10/16『ニューヨークタイムズ』同時多発テロ記事の全訳と大いなる疑問点

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投稿者 あっしら 日時 2001 年 11 月 08 日 22:28:38:

[ニューヨークタイムズ「ハイジャック経緯」記事の疑問点]

9月11日の同時多発テロについては、首謀者・黒幕が誰だということより、とにかく、実行犯の特定に全力を傾けるべき(アメリカ政府は今さらそんなことはしないから、その他の人々が!)と思っている。そこから徐々に全体像が解明されていくはずだ。

実行犯に対する捜査の完了と起訴という手続きなしでのタリバンへの犯人引き渡し要請でさえ笑止千万であるのに、もう1ヶ月以上もタリバンへの攻撃を継続している。

アフガニスタンを攻撃するアメリカ及びその同盟国そしてそれを容認している「連合国」(国連)は、国際法違反や人権侵害どころか、タリバンよりひどい極悪非道の邪悪な存在というしかない。


ハイジャックに関する資料の提供を呼びかけたところ、10月16日付ニューヨークタイムズの記事をアップしていただいたので、それを翻訳して読んでみた。以下の内容は、ざっと読んで抱いた疑問である。


拙訳と原文をフォローアップにアップしていますので参照してください。
誤訳もどしどし指摘してください。


私の疑問点の解消や別の疑問もどんどんアップしてください。お願いします。

アメリカ合衆国の防衛システム及び軍人が無能で無力だったんだと言ってしまったり、捜査当局や国防総省などその他の当局者がデータを非公開しているからと言ってしまったら、それまでという疑問も多いのが(笑...


● 本当にカッターナイフや小型ナイフで実行できたハイジャックだったのか?

 記事全体を読んで何より疑問に思うのは、本当に4〜5人が小型ナイフで実行できたようなハイジャック事件なのかということである。

※ もちろん、隔離された密室でのできごとなので、小型ナイフでハイジャックされたということ自体証拠はない。それは、UA93便(ペンシルバニア州で墜落)の乗客やAA11便の客室乗務員からの携帯電話通話の内容から推定したもののようだ。

 あの4機の航空機は、コックピットにいる見知らぬ声との無線交信、トランスポンダー(自機の位置と高度を自動的に知らせる装置)の切断、無線応答不能、そして、コース逸脱などによって、航空当局からハイジャックと認識されている。
ハイジャック信号や肉声でパイロットからハイジャックが告げられることはなかったようだ。

 コックピットは、最低でも正副二人のパイロットが存在している狭い空間である。そこを、小型ナイフを使って瞬時に制圧できるものだろうかという疑問である。
荷物かなにかを爆弾のように見せて脅したという話もあるが、コックピットでは爆弾があるかどうかでパイロット達の対応にあまり変化はないだろう。

 ペンシルバニア州で墜落したUA93便は最初の事件から時間が経過していたこともあって、記事でも、

『UA93コックピットの背景ノイズをカットすると、乗員は、ホームコンピュータで電子メールメッセージの到着を知らせるような“ピーン”という電子音を聞いていたようだ。それは、シカゴ近くのフライトディスパッチャーから無線で送られてきたテキストメッセージの到着だった。メッセージは「コックピット侵入に気をつけろ」というものだった。』

とあり、少しあとで

『UA93便は、午前10時10分、ペンシルバニア西部の野原に墜落した。しかし、その朝の最終的なコックピット侵入の前に、パイロットの一人が、シカゴからの警告が届いたeメール装置に向かい、画面にキーボードを表示させるためのボタンを操作し、「確認した」というワンワードの返事をタイプしていたことは確かだ。』

とある。(このすぐあとに、そんな警告は無視するもんだという航空機乗員の話がわざわざ書かれているが)

このような状況で、コックピットが小型ナイフで瞬時に制圧されるものだろうか?

それこそ、権威ある当局の身分証明書か何を提示してコックピットのドアを開けてもらい、中に入りドアを閉めてパイロット達となごやかに話しながら、瞬時に効果を発揮する“ガス”か拳銃で撃つかという攻撃方法でなければ無理のように思われる。(“ガス”の場合は犯人に対策が必要。ナイフでは二人を瞬時に仕留めるのは無理だ)もちろん、オートパイロットが作動していることが条件とはなるが...

