題を残してはならないという彼の懸念は、おかしいどころか悲惨にさえなり得る。

トッテン: この記事の中で取り上げられているブッシュ新大統領に対するマスコミの嘲りは、日本の森総理に対するものとよく似ていることに注目していただきたい。しかし、これは民主主義を装った金権主義においてはごく当たり前のことである。米国でも日本でも、大統領や総理大臣は、政府を実際に動かしている財界の操り人形に過ぎない。彼らの主な役目は、政府が民主的だと信じ込ませ、財界が政府を支配し、その利益のために政府を動かしているという事実から国民の注意をそらすことにある。そして、国民の注意を継続して引き付けられるよう、ある時は父親像を持つ吉田茂やドワイト・アイゼンハワー、またある時は人の良い老人風の村山富市やロナルド・レーガン、または見栄えのよいジョン・F・ケネディや細川護煕などを次々に指導者に据える必要があった。または女性スキャンダルで有名になってしまったクリントンや宇野宗佑、そして今回のように、あまり頭の良くない人物として森喜朗やジョージ・ブッシュをリーダーに据えるのである。真に国家を動かしているのが誰かわからないよう国民の目をそらせることができる限り、大統領や総理大臣はその職務を全うしていることになる。日本の過去最高の失業率や倒産件数、巨額の公的債務や増える犯罪件数、貯蓄の目減りを嘆くよりも、森総理のばかげた行動を揶揄する方が確かに面白いかもしれない。しかし、それこそが自民党やマスコミの狙いだということに、どうか気づいていただきたい。



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