米国「アフガン攻撃」の最終目標はズバリ!中国

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投稿者 あっしら 日時 2001 年 10 月 24 日 19:10:14:

米国政府が言う「長期にわたる戦い」の戦略がじわりと見えてきた。

但し、ここで述べる推理は、米国本土同時多発テロの実行グループの特定をなんら前提としていない。ビンラディンのアルカイダグループであろうが、米国政府内の一部権力機構であろうが、その他の国家やグループであろうが変わらないものである。

今回の米国本土同時多発テロ→米(英)軍のアフガン攻撃という過程で、イスラム教とキリスト教の戦い、イスラム文明とキリスト文明の衝突などがもっともらしく語られているが、両者の戦いや衝突を語るのは歴史と現実をきちんとみていない論である。現実を直視してみれば、近代的軍事組織を持つイスラム教徒基盤国家が米国・西欧に戦いを仕掛けることなぞあり得ないことぐらいわかるはずだ。現在では、言葉は別として軍事的には対イスラエル闘争からでさえも逃げている。私的軍事組織のテロ攻撃をもってそうだと言うのは誇大妄想でしかないだろう。
何かが起きたときに、あの米国に対してでも軍事的に対抗すると考えられる国家は世界広しといえども「イスラエル共和国」しかない。この場合は、米国内でも大統領暗殺や権力分裂の危機を引き起こす可能性大である。あの“強大な”中国でさえ、ユーゴスラビアで大使館が爆撃されたとき、NATOに対して非難と要求を突きつけはしたが、結局、補償金と対中政策変化の期待で手打ちし、爆撃の責任(者)の明示とその処罰を勝ち取ることさえできなかった。

米国をはじめとする国家レベルでは、今回の戦いをイスラム教とキリスト教(西洋文明)の戦いにしてはいけないという立場をとっている。それならば、米国・西欧・日本はテロリストの表現に“イスラム過激派”や“イスラム原理主義”という形容詞を付けるべきではないだろう。それを付け続けているのは、“イスラム”を強調することで、イスラム教を憎悪させイスラム教と西洋文明の対立を煽りたいという本音(潜在的意識)を持っているということだ。例えば、ウサマ・ビン・ラディンはサウジアラビア出身の金持ちテロリスト、ハマスはパレスチナの正当な権利を回復しようとするテロリスト組織というのが穏当な線だろう。

侵略略奪の十字軍はともかく、米国・西欧は既にイスラム世界(中東・アジア・アフリカ)に十分過ぎるほど手を突っ込んでおり、両者の対立・戦い・衝突も1世紀以上続いている。むろん、イスラム教徒基盤国家のそれぞれそして統治者と被統治者とのあいだで米国・西欧に対する思いと行動は違う。今さら対立や衝突をあげつらっても意味はないし、宗教的な意味合いでの対立・衝突を持ち込んだのは近代西欧諸国である。
組み込まれ方に違いはあっても、米国・西欧が価値ありと見なすイスラム基盤国家のほとんどは、イラクを含めて米国・西欧システムのなかにしっかりと組み込まれている。

炭疸菌テロなど何かことが起きるたびにイラク攻撃が取りざたされているが、今回の軍事作戦の一環としてのイラク攻撃は、「米国の凶暴性を世界に見せること」、「世界の戦争愛好家に壮大なTVショーを見せること」以上の効果はないだろう。
イラクをつぶし石油資源を略奪するという課題は、今回の戦いを推進する勢力にとって考慮の対象外である。それこそ泥沼の戦いと際限のないテロに連なる。現在のイラクの“近代的”支配勢力バース党を崩壊させ、クルド人勢力やシーア派勢力までもが入り乱れた抗争状態に持ち込むというのはあまりにもぞっとさせられる見通しでしかない。石油探査→石油掘削→販売・精製のほとんどを握っているNATO石油メジャーは、資源の安定的な入手が“はした金”を払って保証されるならその道を選択するのである。
ブッシュ大統領(最高司令官)が「アフガン攻撃」のついでにフセイン打倒の「イラク攻撃」を承認するのなら、これまでも言われてきた「限定された知性」の持ち主であることを証明するだけである。逆に、「イラク攻撃」を実行しなければ、なかなかの策士を部下に持っていると言える。「イラク攻撃」の具申や扇動がありながら現実的に冷静に対処したというそれなりの評価を世界の愚か者たちからは得られるだろう...扇動が大きく行われば行われるほど。
現在のイラクは死に体である。イラクは、フセイン大統領がCIAなどのエージェントかどうかは別として、危険性だけを醸し出す存在としてのみ位置づけられているのだ。サウジアラビアに米軍基地を置き続ける根拠にだけなればいいのである。

では、今回のアフガン攻撃の長期的目標(戦略)はなんなのか。

米国政府の狙いは、中央アジアから南アジアさらには東アジアにおける権益の奪取と影響力の行使、そして、それらの“グローバル”政治経済システムへの組み込みである。
テロや攻撃という進行していく事象に煽られずに止まって考えればわかるように、現在の世界で米国・西欧の強い影響力が比較的及んでいない地域は、ロシア・CIS諸国・南アジア(インド・パキスタン・バングラディシュ)・イランそして中国だというのがわかるだろう。他の地域は?アフリカを見よ、中南米(キューバは別として)を見よ、そして、我が日本を見よ!

