タリバン、アフガン制圧直前だった〜テロで米“参戦”、流れ変わる〔東京新聞〕

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 03 日 11:18:35:

◆「マスード暗殺」後の誤算 

「運命の三日間」が世界を揺るがし、アフガニスタンを変えた。インド洋と中央アジア、中東と南アジアを結ぶ要衝として、英ロ、米ソが過去、覇権を競ってきたアフガン。大国や周辺国の利害と民族対立が絡んで、二十年余の内戦は出口が見えなかった。それが一人の英雄の死と米中枢同時テロという二つの「事件」を機に動き始めたのだ。(アフガン北部で、星浩、写真も)

◆北部同盟、反攻の構え

■英雄の死

反タリバン勢力・北部同盟の英雄マスード司令官がテレビクルーに化けた刺客にアフガン北部で暗殺されたのは、九月九日のことだった。
「北部同盟が存続できたのは、マスードの力あってこそ。ロシアなど支援国も、北部同盟というより彼に援助していたのだ。その死は、同盟の死に等しかった」とロシア軍事筋は振り返る。
タリバンがマスード司令官の死を察知すれば、大攻勢に出る。タリバン、北部同盟の間で洞ケ峠を決め込んでいる野戦司令官たちは、一斉にタリバン側に付くに違いない。カリスマの死を、北部同盟は必死に隠そうとした。
「早ければ二週間程度で、同盟は消える。われわれは、そう覚悟した」(同筋)。国連はアフガン北部からタジキスタンなどへの難民の大量流入を想定し始めた。イスラム過激派の浸透をおびえる中央アジアの指導者たちは、右往左往した。
だが、彼の死の二日後の十一日、ハイジャックされた旅客機がニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込んだ瞬間、流れは変わった。
「これで、米国が同盟支援に回るはずだ。同盟は生き延びる。タリバンの全土制圧はない」
アフガン周辺国で情報収集に当たる外交官は、テロ事件直後、記者に語った。
そして十五日になって同盟はようやくマスード司令官の死を発表した。

■狂った筋書き

マスード司令官の死をタリバン側から見る−。
「暗殺は、本来ならもう少し早く、恐らく八月初中旬には実行されるはずだった。刺客の足取りから、それが分かる。実行が遅れたのだ」と、北部同盟と密に連絡を取る国際機関筋は明かす。
マスード司令官を暗殺して、同盟を壊滅に追い込み、足元を固めておいて、米国でテロを−これがタリバンとアルカイダのもともとの筋書きという。
「そうなれば、米国は同盟という足掛かりを使えない。米国の報復はより困難だったはずだ」(同筋)
米国の軍事作戦と同盟の反攻開始。にわかに始まった新政権樹立と和平への動き。米国だけでなくイスラム国をも含む国際的なタリバン、アルカイダ包囲網が出来上がってしまった。歯車は、事件の首謀者の設計図とは逆に回りだしている。

■誇りと自信喪失

「アフガニスタンは独立した主権国家であり、多民族国家である。和平はわれわれアフガン人自身にかかっており、周辺国はこの事実を忘れてはならない」
マスード司令官の右腕と呼ばれた北部同盟のバリオライ国防次官は、胸を張って、こう語る。
だが、同盟のタジク人幹部は自ちょうの笑みを浮かべて語る。
「アフガン人でも、タジク人、ウズベク人、ハザラ人の間には民族間結婚を含めたつながりがあるが、パシュトゥン人とうまくやるなんて、正直言って想像もできない」
自力での和解が難問なら、国際社会の役割が重要になるが、大国の利害に、振り回されてきた人々には、外国への不信感が深く染み込んでいる。
同盟は「タリバンを支援するパキスタンに和平プロセスへの参加資格はない」(バリオライ次官)と拒否反応を示す。過去、パキスタンの陰でタリバンを支援した米国への嫌悪感も強い。
アフガン北部で同盟幹部や町の長老らに話を聞いていると、まず「われわれは独立不羈(ふき)だ。だれもわれわれを支配できなかった」と誇る。そして必ず最後に逆に質問してくる。「諸外国はアフガンをどうしようというのか? われわれはどうなるのか」
アフガンの民は、誇りと自信喪失の間に揺れ、か弱い和平の糸を手繰ろうとしている。

 (メモ)

タリバンと北部同盟の力関係 タリバンはアフガニスタンの国土の約9割を支配下に置くが、国連に議席を持つのは北部同盟のラバニ政権。同盟の有力司令官マスード氏の暗殺は、全土の支配を完成させ、あわよくば国際社会での承認獲得をも狙ったタリバン政権と、テロ組織アルカイダの仕業だったとの見方が有力だ。しかし、米中枢同時テロ以降、米国支援を受ける同盟の支配地域が拡大している。

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