そうであれば(拳銃の場合は消音装置付き)、客室はハイジャックされたことさえ知らないままである。「おかしいな、マンハッタンが見えてる」くらいの気持ちだろう。こうであれば、UA175便やAA77便から外部にかけられた携帯電話に関する情報がないのも納得できる。(携帯電話での外部との通話に関する情報は、これまで見聞きしている範囲ではUA93便がいちばん多く、AA11便では客室乗務員の1つである)

もちろん、正規パイロットがそのまま“ハイジャック”?して突っ込んだという考えもある。正副二人のパイロットがいるが、片方だけが犯人であっても、片方を何とかしてしまうことはできるだろう。AA11便とUA175便は、ハイジャック犯とおぼしき人物を管制官が見知らぬ声と認識しているから、この推測はあてはまらないようだが...


● AA11便(最初のノースタワー激突機)ハイジャックを管制当局が認識した時刻

記事のなかでタイトルにも使われている、『管制官は「我々は数機の航空機を持っている。静かにじっとしてれば大丈夫だ。我々は空港に戻っている」というコックピットからの見知らぬ声を聞いた。困惑した管制官は「私に呼びかけているのは誰だ?」と訊ねた。応答なし。それから、管制官は、「誰も動かないように。我々は空港に戻っている。馬鹿なことを起こそうなんてするな」というその声を再び聞いた。』という部分があるが、

そのようなやり取りが行われた時刻は明示されていない。


このやり取りの時刻と推測するならば、後述の、

『ハイジャックが起きたという信頼できる最初の兆候は、午前8時14分にロサンゼルスに向けボストンを飛び立ったユナイテッド航空175便によって拾い上げられた。UA175便が離陸した直後、航空交通管制官は、既に見失っていたAA11便を見つけた他のパイロットから助けを求められた。パイロットは、離陸直後の午前8時41分に、「我々はボストンを出発したときおかしな送信を聞いた。誰かがマイクを調節したような音がし、みんなに席にとどまるよう言った」と報告した。』を読めば、


“信頼できる最初の兆候”というからには記事先頭部分のやりとりは午前8時41分以降のできごとと考えられる。この部分の記事より、先頭部分の内容の方がより“信頼できる兆候”であろう。AA11便を既に見失っていたとあるから、それ以前から疑問はもっていたのだろう。


では、記事の先頭部分は、午前8時41分からWTCノースタワーに激突する午前8時45分までのあいだのできごとなのだろうか。
しかし、さらに後ろにある次の記事内容を読むといっそう謎は深まる。

『AA11便のハイジャックに関してオーティスに最初の指令が届いたのは、連邦航空局がニューヨーク州ロームにあるNoradの一部門である北米防空セクターに最初に通知した6分後の午前8時46分である。』とあるから、

管制当局がハイジャックを認識して防空部門に通知したのは午前8時40分ということになり、午前8時40分より前に管制当局はハイジャックを認識していたことになる。

それまでの記事内容との整合性が取れていない。


● UA175便(2番目のサウスタワー激突機)はいつハイジャックされたのか

UA175便は、『パイロットは、離陸直後の午前8時41分に、「我々はボストンを出発したときおかしな送信を聞いた。誰かがマイクを調節したような音がし、みんなに席にとどまるよう言った」と報告した。90秒もたたないうちに、そのパイロットの飛行機は映画のような災厄の次の1コマになってしまった。UA175便は、ロサンゼルスへの予定されたコースから離れていき地上との交信もやめた。』となっているので、

UA175便は、午前8時42,3分頃ハイジャックされたと思われる。

※これは疑問というより整理です。もちろん、他の資料に照らせば、UA175便の進路状況からもっと早く“おかしさ”がわかっていたのではという疑問はある。


● 米連邦航空局や国防総省がAA77便(ペンタゴン激突機)の対応に手間取ったわけは?

