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外交的動きが報じられない『不審船撃沈事件』の怪

投稿者 あっしら 日時 2001 年 12 月 23 日 18:02:47:

昨夜の不審船撃沈から20時間が経とうとしているのに、日本政府からも、近隣諸国政府からも、あの不審船の国籍確定につながる情報が伝わってこない。

日本のメディアは、ライフジャッケトにハングル表記があったことを大きく伝え、あり変わらず「北朝鮮工作船」説にこだわった報道をしている。
日本政府は、『不審船撃沈事件』(=不審船捕物劇)の開始から現在に至る全体の流れが法に適合したものであり正当な主権行為であると主張している。

韓国のメディアは、昨日からすでに自国の船舶ではなく、事態の推移を冷静に見ていくという報道姿勢である。
北朝鮮のメディアは、現在のところ、今回の事件に対してなんの反応も示していないようだ。
中国のメディアは、人民日報のインターネット版が、日本のメディア記事を引用した記事を掲載しているくらいだという。

追跡劇が最初に報じられてからすでに丸一日が経過しているのだから、あの不審船が自国の船舶である可能性が非常に高いと判断している国家はすでにいるはずである。

日本政府も、『不審船撃沈事件』解決に向けて、可能性がある国との水面下で接触しているだろう。

このような外交的動きは、本未明の「読売新聞」インターネット版に掲載された『中国が日本大使館員を呼び出し…不審船事件でか』で、「中国外務省は22日深夜、日本大使館員を同省に呼び出した。異例の深夜呼び出しであり、東シナ海での不審船事件についての説明と見られる」と報じたことだけである。
しかし、見聞きしている範囲では、この中国外交情報を追認したり補強したメディア報道は見当たらない。この読売報道以降、重大外交問題である『不審船撃沈事件』の外交的情報が流れていない。
今回の事件では、外交情報については厳重な機密保持と報道規制が行われていると見ている。

不審船の国籍を憶測してもきりがないので、『不審船撃沈事件』の問題点をざっと考えてみた。


● 臨検及び追跡の妥当性

海保に「臨検の権利」があったかどうかは、『海洋法に関する国際連合条約』
の「第百十条 臨検の権利 」の(d)当該外国船舶が国籍を有していないこと。及び(e)当該外国船舶が、他の国の旗を掲げているか又は当該外国船舶の旗を示すことを拒否したが、実際には当該軍艦と同一の国籍を有すること。のいずれかに該当するものであったかどうかが問われるだろう。

これは沈没船国籍の政府と日本政府のあいだで、水掛け論になる可能性が高いだろう。


海保の「追跡権」は、「第百十一条 追跡権」の内容と新聞報道に照らせば、妥当性が高いと思う。


● 砲撃の妥当性

日本領海ではない海上を航行している非武装(無攻撃)でかつ低速度の船舶であれば、監視態勢だけを継続し、領海に入り国内法に反する行為があった時点で武力的対応を含めた選択肢のなかから適切なものを実行すべきだったと思う。
対象船舶が停戦命令を無視して逃走したからといっても、20mm機関砲を船体に10発以上当てる砲撃を行ったことは問題である。とにかく、その船舶を他の国の領海には逃がしたくないという一心で作戦行動をとったと思われる。
対象船舶は、巡視船の砲撃によりが火災まで起こしている。巡視船がそのときにどのような対応をしたのかも問われるだろう。そして、火災以後から対象船舶からの攻撃以前までのあいだに巡視船が砲撃を行ったことはなかったのかどうかも問題になる。

● 救助活動の妥当性

巡視船がすぐ側を取り囲んでいた状態で、不審船が巡視船の砲撃で沈没し、海に投げ出された(飛び込んだ)乗組員を救助できなかったことは今回の事件で最大の問題だと考える。
海保の巡視船は、不審船側から銃撃されたことで、再び攻撃される恐れがあると考え、安全性が確認されるまで救助活動ができなかった(いくつかの浮き輪は投げ入れた)と主張している。
しかし、海水温18度で波の高さが3mというシケ状態で海中を漂っていた事実を考えたら、再攻撃の恐れゆえに安全性が確認できるまで放置していたという救助活動のあり方は疑問である。

● 船舶の国籍を外交ルートで確認しなかった問題

船舶名が「長漁3705」と分かっているのに、可能性が考えられる近隣諸国に外交ルートを通じて問い合わせをしなかったようである。不審船は“不審船”でしかなく、海賊行為を行ったり麻薬や奴隷の取引を行っていた“犯罪船”ではない。
その時間で他の国の領海に逃走されるにしても、船舶の国籍を外交ルートで調査する必要があったと思う。

● 海上保安庁の巡視船が公海上で武力的な臨検ができる国内法になっているのか

これについてはよく分からないので、ご存知の方、フォローして下さい。

今回の『不審船撃沈事件』報道を見聞きして驚いたのは、日本の排他的経済水域とはいえ領海ではない海域を航行していた船舶を「北朝鮮の儀装工作船」ではないかと疑い(思い込み)、これまでとは違って是が非でもそれを拿捕するという意気込みで、十数発(船体に13発?)の機関砲弾を発射したことである。巡視船が停止命令を出したり最初の威嚇砲撃を行った位置は、報道を読む限り、公海上と思われる。
政府関係者(海保を管轄する扇国土交通相)は、「不審船を捕まえて欲しいという国民のみなさんの期待に応えるための活動」(主旨)といった発言をしている。

日本近海の不審船を「北朝鮮の儀装工作船」だと疑う根拠も希薄だし、明確な犯罪行為を犯したというのではなく「北朝鮮の儀装工作船」の疑いがあるというレベルで軍事力を行使してまで拿捕しなければならないと考える目的がなんなのかも理解できない。

※ 99年3月の不審船は、アメリカが提供してくれた偵察衛星情報が「北朝鮮工作船」の可能性が高いと主張する根拠のようだ。


日本政府がブッシュ政権の発想法を真似た対応をすれば、問題がこじれていくだろう。
どこの国が相手になるか今現在は分からないが、ことを荒げたくないと思っている可能性が高いと思う。

日本政府は、法的に正しい部分はそれを堂々と主張し、行き過ぎや過ちがあればきちんと謝罪すべきだと思っている。


近隣諸外国に理解されない対応をしてしまえば、この事件をきっかけとして、アジアで“精神的に孤立”していくことにもなりかねない危機状態にあると考えている。







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