連続テロに対する報復戦争の国際法的な正当性は成り立たない・加藤尚武氏(鳥取環境大学学長、日本哲学会委員長)の見解

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投稿者 dembo 日時 2001 年 9 月 26 日 20:43:04:

連続テロに対する報復戦争の国際法的な正当性は成り立たない・加藤尚武氏(鳥取環境大学学長、日本哲学会委員長)の見解


1、国際法上の「戦争」とは、単に軍事行動が行われたという時点では成立せず、主権国家もしくはゲリラ団体が戦争の意思表示をすることで成立します。ゆえに、今回の連続テロは犯罪であって、戦争ではありません。犯罪として対処すべきです。

2、国際法では、いかなる紛争にたいしてもまず平和的な解決の努力を義務づけています。ブッシュ大統領が、連続テロの今後の連続的な発生の可能性に対して、平和的な解決の努力を示しているとは言えないので、新たな軍事行動を起こすことは正当化されません。

3、国際法は、報復のために戦争を起こすことを認めていません。したがって、たとえ連続テロが戦争の開始を意味したとしても、現在テロリストが攻撃を継続しているのでないかぎり、報復は認められません。

4、連続テロに対する報復戦争が正当防衛権の行使として認められるためには、現前する明白な違法行為に対しておこなわれなくてはなりません。予防的な正当防衛は、国際法でも国内法でも認められていません。連続テロに対する報復戦争を正当防衛権の行使として認めることはできません。

5、国家間の犯人引き渡し条約が締結されていないかぎり、犯人引き渡しの義務は発生しないというのが、国際法の原則です。「犯人を引き渡さなければ武力を行使する」というアメリカ大統領の主張は、それ自体が、国際法違反です。

以上の理由によって、私は連続テロに対する報復戦争は正当化できないと判断します。

9月19日 加藤尚武(鳥取環境大学学長、日本哲学会委員長)
http://www.peace2001.org/gpc/kato.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 以下、英訳文 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

In terms of international law, there is no legitimacy for wars of retaliation against the recent terrorist attacks.

1. A conflict becomes recognized as a "war" from the perspective of international law not simply when military actions are taken, but when a sovereign state or a guerrilla group expresses its intention to wage a war. Therefore, the recent terrorist attacks would be recognized as crimes, not as a war. Thus, the recent incidents should be treated as crimes.

2. International law makes it clear that efforts for peaceful resolution should be made first to deal with any disputes. Since President Bush has not demonstrated efforts to resolve any possibility of future occurrences of the terrorist attacks in peaceful way, new military actions are not legitimate.

3. International law does not recognize the legitimacy of wars of retaliation. Therefore, even if the terrorist attack this time signifies a beginning of a war, retaliation cannot be allowed unless the terrorists continue their attacks.

4. In order for a war of retaliation against the recent terrorist attacks to be recognized as legitimately exercising the right of self-defense, it must be waged against existing and obvious illegal actions. Preventive self-defense is not accepted by either international war or domestic law. Therefore, a war of retaliation against the terrorist attacks is not accepted as a legitimate act of self-defense.

5. The principles of international law state that there is no obligation for one state to hand over criminals to another state unless an agreement to do so has been concluded between the two states. President Bush's argument that military force will be used if the criminals are not handed over is itself in violation of international law.

For the reasons stated above, I conclude that a war of retaliation against the terrorist attacks is not legitimate under international law.

September 19, 2001
Hisatake Kato, Dean of Tottori University of Environmental Studies

2.ゲルニカを忘れないで


 テロリズム攻撃のもっとも憎むべき点は、それが無差別殺人であるということである。そのビルで働く市民、その飛行機に乗り合わせた市民がすべて無差別に殺害されたということである。

テロリストが拷問をしたときテロリストに拷問をする、テロリストが生物兵器を用いたときテロリストに生物兵器を用いる、加害者に被害者と同じ苦しみを与えるのであるから、これは報復である。報復であるが正義ではない。「拷問は不正である」、「生物兵器の使用は不正である」という加害者と被害者に共通して適用される原則が守られていないからである。

 テロリストが無差別殺人をしたとき、空爆によって、テロリストを客人として扱うタリバンの支配下にあるアフガニスタン国民を無差別殺人に処する 。これは報復でもないし正義でもない。「報復」でないのは、アフガニスタン国民は加害者ではないからである。「正義」でないのは、「無差別殺人は不正である」という共通の原則が守られていないからである。

1、スペインの町ゲルニカGuernicaにフランコ将軍の側にたったドイツ飛行機による無差別爆撃が行われたとき(1937)、世界中が憤激し、ピカソが大作ゲルニカを発表した。アメリカ大統領フーバーは「非戦闘員の殺傷が不正であること」を再確認する書簡を発表した。

 2、しかし、アメリカが第二次世界大戦に参戦(1941)し、日本対する空爆が有効な手段と見なされる段階になると「非戦闘員の殺傷が不正であること」という原則は事実上無視された。しかし「現存する戦闘行為を停止させる不可欠の手段」として正当化された。原爆の投下、ベトナムでの空爆、湾岸戦争での空爆、ユースラビヤ内戦での空爆は、いずれも「現存する戦闘行為を停止させる不可欠の手段」として正当化された。

3、もしもテロリスト攻撃への報復という理由でアフガニスタンで空爆がなされるとしたら、もはや「現存する戦闘行為を停止させる不可欠の手段」という意味を持つことはない。「テロリストの次の攻撃に先手をうつ先制攻撃」として空爆が行われることになる。湾岸戦争での空爆、ユースラビヤ内戦での空爆が、たとえ正当化されたとしても、同じ理由で正当化することのできない、空爆の新しい適用事例となる。

テロリズムの無差別殺人を憎むものが、空爆という先制攻撃をアフガニスタン国民に行うならば、無差別殺人という同じ罪を犯すことになる。世界はゲルニカの時代に逆流するのだろうか。ピカソの作品が訴えていたものが「非戦闘員の殺傷が不正であること」であったことを世界中が忘れようとしている。
            

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