記事では、

『午前8時56分までには、AA77便が奪われていたことが明らかになった。ボストンから出発した航空機のハイジャックについて国防総省と既に接触していた米連邦航空局は、28分後の午前9時24分、AA77便のハイジャックを北米航空宇宙防衛総指令部か北米防空総指令部(Norad)に通知した。戦闘機がすぐにスクランブル発進した。』

とあり、

AA77便がハイジャックされてから、なんと“28分後”まで防空当局に通知がいっていないのである。既に、1機はノースタワーに激突、そしてAA77便がハイジャックされたと認識してから6,7分後にはサウスタワーに2機目が激突しているという状況において!!

しかも、AA11便と思われるボストンから出発した航空機(記事はなぜ明示的でないのか?)のハイジャックの件で国防総省とコンタクトをとっているなかでのハイジャックだ。
そうでありながら、国防総省はなんら動かず、FAAが“28分後”に防空当局に連絡をとってからスクランブル発進が行われたのである。国防総省が動いていれば、スクランブルはもっと早く行われていたはずだ。

このような経緯は、新聞記者であれば当然その理由を正すべきであろう。


● AA77便はなぜレーダーで追跡できなかったのか?

『「アメリカン77、こちらインディ」と管制官は何度も何度も呼びかけた。「アメリカン77、こちらインディ、無線をチェックしてください。わかりますか?」午前8時56分までには、AA77便が奪われていたことが明らかになった。』

とあり、記事では少しあいだがあいて

『午前9時33分、およそ70分前にAA77便の完全に通常の出発を取り扱ったダレスの航空管制官が、レーダー画面で未確認の点を確認した。ダレスの管制官は、トランスポンダーの発信がないことを意味する“高速移動の主要ターゲット”がホワイトハウス・連邦議事堂・ワシントン記念碑上の飛行禁止区域に向かって東に移動していることを報告するため、カウンターパートであるレーガンナショナル空港を呼んだ。』とある。

ダレスの管制官が9時33分にのちにAA77とわかる未確認飛行物体を確認した(先日アップしたABC特集番組での本人のインタビューによれば9時27分には確認)というが、インディアナポリス管制センターは7000フィート以上で飛行していたと思われる(ペンタゴンの近くで高度7000フィート)ハイジャック機をなぜレーダーから見失ったのか?トランスポンダーが作動していなくても、ある一定程度の高度があればレーダーには表示されるはずである。また、このとき空軍防空システムのレーダーはどうなっていたのか?(既に2機が激突している緊急事態に対して)


● AA77便に対しラングレーを緊急発進したF−16はなぜニューヨークに向かったのか?

AA77便のハイジャックを受けて、

『防空部門からコードネーム“ハンター”の命令を受けて6分後の午前9時30分、Noradスケジュールに従い3機のF−16が飛び立った。最初、飛行機は最高速度でニューヨークに向かいおそらく2分以内で時速600マイルに達したとハウゼン将軍は語った。そして、編隊飛行していた彼らは、西へと電波で進路を指示され新しいフライト目標を与えられた。レーガンナショナル空港である。』

とある。

AA77便はダレス空港からロサンゼルスに向け西に飛んでいて、ハイジャック後180度反転するかたちでワシントンに戻るため東に向かって飛んでいていたはずである。F−16は、なぜまっすぐワシントン方向に向かわずニューヨークに向かい、途中でワシントンに向かうことになったのか?


● なぜ、連邦空軍のスクランブルはなかったのか?

記事全体を読めばわかるように、今回の事件である時刻までにスクランブル発進した空軍機は、オーティスのF−15(2機)とラングレーからのF−16(3機)であり、連邦空軍の戦闘機などは飛んでいないようだ。しかも、5人のパイロットの内3人が商用飛行機のパイロットを正業とするパートタイマー(非常勤)のパイロットである。

その唯一の例外が、

『午前9時36分、AA77便の飛行経路にあったナショナル空港は、アンドルーズ空軍基地(ワシントンDCのもう一方側のメリーランドにある)から定期飛行で離陸していた軍のC−130貨物輸送機に、低空高速移動のターゲットをインターセプトし識別するよう依頼した。C−130の乗組員は、それが低空を高速で飛行しているボーイング757だと言った。』である。


連邦空軍からは、なんと“ついで”の貨物機が対応しただけだという。


● UA93便(ペンシルバニア州で墜落)は本当にハイジャック機だったのか?

