新たな「敵」に仕立てられたテロリズム

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投稿者 dembo 日時 2001 年 11 月 19 日 00:38:01:

新たな「敵」に仕立てられたテロリズム

(7月25日)←この通り古いんすけど...情報としてとりあえず...dembo
ムシャヒド・フサイン著

【イスラマバードIPS】

 イスラエルのインティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)、カシミール紛争、チェチェン紛争、中央アジアの政情不安、フィリピンのゲリラ「アブ・サヤフ」の暴力、アルジェリア内戦……。これらの紛争への各国の取り組みと、米国が「ならず者国家」に対抗するために打ち出した本土ミサイル防衛には共通した大義がある。「イスラム過激主義」への「脅威」だ。
 イスラエルやロシア、米国と国は違っても、各国は「原理主義」や「過激主義」を21世紀の「敵」と見ている点で一致している。
 10年前のソ連邦崩壊までは、第二次大戦以降、官僚、情報機関、軍需産業、メディア、シンクタンク、映画産業までが、「邪悪な帝国」(レーガン米元大統領)と呼ばれた共産主義と闘ってきた。だが、共産主義が突然崩壊し、皆、新たな敵を探し始めた。これこそ今起こっていることなのだ。現在起こっている紛争の原因は、アフガン紛争への米国の政策にさかのぼる。冷戦最後の戦いだったアフガン紛争が新たな紛争の原因となったというのはまったく皮肉だ。
 79年、ソ連がアフガニスタンに侵攻した。これに対し、CIA(米中央情報局)は21億?以上の資金を10年にわたって投入し、対ソ連軍の抵抗勢力を作り上げた。志願者はイスラム圏20カ国から集まり、戦力は、最大時には20万人規模となった。
 彼らはサウジ、イスラエル、エジプト、中国、米国の支援を受け、パキスタンで訓練された。(米政府が「国際テロの黒幕」とみる)ウサマ・ビン・ラディン氏も初期にアフガン聖戦部隊に入った一人だった。
 米国主導のこの協力体制は、「国際イスラム」とも呼ばれ、イスラム教徒たちを大いに活気づけたが、赤軍がアフガンから撤退した後は、彼らは失業状態となった。アフガンに残って、派閥に分裂し内紛を続けた者が出た一方、エジプトやアルジェリア、パレスチナ、イエメン、チュニジア、ヨルダンなど出身国に帰り、「アフガン系アラブ人」として新たな戦力となった者もいた。指導者だったはずの米国に攻撃の矛先を向けた者もいる。ボスニアやコソボで闘った者も出た。
 89年は、ソ連がアフガン紛争に敗北した年だったが、同時にカシミール紛争やパレスチナ人のインティファーダが激化した年でもあった。
 現在「テロリズム」の名で呼ばれる現象は、こうした歴史的な脈略で理解しなければならない。紛争の現象と原因は峻別すべきなのだ。
 冷戦期には、イスラム主義勢力は、「赤い妖怪」への対抗勢力として西側の支援を受けていた。だが今日、「イスラムの脅威」は新たな政治的な流行語になっている。
 国際危機グループ(ICG、本部ブリュッセル)代表のガレス・エバンズ氏は5月10日付ヘラルドトリビューン紙で中央アジア問題に関して「政策決定者は、実際の危機と想像上の危機を区別すべきだ。(テロの)脅威が過剰に協調されている」と述べた。
 ICGは、7月4日に発表した報告書で、「中央アジア諸国政府は、政情不安の原因となっている人権侵害や宗教的自由の抑圧、貧困といった問題にまず取り組むべきだ」と指摘した。
 チェチェンでは、ロシア軍の将軍が7月6日、部下が「法を無視した」行為を行っていたと認めた。だが同じ日に、ブッシュ米大統領は、プーチン露大統領との首脳会談後に「プーチン氏はロシアの過激主義を憂慮しており、私もそうだ」と述べた。
 ワシントンポスト紙は7月23日の社説で、「ブッシュ氏は、ミサイル防衛でプーチン氏の理解を得たいという魂胆が見え見えだ。プーチン氏に、軍による世界で最も残忍な犯罪を遂行するフリーハンドを与えてしまった」と酷評した。
 テロは、一般大衆の心に悪魔を生むために利用されているに過ぎない。あるべきテロ対策の姿は、@事実と虚構の区別Aパキスタン、エジプトなど実際にテロの被害者となっているイスラム諸国との協力B現象ではなく、根本的な原因に注目する−の3点だ。
http://www.ipsnihongo.org/n08/03.html


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