その地域に太い楔を打つ役割を担うのが今回のアフガン攻撃なのである。
アフガニスタンを“地政学”的に見れば、その標的として格好の存在である。イランをも直接牽制できる。

そして、それらのなかでも彼らの影響力がもっとも薄い(届いていない)のが“成長著しい”中国である。米国・西欧は、ロシアやCIS諸国の資源や経済には既に手を突っ込んでいるし、インドやパキスタンは大英帝国が既にボロ雑巾になるまで搾り取ったところである。(インドは今後金融支配の好対象とはなるだろうが)

今回のアフガン攻撃については、カスピ海周辺の石油及び天然ガスにからむ説明もなされている。この論に対してはその通りだと思う。トルクメスタン、カザフスタンなどの石油・天然ガスを運び出すルートとしてアフガンニスタン経由パキスタンが現状では最適と思われる。そして、それが今回の攻撃の目標でないとしても、「戦後」すぐにスケジュール化されるテーマであることは間違いないだろう...「アフガン復興」の美名の下に。そうであるならば、アフガニスタン「戦後」処理は、このパイプラインが安全に維持できる態勢を築くものでなければならない。米国政府は、看板は「連合国」(国連)であるとしても、軍事駐留を含めてそのような統治状況を主体的に創出するだろう。米国軍兵士が血を流した成果なのだから...
もちろん、これらは米軍がアフガン攻撃で勝利すればという条件付きであり、「戦後」アフガン諸勢力がそのような米国の対応を手を挙げたまま認め続けるかという問題もある。

しかし、それが最終目標だとはとうてい思えない。

次は、石油・天然ガス資源を埋蔵するタリム盆地を抱えた中国のシンチアンウイグル自治区であり、さらに言えば、中国そのものである。
アメリカ政府は、アフガニスタンを政治軍事的支配下に置くことで、シンチアンウイグル自治区の独立派グループに直接的恒常的に関与できるようになる。シンチアンウイグル自治区の独立派及び反中国政府派に、「中国政府は資源をタダ取りするが、我々はきちんとお金を支払う」これだけ言えば十分である。
そして、地図を見ればわかるように、シンチアンウイグル自治区とチベット自治区は長い「国境線」を共有している。アメリカ政府は、チベット自治区でも独立派を支援するだろう。そこらから目をずっと東に移すと台湾がある。台湾は米国政府が言わなくても独立(現実も国際承認は別として統治形態としては独立)志向である。
アフガン「戦後」から数年で、中国は東西に大きな難問を抱えることになるだろう。ひょっとしたら、北方の内モンゴル自治区も....シンチアンウイグル自治区の独立運動は、中国内部(そのもの)の問題であり、思想的な問題とも言える台湾の独立問題とは比較にならない大問題である。経済的にも、石油純輸入国となった中国にとって、タリム盆地は死守しなければならない対象である。現在の政策としても、「大西部開発」をメインとして掲げている。
中国政府は、中国に組み込む正当性を少しでも上げるために、シンチアンウイグル自治区やチベット自治区に漢民族を移住させてきた。このような植民地主義政策のつけがまわってくることになる。

中国政府は、タリバンも支援しているとみている現在のシンチアンウイグル自治区のテロリストとは比較できないほど強力なテロリストと対峙しなければならないことになるだろう。もちろん、この戦いに米国が表に立つことはない。中国政府は、「東トルクメニスタン共和国」(シンチアンウイグル自治区)をめぐる国際(米国・西欧..日本?)社会とも大立ち回りを演じなければならない。最近、EU議会施設のなかで「東トルクメニスタン民族会議」が開催されたともいう。
米国・西欧諸国が長年にわたって中国を攻め続けてきた「人権問題」・「チベット問題」がここで実を結ぶのである。

このような状況と推移のなかで果たして、
中国は統一を維持していいけるだろうか?
中国政府は、米国・西欧勢力との暗闘・死闘に対抗して勝利できるだろうか?
中国経済は、“国益”を第一義としたシステムを維持できるだろうか?

当初は国際機関への証拠の提示やアフガン攻撃反対を主張していた中国政府は、愚かにも、目先の利益(シンチアンウイグル自治区のテロリスト攻撃・WTO早期加盟・APEC開催成功など)に擦り寄ったことで、国家百年の計を誤る大失態を犯してしまったのかもしれない。

※最近の中国国営放送のニュース番組ではアメリカのアフガン攻撃を取り上げていない。

もちろん、米国・西欧諸国は、このような対中攻撃とともに対イラン策動も行っていくだろうし、中央アジアの石油資源を手に入れることで、中東諸国に対する揺さぶりも掛けていくだろう。

結論的に言えば、今回の「アフガン攻撃」は、たんなる対テロ攻撃ではなく、経済権益と“グローバル”政治経済システム構築(ワンワールド?)を目指す勢力が、その実現に向け一方的に仕掛けた攻撃である。


このような動きが世界にどのような状況をもたらすかは、それぞれの勢力(国家)の対応次第なので予測しがたいが、世界に大きな混乱をもたらすのは間違いないだろう。
一方ではっきり予測できるのは、このような攻撃に荷担した日本(政府)がこの攻撃で得られるであろう経済権益を一銭たりとも手にすることはないということである。政府が前面に立った交渉を行っても、サウジアラビアやクエートの石油権益から追放されたくらいである。


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