UA93便については、

『ペンタゴン激突のちょうど数分前、ニューアークからサンフランシスコに向け飛行していたユナイテッド航空93便がクリーブランド近くで予定進路から逸脱した。UA93便がハイジャックの警告を受けたことは今や明白である。』

とあり、9時35分頃ハイジャックが表面化したことになっている。
しかし、9時35分であれば飛行中の全民間航空機が着陸するよう指示をとっくに受けていた時刻であり、コースを変更したことをもって即ハイジャックとは言えないはずだ。

これについて管制とのやり取りなどは何も示さず、

『9月11日以降、UA93便でのハイジャック犯と乗客の戦いの詳細がわかってきている。航空交通管制に関わっている人々は、連邦捜査局(FBI)がその航空機の会話を記録した飛行記録テープを押収し、そのフライトと地上との交信内容を確認できる写しはないと言った。』

と、ただ、FBIの言い分を書いているだけである。
この航空機だけ、数人の乗客が携帯電話で外部と連絡を取り合ったことになっているのも不自然だ。

『頻繁に外国語の音があった。管制官はアラビア語だと思った。』ともあり、

他のハイジャックのやり取りはどんな感じの英語だったかはまったく触れていない。もちろん、他の航空機のボイスレコーダーはまだ見つかっていないようだが、管制官は何回か聞いているものもある。

また、『バージニア州ハンプトンにあるラングレー空軍基地から飛んだF−16が到着したときにはすでに墜落していた。』とあるが、
別情報では、UA93便の機体のまわりを旋回しているF−16が確認されているともある。

さらには、あの『ウルフォウィッツ米国防副長官はしばらくして、93便を米空軍機が追尾していた事実を認めたが、撃墜説は否定した。』(テロで墜落UA93便ナゾの「最後の瞬間」〜米政府高官「目標は連邦議事堂」〔東京新聞〕より)という情報もある。

ウルフォウィッツ米国防副長官は、対イラク強硬論者で有名だが、いろいろな“政策機関”にも首を突っ込んでいる人物で、肩書きからも、ラムズフェルド(彼はラムズフェルドの子分みたいだが)以上に今回の“アフガン攻撃”で実務的“辣腕”をふるっているはずだ。

個人的な思いとしては、UA93便の墜落原因はあまり詮索する気はしない。ハイジャック機であったならば、撃墜して当然だし、そうであっても撃墜という発表はしづらいだろう。
ただ、アメリカのTVニュースでは、UA93便のボイスレコダーは墜落現場からおよそ8Km離れたところで発見されたという。墜落の衝撃でボイスレコーダーは8kmもふっとぶものだろうか?


● 墜落したUA93便に対応するスクランブル発進はなかったのか?

AA11・UA175・AA77のハイジャックに対しては、別々の州空軍の2機のF−15と3機のF−16がスクランブルしている。しかし、UA93便のハイジャックに対して直接スクランブルがかけられたという記事内容はない。

『“幸福なフーリガン”というニックネームを持つノースダコタ州空軍の第119戦闘機航空団に割り当てられていた全機材であるラングレーの3機のF−16も、ペンタゴンに激突したAA77便を迎撃するにはあまりにも遅いスクランブルだった。』

とはあるから、

ラングレーから発進したF−16は、AA77便に対応するため最終的にワシントンに向かって飛んでいる。
UA93(10時10分に墜落)は9時36分にハイジャックされたと認識されている。それに対するスクランブルはなかったのだろうか?

[別の疑問:アメリカの軍体系について無知なので、どなたか教えて欲しいのですが、「ノースダコタ州空軍の第119戦闘機航空団」がバージニア州の基地に駐屯しているものなんですか?]


記事の後半部分のほとんどを占めるノースダコタ州軍副官の話を読むと、墜落なのか撃墜なのかという疑問さえ投げかけられているUA93便に対しては、AA77便に対してスクランブルしたF−16があとから対応したものと思われる。所属パイロットが民間航空機を撃墜するかどうか苦しまなくてよかっという発言もあるし、ノースダコタ州空軍の全航空機がAA77便に対して発進したはずである。



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